小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
両親や子供世帯が暮らす二世帯住宅は、建築費用も二世帯分になるため「建築費用が高いのでは?」と悩んでいる方も多いでしょう。
しかし、二世帯住宅は構造や間取りにこだわることで、2,000万円~3,000万円程度のローコストで建てられます。しかし、今後二世帯が長期的に暮らしていく空間なので、後悔しない家づくりを行うことが大切です。
そこで本記事では、二世帯住宅をローコストで建てる際のポイントや準備したいことなどについて詳しく解説します。実際に2,000万円代のローコスト二世帯住宅を建てた実例についても紹介するので、二世帯住宅を検討している方はぜひチェックしてみてください。
二世帯住宅をローコストで建てる際のポイントは、以下の7つです。
二世帯住宅でも、間取りや構造を工夫したり、補助金を利用したりすることで建築費用を抑えられます。以下のポイントを参考に、二世帯住宅の建築費用の調整に役立ててみてください。
二世帯住宅をローコストで建てる際は、住宅の広さ・高さ・間取り・設備をシンプルにするのがポイントです。なぜなら、住宅の広さや高さが狭く、間取りや設備がシンプルなほど建築費用を抑えられるからです。
住宅の面積を広くすると、地盤工事や屋根などの工事の面積が増えます。地盤工事などは、建築コストの中でも高額なので、住宅の広さに比例して、建築費用が高くなることを理解しておきましょう。
また、3階建てなど住宅の高さを出そうとすると、建築基準法の制限があるため、防火や構造設計が厳しくなります。条件に沿って設計をすると、構造設計分の設計料などがプラス(※)で必要になるため、費用が高くなる場合が多いです。
※大手ハウスメーカーなどが商品化する型式適合認定などの住宅は構造設計費用がない場合もあります。
さらに、3階建ての建材は重量があるため、地盤調査や地盤改良などが別途必要になる可能性もあるので注意しましょう。
間取りについては、部屋数や壁などの仕切りが多いほど、建材や内装などのコストが嵩みます。また、収納やカウンタースペースなど希望の造作が増えることで、オプション料金が発生するので注意が必要です。
上記のように二世帯住宅をローコストで建てるなら、住宅の広さはできるだけ小さく、2階建てなど一般的な高さに設定し、間取りや設備をシンプルにするのがポイントです。
二世帯住宅をローコストで建てるなら、完全分離型でも二世帯で行き来できるようにしましょう。理由としては、住宅内で二世帯が行き来できるかどうかによって建築基準法の扱いが変わるためです。
二世帯住宅は、戸建住宅・長屋・共同住宅のいずれかで区分されます。住宅内で行き来できれば戸建住宅の扱いになり、行き来できない場合は長屋や共同住宅扱いになります。
なぜ住宅内で行き来できるとローコストになるかというと、長屋や共同住宅は防火設計の基準が厳しくなるため、建築費用が割高になるからです。内部で行き来するドアや共有スペースを作ると戸建住宅の扱いになるので、これらの建材や施工費用を抑えられます。
完全分離型でなるべくプライベート空間を確保したいという場合は、各世帯に行き来できる扉を1つ作り、鍵を付けるのがおすすめです。鍵を閉めておけば、家族間で勝手に行き来することはできなくなり、プライベート空間を確保できます。
二世帯住宅をローコストで建てるなら、完全分離型でも二世帯で行き来できるようにしましょう。理由としては、住宅内で二世帯が行き来できるかどうかによって建築基準法の扱いが変わるためです。
二世帯住宅は、戸建住宅・長屋・共同住宅のいずれかで区分されます。住宅内で行き来できれば戸建住宅の扱いになり、行き来できない場合は長屋や共同住宅扱いになります。
なぜ住宅内で行き来できるとローコストになるかというと、長屋や共同住宅は防火設計の基準が厳しくなるため、建築費用が割高になるからです。内部で行き来するドアや共有スペースを作ると戸建住宅の扱いになるので、これらの建材や施工費用を抑えられます。
完全分離型でなるべくプライベート空間を確保したいという場合は、各世帯に行き来できる扉を1つ作り、鍵を付けるのがおすすめです。鍵を閉めておけば、家族間で勝手に行き来することはできなくなり、プライベート空間を確保できます。
二世帯住宅は、世帯家族の共有スペースを多くすることで建築費用をローコストにできます。なぜならリビングや浴室、洗面所などのスペースを共有すれば、それぞれの空間を1つずつ作るだけで済むため、建築費や設計費などが抑えられるからです。
また、共有スペースを多くすることで、延床面積が広く使えるため、広々とした設計も可能になるでしょう。寝室やキッチンなど完全にプライベート空間にしたい部分は分け、玄関、浴室、客間などは共有するなど、二世帯家族で共有するスペースについて話し合いを行いましょう。
ただし、建築費用や設計料が抑えられても、住みにくい家を作ってしまってはいけません。生活導線やお互いの生活のしやすさ、管理や支払いはどうするのかなどを話し合い、二世帯家族が納得する家づくりを作りましょう。
二世帯住宅をローコストで建てるには、家の構造をシンプルにする方法もあります。理由としては同じ面積の家でも家の形や構造が複雑なほど、屋根や外壁などの建材が多く必要になり、建築費用が高額になるためです。
例えばサイコロのような形をしたキューブ型は、凹凸や装飾が複雑な家と比べると施工も簡単です。また、屋根も工事も一箇所になるため、建材や設計料、工費などすべての建築コストを抑えられます。
ただし、キューブ型の家は雨や直射日光を直接受けるため、外壁や屋根が老朽化しやすい傾向にあります。そのため、構造をシンプルにしつつ、ランニングコストを見越して外壁や屋根の素材にこだわることもポイントです。
二世帯住宅をローコストで建てるポイントは、浴室・キッチンなどの水回りを一箇所にまとめることです。なぜなら浴室・キッチン・洗面所などの水回りの位置を揃えることで、配管をシンプルにまとめられるからです。
1階と2階で配管の位置がバラバラの場合は、2階の床下にも配管を通さなければならないため、工事費が嵩んでしまいます。さらに、水回りの場所を近くすることで、排水音などが気になりにくいのもメリットです。
また、配管をシンプルにする以外にも、できるだけ水道設備の数を減らすのもコストを抑える手段の1つ。生活が不便にならない程度に、水回りの配置についても検討してみましょう。
二世帯住宅をローコストで建てるなら、設備や内外装材を厳選するのがポイント。設備や内外装材の値段も安いものから高いものまでさまざまな種類があるため、1つ1つの費用を抑えることで建築費を安くできます。
例えば、設備や内外装材の予算を決め、予算内で施工できるようにハウスメーカーや工務店と相談するのがおすすめです。「収納を作りたい」「特注品を利用したい」などオーダーが多くなるほど、建築費用が嵩むので注意が必要です。
無理に高いものを選ばなくても、標準グレードのものを選んだり、不要な設備をなくしたりするだけでローコストで二世帯住宅を建てられる可能性もあります。予算内でこだわる場所を決め、賢く家づくりを行いましょう。
二世帯住宅をローコストで建てる際は、国や自治体の補助金や税金の優遇措置などを活用しましょう。なぜなら条件に合った家を建てることで、補助金がもらえたり税金が減額できたりするためです。
二世帯住宅で利用できる補助金の例としては、地域型住宅グリーン化事業があります。地域型住宅グリーン化事業とは、地域の木造住宅の関連事業者がグループを作り、省エネルギー機能や耐久性に優れた木造住宅、三世代同居への対応した家を建てる際に補助金がもらえる制度です。
地域型住宅グリーン化事業の補助金には、通常タイプ・子どもエコ活用タイプの2種類があり、要件に適用されれば70万円~140万円(※)の補助金がもらえます。
出典:「地域型住宅グリーン化事業グループ募集要領」|地域型住宅グリーン化事業評価事務局
また、二世帯住宅は登記内容にかかわらず、いくつかの条件を満たすことで二戸分の税金の軽減措置を受けられる場合があるのもメリットです。軽減措置を受けられる条件は、利用上の独立性や構造上の独立性を満たしている必要があります。
具体的には、各世帯で玄関・キッチン・トイレなどが独立しており、鍵付きの扉などで仕切るなどの対応が必要です。二戸分の軽減措置が受けられる条件は、各自治体によって異なる場合があるため、事前にハウスメーカーや自治体などに確認してみてください。
二世帯住宅で二戸分の不動産所得税の軽減措置が受けられれば、50㎡以上240㎡以下の床面積で新築物件の場合、1世帯あたり1,200万円、二世帯合わせて2,400万円の控除が受けられます。
では、実際に以下の計算方法で、一戸建てと二世帯住宅の不動産所得税を計算してみましょう。
対象 | 計算方法 |
---|---|
当初税額 | (取得した土地・家屋の価格-減額額)×3% |
【4,500万円の一戸建ての場合】
(4500万円-1200万円)×3%=99万円
【4500万円の二世帯住宅の場合】
(4500万円-1200万円×2)×3%=63万円
上記の例では、通常の一戸建てよりも二世帯住宅の不動産所得税の方が、36万円も少ない結果となります。
さらに、二戸分と認められる二世帯住宅は、固定資産税の軽減措置が受けられるのもポイント。土地は二世帯分の400㎡分が小規模住宅地扱いになるため、土地の固定資産税の評価額が6分の1に、都市計画税が3分の1に軽減されます。
新築の場合建物の固定資産税の軽減措置もあり、二世帯で最大240㎡までが減税対象となります。一般的な住宅なら新築後3年間、長期優良住宅に認定されれば新築後5年間2分の1に減額できる嬉しい制度です。
二世帯をローコストで建てる際は、これらの補助金が税金の優遇措置を最大限利用できるように工夫するのもポイントです。自分で調べるのが難しい場合は、工務店やハウスメーカーと相談しながら賢く家づくりを行いましょう。
二世帯住宅でローコスト住宅を建てる際は、以下の準備を行いましょう。
二世帯で気持ちよく生活するには、各世帯が納得する家づくりが大切です。費用ばかりにこだわって住みにくい家を建ててしまうとデメリットだらけで後悔する可能性もあります。
以下では、二世帯住宅をローコストで建てる際に準備したい3つのことを紹介します。
二世帯住宅をローコストで建てる際は、二世帯の家族間で希望を出し合うことが大切です。理由としては、各世帯によって間取りや構造、生活の仕方など希望が異なる可能性があるからです。
まずは、どこまで共有スペースを一緒にするのか、ここは分けたい、ここはこだわりたいなど各世帯で希望を出し合いましょう。希望を取り入れるかどうかは別として、まず家づくりや生活ルールについて希望を出し合うことが重要です。
洗面所や浴室などを一緒にする場合は、使用時間をある程度決めて、なるべく具体的に二世帯住宅で暮らす未来を想像しましょう。共有する部分についての費用の支払いについてなど、トラブルが起きそうな部分に1つ1つ対処していくことが大切です。
二世帯住宅の家族間で優先順位が決まったら、次は何を取り入れるのか優先順位を話し合います。理由としては、各世帯がすべての希望を通すと費用がかさんでしまうためです。
何を優先するのか、予算内に収まるような工夫ができないのか、世帯の希望やハウスメーカーや建築士などのプロの意見を取り入れつつ、予算に収まるように調整していきましょう。
二世帯住宅をローコストで建てる際は、補助金や税金などについても調べておくことが大切です。なぜなら、補助金や税金などで浮いたお金で希望の工事を増やしたり、住宅ローンの返済に充てたりすることができる可能性があるからです。
そのため、賢く二世帯住宅を建てるためにも、家を建てる地域の補助金や制度などの知識を身に着けましょう。
二世帯住宅を検討しているけれど、価格が気になるという方も多いでしょう。そこでここからは、二世帯住宅のタイプ別にローコストで建てる際の費用目安について解説します。
二世帯住宅にも以下のようにタイプがあり、共有するスペースを多くするほど費用が抑えられます。しかし、なかなかプライバシーが守られず、暮らしにくいと後悔しないためにも、価格面以外にも生活面も重視して決めるようにしましょう。
完全同居型の二世帯住宅をローコストで建てる際の費用の目安は、2,000万円~3,000万円が目安です。完全同居型とは、玄関・リビング・水回りなどのすべてのスペースを共有するため、限りなく費用を抑えられるのがメリット。
【2,000万円代で完全同居型の二世帯住宅の実例】
間取り | 4LDK |
価格 | 約2,000万円 |
延べ床面積 | 約114㎡(34坪) |
家族構成 | 夫婦2人、子ども、両親 |
工法 | 木造軸組 |
上記の完全同居型の二世帯住宅の間取りは、洋室が4室とワークスペース1室、トイレはそれぞれ世帯分を用意し、リビングやダイニングキッチン、玄関などはすべて共有スペースです。
浴室を世帯分作るのは、費用が高くなるため、簡易的なシャワールームを両親の寝室とトイレ近くに設置されています。
完全同居型でも家の構造をシンプルにすることで、それぞれの寝室と子供部屋、そのほかは共有スペースにするなど工夫をすれば1,500万円程度のローコストで二世帯住宅を建てた実例もあります。
キューブ型の簡易的な構造にする、平屋にする、オプションは極力付けないなど費用を抑えることで、ローコストで二世帯住宅が建てられます。
部分共有型の二世帯住宅をローコストで建てる際の費用の目安は、2,200万円~3,500万円が目安です。部分共有型とは、玄関や浴室などの一部分を共有するスタイルです。
【部分共有型の二世帯住宅を2,000万円代後半で建てた実例】
間取り | 5LDK |
価格 | 約2,800万円~3,000万円 |
延べ床面積 | 約128㎡(約38坪 |
家族構成 | 夫婦2人、子ども、両親 |
工法 | 木造軸組 |
上記の一部同居型の間取りは、洋室5室はそれぞれの世帯で別々にし、玄関、リビング、浴室、洗面所などの費用がかさむ水回りを共有した実例です。
洋室5室はすべて6畳以上とゆとりのある空間にしたことで、建築費用は2,000万円代後半となっています。各世帯二階と一階で寝室のスペースが分かれているため、ある程度のプライバシーが守られる作りとなっているのもポイントです。
完全分離型の二世帯住宅をローコストで建てる際の費用の目安は、2,900万円~4,000万円が目安です。完全分離型とは、玄関、寝室、リビング、トイレ、浴室などすべての空間を完全に分離する二世帯住宅です。
【完全分離型の二世帯住宅を2,000万円代後半で建てた実例】
間取り | 2LDK+3LDK |
価格 | 2,900万円~4,000万円 |
延べ床面積 | 約152㎡(約46坪) |
家族構成 | 夫婦2人、子ども、両親 |
工法 | 木造軸組 |
上記の完全分離型の二世帯住宅は、それぞれ世帯のプライバシーを尊重するために、すべての空間を分離したタイプです。水回りを二階と一階で一箇所にまとめたり、内外装のコストを抑えたりすることで2,000万円代後半で完全分離型の二世帯住宅を建築。
削れるコストをうまく調整することで、2,000万円代後半の価格で二世帯住宅が建てられる場合があります。各ハウスメーカーや工務店によって費用や構造、デザインが異なるため、さまざまなメーカーを比較してみましょう。
二世帯住宅は、さまざまな工夫を行うことでローコストで建てられます。
ただし、実際に2世帯が長期間暮らしていく大切な住まいになるので、本記事の紹介したローコストで二世帯住宅を建てるポイントや、準備したいことなどを参考に両世帯が納得する家づくりを行いましょう。
M-LINEでは、ローコストの二世帯住宅のご相談も承っています。「予算が少ない」「予算内で完全分離型の二世帯住宅を建てたい」など二世帯住宅の建築のお悩みはぜひ一度ご相談ください。
2024/11/29
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