小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
家を新築するとき迷うのはやはり『木造住宅』と『鉄骨住宅』どちらにするのか、という点ではないでしょうか。都市部の限られた土地を有効活用しながら快適な暮らしを手に入れることを考えると、どちらも魅力で悩ましいところです。
そこで今回は、木造住宅と鉄骨住宅のメリット・デメリットとともに、費用や工期、耐用年数などを比較してご紹介します。どちらの造りが自分たちにとって最適なのか、今後の家づくりの基準としてぜひお役立てください。
住宅の構造は、主に『木造』『鉄骨』『RC』などに分けることができ、どの造りがいいのかは一概には言えず、それぞれの良さがあります。
最適な構造を選ぶためには、まずはそれぞれの特徴を把握し、何が違うのかを確認してみましょう。
木造住宅の特徴
木造住宅は、文字通り木を建材として建築された家。伝統の在来軸組工法、2×4(ツーバイフォー)など様々な工法で建てられています。
日本の木造建築の歴史は長く、お寺や神社が今のなお形を残していることを思えば、その丈夫さは歴然です。木造住宅ならではの良さ残し改良を重ねながら、現代のライフスタイルに合わせて変化し続けていると言ってもよいでしょう。木という素材は鉄骨などに比べると軽く、地盤に対しての不安度は他の構造よりも低いのが特徴です。
木造の場合、火災に対する不安があるかもしれません。しかし、実は木は燃えにくいという特徴があります。確かに木自体、木の表面は燃えやすい素材です。しかし表面が燃えるだけで炭化し、中心部まで燃えるのを防ぐ炭のような性質を持つため、火災後の家で柱だけが残っている映像を見たことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
木造住宅の価格、工期、耐用年数
木造住宅の坪単価は50~80万円程度が目安とされています。建築期間は半年〜1年程度かかります。鉄骨のように組み立てるだけでなく、木材を木から切り出し加工していくところから取り掛かるため、時間がかかります。
法定耐用年数は22年です。
鉄骨住宅の特徴
鉄骨住宅は、構造体に鉄骨を使い地震に備え強度が非常に高くなっているのが特徴です。構造計算をした上で建てられるため、耐震性に関しては安心できるのもポイントです。
木造住宅に比べ、自由な間取りにしたり開放感のある空間にしたりすることができるため、バリエーション豊かなデザインを楽しむことができます。
鉄骨住宅は軽量鉄骨と重量鉄骨の2種類とに分けられ、軽量鉄骨住宅は大量に生産するプレハブのような細い骨組み、重量鉄骨住宅は太い柱と大きな梁で組まれた骨組みが特徴です。
鉄骨住宅の価格、工期、耐用年数
鉄骨住宅の坪単価は60~90万円程度が目安とされています。建築期間は3か月~半年程度です。費用が上がる分、高層にも耐えられる丈夫な家を建てることができます。
なお法定耐用年数:軽量鉄骨19年、重量鉄骨が34年となります。
使用する木材の種類によって差はありますが、鉄骨構造や鉄筋コンクリート構造に比べて、木造住宅の材料費は比較的おさえることができます。木造住宅は構造体が軽いため、基礎工事にかかる手間を減らせること、木材自体に耐火効果があるため、柱に耐火処理や防錆処理を施す必要がないことなどが理由として挙げられます。
木造住宅は、基礎と土台、そして柱と梁で強度を保ち、屋根を支える構造になっています。これらの構造体がしっかりしていれば、比較的自由度の高いデザインにすることができます。
もちろん、住み続けた後のリフォームや、増築にも柔軟に対応することができます。
木材という素材の持つ力のひとつに、調湿効果があります。湿度が高い時は湿気を吸い取り、空気が乾燥している時は湿気を吐き出すという調湿効果によって、室内の湿度を調節することができます。
調湿効果によって、家の傷みに直結しやすい結露やカビの発生を比較的抑えることができます。
木の素材自体は丈夫なものですが、耐久性の部分ではどうしても鉄筋コンクリートや鉄骨構造には劣ってしまいます。防蟻点検や配管のチェック、外装のメンテナンスなど、長く住み続けられるように定期的なメンテナンスが必要です。
木造という虫が好む構造上、どうしてもシロアリなどの害虫被害が発生しやすくなります。定期的に防蟻点検や薬剤散布を実施し、構造がダメージを受けないように対策をすることが大切です。
鉄骨住宅などに比べると、やはり気になるのは強度です。耐震性能や耐久性は、トータルでみると他のどのつくりのものよりも低いといわれています。3階建てや高層住宅を検討されている方にはあまり向かない造りです。
鉄骨という耐震性が高く強度もある素材を使っているため、建物を支える柱や壁を減らすことができます。そのため、広々としたリビングや吹き抜け、高い天井をつくることができ、より開放感のある家を建てたい人にとっては満足度の高い構造です。
鉄骨住宅で火災保険に加入する場合、木造住宅よりも保険料をおさえることができます。構造計算をしてつくられているという安全性や、火災が起こりにくい構造になっているという点が評価されているためです。
木造住宅の場合、手がける職人のスキルや経験によって、住宅の完成度に違いが生まれてしまいます。しかし、鉄骨は工場で材料を造り現地で組み立てるため、品質に大きな差は生まれにくく一定の水準を保つことができます。
鉄骨住宅は建物自体の荷重があり、20~30トンにもなります。そのため、その荷重を支えられる丈夫な基礎やしっかりとした地盤が必要です。もし軟弱な地盤だった場合には、 適切な補強をし、地盤改良を行う必要があります。
鉄骨住宅構造が複雑なため、着工から完成までの工程や、コンクリート工事や断熱工事といったひとつひとつの工程にも時間がかかります。そのため、計画が変わると工事が長期化する可能性があります。
丈夫な構造な上、劣化のスピードも遅いため固定資産税が下がりにくいのがデメリットです。比較的建築コストもかかりますし、ランニングコストもかかるのは大きなネックかもしれません。しかし反面、資産価値は高いままで保有できるという魅力でもあります。
木造住宅と鉄骨住宅の違いや特徴、メリット・デメリットなど、それぞれの特徴がありますのでどちらが優れているとは一概には言えないものの、今、家づくりを考えるにあたっては、以下のような視点で検討するとよいでしょう。
木造住宅と鉄骨住宅には、それぞれメリット・デメリットがあります。このことを前提に考えると、いかに欠点を補うプランニングができるかが鍵になります。
例えば、コスト面では木造住宅に軍配が上がりますが、デザインの自由度の高さでは、鉄骨住宅の方に軍配が上がります。このように、何を重視するかによりどちらが優れているかが変わるため、その欠点を補う中でもより優先度が高い方を選ぶとよいでしょう。
家づくりを検討している土地の特徴を考慮した上で、どちらのつくりならより満足度の高い家を建てることができるのかを選択します。
その土地の大きさやサイズ、周辺環境によって、木造が良いのか鉄骨が良いのかは異なります。多面的な視点を持って、家づくりのプランニングをしていくことが重要です。
住宅に関しては、書籍やインターネット上の情報を集めるだけでなく、プロの意見もしっかりと取り入れましょう。建築コストや耐震性、デザイン性などマイホームに求めるものを実現できるのは木造なのか、鉄骨なのか、専門家の知恵を取り入れることで、イメージが明確になってくるはずです。
木造住宅と鉄骨住宅、それぞれにメリット、デメリットがあります。メリットを活かしながら、デメリットから生じるリスクに備えることで自分たちらしい家づくりをすることができます。
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2024/11/29
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