小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
「不動産経営は本当に儲かるのか?」と疑問に思っている人も多いのではないしょうか。不動産経営は、正しい始め方や注意点を理解した上で始めることで、成功させられる可能性が高いです。
また、不動産経営の年収相場を理解しておくことで、自分自身の中で成功のラインを作っておくことをおすすめします。
今回は、不動産経営が本当に儲かるのかどうかや正しい始め方、経営する際の注意点について解説します。この記事を参考にして不動産経営を始めれば、成功させられる可能性が高まります。
不動産経営とは、建物や土地などの不動産物件を管理・維持し、家賃や売上収入などによって利益を出す事業のことです。不動産経営を行うためには、不動産の取得から契約交渉、賃貸、維持管理、処分まで、不動産管理のあらゆる側面が必要です。
不動産経営は非常に複雑で専門性が高く、財務的な見識だけでなく、外交的なコミュニケーション能力やビジネススキルも必要となります。また、不動産管理業界は競争が激しく、規制も厳しいため、パワーを伴うと同時にリスクも伴います。
正しく不動産経営を進めるためには、不動産経営に伴う仕事内容を理解することが重要です。不動産経営は複雑な仕事であり、様々な技術的能力や知識だけでなく、入居者と良好な関係を維持するためのコミュニケーションスキルも求められます。
不動産経営の種類としては、下記4つが挙げられます。
不動産経営の種類によって、特徴や理解しておくべきポイントも異なります。不動産経営を通して、どんな目的を達成したいのかによっても適切な不動産は異なるため、始める前にしっかりと理解しておくことが大切です。
一棟マンションとは、マンション一棟を単位として管理する経営手法のことです。一棟マンションは、鉄筋または鉄骨鉄筋コンクリートで建てられており、複数の部屋を所有することになるため、空室リスクを分散できます。
また、一棟マンションを経営するためには、高額な初期費用が必要になることを理解しておきましょう。物件にもよりますが、数千万円から数億円必要になることもあります。
初期費用がかかる反面、他の不動産経営と比較しても安定的な収入を得やすいのが一棟マンションの大きなメリットです。
一棟アパートは、アパート一棟を単位として管理する経営手法のことです。鉄骨または木造で建てられていることが多く、マンションとは違い低層となっています。
一棟アパート経営でも、高額な初期費用は必要です。しかし、一棟マンションよりも初期費用は抑えられます。ただ、中古アパートの場合は利回りが低くなる可能性が高いため注意しましょう。
区分マンションとは、一棟ではなく部屋単位で所有している物件を貸す経営手法のことです。一棟マンションとは異なり、初期費用が安く手軽に始めやすいのが特徴です。
「不動産経営をしてみたいけど初めてだから初期費用を抑えたい」と考えている人は、検討してみましょう。ただ、収益性は一棟マンションの方が高いため、事前に理解しておくことが大切です。
一戸建て経営とは、所有している一軒家を貸し出す経営手法のことです。一戸建てでは、入居者が長期間住む可能性が高いため、安定的な収益を得やすくなります。
また、他の不動産経営方法よりもファミリー層に需要が高いです。中古物件だとしても、リフォームして貸し出すことで高い賃料を得られます。
中古で一戸建て経営をする際には、トラブルなく進めるためにも住宅診断士に依頼して、カビや構造的な損傷など建物に潜在的な問題がないかどうかを確認することが大切です。
不動産経営の収入の種類は、下記の2つです。
不動産経営は正しく進めることで、儲かる可能性が高いです。不動産経営で安定的な家賃収入を得るためにも、具体的な収入の種類について理解しておきましょう。
不動産経営に伴う収入のうち、最も一般的なものが家賃収入です。家賃収入とは、所有する不動産を貸し、貸している間に発生する家賃で収入を得ることです。家賃収入は「インカムゲイン」とも言われ、入居者が住んでいる期間常に発生する収入となります。
一回の収入金額は少ないですが、安定的に収入を得られるのがメリットです。
また、家賃収入は、物件の立地や物件の種類、家賃の額によって異なります。賃貸物件を最大限に活用するためには、適切な物件を見つけ、相場に沿った家賃を設定することが重要です。
家賃収入と別の不動産収入としては、売却益が挙げられます。売却益とは、所有する不動産を売却した時に発生する、利益のことです。売却益は「キャピタルゲイン」とも言われ、売却した時のみに発生する収入となります。
また、家賃収入とは異なり、継続的な収入にはなりませんが、一回の金額が大きいのが特徴です。
売却益は、家賃収入よりも時間や労力、資金を必要とするため、発生させるのが難しいと考える人もいます。リスクもあるため、売却益を得るためには事前に十分な調査を行うことが重要です。
不動産経営のメリットは、下記の3つです。
不動産経営を行うことのメリットは、安定的な収入を得られることだけではありません。税金面に関しても大きなメリットがあるため、不動産経営を考えている人は必ず確認しておきましょう。
不動産経営によって不労所得を得られることは、大きなメリットの1つです。不労所得とは、本業や事業活動以外の投資で得たお金のことです。
インカムゲインである家賃収入は、入居者が住み続ける限り安定的に収入が発生します。労働しなくても一定の収入が得られるため、余った時間で他の事業を始めれば、複数の収入源を持つことも可能です。
また、複数の異なる種類の不動産に投資することでリスクを分散することにも繋げられます。
不動産経営をするメリットは、高い節税効果を得られることです。不動産経営で節税対策ができる具体的な税金は、下記の5つです。
例えば、不動産経営によって家賃収入を得ていても、経費を差し引いた上で赤字だと課税評価額が下がります。課税評価額が下がれば、所得税や住民税の節税にも繋がります。
以上のように、不動産経営によって複数の節税が可能となるため、節税のために不動産経営をする人も多いです。
不動産経営のメリットとしては、少額の自己資金で始められることも挙げられます。なぜなら、物件を取得するために融資を受けることもできるからです。
不動産経営は、全て自己資金でなくても始められるため、一般的にイメージよりも始めるハードルが低くなっています。
そのため、資金が限られている人や多額の資金を投資するリスクを負いたくない人にとっても、不動産経営は魅力的な選択肢の1つです。
不動産経営の始め方としては、下記手順を参考にしてください。
不動産経営を成功させるためには、正しい始め方を理解した上で物件を選ぶ必要があります。調査や手続きなどの詳細を理解していないと、経営開始後に後悔する恐れがあるため注意しましょう。
不動産経営を始める前に、目的を明確にした上での情報収集が欠かせません。なぜなら、収入はどれくらいを希望するのかや安定的な収入が得たいのかなど、目的によって、取得する不動産などが変わるからです。
情報収集では、不動産経営に関連する法律の理解や現在の市況の調査、地域の不動産市場の動向の把握などが必要となります。目的の明確化と情報収集は、不動産経営で安定的な収入を得るためだけでなく、リスクを見極めるために必要不可欠です。
不動産経営の目的がはっきり決まっていない場合は、セミナーなどで知識を深めながら選ぶことも可能なため利用してみましょう。
不動産経営の目的が決まったら、不動産を取得するために不動産会社に相談し、市場動向や調査方法について理解を深めることが重要です。
ただ、1社だけに不動産会社への相談をするのはおすすめしません。サービス内容や物件の品質などを比較するため、複数の不動産会社へ相談することをおすすめします。
不動産会社に相談するだけではなく、実際に現地を見学し、立地や周辺環境などを自分の目で確認する必要があります。具体的には、都心部へのアクセスや水・土壌の汚染はないか、構造的なダメージはないかなどを確認しましょう。
また、主なターゲットも明確にしておくことで、現地調査時に確認すべきポイントを明確化しやすくなります。
物件を決め、見積もりをとった上で購入する意思が決まったら、申し込み手続きをしましょう。不動産を取得するためには、自治体に申請書を提出し、許可・免許を得なければいけません。
不動産取得時の申請書には、調査結果以外にも、事業に関連するすべての書類を提示することになります。
不動産経営を始める前には、利用可能なローンを銀行に相談することが重要です。不動産を取得する人の多くがローンを利用しています。ただ、ローンと言っても全て同じ内容ではなく、金利や支払いプランなど銀行によって内容が異なります。
また、ローン審査を受けるためには、損益予定表と資金繰り表が必要です。スムーズにローン審査を進めるためにも、早めに作成しておくことをおすすめします。
売買契約・金銭消費貸借契約を結ぶ
ローン審査に通過し購入する物件が決まったら、売買契約・金銭消費貸借契約を締結します。売買契約書には登記費用などの諸費用、金銭消費貸借契約書にはローンの内容や返済計画などが記載されています。
後でトラブルを起こさないためにも、契約内容に間違いがないかを必ず確認しておきましょう。
土地と建物を購入する場合には、契約締結と同じタイミングで、所有権移転登記を行わなければいけません。手続き完了のためには、物件の登記と必要書類の引渡しを行う必要があります。
物件の登記と必要書類の引渡しでは、全ての書類が正しく記入されていることの確認や物件の引渡しの受理、現地当局への登記完了の通知などが挙げられます。
全ての手続きが済んだら物件の引き渡しを行い、引き渡し後に入居者を募集することで不動産経営が始まるのが一般的です。
不動産経営者の年収相場は、経営する不動産の規模や複雑さ、地域の市況などによって異なります。一般的には、規模が大きく複雑な不動産ほど、高い収入率が得られる傾向にあります。
区分マンションと一棟マンションによって条件が異なるため、年収も異なります。下記表では、簡単な事例を用いて、不動産経営の年収例を作成してみました。
【一棟マンションの場合(表面利回り6%かつ自己資金1割の場合)】
内訳 | 金額 |
---|---|
物件価格 | 1億2,500万円 |
家賃収入 | 63万7,000円 |
借入金 | 1億1,250万円 |
諸経費 | 9万5,550円 |
ローン返済額 | 44万4,511円 |
金利 | 2.5% |
月額収支 | 9万6,939円 |
年間収支 | 116万円 |
【区分マンションの場合(表面利回り4%かつ自己資金3割の場合)】
内訳 | 金額 |
---|---|
物件価格 | 3,800万円 |
頭金 | 12万8,500円 |
借入金 | 2,660万円 |
諸経費 | 2万5,700円 |
ローン返済額 | 9万8,318円 |
金利 | 2.0% |
月額収支 | 4,482円 |
年間収支 | 5万円 |
引用:マンションオーナーの収入ってどれくらい?増やす6つの方法も解説|HOME4U
区分マンションは、一棟マンションのようにリスク分散ができません。1部屋しか取り扱っていない場合には、空室が発生した際に収入がなくなるため注意が必要です。
また、一棟マンションは初期費用が高いですが、利回りは良い傾向にあります。一棟マンションでは、借入金をできるだけ減らすことで収支を増やせることを理解しておきましょう。
不動産経営を始める前の注意点としては、下記3つが挙げられます。
不動産経営に関する注意点を理解していないと、正しく経営を進められません。どんなリスクがあるのかや不動産会社選びの重要性を理解していれば、不動産経営を成功させやすくなります。
不動産経営を始める前の注意点としては、不動産経営に潜むリスクを理解しておくことが挙げられます。不動産経営で想定されるリスクは、下記表の通りです。
リスクの種類 | リスクの詳細 |
---|---|
空室リスク | 空室になることにより家賃収入が減る |
賃料下落リスク | 空室リスクにより賃料が下落する |
借入金返済リスク | トラブルにより返済が大変になる |
修繕リスク | 定期的な修繕により経費が増える |
家賃滞納リスク | 家賃滞納により損失が増える |
オーバーローンリスク | 売却時にローン残債が売却額を上回る |
金利上昇リスク | ローン金利が上がることで返済が滞る |
不動産経営に伴うリスクを認識し、万が一発生した場合にどのように管理するかという計画を立てておくことが成功の秘訣です。特に、修繕や管理に関連するリスクや空室リスクはよくある内容のため、前もって計画を立てておきましょう。
適切な不動産会社を選ぶことは、不動産経営を行う上で重要な項目です。不動産会社によって、物件の種類やサポート内容が異なります。自分自身が希望する内容の不動産会社を選ばなければ、不動産経営にも悪影響がでてしまうかもしれません。
自分のニーズに合った会社を見つけるためには、様々な会社について調べることが大切です。例えば、取得したい不動産の特定の領域での経験を持っており、信頼できる会社を探しましょう。
また、初めて不動産経営を考えているなら、入居審査や法的アドバイス、財務管理など、包括的なサービスを提供している会社もおすすめです。
不動産経営で重要なこととしては、不動産管理の知識を身につけることが挙げられます。
例えば、不動産経営の始め方や賃貸に関する法律や規制などについてです。また、すべての取引について詳細な記録を残し、正確な財務記録を維持することの重要性を理解することも重要です。
不動産経営の知識を理解しておくことで、地域で必要な法律や規制に従っているかどうかを確認しながら経営を進められます。
知識習得の場としては、不動産経営のためのセミナーやウェビナーなどもあるため、積極的に利用してみましょう。
不動産経営で失敗しないために必要な措置を講じ、法的要件をすべて満たしていることを確認することが重要です。明確な計画や適切な調査、適切な予防措置をしていれば、不動産経営で成功する可能性は高いです。
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2024/11/29
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