小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
新築戸建てを検討する際、注文住宅と建売住宅のどちらを選ぶか迷う人は多いでしょう。注文住宅は土地選びから間取りの設計までが自由なので、自分の理想を詰め込んだマイホームを実現できることが大きなメリットです。
ただし、建築費用が高額になったり入居までの期間が長くなったりするなどのデメリットも存在します。
本記事では、注文住宅のメリットやデメリット、建売住宅との違いを詳しく解説します。また、注文住宅を考える際によくある質問内容についてもまとめました。
注文住宅を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
注文住宅を建てるメリットは次の5つです。
注文住宅は自由度が高いことが最大の魅力ですが、他にもチェックすべき項目があります。建売住宅との違いにも触れながら、順に解説していきます。
1つ目のメリットは土地選びから自由にできることです。
長く快適に暮らすには、建物だけではなく土地の選択も大切です。注文住宅では、自分が住みたい環境に合わせて土地を選びやすいことが魅力。たとえば、通学や通勤が便利なエリア、公園の近くなど理想の生活環境に合った土地を選ぶことができます。
さらに、子育てや教育に力を入れている自治体や災害の少ない地域など、自分にとって重要な条件に基づいて選ぶことも可能です。
一方、建売住宅では家と土地がセットで販売されるので、通常は主要駅の近くや治安の良い地域などで物件を探す必要があります。そのため、土地の選択肢が限られる傾向があります。
2つ目のメリットは建設業者を自由に選べることです。
建設業者には、全国規模のハウスメーカーから地域密着型の工務店、専門の設計事務所など、さまざまな種類が存在します。それぞれの業者には独自の得意分野や特徴があり、耐震性や断熱性能、気密性などの基準が異なる場合もあります。
注文住宅では、自分の好みのデザインを提供している業者や信頼できる業者を選べることが利点です。複数の見積もりを比較し、納得のいく選択をしましょう。
また、相性の良い担当者がいる会社を選ぶこともポイントです。相性が合う担当者であれば、些細な質問や心配ごとも気軽に相談できるため、家づくりを安心して進められるでしょう。
3つ目のメリットは、間取りを自由に決められることです。
建売住宅はすでに建物が完成しているので、自分たちの生活をその間取りに合わせる必要があります。対する注文住宅では、自分や家族のライフスタイルに合わせた間取りを実現できることが魅力です。
たとえば、一般的な建売住宅は、両親と子2人を想定した間取りが多い傾向にあります。しかし中には、子供がいない、または3人以上いる、二世帯で住みたいなど建売の間取りでは生活スタイルが合わないこともあるでしょう。注文住宅であれば家族の人数に応じた部屋数を配置することが可能です。
他にも、ゆっくりと読書ができる書斎や楽器を思う存分演奏できる防音室など、趣味を満喫できるスペースを設置することも可能。ペットと一緒に暮らすための設備や、リモートワークに適した環境も考慮できます。共働きの家庭であれば、家事の負担を減らせる家事動作に配慮した間取りも魅力的でしょう。
このように、自分たちの生活にフィットした間取りを採用することで、より満足度の高い住まいが手に入ります。注文住宅では間取りを自由に計画し、自分たちのこだわりを反映させられることが大きなメリットです。
間取りだけではなく、自分好みの内装や外装を取り入れられることもメリットです。
注文住宅では、自分たちの好みやライフスタイルに合わせて、カフェのようなおしゃれな家や、大きなウッドデッキのあるカリフォルニアのサーファーズハウスのような住まいを選ぶこともできます。また、和の雰囲気が漂う平屋にすることも可能です。
建材や壁紙、フローリングなど、使用する素材も自由に選択できるので、自分たちの憧れやこだわりを詰め込んだ世界に二つとない理想の住まいを作り上げることができます。
建築現場を見学できることも重要なポイントです。
注文住宅は、基礎工事から内装工事まで立ち会うことが可能です。現場を見ることで、どのような部材が使われているのか、どのような職人が働いているのかを確認でき安心感が得られます。特に基礎工事は、家の寿命や耐震性に大きく関わる部分です。家主が工事の進行を見ることで、職人たちも丁寧に仕事を行う可能性が高まります。また、見学中に疑問点があれば、現場のスタッフに直接質問できるのも利点です。
建築現場を見学できることは、大きなメリットとなります。
注文住宅は自由度が高く理想の住まいを実現しやすい一方、デメリットも存在します。
デメリットをしっかりと把握することで、ご自身に注文住宅が適しているのか見極めやすくなるでしょう。それぞれ順に解説します。
デメリットの1つ目は、完成するまでは仕上がりが確認できないことです。
すでに完成している建売住宅の場合、内覧ができ、外観から内装までしっかりと確認することができます。間取りだけではなく、収納量や動線、全体の雰囲気などもわかるので、住んでいる状態を具体的にイメージしやすいこともポイントです。
一方、注文住宅はゼロから計画するため、完成まで仕上がりがわかりません。平面の図面やパソコンのイメージで確認した際に良いと感じても、実際に仕上がった家は「イメージしていたデザインと違う」「導線がよくない」などのギャップを感じたり、住みにくさや後悔につながったりする可能性も否定できません。
仕上がりに後悔しないためには、ハウスメーカー選びが重要です。ショールームを用意していたり、同じような間取りの家に見学に行けたりなど、具体的な完成イメージを得られる会社を選ぶことが大切です。
注文住宅は建売住宅と比べて費用が高くなる傾向にあります。建売住宅は、すでにある程度決まっている規格の家を建てるため、間取りや内装などの打ち合わせが必要なく、工期も短く済むため、注文住宅より人件費を削減できます。さらに、建築資材をまとめて購入することでコストを削減できることも理由です。
対する注文住宅は、個々の要望に合わせて建築するため、建築費用が高くなります。設計士やインテリアコーディネーターと打ち合わせをするので、人件費も多くかかる傾向にあります。同じエリアの家だとしても、注文住宅は建売住宅よりも割高になることが一般的です。
ただし、注文住宅は、費用を調整することが可能。費用をできるだけ抑えるためには、ローコストに強い業者に相談する、こだわる部分とそうでない部分を見極めるなどの対策を実施しましょう。
最後のデメリットは、入居までの期間が長くなることです。
注文住宅は、契約してから入居まで最低でも半年かかります。さらに、土地探しや業者の比較、間取り決めなどを含めると1年以上かかることも多く、かなりの長期戦を覚悟する必要があります。一方、建売住宅の場合は、すでに家が完成しているのでローンの契約や支払いが済み次第、即入居できることがメリットです。
入居までの期間が長ければ、その分の家賃を払い続けなければなりません。仮に、1ヶ月10万円のアパートに住んでいる場合、1年で120万円の費用が発生することになります。また、「子供の学校の入学に合わせて4月までに引っ越したい」などといった予定のある場合は、調整が難しくなる可能性もあります。
注文住宅は入居までの期間が長いことがデメリットと言えるでしょう。
建売と注文住宅の大きな違いは、すでに出来上がっている建物を買うのか、まだできていない建物を自分好みに計画をして作り上げていくのかという点です。
注文住宅は、個々の顧客の要望に応じて設計、建設されるため、間取りやデザインを自由に選択できます。一方、建売住宅は、住宅会社が一定の規格で土地を購入し、同じ設計の住宅を複数同時に建てるので、自分の好みは反映されません。その他にも、費用や入居までの期間などの注目すべき違いがあります。
注文住宅と建売住宅のおもな違いをまとめると次の通りです。
土地選び | 注文住宅:自由に選べる 建売住宅:エリア優先で選ぶ |
建築手法 | 注文住宅:顧客の要望に応じて設計・建設 建売住宅:一定の設計で複数同時に建設 |
カスタマイズ度合い | 注文住宅:高い 建売住宅:低い |
費用 | 注文住宅:高め 建売住宅:低め |
入居までの期間 | 注文住宅:入居までに半年~1年ほど 建売住宅:すぐに入居可能 |
住宅の購入で後悔しないためには、注文住宅と建売住宅の違いをしっかりと把握することが重要です。両者を比較したうえで、ご自身に合うスタイルを選択しましょう。
最後に、注文住宅に関するよくある質問を5つ紹介します。
注文住宅を検討するうえでポイントとなる点なので、ぜひ確認してみてください。
注文住宅は建売住宅よりも費用が割高になるので、平均額が気になる人も多いでしょう。注文住宅の平均額を知ることで、注文住宅にかかる費用のイメージがつきやすくなります。
「2022年度フラット35利用者調査」によると、注文住宅を建てる際にかかった建設費(土地代は除く)の全国平均は3,717万円でした。また、あらかじめ決められた土地に注文住宅を建てる「土地付き注文住宅」の平均額は、4,694万円です。
地域別の平均額は次の通りです。
首都圏 | 注文住宅:4,016万円 土地付き注文住宅:5,406万円 |
近畿圏 | 注文住宅:3,990万円 土地付き注文住宅:4,874万円 |
東海圏 | 注文住宅:3,788万円 土地付き注文住宅:4,694万円 |
その他地域 | 注文住宅:3,502万円 土地付き注文住宅:4,151万円 |
注文住宅は建売のように金額が明確に決まっていません。そのため、予算をきちんと設定していないと、計画が進むにつれて予想以上に費用がかさんでしまう可能性があります。予算を決める際には、以下3つのステップを意識することが大切です。
注文住宅を建てるうえで、予算をしっかりと決めることはとても大切です。自己判断が難しい場合は、専門家に相談することをおすすめします。
注文住宅には、大まかにわけてセミオーダー住宅とフルオーダー住宅の2つのタイプがあります。
セミオーダー住宅は、一部の住宅設備をあらかじめ決められたいくつかのプランから選んで建築する方法です。打ち合わせが少なく、工期が短いというメリットがあります。ただし、設計の自由度が制限される点はデメリットと言えます。
一方のフルオーダー住宅は、施主が間取りから外観、設備、壁紙の色などすべてを自由に決める方法です。自由度が高く、こだわりや好みを存分に追及できる反面、打ち合わせに時間がかかったり、費用がかさんだりする点には注意が必要です。
建築条件付きの土地とは、指定された施工会社に依頼して土地を建てる必要のある土地のことを言います。通常、建築条件付き土地の購入契約では、一定期間内に建築計画を立て、指定された施工会社との契約を結ぶ必要があります。また、建物のプランがある程度決まっている場合も少なくありません。
建築条件付き土地を購入するメリットは、建築に関する一定の条件が課されることで、割安で建築できる可能性があることです。また、土地と建物を同時に購入するので、手続きがスムーズになることも利点でしょう。
しかし、施工会社を自由に選べないことや、契約から入居までの期間が決められていることなどは考慮する必要があります。
最後に注文住宅に向いている人の特徴をまとめて紹介します。
家づくりに時間をかけ、明確な要望やライフスタイルを叶えたい人には注文住宅が適していると言えます。
注文住宅はゼロから計画していくので、土地選びから部材、間取り、設備までをすべて自分好みにカスタマイズできることが大きなメリットです。ただし、費用が割高になったり、工期が長かったりなどのデメリットも存在します。
注文住宅を建てる際は、実績が豊富な施工会社に相談することが重要です。M-LINEでは、注文住宅のご相談もお気軽にできます。
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2024/11/29
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