小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
注文住宅は土地選びから間取りやデザイン決めまで、自分の好みを反映できることがメリットです。しかし、決めなければならないことが多く、めんどくさいと感じる場面も少なくありません。
中には「手間がかかりそう」「最後までやり通せるのか心配」と注文住宅を建てることに不安を感じている方もいるでしょう。
注文住宅を建てるうえでめんどくさいと感じた際は、その原因を知り、解決策を講じることが大切です。
本記事では、注文住宅を建てる際にめんどくさいと感じる8つの瞬間と、その対処法として効果的な5つの解決策を具体的に紹介します。
注文住宅を検討している方や、実際に注文住宅がめんどくさいと感じている方はぜひ参考にしてみてください。
注文住宅で挫折しないためには、めんどくさいと感じる瞬間を事前に把握しておくことが大切です。注文住宅がめんどくさいと感じる瞬間には、主に以下の8つが挙げられます。
順に詳しく解説します。
注文住宅を建てるうえで最初に取りかかることの1つは、土地探しです。土地を探す作業は想像以上に時間と労力がかかるので、「めんどくさい」と感じる方もいるでしょう。
土地探しにかかる期間の目安は、4ヶ月から1年ほどです。土地は失敗しても返却ができないため、ある程度の時間をかけて探すことは避けられません。
ただし、条件を固めすぎていたり、優先順位や期間を決めずに闇くもに探していたりする場合は、1年以上経っても気に入った土地が見つからないと言う事態に陥ることも少なくありません。そうなれば、「理想の土地はもう見つからないのではないか」と注文住宅を建てることへのモチベーションが下がってしまう要因になります。
また、土地を探す際には、価格だけでなく、地盤改良工事や配管工事などについても考える必要があることもめんどうだと感じる大きな理由です。
建築会社選びも悩むポイントでしょう。
建築会社と一口にいっても、全国規模のハウスメーカーから地元に密着した工務店、専門の建築設計事務所など、数多くの選択肢があります。それぞれの業者には独自の得意分野や特徴があるうえ、耐震性や断熱性能、気密性などの基準も異なる場合もあります。そのため、建築会社探しに難航することは少なくありません。
理想の建築会社を見つけるには、多くの資料を取り寄せたりインターネットで評判を調べたりなどの作業が必要です。
建築会.社を決めるのに時間がかかることも、注文住宅を建てる際にめんどくさいと感じる理由の一つです。
注文住宅を建てる際には、外装のデザインや仕様に関しても決めなければならないことが多くあります。
たとえば、注文住宅の外壁に使える素材はたくさんあり、幅広い選択肢の中から一つを選ばなければなりません。デザインにおいても、窓の大きさや形から玄関ドアのデザイン、屋根の形状まで、外装デザインを構成する要素は多くあります。
自分の好みがはっきりとしていれば楽しみながら取り組めますが、デザインの方向性が決まっていない場合は、決めるのをめんどうに感じる可能性があります。
内装のデザインがなかなか決められない際も、注文住宅を大変に感じる瞬間です。内装は家全体の印象や住み心地を決める要素なので、深く悩んでしまう方が多くいます。
内装には、主に以下の要素が含まれます。
内装がなかなか決まらなければ、注文住宅を建てることをストレスに感じてしまうでしょう。
外装や内装だけではなく、お風呂やシステムキッチンなどの設備を決めることも大変な作業です。
たとえば、お風呂1つとっても、メーカー選びから湯船の形や深さ、シャワーヘッドの種類、床や壁の素材や色、浴室乾燥機や暖房の有無などたくさんの要素を考慮する必要があります。
決めなければならない主な設備は次の通りです。
設備の選定作業が多すぎることも、注文住宅を建てる際に大変だと感じる原因のひとつです。
理想やこだわりを詰め込みすぎると、予算が大幅にオーバーしてしまうことがあります。そうなれば、予算を抑えるために何を削減すべきか再考する必要があるでしょう。
こだわりを持って注文住宅を計画していた場合、理想を諦めなければならず挫折感を感じる原因になります。また、これまでにかけた時間や労力が無駄になってしまうこともストレスになります。
予算内に抑えるために再検討する作業は、めんどくさいと感じたり、挫折感を味わう原因になるかもしれません。
家族内で意見が対立してしまうと、注文住宅がめんどくさいと感じるでしょう。
夫婦で必要としている設備が異なる、二世帯住宅を建てる際に世代間の意見が合わないなどがよくある例です。
意見が対立すれば話し合いがスムーズに進まず、注文宅の計画が長引く可能性も否定できません。
注文住宅は建売住宅と比べて打ち合わせの回数が多いことが特徴です。
ショールーム見学から始まり、間取りや外装、内装のデザイン、予算計画まで何度も打ち合わせを重ねる必要があります。
建築会社との打ち合わせの平均回数は、全体を通して10〜15回ほどが目安です。打ち合わせに必要な期間は3〜6ヶ月ほどで、長い場合は1〜2年かかることもあります。また、1回の打ち合わせ時間は2〜3時間ほどかかります。
打ち合わせの多さにめんどうだと感じてしまう方もいるでしょう。
注文住宅がめんどうだと思った際には、以下5つの対策を実施しましょう。
それぞれ解説していきます。
1つ目の解決方法は、工務店やハウスメーカーに相談することです。
特に土地探しを自分たちだけで行なっている場合は、土地探しの段階から工務店やハウスメーカーに相談してみるとよいでしょう。
なぜなら、工務店やハウスメーカーは、一般のポータルサイトには載っていない非公開物件を所有している可能性があるからです。条件の良い土地は、一般サイトに掲載される前に買い手がつくことも珍しくありません。
いくらインターネットで探しても満足のいく土地が見つからない場合は、工務店やハウスメーカーに直接相談することが効果的です。建築会社に、「1,400万円程度で土地を探してください」などと依頼することで、大幅な予算オーバーを防ぎつつ、条件に合った土地を見つけやすくなります。
また土地探し以外でも、工務店やハウスメーカーの担当者と話すことで、決めなければならないことが明確になり、計画をスムーズに進めやすくなります。
困ったことや不安なことが出てきたら自分たちだけで悩まず、その都度、担当者に相談することが大切です。
ハウスメーカー選びや家のデザイン選びなどで悩んでいる場合は、モデルハウスや完成見学会場に参加するのが良い解決策です。
完成見学会場とは、新築の住宅がお客様に引き渡される前に実際に見学できるイベントです。 住宅展示場やモデルハウスと異なり、実際のお客様の家を見学できるので、自分の家を具体的にイメージしやすいのが特徴です。
また、実際に完成した家の中を歩くことで、手触りや色味など写真だけでは伝わらない部分もよくわかります。加えて、完成した家を間近に見ることで、注文住宅を建てることへのモチベーションが向上することも良いポイントです。
気になる工務店やハウスメーカーを2、3社ピックアップして見学会に積極的に参加してみましょう。
注文住宅のデザインや間取り決めをスムーズに進めるためには、本やインターネットを活用して、たくさんの情報を集め、自分の好みのイメージを固めることがポイントです。
自分の好みがわからなければ、何を選んだら良いのか決められずストレスの原因になります。まずは、自分の好みをしっかりと把握することから始めましょう。
本やインターネットで好きなデザインがあれば、写真を撮っておくことをおすすめします。なぜなら、見返すことで自分の好きなスタイルやイメージを客観的に把握できるからです。また、保存した写真を担当者に見せれば、理想を伝えやすくなるメリットもあります。
自分の好みがわかるとデザインを決めやすくなり、注文住宅の計画を楽しく進められるでしょう。
優先順位を明確に決めておくことも大切なポイントです。なぜなら、自分たちのこだわりを詰め込みすぎてしまうと、注文住宅の予算が大幅にオーバーする原因になるからです。
優先順位が決まっていれば、予算オーバーした場合でも、どこを重視してどこを諦めるかを判断しやすくなることも利点です。
また、優先順位の高い項目は自分たちで決め、そうでない部分は担当者にある程度任せてしまうことで、注文住宅の計画をスムーズに進めることも可能です。
予算と期限を明確にすることも効果的です。
注文住宅は建売のように金額が明確に決まっていません。そのため、予算をきちんと設定していないと、計画が進むにつれて予想以上に費用がかさんでしまう可能性があります。
明確な予算を決めるコツは、土地と家づくりの予算をそれぞれ具体的に決めることです。一般的には、「建設費:土地取得費」の割合は「7:3」または「6:4」が標準です。
また、期限を明確に決めることも欠かせません。「良い土地が見つかったら購入しよう」「時間ができたときに考えよう」と先延ばしにしていると、注文住宅への熱量が下がり、計画が長期間、停滞してしまう可能性があります。
予算や期限を明確にし計画的に行動することで、注文住宅の計画がスムーズに進むでしょう。
注文住宅がめんどくさく感じた際は、建売住宅を検討することも一つの方法です。注文住宅と建売の主な違いは以下の3つです。
順に解説します。
注文住宅と建売住宅の大きな違いは、建売住宅はすでに完成した建物を実際に見て検討できる点です。
建売住宅は完成しているため、内覧が可能です。外観から内装までしっかりと確認でき、間取りや収納量、動線、全体の雰囲気なども具体的にわかります。住んでいる状態をイメージしやすいのがメリットです。
一方、注文住宅はゼロから計画するため、完成まで仕上がりがわかりません。平面の図面やパソコンのイメージで確認できるものの、実際の仕上がりが明確にわからないため、「デザインはイメージ通りにいくか」「もっと良い動線があるのではないか」など、完成まで不安が残ります。
注文住宅の計画段階で、「実際に見ないと決められない」と感じたら、建売住宅も視野に入れることをおすすめします。
建売住宅は注文住宅と比べて入居までの期間が短く、引っ越し計画を立てやすいことがメリットです。
注文住宅は、契約してから入居まで最低でも半年以上かかります。土地探しや業者の比較、間取り決めなども含めると1年以上かかることも多く、かなりの長期戦を覚悟する必要があります。これに対して、建売住宅はすでに家が完成しているため、ローンの契約や支払いが済めばすぐに入居できます。
「子供の入学に合わせて4月までに引っ越したい」「次のアパートの更新時期までに引っ越したい」などといった予定のある場合でも、建売住宅は計画しやすいことが利点です。
建売住宅は注文住宅と比べて費用が抑えられる傾向があります。理由は、建売住宅はすでにある程度決まった規格の家を建てるため、間取りや内装などの打ち合わせが必要なく工期も短く済むため、注文住宅より人件費を削減できるからです。さらに、建築資材をまとめて購入することでコストを削減できることも費用を抑えられる理由です。
一方、注文住宅は個々の要望に合わせて建築するため、建築費用が割高になります。設計士やインテリアコーディネーターとの打ち合わせも必要なので、人件費も多くかかります。同じエリアの家でも、建売住宅よりも注文住宅の方が一般的に割高になります。
また、建売住宅葉注文住宅と違い金額が明確なので、予算に関する悩みが少なくて済む点もメリットでしょう。
注文住宅は決めることが多く、めんどくさいと感じる瞬間も一度や二度ではないでしょう。しかし、自分たちの理想が形になり、世界に二つとない家を建てられることは注文住宅の大きな醍醐味です。
注文住宅を計画する際は、休憩も取り入れて楽しみながら計画を進めてください。
また、注文住宅を建てる際は、実績が豊富な施工会社に相談することが重要です。
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2024/11/29
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