小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
家を建てるのは、一生に一度の大イベントです。
建てた後で「なんだか住みづらい」「あんなふうにしておけばよかった」と後悔しないためには、家を建て始める前に家づくりのアイディアをたくさん集めることが大切です。
本記事では、注文住宅を建てた際に、多くの方がやって良かったと感じているアイディアを多数紹介します。
これから注文住宅を建てようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
住みやすい家を考えるうえで、間取りについてよく検討することは必須です。注文住宅の間取りでやってよかった4つの項目は、以下が挙げられます。
各ポイントについて、順に解説していきます。
1つ目のポイントは家事動線をよくしたことです。
家事導線とは、家の中で家事をするときの移動の経路を線で表したものです。家事導線のよい家は、家事をスムーズに進めることができ、家事の負担を大幅に軽減できます。
家事導線には、主に以下の6つの種類があります。
洗濯導線 | 洗濯、干す、たたむ、収納する流れをスムーズにする |
掃除導線 | 掃除用具を取り出し、掃除をし、ゴミを捨てる流れをスムーズにする |
買い物導線 | 玄関から買ったものを収納するまでの流れをスムーズにする |
ゴミ出し導線 | 各部屋のゴミを集めて収集場所に出すまでの流れをスムーズにする |
料理導線 | 調理、配膳、片付けの流れをスムーズにする |
回遊動線 | 家の中に行き止まりがなく、移動をスムーズにする |
これらの導線を確保することはもちろんのこと、ご自身の家事スタイルに合わせて、どうすればよりスムーズな動線になるのかを考え、間取りに反映させることが大切です。
例えば、料理中に洗濯をしたい場合、キッチンの横にランドリールームを設けることで最短距離で行き来ができ、家事を同時に進めやすくなります。もしキッチンとランドリーが離れていれば、移動時間が増えて家事の効率が下がるでしょう。
このように、一気に取り掛かりたい家事の作業場所を近づけることで作業時間が短縮され、効率的に家事を行えるのは大きなメリットです。
間取りが完成したら、図面を見ながら実際の生活をシミュレーションしてみることで、家事動線がよいか判断しやすくなります。
2つ目のポイントは、玄関に十分な収納スペースを確保したことが挙げられます。
玄関が狭かったり収納スペースが不足していたりすると、子供の遊具や靴などが散乱し、乱雑な印象になってしまいます。
子供の遊具やベビーカー、雨具、車用品、ガーデニング用具、アウトドア用品、ペット用品など、玄関に収納しておきたいものは意外とたくさんあります。また、玄関に十分な収納スペースを備えることで、外で使った汚れたものを室内に持ち込む必要がなくなり、片付けも簡単にできるのでとても便利です。
さらに、玄関は来客を迎えることも多いため、整理整頓されていないとストレスを感じる可能性があります。
十分なスペースの玄関収納を設置する際には、何をどれくらい収納するのかを具体的に計画することがコツです。
玄関周りをすっきりと清潔に保ちたい方には、玄関に十分な収納スペースを設けることをおすすめします。
ランドリールームは近年人気が高まっている間取りの一つです。
ランドリールームとは、洗濯や衣類の手入れをするための専用スペースです。ここでは、洗濯から干す、たたむ、アイロンがけ、収納までの一連の作業を一つの部屋で行うことができます。洗濯機、室内物干し、洗濯用品の収納、アイロン台、洗濯物をたたむためのカウンターなど、洗濯に必要な設備をまとめて揃えておきます。
ランドリースペースを設けることで、洗濯作業の負担が大幅に軽減されることがメリットです。
また、天気の良し悪しに関係なく洗濯物を干せるのもポイントでしょう。花粉や黄砂が気になるときでも、ランドリースペースがあれば、外気の汚れから衣類を守ることができるので安心です。
特に家族が多い場合、毎日たくさんの洗濯物が発生します。天候に左右されずにいつでも洗濯ができるのは魅力的です。また、共働きで日中洗濯物を取り込めない場合でも、ランドリースペースであれば干しっぱなしでいられる点も高い評価を得ている理由です。
中庭を造ったことで、外の空間を楽しみながらプライバシーを確保できると多くの方が満足しています。
中庭とは、周囲を壁やフェンスで囲った庭のことです。外からの視線を気にせずに生活できるため、お茶タイムやバーベキューなどを楽しめます。また、洗濯物を干す、庭でプールをするなど様々な場面で活用できることが魅力です。
人通りの多い場所でも、外からの視線を気にせずにプライバシーを保って過ごせることは大きな利点です。
さらに、カーテンや窓を開けて中庭をアウトドアリビングとして使えば、開放的で広々とした空間を楽しむことができます。
また、中庭はプライバシーを守るだけでなく、住宅の採光や通気性の確保にも役立ちます。二世帯住宅の場合は、中庭があることで生活空間をわけやすくなることも利点です。
プライバシーを守りつつ、明るく開放的な暮らしを実現したい方は、中庭を検討することも一つの方法です。
注文住宅でよかった建材や部材に関する4つのポイントは次の通りです。
建材とは、建物の構造に使われる資材や材料のことです。部材とは、建築における構造や仕上げに使用される部品や材料のことを指します。
注文住宅について考える際、デザインや間取りに注目しがちですが、建材や部材は住み心地を左右する大切な要素。忘れずにチェックすることが重要です。
防音対策を取り入れたこともよかった点としてよく挙げられます。
住宅に関するよくあるトラブルには、騒音が挙げられます。快適な生活を送るためには、しっかりとした防音対策を施すことが有効です。
特に、学校や公園、隣家との距離が近い場所に家を建てる場合、近隣の子供の騒ぎ声や泣き声などがストレスになることがあります。鉄道や道路の近くに住む場合も、昼夜関係なく続く騒音に悩まされる可能性があります。また、自分たちの生活音が外に漏れることで、周囲の人に迷惑をかける可能性も否定できません。
このように、防音性の低い住宅では騒音のトラブルに巻き込まれる可能性があります。
防音対策を後から取り入れようとすると、手間も費用もかかるため、初めから施しておくことが重要です。
注文住宅の防音対策には、主に以下の2種類があります。
遮音対策 | 自分たちの生活音を外に漏らさない対策 |
防音対策 | 外部の騒音を遮断する対策 |
具体的な対策方法は、床や壁を二重構造にする、遮音シートを埋め込む、外壁に防音塗料を使用するなどが一般的です。
近隣トラブルを避けて穏やかな環境で生活するためには、防音対策にも注目するとよいでしょう。
床に無垢材を使用することで、木のぬくもりを感じながら生活することができます。
無垢材とは、自然の木から切り出した一枚板のことをいいます。木の木目や色の違いを楽しめ、ぬくもりと心地よさを与えてくれます。また、無垢材は接着剤を使わずに加工されているため、アレルギーのリスクが少なく、体に優しいことも魅力です。さらに、日本の気候にも適しており、湿気が多いときは湿気を吸収し、乾燥しているときは湿気を放出します。
無垢材には様々な種類があり、選ぶ木材によって家の印象が変わります。代表的な無垢材には、以下が挙げられます。
パイン材 | 柔らかい素材。白っぽく明るい色味でナチュラルな雰囲気 |
オーク材 | 耐水性と耐久性に優れた素材。はっきりとした美しい木目 |
ウォルナット材 | 固い素材。ダークな色味で経年するほどに味わいが増す |
ヒノキ材 | 耐久性に優れている。天然アロマ効果がある |
スギ材 | 柔らかい素材。爽やかな印象で香りが強い |
床に無垢材を使うと、足触りが心地よく真冬でも冷たく感じません。数年が経っても木のぬくもりや香りが残り、心地よい空間を演出してくれます。
ナチュラルで温かな雰囲気の家を建てたい方は、床に無垢材を使用することをおすすめします。
汚れに強い壁紙を選ぶことで、家の劣化を防いだり掃除の手間を省いたりできます。
壁紙には、強度や排水性、伸縮性など様々なオプションがあります。標準仕様ではないため追加費用はかかりますが、後で壁紙を張り替える手間や費用を考えると、費用対効果が十分にあるといえるでしょう。
汚れやすい部屋の壁紙を強度の強いものにしておくと安心です。例えば、水回りは汚れが目立ちやすい場所です。洗面台横の壁紙は水がはね劣化しやすいので、強度の高い壁紙を選ぶとよいでしょう。また、トイレには汚れを防ぐ機能や消臭効果のある壁紙を選ぶこともできます。
掃除の手間を省き清潔な空間で生活するためには、汚れに強い壁紙を選択すると良いでしょう。
汚れにくい外壁を選ぶと、年月が経ってもきれいな状態を維持できます。
外壁の汚れの目立ち具合に大きく影響する要素に、外壁の色が挙げられます。
一般的に、汚れが最も目立ちにくい色はグレーです。グレーは苔やカビ、排気ガスのほこりなど、さまざまな汚れが比較的目立ちにくいことが特徴です。他にも、ベージュやブラウンなども汚れが目立ちにくい色として人気があります。一方で、白や黒は汚れが目立ちやすい色とされています。青や赤などの原色は紫外線による色あせが目立ちやすいことが難点です。
また、表面がフラットで凸凹が少ない外壁も汚れにくくおすすめです。
さらに、一部の外壁にはセルフクリーニング機能が備わっています。これは、外壁の塗料に含まれている成分が紫外線に反応することで汚れを分解し、雨水と一緒に汚れを洗い流す機能です。菌の繁殖も防止してくれるので、カビの発生を防ぐ効果も期待できます。
汚れにくい外壁を選ぶことで、年月がたってもきれいな状態を維持しやすく、メンテナンスの手間を減らせることは嬉しいポイントです。
外装や内装は、注文住宅を計画する際に最も重要視する部分でしょう。外装や内装において、やってよかったことには以下の項目が挙げられます。
それぞれ順に解説していきます。
大きな窓を設置したことで、明るく快適な居住空間を実現できたとの声があります。
平面図ではよいと感じても、実際に住み始めてから「思ったよりリビングが暗かった」と感じることは意外と多いもの。平面図では部屋の明るさがわかりづらいことが理由です。
内装を考える際には、方角や太陽の角度なども考慮し、長時間光が入る位置に大きな窓を設置することが重要です。また、日中は仕事に出ているため朝にリビングで過ごす時間が多い場合、朝陽が入らなければ明るいリビングで過ごせない原因になります。
日の入り具合を素人が判断するのは難しいため、家で過ごす時間帯や理想の明るさなどを建築会社に具体的に相談することが大切です。
テレビや暖房器具、携帯電話の充電、掃除機など多くのものがコンセントを必要とします。そのため、コンセントが不足していると不便さにつながるでしょう。
延長コードやタコ足を使うことも可能ですが、見た目が乱雑になることがデメリットです。また、後からコンセントを増設する場合は、追加費用がかかったり、配線の関係で希望通りの場所に配置できなかったりする可能性もあります。
設計段階で、どこで何を充電するのかを計画し、多めにコンセントを設置しておくことが失敗しないコツです。
間接照明を設置することもおすすめです。
間接照明とは、建築時に壁や天井に照明器具が見えないように設置する照明のことです。持ちのよいLEDを使用するため、メンテナンスが不要なのもメリットの一つです。
寝室やリビングの一角などに設置すると落ち着いたリラックス空間を実現できます。
間接照明はライトの明るさを調光できるものがおすすめです。自分好みの明るさに調整できるうえ、見た目も一気におしゃれになります。
また、間接照明を活用することで、部屋の奥行きや広がりを演出してくれることも良い点です。
最後のポイントは、外装や内装にこだわりをたくさん詰め込んだことです。
注文住宅を建てる際、自分のこだわりをたくさん盛り込むことで理想の家が完成し、注文住宅にして良かったと感じられるでしょう。
自分のこだわりを詰め込むことは、建売では実現できない注文住宅ならではのポイント。自分の好みやライフスタイルに合った家であれば、「建てて良かった」「注文住宅にして正解だった」と満足できるでしょう。
この記事では、注文住宅でやってよかったことを多数紹介しました。
注文住宅で後悔しないためには様々なアイディアを検討し自分にとって重要な項目を家造りに反映させることが大切。ぜひここで紹介したアイディアを参考にしてみてください。
また、注文住宅を建てる際は実績が豊富な施工会社に相談することも重要です。M-LINEでは、注文住宅のご相談もお気軽にできます。
豊富な経験と実績を持つ専門スタッフがお客さまのご要望を伺った上で、最適な提案をさせていただきます。ぜひお気軽にご相談ください。
2024/11/29
2024/11/29
2024/11/29