小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
アパート経営を始めようか検討しているけれど「アパート経営はするな」「アパート経営はやめたほうがいい」という声もあり、心配になっている方も多いのではないでしょうか。
アパート経営は、成功している事例も多いですが、失敗した事例も少なくありません。失敗する理由としては、アパート経営の知識がなかったり、リスク回避ができていなかったりするケースが多いため、事前に失敗例を把握し回避策について理解しておくことが大切です。
そこで、本記事ではアパート経営で失敗する理由と回避策について解説します。アパート経営についてリアルな視点で綴られているブログも紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
よくあるアパート経営で失敗する理由は、以下の通りです。
上記のようにアパート経営に失敗する理由はさまざまで、アパート経営を成功させるためには、失敗するケースを理解して回避策を実行することが重要なポイントになります。
ここからは、アパート経営で失敗する理由と回避策について解説するので参考にしてみてください。
アパート経営は、立地がアパート経営に向いていないと失敗します。なぜなら、立地が悪いと家賃設定の金額も低くなり、空室率が高くなる可能性があるからです。
需要がない地域では、アパート経営を始めても入居者を確保することができません。相続した土地の節税目的で立地のニーズを詳しく調査せずにアパート経営を始めてしまう場合がありますが、失敗するケースが多くなるので注意しましょう。
立地選びで失敗しないための回避策は、立地の周辺環境についての需要を調査することです。具体的には、人口移動率を指標にして、アパートへの需要があるのかを調べたり、地域の特色や世帯状況を調べたりしてターゲット層に合った物件でアパート経営を始める必要があります。
また、駅・バス停・スーパー・コンビニが近くにあるかなどもチェックしましょう。また、駅や大学が近い場合はワンルームや1Kといった間取りでもよいですが、周辺に小学校・幼稚園・病院などがそろっている場合ファミリー世帯の間取りの需要が考えられます。
このようにその土地ではどのような人が住むのか、どんな家に住みたいのかを客観的に考えてみましょう。
アパートの建築費を抑えすぎた失敗例もあります。理由としては、アパートの建築費用を安くしようとした結果、入居者が求めるニーズを満たすことができず、空室率が高くなってしまうためです。
例えば、設備のスペックを落としたり、管理やメンテナンスを怠ったりすれば、入居者が住みにくくなってしまいます。
アパート経営でニーズを満たすための回避策は、市場調査をしてニーズに合ったアパートを建てることが重要です。アパート経営を行いたい地域のハウスメーカーや不動産会社に相談し、市場調査に合った間取り、設備、デザイン、性能などを慎重に検討しましょう。
アパート経営は、アパートの管理がうまくできず失敗するケースもあります。「共有部分が汚い」「管理会社の対応が遅い」など入居者に不便なことが多いと、入居者が定着しない場合があるためです。
アパート経営の管理の失敗への回避策は、迅速な対応や管理をしてくれる管理会社を見極めることが大切です。とくに清掃の頻度・クレーム対応・サポート内容については、複数の管理会社を比較して決めるとよいでしょう。
また、共有部分を綺麗に保つためには、できるだけマナー違反をする入居者を受け付けないということも重要です。入居審査をしっかり行い、年収や保証人など厳しく審査してくれるかどうかも確認しましょう。
アパート経営では、アパートローンの借入額が多すぎて失敗する例も少なくありません。なぜなら、毎月アパートローンの返済額が大きく、キャッシュフローが悪化してしまう場合があるからです。
アパートのローンは、一般的に建物の耐用年数以内で返済期間を組みます。そのため、木造住宅の場合は22年、鉄骨・鉄筋コンクリートなら47年とアパートの構造によって大きく変わります。
この耐用年数期間ないであれば、減価償却費を費用として計上できますが、耐用年数を超えると高い税金を支払うリスクもあるのです。
アパート経営では、アパートローンの返済額だけでなく、固定資産税・管理費・保険料などが継続的に発生します。さらに、空室のリスクもあるため、家賃収入が回収できない期間もあります。
アパート経営の借入金が多すぎるといった失敗を回避するためには、借入金は費用の7割ほどと残りは自己資金で補うのがよいとされています。ギリギリの収益で運営するのではなく、空室リスクや費用の支払いにも備えてキャッシュフローをよくすることがアパート経営成功のコツです。
アパート経営では、メンテナンスを行って失敗するケースもあります。理由として、アパートの内装や外装などのメンテナンスを怠ったため、建物が劣化し、家賃を下げざるおえなくなったり、アパートの空室率が高くなったりするからです。
空室が増えたり、家賃が下がったりすればキャッシュフローが悪化するため、修繕に充てる費用を支払うのも厳しくなるでしょう。メンテナンスを先延ばしにするほど、修繕費が割高になってしまうケースもあります。
アパートのメンテナンスの失敗を防ぐためには、定期的な点検を行い、早めにメンテナンスを行うことが大切です。アパートの専門業者に定期的に点検を行ってもらえば、早期に修繕箇所を把握し、後々大きな修繕費を支払うリスクも低くなるでしょう。
また、アパートのメンテナンス費用も予算にあらかじめ入れておくことが大切です。アパートの入居者を集めるために非常に大切なことなので、資金計画にしっかり入れておきましょう。
アパート経営を節税目的で始めると失敗するケースも少なくありません。なぜなら、節税効果ばかりに目が向けられていて、アパート経営に適していない物件でないと入居者を確保できないからです。
相続税を抑えられたとしても、入居者のニーズを満たせていない場合は空室率が上がり、家賃収入を得られない失敗例もあります。
アパート経営で節税効果を出すためには、アパートに向いている土地なのかを市場調査し、アパート経営にノウハウのある不動産会社を選ぶことが大切です。節税対策にも精通した不動産会社を選ぶことで、さまざまなリスクを回避できるでしょう。
サブリース契約のアパート経営は、失敗するケースも多いので注意しましょう。サブリース契約とは、借主が不動産会社に物件を貸し、不動産会社が又貸しする管理形態のことです。
アパートをまるごと貸し出すため、アパート経営の管理の負担や、空室率に左右されず一定の収入が得られるメリットがありますが、利回りが悪くなるデメリットがあります。理由としては、サブリース契約の家賃保証額は収入の8割から9割程度となっており、空室が続く場合や建物が劣化した場合、家賃の見直しなどが行われることがあるからです。
サブリース契約でのアパート経営の失敗を防ぐためには、サブリースについて理解を深めることが大切です。家賃保証率が妥当なのか、他に負担する費用があるのか、入居率が悪いといったトラブルが起きた際の対応など、契約前に確認しておきましょう。
自己資金なしのアパート経営は、失敗するリスクが高くなります。理由としては、金融機関の借入金額が大きくなるため、キャッシュフローが悪くなるからです。
前述でも解説した通り、アパート経営ではアパートローンの返済だけでなく、リフォームや修繕の費用、管理費用、税金、固定資産税などの支払いが発生します。さらに、空室が続けばそれに応じて家賃収入もなくなるため、一定の資金も用意しなくてはなりません。
アパート経営を成功させるためには、建築費用の1から3割程度の自己資金を用意するとよいでしょう。返済額の負担が少なくなれば、修繕費や空室時の費用の補填など、リスクに備えられます。
アパート経営では、入居者トラブルに対応できず失敗したケースもあります。入居者のトラブルでは、家賃を滞納するケースが挙げられますが、家賃収入が得られない上、入居者がいる限り新しく入居者を募集できなくなるからです。
入居者に迅速に対応してもらえないと、訴訟や強制退去などの手続きが必要になり、そのための費用がかかります。入居者の滞納トラブルは、非常に手間や費用がかかる場合があります。
入居者トラブルにうまく対応するためには、入居者トラブルにも強い管理会社を選ぶことが重要なポイント。アパート管理のプロは、さまざまなトラブルにも対応しているため、迅速に対応してくれる可能性が高いでしょう。
アパート経営では、金利上昇を想定せず失敗するケースも少なくありません。理由としては、変動金利にした場合、将来的にアパートローンの金利が上昇するケースがあるからです。
例えば、借入金が6,000万円だった場合の20年の金利について見ていきましょう。
金利2%:返済総額:303,530円/元金203,530円/利息分:99,660円
金利3%:返済総額:332,758円/元金182,758円/利息分:150,000円
※ローン返済シミュレーションで計算
このように1%金利が変動するだけでも、返済額が大きくなってしまうため、金利上昇によってアパート経営が悪化する場合があります。
アパートローンの金利上昇による経営悪化を回避するためには、金利上昇も想定した収支計画を建てることが大切です。金利上昇がおきてから対策するのではなく、あらかじめ上がった時のために、予備費を用意しておくとよいでしょう。
また、アパートローンを契約する際にも、なるべく低金利で借りられる銀行を選ぶことも1つの方法です。なるべくアパート経営がギリギリにならないように収支計画を立てましょう。
アパート経営について学ぶなら、以下の3つのブログがおすすめです。
アパート経営に失敗しないためには、成功例や失敗例をリアルに綴っているブログを参考にするのがおすすめです。
「横浜大家」というブログには、不動産投資の経験やノウハウが網羅されています。一般のサラリーマンが不動産投資で資産形成をすることが出来たという成功体験をしており、これからアパート経営を始めたいという方に必要な情報がブログで紹介されています。
どの記事も著者の実体験を基に執筆されているものが多く、不動産投資の基本・失敗する事例・アパート経営でかかる費用などが経営側目線で書かれているのが魅力。特にアパートローンの融資については34記事、アパート経営の失敗・トラブルについては88記事(※)としっかりと解説されているため、ブログの情報を勉強するだけでもさまざまな失敗リスクを回避できるでしょう。
また、空室対策や利回り、不動産投資の始め方ややり方なども初心者でも分かるように解説してくれているのもポイント。「アパート経営を始めたいけれど失敗したくない」「実体験を参考にして経営したい」「アパート経営について勉強したい」という方はぜひブログを参考にしてみてください。
※2024年5月時点の情報です。
「僕と投資と樹海の日々」というブログは、中古アパート物件価格4,000万円(鉄筋コンクリート造)のアパートの購入から売却までがストーリーで描かれています。著書が漫画家なので途中途中イラストが入ったストーリーが入っているため、漫画のようにサクサク読めるのが魅力。
また、このブログのポイントはアパートの購入から売却までが赤裸々に綴られている点です。不動産経営において成功した体験談やノウハウなどをまとめたブログが多いなか、このブログはアパート経営の失敗についての体験談を知れるのが特徴。
アパート経営の難しさ、リフォームや管理などの負担、空室で家賃収入を回収できないときの怖さなどが不動産投資を行う人の目線で丁寧に描かれています。僕と不動産と樹海の日々は、全42ページなので、手軽に読めるところもおすすめポイントです。
「年収3,000万円を目指すブログ」は、普通の30代のサラリーマンが年収3000万円を目指し、不動産投資や太陽光、株などの投資にチャレンジした過程が綴られているブログです。現在は、約10億円規模のアパートを所有し、4,000万以上の収益を得ています。
一般的な子供がいる世帯の1人のサラリーマンが不動産投資を始める際の奥さんへの相談、銀行への融資打診ややり取りの様子などが会話も交えて紹介されています。初めて不動産を融資してもらうにあたっての不安やドキドキ感がリアルに感じられる内容となっています。
アパート経営を始めるまでの経緯や私生活についても絡めた内容となっており、よりアパート経営についてイメージしやすくなりそうです。また、建築期間の延長や税金還付の失敗談なども紹介されているので、リスク回避にも役立ちます。
年収3,000万を目標に不動産投資を始めたいという方は、ぜひチェックしてみてください。
「アパート経営はするな」「アパート経営はやめたほうがいい」という方は実際に失敗している方も多くいます。アパート経営を失敗しないためには、失敗する理由や回避策について知っておくことが大切です。
アパート経営を不動産会社やハウスメーカーだけの判断に任せると、費用や制度について理解していなかったり、予想外のことが起きたりして失敗するケースも少なくありません。アパート経営を始める際は、さまざまなリスクに備えることで成功率を高めることができるでしょう。
また、M-LINEではアパート経営の相談も承っています。「何年で黒字になる?」「儲からないって本当?」「どうしたら成功率が上がるの?」など、どのようなお悩みもぜひ一度ご相談ください。
2024/11/29
2024/11/29
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