店舗兼住宅税金

店舗兼住宅でかかる税金を徹底解説

店舗兼住宅とは、店舗と自宅を兼ね備えた物件のことを指します。自宅に店舗があるため、通勤時間がいらなかったり、子育て・介護がしやすかったりとさまざまなメリットがあるのが魅力です。

しかし、「店舗兼住宅は税金が高くなる」というネガティブな声もあり、税金面について不安な方も多いでしょう。

店舗兼住宅は、店舗部分や自宅部分の割合によって、固定資産税などの税金が高くなる場合があるため注意が必要です。しかし、店舗兼住宅の自宅の床面積を2分の1以上に設計するなど具体的な対策を行えば、一般的な住宅と同じ固定資産税の軽減措置を受けられます。

そこで、本記事では店舗兼住宅にすることでかかる税金や、店舗兼住宅の税金面やその他のメリット・デメリットなどについて詳しく解説します。店舗兼住宅の税金の仕組みを理解すれば、賢く節税ができ、税金の負担も軽減することが可能です。

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店舗兼住宅にすることでかかる税金は?固定資産税について解説

店舗兼住宅にすることでかかる税金は?固定資産税について解説

店舗兼住宅にすることで、主に以下の3つの税金がかかります。

土地や建物の固定資産税は、店舗兼住宅に限らず発生する税金ですが、店舗兼住宅は一般的な住宅よりも高い評価額となる場合があります。また、事業用の不動産には償却資産税も課せられるため、事前にどのような税金なのか、どのくらい税金がかかるのか把握しておくことが大切です。

以下で、それぞれの店舗兼住宅の税金についてや計算方法について解説するので、参考にしてください。

1.建物の固定資産税

店舗兼住宅で新築の固定資産税の減額制度を受けるには、自宅の床面積が2分の1以上の物件であることが条件です。通常の住宅の場合は、新築を建ててから3年間は、固定資産税を2分の1に減額する制度があります。(新築認定長期優良住宅については、5年間の特例措置となります。)

自宅部分の床面積が2分の1以下になってしまうと制度の対象外となるため、新築住宅にかかる固定資産税の減額が受けられなくなってしまうのです。

店舗兼住宅の建物の固定資産税は、住宅部分と店舗部分に分けて課税されます。固定資産税の計算方法は、以下の通りです。

税金 計算方法
固定資産税額 固定資産税評価額×税率(※標準税率1.4%)

固定資産税評価額は、各自治体によって建物の時価額を基に算定されます。また、標準税率は、地域によって標準税額が1.5%~1.6%となる場合があるため注意が必要です。

新築の固定資産税の減額が受けられれば、上記の金額から3年間は2分の1の負担に軽減できます。新築の減額制度は大きな節税効果となるため、自宅部分の床面積については慎重に検討しましょう。

2.土地の固定資産税

店舗兼住宅の土地の固定資産税は、課税台帳の登録されている価格を基に、住宅用地に対する特例措置などを適用した上で算出されます。土地の上に建物を建てることで、住宅用地の軽減措置が適用できますが、自宅部分の床面積によって住宅用地とみなされる割合が異なるため注意が必要です。

住宅用地の土地として認められるのは、家屋の総面積の10倍が限度です。したがって面積が家屋の床面積の10倍を超えている際は、家屋の床面積の10倍に下記の表の率を乗じた面積が住宅用地の対象となります。

【下に掲げる家屋以外の家屋】

住居部分の割合
4分の1以上2分の1未満 0.5
2分の1以上 1.0

【地上階数5以上を有する耐火建築物である家屋】

住居部分の割合
4分の1以上2分の1未満 0.5
2分の1以上4分の3未満 0.75
4分の3以上 1.0

出典:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京都主税局

例えば家屋の床面積が土地の面積の2分の1以上あれば、すべてが住宅用地の対象となります。そのため、店舗兼住宅をすべて住宅用地とみなされるためには、設計時に自宅部分の面積を土地の面積の2分の1以上にすることが重要です。

また、住宅用地には、小規模住宅用地・一般住宅用地などの軽減措置が設けられているため、固定資産税・都市計画税を節税できます。店舗兼住宅でも自宅部分の面積が2分の1以上であれば、一般の戸建と同じ軽減措置を受けられるため、大きな節税となります。

小規模住宅用地・一般住宅用地の適用額の計算については、以下の通りです。

区分 条件 固定資産税 都市計画税
小規模住宅用地 住宅用地で住宅1戸につき200㎡までの部分 固定資産税評価額×6分の1 固定資産税評価額×3分の1
一般住宅用地 小規模住宅用地以外の住宅用地 固定資産税評価額×3分の1 固定資産税評価額×3分の2

出典:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京都主税局

このようにすべてが住宅用地となれば、固定資産税や都市計画税などの税金の負担を軽減することができます。そのため、設計時に自宅部分の床面積が2分の1となるように検討してみましょう。

3.償却資産税

償却資産税とは、法人や個人事業主が事業用に所有する償却資産にかかる税金です。固定資産税の一種で、土地や建物以外にも事業で使う機械・器具・備品などの有形資産にも税金がかかります。

各事業ごとの償却資産の例は、以下の通りです。

飲食店業冷凍冷蔵庫・イス・テーブルなど

事業 対象
共通 パソコン・コピー機・複合機・エアコン・看板LAN設備など
理容・美容業 美容用洗面設備・イス・美容機器など
印刷業 印刷機・断裁機など
小売業 陳列棚・冷凍冷蔵ケースなど

出典:固定資産税(償却資産)|東京都主税局

償却資産税の計算方法は、以下の通りです。ただし、償却資産の資産の合計が150万未満の場合は、免税となります。

対象 計算
償却資産税額 課税標準額×1.4%

店舗兼住宅で新たに事業を始める際は、償却資産税がかかることも視野に入れておきましょう。

店舗と住宅に関する税金の違いは?

店舗と住宅に関する税金の違いは?

店舗と住宅に関する大きな違いは、住宅は固定資産税の軽減措置が受けられるということです。理由としては、土地や建物を所有すると固定資産税がかかりますが、店舗だけの場合住宅用地や小規模住宅用地などの軽減措置を受けることができないからです。

しかし、店舗兼住宅で自宅部分の床面積を2分の1以上に設計することで、一般的な住宅と同様の軽減措置が受けられます。

店舗兼住宅は設計を工夫することで、普通の店舗より税金の負担を軽減できるのが店舗兼住宅の魅力です。

店舗兼住宅の税金面やその他メリット

店舗兼住宅の税金面やその他メリット

店舗兼住宅の税金面やその他のメリットは、主に以下の3つが挙げられます。

店舗兼住宅は、別で店舗を借りたり購入したりするより経費を軽減しやすいという税金面のメリットがあります。また、自宅と店舗が同じ位置にあるため、通勤の移動時間が必要なく、子育て・介護などがしやすい環境になります。

このように、店舗兼住宅ならではのメリットがあり、節税や生活する上で非常に便利になることが多いでしょう。

1.経費を軽減しやすい

店舗兼住宅は、経費を削減しやすいのがメリットです。理由としては、別に店舗を借りたり購入したりするよりも、店舗兼住宅にした場合の方が費用を抑えられるからです。

また、将来的には自分の財産となるため、テナント経営をしたり、リフォームなどを行い賃貸経営をしたりすることもできます。また、店舗や設備にかかる費用や、固定資産税などの税金、保険料などさまざまな経費を計上しやすくなるのも大きなメリットでしょう。

店舗の経費として計上できるのは、店舗部分で生じる費用と事業に関わる費用です。具体的には、以下のような例が必要経費として計上できます。

店舗で生じる経費を所得税から控除できれば、課税所得を軽減することが可能です。従って所得税や住民税の負担の節税となるため、ぜひ事業用に生じた経費はしっかりと計上しておきましょう。

2.移動する時間がかからない

店舗兼住宅は、通勤のための移動時間がかからないのがメリットです。なぜなら自宅と店舗が同じ建物のため、通勤自体が必要ないからです。

店舗と自宅が別の場所にあれば通勤時間が必要になり、電車代やガソリン代などの交通費も必要になります。しかし、店舗兼住宅は自宅が職場となるため、業務開始までの時間をゆとりをもって過ごすことができます。

もちろん仕事が終わったらすぐにプライベートな時間となるため、家庭の時間を大事にしたいという方にぴったりです。

3.子育て・介護などがしやすい

店舗兼住宅は、子育て・介護などがしやすいのも大きなメリットです。なぜなら自宅と勤務先が一緒の場所にあるため、通勤時間がかからず、気軽に自宅と職場を行き来することができるからです。

例えば、休憩時間や合間の時間に子育てや介護を手伝うことができます。また、通勤時間が必要ないため、就業前や後の時間にゆとりができれば、保育園の送り迎えなどに行ける場合もあるでしょう。

自宅から離れた場所に店舗がある場合は、子育てや介護ができる時間も少なくなってしまいます。ちょっとした合間時間に家事を行うこともできるため、家庭も仕事も並行して行っていきたい方は店舗兼住宅が特におすすめです。

店舗兼住宅の税金面やその他デメリット

店舗兼住宅の税金面やその他デメリット

店舗兼住宅はメリットも多いですが、デメリットも存在します。店舗兼住宅の税金面・その他のデメリットについては、以下の3つが挙げられます。

店舗兼住宅は、店舗の場所が変えられない・一般的な戸建などよりも売却がしにくいなどのデメリットがあります。しかし、上記のようなデメリットも事前にあらゆる想定をして計画することで、さまざまなリスクに備えられます。

ここでは、店舗兼住宅のデメリットや対処法などについて解説するので、参考にしてみてください。

1.店舗の場所を変えられない

店舗兼住宅は、簡単に店舗の場所を変えられないのがデメリットです。なぜなら店舗兼住宅は、マイホームでもあるため、気軽に場所を変えたり売却したりできないためです。

通常のテナント物件なら、集客の状況などが悪ければ、店舗の引っ越しなどを考えるでしょう。しかし、自宅部分も兼ね備えており、住宅ローンや事業用ローンなどがある状況で簡単に売却ができないというのが難点です。

また、一部の地域では建てられる建物の条件等が定められており、駅近や住宅街などで希望の立地で建てられない場合があるので、しっかりと事前に立地調査を行い、事業の需要があるのかなどを慎重に判断しましょう。

2.店舗によってプライベートに支障がある

店舗兼住宅は、店舗によってプライベートに支障がある場合があります。理由としては、店舗と住居が一緒の建物になるため、日常生活において騒音などが気になる場合があるからです。

例えばカフェなどの飲食店を経営すれば、お客さんの会話などが住居部分まで響き、ストレスを感じる場面もあるでしょう。逆にマッサージやエステサロンなど、静かなお店にしたい場合は、子どもの泣き声やペットの鳴き声などがお客様の迷惑になることもあります。

上記のように店舗と住居を一緒にすることで、家族やお客様に迷惑をかけてしまうケースもあります。深夜まで営業するような居酒屋を経営する際は、ご近所の迷惑となる場合もあるため、迷惑になりにくい立地や防音設備などを活用して、慎重に検討しましょう。

3.一般的な戸建より売却が難しい

店舗兼住宅は、一般的な戸建より売却が難しいのがデメリットです。なぜなら居住部分と自宅部分を兼ね備えた物件のため、一般的な物件よりニーズが少なく、買い手が付きにくいためです。

店舗兼住宅は、店舗が備わった住居となるため、「実際に事業を行っている人」や「テナント物件+自宅を探す人」が売却の対象となります。また、売却するにはオーナー自身がマイホームを手放すことになり、新しい家を確保しなければならず、ハードルが高くなります。

上記のように売却は非常に難しくなるため、将来的にテナント物件や賃貸物件として活用したり子世帯と一緒に暮らしたりするなど、売却以外の活用方法を計画しておくことが大切です。ただし、このような場合、リフォーム代などが必要になるため、その費用を積み立てておく必要があります。

店舗兼住宅の税金面に関するよくある質問

店舗兼住宅の税金面に関するよくある質問

店舗兼住宅を建てる前に、税金や補助金などの知識を持っておくことは大切です。なぜなら具体的な資金計画を立てる上で、建築費用や必要経費がどのくらいかかるのか、税金がどのくらいかかるのかという情報が必要だからです。

ここからは、店舗兼住宅の税金面に関するよくある質問に3つの質問について解説します。

店舗兼住宅を検討する方は、事前に疑問点について専門家に確認しておきましょう。

店舗兼住宅にすると固定資産税は高くなる?

店舗兼住宅は、一般的な住宅より固定資産税が高くなることがあります。なぜなら一般的な住宅の場合は、新築住宅の固定資産税の減額措置や、小規模宅地等の適用による軽減措置が受けられるためです。

しかし、店舗兼住宅でも自宅部分の床面積を2分の1以上にすることで、自宅部分の固定資産税の半額に軽減できます。また、土地においても自宅部分の床面積の割合によって、住宅用地とみなされ、軽減措置を受けることができます。

店舗兼住宅で店舗を廃業した際の税金は高くなる?

店舗兼住宅の店舗を廃業した場合は、税金は高くなるのではなく、安くなる可能性があります。なぜなら店舗部分が居住部分となることで、居住部分の割合が広がるため、小規模住宅用地などの適用によって課税標準額が下がる可能性があるからです。

例えば店舗部分が60%、自宅部分が40%だった場合、50%は住宅用地として小規模住宅用地の適用を受けることができますが、半分は適用が受けられません。店舗部分もすべて自宅部分となれば、100%の減額を受けることができ、固定資産税の税額が下がります。

ただし、家屋の用途に変更があった場合は、市町村で住宅用地変更の申告を行う必要があります。事前に廃業した際の税金についても、自治体に確認しておくと安心です。

店舗兼住宅を建てる際に補助金はある?

店舗兼住宅を建てる際は、自治体の補助金制度が利用できる場合があります。理由としては子育て世代やUターン者向けに、新築費用の補助事業を各自治体が行っていることが多く、店舗兼住宅も補助事業の対象となる可能性があるからです。

しかし、店舗兼住宅で補助金を利用できるのは、居住部分のみの場合がほとんどです。お住まいの自治体によって、補助金の対象や条件が異なるため、店舗兼住宅が利用できる補助金があるかどうか事前に確認しておくと良いでしょう。

店舗兼住宅の税金関係での相談はM-LINEへ

店舗兼住宅の税金関係での相談はM-LINEへ

今回は、店舗兼住宅にすることでかかる税金や、店舗兼住宅の税金面やその他のメリットについて詳しく解説しました。店舗兼住宅は、店舗部分や自宅部分の割合によって、一般的な住宅より固定資産税などの税金負担が高くなる可能性があります。

そのため、店舗兼住宅を建てる際にどうすれば税金対策ができるのかを理解し、事前に対策を行いましょう。また、店舗兼住宅のメリット・デメリットも理解した上で、生活環境に配慮した設計をしたり将来的な活用方法を検討したりすることが大切です。

M-LINEでは、店舗兼住宅についても豊富な経験と知識があり、税金などの相談も承っております。「店舗兼住宅について気になっている」「税金の負担を少なくしたい」など不安な点がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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