一戸建て賃貸経営のメリット・デメリットを解説

一戸建て賃貸経営のメリット・デメリットを解説

地方移住やテレワーク、シェアハウスの普及に伴い、一戸建て賃貸の需要が高まっています。一戸建て賃貸は、アパートやマンションが建てられないような狭小地を有効活用できたり、入居者が長期間入居しやすかったりなどのメリットがあります。

しかし、マイホームと競合しやすい、空室時は利回りが0%になるなど、アパートやマンションとは異なるデメリットについて考慮することも欠かせません。

この記事では、一戸建て賃貸経営のメリットやデメリットを詳しく解説します。併せて、一戸建て賃貸経営で気を付けておきたいポイントもまとめました。一戸建て賃貸の経営を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

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一戸建て賃貸経営とは?

一戸建て賃貸経営とは?

一戸建て賃貸経営とは、一戸建て住宅を賃貸物件として提供し、賃料収入を得る経営手法です。

この手法には、「既存の土地と建物を賃貸に活用する」「所有している土地に新たに建物を建設する」「土地と建物を新規に購入する」の3パターンがあります。

どの方法でも賃料収入を得られますが、土地から購入する場合は、投資金額を回収するのに時間がかかります。一方、すでに土地や建物を所有している場合は、リスクを抑えてかつ利益を得やすいことがポイント。空き家になっている実家や、手つかずの土地を所有している人には特におすすめの不動産経営といえます。

一戸建て賃貸経営は、アパートやマンション経営と比べると馴染みが少ないかもしれません。しかし、一定の需要があり、安定した収益を期待できる注目の方法です。

次項では、一戸建て賃貸経営のメリットやデメリット、始める際のポイントについて詳しく解説していきます。

一戸建て賃貸経営の5つのメリット

一戸建て賃貸経営の5つのメリット

一戸建て賃貸経営には、以下のような5つのメリットがあります。

一戸建て賃貸経営には多くのメリットがあります。それぞれ詳しく解説します。

1.狭小地や変形地でも活用できる

一戸建て賃貸経営の大きなメリットは、15〜30坪ほどの狭小地や変形地でも有効に活用できることです。

例えば、アパートが建てられないような狭小地や変形地でも、戸建てであれば土地に合った建物を建築できる可能性があります。「こんなに狭い土地は家が建たないのでは」と感じるような場所でも、工務店によっては戸建てを建てられるかもしれません。

さらに、三角形のような変形地でも、有効なスペースに戸建てを建てれば賃貸経営が可能です。戸建てはアパートよりも間取りの配置に自由度が高いため、変形地や方位の制約を解消できることが大きな利点です。狭小地や変形地で手つかずの土地を所有している人にとって、戸建賃貸は非常に魅力的な選択肢の1つでしょう。

2.長期的に入居してもらえる

一戸建て賃貸の主なターゲットはファミリー層です。子供がいる家庭は、子供の義務教育期間中は同じエリアに住みたいと考える人が多く、長期間入居し続けてくれる可能性が高いことが特徴です。そのため、ファミリー層を対象にした一戸建て賃貸物件は、安定した入居者を確保しやすいという利点があります。

また、入居者が安定していれば、入退去の手続きにかかる労力や、入居者募集の広告費や入れ替え時に必要なクリーニングコストなどを抑えられることも大きなメリットでしょう。

3.競合が少ない

戸建賃貸は競合が少なく、入居者を確保しやすいことも大きな利点です。アパートには供給過剰感が出てきていることもあり、戸建て賃貸の安定性は魅力です。

また、戸建賃貸は、アパートやマンションではなく戸建てに住みたい人の需要を満たすため、アパートと競合にはなりません。「庭がほしい」「ペットと暮らしたい」「プライバシーを守りたい」など、アパートやマンションでは叶わないニーズを満たせることがポイント。戸建てならではの特長を活かすことで、物件としての差別化ができ、客付けしやすくなります。

さらに、アパートやマンションに比べて物件数が少ないため、入居者を確保しやすいことも理由です。令和3年の国土交通省の土地問題に関する意識調査によると、「今後望ましい住宅形態」において「一戸建」と答えた人が全体の54%もいます。全体の半数以上が戸建て住宅に住みたいと考えているのです。しかし、実際には戸建て賃貸の供給がアパートやマンションに比べて不足している実情があります。

出典:国土交通省|令和3年度「土地問題に関する国民の意識調査」の概要について

戸建賃貸への需要が高いにもかかわらず供給や競合が少ないので、高い入居率を確保しやすいことが強みです。

4.初期費用を抑えられる

一戸建て賃貸経営は、アパートやマンション経営と比べて初期費用を抑えられることも大きな魅力です。初期費用が少なければ借入金も少なくなるため、リスクを抑えて経営できます。

さらに、両親から相続した土地と建物がある場合は、そのまま利用することで、初期費用を最小限に抑えられることもポイントになります。建物の状態によってはリフォームが必要になりますが、フルリフォームでも1,000万円以下の投資で済むケースが一般的です。

一戸建て賃貸経営は、比較的少ない資金でリスクを抑えて始められることが利点です。

5.出口対策しやすい

戸建賃貸は、将来的に出口対策がしやすい点も魅力です。

例えば、戸建賃貸の入居者はファミリー層が多く、保育園や小学校など、子供の生活環境と密接しています。そのため、生活環境をできるだけ変えたくないと考えている場合は、入居者にそのまま売却できる可能性があります。そうなれば家賃収入に加え、売却による利益も見込めるでしょう。

さらに、戸建賃貸は用途を転用しやすく、売却の選択肢が広いことが特徴。アパートやマンションを売却する場合、ターゲットは不動産投資家にしぼられますが、戸建てならマイホームを購入したい人への売却も可能です。他にも、シェアハウスやグループホームなどに転用して売却することも選択肢の一つでしょう。

また、マンションやアパートのように、解体費が多くかからないため、更地にして土地だけを売るという方法もあります。

このように戸建賃貸は売却しやすく出口対策の選択肢が多いため、安心してスタートできることが利点です。

一戸建て賃貸経営の3つのデメリット

一戸建て賃貸経営の3つのデメリット

続いて、一戸建て賃貸経営のデメリットを3つ紹介します。

メリットが多い戸建賃貸ですが、デメリットもいくつか存在します。デメリットを事前に把握したうえで検討することが重要です。

1.空室時に利益が得られない

1つ目のデメリットは、空室が出ると利益が得られないことです。

戸建賃貸は、1世帯に貸すことが基本です。空室が出た場合、利益は0となり、損失は大きくなります。空室が長期化すれば、借入金の返済を貯金や他の収入から捻出しなければならず、大きな痛手になるでしょう。

一方で、アパート経営の場合は、複数戸の住戸があることでリスク分散ができます。1つの空室の影響は、戸建て賃貸に比べて少ないことが強みです。また、一室でも入居者がいれば利益も発生します。

両親から引き継いだ空き家を利用した賃貸経営であれば、そこまで大きな損失にはならないでしょう。しかし、新たに土地や建物を購入して経営している場合は、赤字が続けば初期投資を回収できない事態にもなりかねません。

戸建賃貸を経営する際は、空室リスクを考慮したうえで、収益プランを建てることが重要です。さらに、入居者の選定や家賃設定に工夫を凝らし、空室リスクを最小限に抑える努力も欠かせません。

2.収益性が低い

2つ目のデメリットは、収益性がアパートに比べて小さいことです。なぜなら、アパートであれば同じ面積でも、賃料単価の高い住戸を複数作ることができ、利回りが高くなります。対して、一世帯の入居者のためだけに一棟を建築する一戸建て賃貸は、建築費用に対しての収入の割合は低くなる可能性があります。

また、アパートのように複数の住戸を持つ集合住宅は、空室があっても他の住戸からの収入で損失を補うことが可能です。しかし、一戸建て賃貸では、一つの住戸の空室が収益に直結するため、収益の安定性が低下するリスクがあります。

一戸建て賃貸を経営する際には、地域の需要や競合状況をよく考慮し、適切な賃料設定や収益性の見込みを慎重に計画することが重要です。

3.マイホームと競合する

最後のデメリットは、一戸建て賃貸はアパートやマンションとの競合にはなりにくい一方で、マイホームと競合する可能性があることです。戸建賃貸を借りる人はファミリー層が多く、マイホームを建てるか検討する人が多いことが理由です。一戸建てを借りるのであれば、ローンを組んでマイホームを購入しようと考える人も多いでしょう。

その際にデメリットとなるのが家賃です。例えば、3千万円のマイホームを購入した場合、35年ローン(金利1.6%の場合変える)毎月の支払いが約9万円となります。戸建賃貸が競争力を持つためには、家賃をマイホームの支払い額以下に設定する必要があります。

もちろんローンが通らない人や転勤族など、マイホームの購入が難しい人もいます。すべての入居者がマイホームの購入を検討しているわけではないでしょう。しかし、家賃の設定時には、マイホームの支払い額と比較しながら検討することが大切です。

一戸建て賃貸経営で気を付けておきたい5つのポイント

一戸建て賃貸経営で気を付けておきたい5つのポイント

最後に、一戸建て賃貸経営で気を付けておきたい5つのポイントを紹介します。

一戸建て賃貸経営を成功させる上で重要なポイントなので、必ず確認しましょう。

1.需要の見極めをしっかりとする

経営を成功させるためには、需要のある戸建てとそうでない戸建てを見極めることが重要です。戸建て賃貸は基本的に需要が高いものの、中には客付けが難しく、需要が少ない物件もあります。

需要を見極めるには、土地と建物の両方を考慮することが欠かせません。まず、立地に関しては、戸建て賃貸経営では駅からの距離は需要にあまり影響しないことがポイントです。代わりに、商業施設やスーパーなど、生活に便利な場所にある物件は客付けがしやすい傾向があります。保育園や学校、学童保育などが近くにあることも、子持ちのファミリー層にとっては魅力的でしょう。

また、建物の状態については、築年数よりもリフォームの質が重要視されます。古い物件でも、水回りやフロアなどの内装がしっかりとリフォームされていて、清潔感があることが大切です。さらに、広い庭や駐車場を備えた物件も需要が高い傾向にあります。一戸建て賃貸を選ぶ人は、「広い庭でバーベキューを楽しみたい」「庭でリラックスしたい」と考えることが多いためです。

これらのポイントを押さえた物件を準備することが、一戸建て賃貸経営の成功に繋がります。

2.ニーズの高い広さの戸建てにする

ファミリー層のニーズに合った広さの一戸建てを選ぶことも重要です。賃貸として人気のある戸建てのポイントは「適度な広さ」です。

例えば、狭すぎる一戸建てではファミリー層を取り込めません。ファミリーが一戸建てを選ぶ理由の一つに、子供部屋やリビングに加えて、テレワークができる部屋を必要とすることが少なくありません。そのため、適切な広さと部屋数がある戸建てが求められます。

ただし、大きすぎる物件にも問題があります。例えば、修繕コストが高くなることです。クロスの張り替えやクリーニング、修繕費などは、部屋数が増えたり物件が大きくなったりするほど高くなります。また、広い物件は家賃総額が上がるため、入居者を見つけるのが難しくなることも懸念点です。

ファミリー層のニーズに応える広さを持ちつつ、修繕コストや家賃設定に配慮した一戸建てを用意することが、安定した経営に近づくポイントです。

3.他の物件との差別化を図る

他の物件との差別化を図り、建物をより魅力的にすることもポイントです。

例えば、ペット可の物件は人気が高いです。賃貸アパートやマンションでは、ペット不可の物件が多いため、ペット可にすることで一定の需要が見込めます。庭付きの一戸建てでペットと一緒にのびのびとした暮した生活を送れることは、非常に魅力的でしょう。他にも、以下のような設備や間取りを採用することで差別化を図れます。

これらの差別化ポイントを取り入れることで、一戸建て賃貸物件の魅力を高め、競争力を強化することができます。

4.修繕費が割高になる

戸建賃貸は、退去時の修繕費が割高になる可能性があります。

なぜなら、戸建賃貸は入居者が長く住んでくれることからメンテナンスが不十分になる可能性があるためです。手入れが疎かになると、シロアリの発生や雨漏りなどの問題が起き、大規模な修繕が必要になることがあります。

また、戸建賃貸はアパートに比べて部屋数が多いことが一般的です。そのため、退去時に行う修繕作業の箇所が多く、修繕費用も相応に高くなります。

退去時には修繕が必要な箇所がアパートよりも多く、それに伴う修繕コストも高額になる傾向があるため、修繕費用を事前に見積もり、収支計画を立てることが重要です。

5.余裕のある収支計画を立てる

余裕のある収支計画を立てることもポイントです。

一戸建て賃貸の場合、入居者がいない期間は利益が0になります。空室でも返済ができるように計画することがとても重要。さらに、一戸建ては修繕費も割高になる傾向があるため、修繕費も考慮する必要があります。また、客付けを促進するためには、リフォームを施したり、ニーズに合った設備を取り入れたりすることも大切になります。

信頼できる施工会社にリフォーム計画や長期修繕計画を作成してもらい、将来の修繕にも備えるようにしておくと安心です。

最後に:一戸建て賃貸を経営するならM-LINEへ相談を!

まとめ:土地活用で戸建賃貸経営を検討するならM-LINEへ相談を!

一戸建て賃貸経営を行うことは、アパートやマンションに比べて初期費用を抑えて始められるのでおすすめできます。狭小地や変形地、駅から離れた立地でも入居者を確保しやすいうえ、一度入居者が見つかれば長く住んでくれるので安定した経営が可能です。出口対策も複数あるので、できるだけリスクを抑えて賃貸経営したい人は検討してみましょう。

ただし、戸建賃貸は空室が出ると利益がゼロになったり、大きな収益性は見込めなかったりなどのデメリットも存在します。

まずは、専門家に相談し、所有している土地や不動産経営の目的が戸建賃貸に適しているのか見極めることが重要です。

戸建賃貸を検討する中で少しでも不安や疑問があるという人は、一度M-LINEにご相談ください。M-LINEでは、ご相談内容に応じて専門的な知識を持ったプロの視点からご提案・サポートを実施しております。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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