小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
東京都内で家を建てる際、他の地域と比べて費用が高くなる傾向にあります。理由としては、東京都内の土地代が高く、広い敷地を確保できないことが課題とされています。
しかし、実際東京都に家を建てる人は多くいます。まずは、東京都で家を建てる際の平均相場や、敷地面積を知り、家が建てられるかどうかを検討することが大切です。
本記事では、東京に家を建てる際に知っておきたい住宅の平均価格や平均敷地面積、家を建てる前に知っておきたいリスクと回避法などについて詳しく解説します。
東京都で家を建てる際、どのくらいの費用がかかるのでしょうか。
まずは、東京で家を建てる際にかかる土地と住宅の取得平均価格について解説します。
「住宅金融支援機構のフラット35利用者調査2023集計表」によると、東京都の土地代の平均相場は3,825万円程度です。三大首都圏や首都圏の平均価格と比較しても、約1,500万円~2,000万円近くの東京都の平均相場が高いことが分かります。
地域・都道府県 | 土地取得費の平均相場 |
---|---|
東京都 | 約3,825万円 |
三大首都圏 (首都圏、近畿圏、東海圏) |
約1.955万円 |
首都圏 (東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県) |
約1,955万円 |
全国 | 約1,497万円 |
出典:フラット35利用者調査2023年度集計表|住宅金融支援機構
また、国土交通省の「住宅市場動向調査報告書」によると、東京都・神奈川県・埼玉県などの大都市圏の土地購入資金大都市圏の平均価格は2,637万円です。全国の平均価格は1,689万円のため、約1,000万円程度の差額がありました。
「住宅金融支援機構のフラット35利用者調査2023集計表」によると、東京都の住宅の建築費の平均相場は、3,295万円程度です。三大首都圏や首都圏などの平均と比較すると、住宅の取得平均価格は大差ないことが分かります。
地域・都道府県 | 土地取得費の平均相場 |
---|---|
東京都 | 3,295万円 |
三大首都圏 (首都圏、近畿圏、東海圏) |
3,423万円 |
首都圏 (東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県) |
3,402万円 |
全国 | 3,405万円 |
次に、土地代なしの平均相場を見てみましょう。
地域・都道府県 | 土地取得費の平均相場 |
---|---|
東京都 | 約4,621万円 |
三大首都圏 (首都圏、近畿圏、東海圏) |
約4,109万円 |
首都圏 (東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県) |
約4,190万円 |
全国 | 約3,861万円 |
上記の相場から見ると土地代の負担がない場合は、全国平均と比較して1,000万円程度高い結果となっています。土地代の負担がない分、住宅にかける費用が多くなっていることが分かります。
出典:フラット35利用者調査2023年度集計表|住宅金融支援機構
東京都で家を建てる人はどのくらいの敷地を購入しているのでしょうか。住宅金融支援機構のフラット35利用者調査2023集計表の土地付き注文住宅の敷地面積と住宅面積の平均を見てみましょう。
地域 | 住宅面積(㎡) | 敷地面積(㎡) |
---|---|---|
東京都 | 103.3 | 122.0 |
三大首都圏 (首都圏、近畿圏、東海圏) |
111.5 | 204.0 |
首都圏 (東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県) |
108.8 | 194.3 |
全国 | 111.2 | 249.9 |
出典:フラット35利用者調査2023年度集計表|住宅金融支援機構
全国の平均敷地面積は249.9㎡であるのに対し、東京都は122㎡の半分以下の数値となっています。一方で住宅面積は全国平均は111.2㎡、東京都は103.3㎡と大差ないことが分かります。
東京都内で家を建てる人は土地が高く、面積が限られているため敷地いっぱいに建物を建てるケースが多いです。このような場合、駐車場や庭などのスペースを確保できていない場合が多くを占めています。
東京で家を建てる際に知っておきたいのは、費用だけではありません。今後も住みやすい住宅を建てるためには、リスクを考慮した家づくりを行うことが大切です。
東京で家を建てる前に知っておきたいリスクと回避法を8つ紹介いたします。
東京都で家を建てる際は、資金計画をしっかり立てることが大切です。なぜなら、土地の取得費用が高い傾向にある東京都では、資金計画の重要性が高いからです。
適切な資金計画を立てることで、将来の返済の負担を軽減し、無理なく住宅ローンを返済できます。資金計画の立て方の注意点は、以下の通りです。
上記のように現状で東京に家を建てることができても、子どもが大きくなって教育費がかかったり、将来的に建物のメンテナンス費用がかかったりすることも考えられます。自分で資金計画を立てることはもちろんですが、FPやハウスメーカーの資金担当者などプロに相談し、綿密な資金計画を立てることが大切です。
東京都に家を建てる際は、地震に備えることもポイントです。理由としては、今後マグニチュード7クラスの首都直下地震が起こる可能性があり、政府から30年以内に発生する確率が70%と高い数値で予想されているからです。
東京都には地盤が柔らかく地震に弱い場所や、水没や液状化が発生しやすい地域もあります。これらの災害で被害を受けないためにも、土地選びや地盤改良などを行う必要があるでしょう。
東京で家を建てる際に、地震に強い家づくりをする方法は、以下の例を参考にしてみてください。
東京都に家を建てる際は、火災に備えることも重要です。なぜなら、木造密集地域という東京23区内などの都市部で木造住宅が密集して建築されている地域が存在し、火災や地震の発生時に延焼する可能性が高い地域があるためです。
首都圏不燃建築公社によると、木造密集地域は道路や公園等の都市基盤が不十分なことに加え、老朽化した木造建築物が多く、地震・火災などの際に大きな被害が予想されている地域です。東京都では「防災年づくり推進計画に基づいて木造密集地域の改善に取り組んでいますが、防火性能の高い家づくりを行うことで被害のリスクを軽減できます。
東京都に家を建てる際の防火対策については、以下の例を参考にしてみてください。
東京都に家を建てる際は、地震や火災だけでなく、台風や水害に備えることも大切です。なぜなら、二子玉川(世田谷区)周辺の多摩川の一部が氾濫したり、JR御茶ノ水駅で線路化の地盤が崩れ、JR品川駅や赤塚見附駅が冠水したりするなど、東京都で過去に大きな被害があったためです。
台風や大雨による水害のリスクに備えることによって、被害を最小限に抑えられます。例えば、東京湾岸エリアなどの低地に家を建てる場合は、1階部分を駐車場としたり、家の高さを上げたりすることによって、浸水時の被害を最小限に抑えられるでしょう。
東京都に家を建てる際の台風や水害対策については、以下の例も参考にしてみてください。
東京都に家を建てる際は、水道や電気といったライフラインに備えることも大切です。理由としては、台風や地震などの災害が起きた際にライフラインの被害も予想されるからです。
ライフラインが断絶されてしまうと、水道が使えなくなり、飲み水だけでなく消火や応急手当などにも水が使えなくなってしまいます。オール電化の家は電気が止まると、お風呂・ITコンロなど電子機器がすべて使えなくなってしまい、復旧するまで不便な生活を送らなくてはなりません。
東京都で家を建てる際のライフラインの被害に備えるには、太陽光発電・蓄電池・V2Hなどの製品を活用する方法がおすすめです。これらの方法は自宅で電気を作り、蓄電池や電気自動車のバッテリーに貯める仕組みで、停電になった際にも電源を確保できます。
東京都では、太陽光発電や蓄電池の設置費用の補助金も実施されているため、費用を抑えてライフラインの被害に備えた家づくりが可能になります。
東京都に家を建てる際は、資産価値が下がらないような家づくりを行いましょう。例えば、転勤などによって家を手放さなくてはいけなくなった場合、家や土地の価値が下がっていたら売却しにくくなってしまいます。
資産価値が下がりにくい家の特徴は、需要が高いエリアに建っている、家の状態がよいなどの例が挙げられます。「令和6年地価公示結果の概要」をみても、東京圏の平均変動率は3.4%と3年連続で上昇。東京23区内の人口は増加傾向にあるため、資産価値が下がりにくいといえるでしょう。
また、家をよい状態に保つためには、大雨・台風などの災害に強い家づくりを行ったり、メンテナンスをしたりすることが大切です。アフターサービスも手厚い保証があるハウスメーカーを選ぶと、資産価値が下がりにくい家づくりが実現できるでしょう。
東京都に家を建てる際は、売却も視野に入れた家づくり。将来的に引っ越しを考えている、転勤などの可能性がある方は、特に注意したいポイントです。
なぜなら、売却を視野に入れた家づくりを行うことで、将来売却しやすい家づくりが可能になるからです。例えば、将来的に売却しやすいようにそのエリアに需要のある間取りとする方法などがあります。
ほかにも1階部分を店舗として貸し出したり、1部分を賃貸物件として貸し出したり、さまざまな活用方法があります。前述でも解説した通り、需要の高い立地に家を建てることも大切です。
東京都に家を建てる際は、メンテナンスやアフターサービスをチェックしましょう。特に東京都の狭小地は、隣家との距離が近く、メンテナンスがしにくい場合や高額な費用がかかる場合があります。
こうしたメンテナンス費用の不安がある場合、長期間メンテナンスがいらない製品を採用したり、メンテナンスやアフターサービスが手厚いハウスメーカー・工務店を選んだりするのがよいでしょう。初期費用が高額になる場合がありますが、長い目でみると費用面もお得になることも多いです。
土地代や建築費だけでなく、今後かかる費用やメンテナンスにも注目して家づくりを行いましょう。
東京で家を建てる上で意識したい3つのポイントは以下の通りです。
順に解説するので、東京都内の家づくりの参考にしてみてください。
東京都で家を建てる際は、道路斜線制限や北側日影規制など注意しなければならない建築基準法上の制限が多数あります。その他にも最低敷地面積、防火規制区域など、地域によっては建物の敷地面積、使用できる建材などが定められている場合もあります。
このような規制や基準をクリアするためには、東京都の建築基準法に詳しいハウスメーカー・工務店を選ぶのが重要なポイント。東京都で理想の家づくりを行うためには、間取りや設計などを工夫する必要があります。
東京都で家を建てる際は、間取りを工夫してデッドスペースを効率よく使いましょう。なぜなら、東京都内の地価は高く建物を建てられる面積が限られているためです。
狭い土地を有効活用する方法としては、3階建てにして縦の空間を活用する方法があります。3階建ては1階をリビング、2階を寝室、3階を子ども部屋などと空間を分けられるのがメリットです。
しかし、階段の上り下りが多いため、家事導線や生活導線を考えた間取りにする必要があるでしょう。圧迫感のある間取りとなってしまわないように吹き抜けを作ったり、全体的に白を基調とした内装にしたりして、部屋を広く見せる工夫も必要です。
また、狭小住宅は収納が少ない点も課題として挙げられます。そのため、階段下や天井の空間を上手く活用したり、スキップフロアの下に収納を作ったりしてデッドスペースを有効活用しましょう。
東京都内に家を建てる際は、東京都内の家づくりに強いハウスメーカーを選びましょう。理由としてはハウスメーカーによって強みが異なるからです。東京に家を建てる際は、狭小地の建築や規制などに詳しい信頼できるハウスメーカーを選ぶことが大切です。
東京都内の家づくりに強いハウスメーカーは、以下の特徴があります。
理想の家を建てるためには、さまざまなハウスメーカーのモデルハウスを見学したり、相談したりするとよいでしょう。
東京都で家を建てる人は、狭小住宅を検討するのもおすすめです。狭小住宅とは限られた土地に家を建てる建築面積が狭い物件のことを指し、土地の費用を抑えて家を建てる効率的な選択肢として注目されています。
狭小地は、三角形や台形などの変形地や高低差の激しい地域にある土地も多いですが、狭小住宅に強い施工会社を選ぶことで要望に沿った理想の家づくりも不可能ではありません。
また、M-LINEは東京23区に特化した建物づくりを行っており、狭い道路からかかる道路斜線制限や厳しい北側影規制など、さまざまな難題をクリアし、10cmも無駄にしない設計を得意としています。東京都の注文住宅ならではのさまざまなお悩みを解決するので、ぜひ一度ご相談ください。
東京に家を建てるのは、利便性や資産価値が高いためおすすめです。東京都の住宅の平均相場からみると、建築費は3,295万円程度、土地代は3,825万円程度なので、約6,000万円ほどで家が建てられていることが分かります。
また、東京都内でも狭小地を選ぶことで、土地の購入費用を抑えて家を建てることも可能です。東京都のリスクに詳しい、狭小住宅に特化しているハウスメーカーを選ぶことで賢い家づくりが実現できるでしょう。
M-LINEでは、三角形や台形など変形している土地や、高低差の激しい土地など、他のハウスメーカーでは難しいと言われた土地の設計・建築の実績が豊富にあります。費用を抑えつつ、出来る限り要望に沿った、提案やサポートも行っているので、東京都内で家を建てたいという方はぜひ一度M-LINEにご相談ください。
2024/11/29
2024/11/29
2024/11/29