小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
「東京の収益物件への投資ってどうなの?」
「東京の収益物件が気になるけど、後悔しないかな……」
「東京の収益物件の投資を成功させるポイントは?」
東京の収益物件への投資が気になっている方もいるでしょう。東京の収益物件は、需要が安定していたり、資産価値が維持されやすかったりなどの魅力的なメリットが多くあります。
しかし、東京ならではのデメリットが存在することも確かです。
この記事では、東京の収益物件へ投資するメリットやデメリットについて詳しくご紹介します。2024年の東京の収益物件の市場動向や、不動産運用を成功させるポイントについてもまとめています。
東京の収益物件に少しでも興味のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
東京の収益物件へ投資するメリットは、以下の3つです。
順に詳しく解説していきます。
1つ目のメリットは、不動産需要が安定していることです。
東京にはさまざまな企業や大学があり、地方からの移住者も多いため、賃貸需要が高いことが特徴です。適切な物件を選べば、入居者の確保は比較的しやすいでしょう。特に、都市部やアクセスが良いエリア、商業施設が充実しているエリアなどは、長期にわたって安定した入居率が期待できます。
また、東京は海外からの観光客も多く、短期の賃貸物件の需要が高いことも注目すべきポイントです。観光地や国際展示場などのイベント会場に近い物件は短期滞在のニーズにも応えやすいため、投資家にとって魅力的な選択肢の一つといえます。
2つ目のメリットは、資産価値が維持されやすいことです。
東京は日本の政治経済の中心のため、地価や物件価格の下落リスクが他の地域に比べて低い傾向があります。都心の一部エリアでは、物件の資産価値が上昇する可能性も高く、将来的にキャピタルゲインを期待できるかもしれません。
さらに、賃貸需要が安定しているエリアでは家賃の下落リスクも低いため、高い賃料を維持しやすいことも理由です。
3つ目のメリットは、出口戦略が立てやすいことです。
不動産投資では、出口戦略を事前に考えておくことが重要です。出口戦略とは、収益物件の将来的な運用方針を決めることを指します。たとえば、長期的に賃貸運用を続けるのか、あるいは売却して利益を確定するのか、といった選択肢を検討することです。
出口戦略を考える際に特に重要なのは、収益物件が売却できるかどうかです。売却が難しい場合、資金の回収が困難になり、投資の意味が薄れてしまう恐れがあります。
地方では中古の収益物件が売れにくいことが多い一方で、東京の収益物件は購入希望者が多く、比較的スムーズに売却できる点が大きな利点です。
東京の収益物件への投資を行う際には、以下の3つのデメリットについても考慮する必要があります。
それぞれのデメリットについて詳しく解説していきます。地方の収益物件との違いにも触れていくので、ぜひ参考にしてください。
都内の物件は高額で初期投資が大きいため、表面利回りは地方の物件に比べて低い傾向があります。特に、都心の人気エリアでは物件価格が上昇しており、購入価格に対して得られる家賃収入が相対的に少なくなることが多いです。対して、地方の収益物件は東京に比べて割安で、同じ規模の物件でも高い利回りを期待できる可能性があります。
とはいえ、地方のマンションやアパートは空室リスクが高い一方、東京の物件は空室リスクを低く抑えやすい点はメリットでしょう。
表面利回りが低いからといって、それだけで収益を判断するのは早計です。表面利回りだけに注目せず、長期的な利益率を見極め、東京と地方のどちらの投資がより有利かを総合的に判断することが重要です。
利回りについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参考にしてみてください。
東京の収益物件は、固定資産税や都市計画税などの税金が、地方に比べて高い傾向があります。
固定資産税は、土地や建物などの不動産を所有している場合に課される税金で、計算式は「課税標準額 × 1.4」です。基本税率は、基本的に全国一律で1.4%ですが、各自治体が独自に税率を設定できるため、異なる場合もあります。また、課税標準額は、固定資産の評価額(市町村が決定した金額)から求められます。
税率自体は全国的に同じ場合が多いものの、東京は地価が高いため、実際に支払う税額は地方に比べて大きくなることがポイントです。
また、都市計画税も加わることで、税金がさらに高くなります。
東京は地震や台風といった自然災害のリスクが高いことも、収益物件投資におけるデメリットです。近年では、首都圏を中心に直下型地震の発生リスクが増しています。都内にある築年数の経った建物には、耐震構造が強化されていない物件も存在しているため、物件選びには慎重になる必要があるでしょう。
大規模な地震が起きると、建物の損壊や修繕費用が発生するリスクがあります。また、災害後の復旧には時間がかかることがあるため、その間の賃貸収入が途絶える可能性も否定できません。
災害時の影響を軽減するためには、物件の地震対策や周辺エリアの災害ハザードマップを確認しておくことが大切です。
続いて、東京の収益物件の市場動向について、以下3つの観点から解説します。
上記のポイントをとおして、東京の収益物件市場の現状や将来の見通しを探っていきます。
収益物件の需要を予測するためには、人口の転入超過数を確認することが重要です。
転入超過数とは、特定の地域に新たに住民が移り住んできた人数(転入数)から、同じ期間内にその地域を離れた住民の人数(転出数)を差し引いた数です。転入超過数がプラスであれば、地域への人口流入が進んでいることを示し、賃貸物件の需要が高まる可能性があります。逆に、転出数が転入数を上回る場合は、人口減少を示し、物件の需要が減少することが予想されます。
総務省統計局の「住民基本台帳人口移動報告」によると、2023年の東京23区の転入超過数は約47,500人のプラスです。すべての区で、転入超過数がプラスとなりました。特に足立区は、2010年以降の最高値を更新しました。
東京23区では2030年まで人口が増えるとも予測されており、賃貸物件の需要は引き続き高い水準を維持すると考えられています。今後も人口増加が見込まれるため、退去が発生しても新たな入居者をすぐに見つけやすく、安定した家賃収入が期待できるでしょう。
収益物件の需要を予測する際に、新築住宅の着工戸数の動向を確認することは非常に重要です。
着工戸数が増加している地域では、人口増加や経済が活発である可能性が高く、賃貸物件の需要も高まることが予想されます。逆に、着工戸数が減少している場合は、賃貸需要が減少する可能性があるでしょう。
国土交通省の「建築着工統計調査」によると、2020年以降、東京23区の着工戸数は増加傾向にあります。特に、コンパクトタイプ(31〜60㎡)の住宅供給が多いことが特徴で、需要に応じた住宅供給が進んでいることがわかります。
また、区別では、足立区、大田区、世田谷区が高水準の供給を維持しており、これらのエリアは特に注目すべき市場といえます。
収益物件の需要を予測する際、賃貸物件の稼働率の動向も重要な要素となります。
東京23区では、2020年から2021年にかけて賃貸マンションの稼働率が大幅に低下しました。要因として、新型コロナウイルスによる移動制限やテレワークの普及により、地方からの転勤者が減少したことが挙げられます。さらに、オンライン授業の導入により、学生が住まいの契約を見送る動きも見られました。特にワンルームマンションは、学生や単身者の需要減退により稼働率が大幅に低下しました。
しかし、2022年上期以降、経済の回復とともに稼働率は上向き。ワンルームやコンパクトタイプの物件は、コロナ前と同水準にまで回復しました。
なお、ファミリータイプの賃貸物件については、コロナ前後で稼働率に大きな変動はなく、安定した需要が続いています。
賃料に関しても、コロナ禍ではワンルームの賃料が一時的に下がったものの、その後、経済活動の再開に伴い再び上昇傾向にあります。
東京の収益物件を成功させるポイントは、以下の5つです。
それぞれ詳しく解説していきますので、収益物件を成功させたい方はぜひ参考にしてください。
需要のある物件を見極めることは、収益物件に投資をするうえでとても重要です。
ポイントは、ターゲット層をしっかりと絞り込み、ターゲットに合った立地や物件タイプを選定することです。たとえば、最近は単身者が増加していることからシングル用のマンションの需要が高まっています。都心へのアクセスが良く、利便性の高いエリアであれば入居者が長期間住んでくれる可能性も高まります。
逆に、需要のない物件では、空室率が上がり安定した家賃収入を得ることが難しくなるでしょう。
どのような物件に需要が集まっているかを自分で判断することが難しい場合は、専門家に相談することをおすすめします。地域の不動産市場の動向や将来性などについてアドバイスをもらえる可能性があります。
資産価値が落ちにくい物件を選ぶことも重要です。以下は、資産価値が落ちにくい物件の特徴をまとめたものです。
物件を選ぶ際は、実際に足を運んで現地調査を行うことも重要です。以下は、現地調査の際に確認すべき主なポイントです。
気になる収益物件が見つかったら、実際に現地に足を運び、詳細を確認することが大切です。
マンション経営をスタートさせたら、経営を管理会社に委託することも大切なポイントです。すべてを自分で行うよりも、管理会社に仕事を任せることで、経営をスムーズに進めることができます。
「家を貸せば自動的に家賃収入が得られる」「管理業務は休日にこなせば問題ない」と思う方もいるかもしれませんが、実際には入居者からの問い合わせ対応や慣れない管理業務は大きな負担となることが多いです。
その結果、本業に支障をきたすことも考えられますし、管理が不十分だと入居者の不満がたまり、退去リスクも高まります。
こうしたリスクを回避するためにも、プロの管理会社に業務を委託するのは賢明な選択です。委託費用は家賃収入の5〜10%が一般的な相場とされています。
管理会社のサポートを受けることで、マンション経営をより円滑にスタートさせることができるでしょう。
家賃設定の際には、地域の平均家賃を参考にすることがポイントです。平均家賃を基準に設定することで、競争力を保ちつつ、適切な収益を確保することができます。周辺の賃貸市場の動向を把握し、同エリア・同タイプの物件と比較することで、相場に見合った家賃設定が可能になります。
もし相場より高く設定すると、入居者が集まりにくくなり空室が発生しやすくなります。一方で、相場より低い場合、収益性が下がってしまうだけでなく、物件の価値が低く見られてしまうリスクもあります。
平均家賃をしっかりリサーチし、需要と供給のバランスを見極めた家賃設定を行うことが大切です。
東京の収益物件は、需要が安定していたり、資産価値が下がりにくかったりなどの魅力メリットがあります。一方で、物件の購入費や維持費用が高い、自然災害リスクがあるなどの注意点についても理解しておく必要があります。
東京の収益物件への投資を成功させるためには、市場の動向を把握することが重要です。この記事で紹介した成功させる5つのポイントも参考にしてみてください。
また、東京の投資に精通した専門家に相談することもおすすめです。専門家のアドバイスを受けることで、具体的な市場分析や物件選びに役立つ情報を得ることができます。
M-LINEでは、東京の収益物件に関する投資相談を承っており、さまざまなお悩みを解決するための専門スタッフによるコンサルティングも実施しています。ぜひ一度、お気軽にご相談ください。
2024/10/31
2024/10/31
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