小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
日々の生活を送っていく中で、いつかは訪れる『両親の暮らしをどうするのか問題』。遠く離れた両親の生活を心配に思い、そろそろ二世帯住宅に一緒に住もうかな…という選択をする方もいらっしゃるでしょう。
しかし、実際に二世帯住宅に暮らすとなると、世帯主として考えなければならないことや知っておかなければならないことなど、様々な疑問や問題が生じます。
そこで今回は、二世帯住宅における世帯主の役割とともに、2つの家族がともに暮らしていくために知っておきたい家づくりのポイントをまとめてご紹介します。これからの家づくりと暮らしにぜひお役立てください。
そもそも、世帯主にはどのような意味合いがあるのでしょうか。
世帯主とは、一般的に『年齢や所得にかかわらず、世帯の中心となって物事をとりはかる者』として世帯側から報告された者のことをいいます。そのため、その家にとっては家族の代表者という役割になり、さまざまな責任も生じます。
世帯主は、各世帯で必ず一人定める必要があります。
二世帯住宅の場合、もともと親世帯と子世帯だった2つの世帯が1つの世帯になります。そのため、親世帯か子世帯のどちらかが世帯主になるという流れが一般的です。
二世帯住宅の場合、『主としてその世帯の生計を維持している者、及びその世帯を代表する者として社会通念上妥当であると認められる者』が世帯主になります。そのため、二世帯住宅を建てる時の状況によって判断するようにしましょう。
本来世帯主は、各世帯で必ず1人定める必要があります。しかし、二世帯住宅を建てて住む場合、必ずしも世帯主を1人にしなければならない訳ではありません。
通常、同居している家族はひとつの世帯となりますが、あえて世帯を分離する『世帯分離』を選択することもできます。住民移動届を提出し、手続きをすることで世帯分離は可能です。
例えば、子育てを手伝うために一緒に住んでいるだけで家計は別、介護を手伝うために一緒に住んでいるだけで家計は別、といった場合は別々の世帯とみなすことができます。
世帯分離をして世帯年収を下げることで、各種保険料を節約することができます。
世帯分離のメリット
75歳以上の後期高齢者の医療費を負担する医療制度を、後期高齢者医療保険といいます。
この保険料は世帯所得によって負担額が決まり、低所得の場合、保険料の軽減制度が適用されます。
高額介護サービス費が下がる
1カ月の介護費用が高額になった場合、自己負担額の上限を超えた金額が払い戻される制度を高額介護サービス費制度といいます。
自己負担の上限額は5段階あり、所得が低ければ低いほど上限が下がるため、介護サービスを受けやすくなります。
国民健康保険料が下がる可能性がある
国民健康保険の納付額は、前年の所得によって変わります。そのため、世帯分離をして所得を下げることで、納付額を減らすことができます。
ただ、世帯分離をしても両世帯の総額を考えると、保険料が高くなる可能性もあります。
世帯分離のデメリット
一方、国民健康保険料が増える可能性がある、扶養手当が支給されない、会社の健康保険組合を利用できないといったデメリットもあります。
せっかく二世帯住宅に一緒に暮らすなら、一緒の世帯がいい…という場合は世帯合併をしましょう。住民移動届を提出することで、ひとつの世帯にすることができます。
世帯分離の恩恵を受けることはできませんが、十分な所得がある場合は世帯合併しておいた方が、保険料や各種税金の負担をおさえることができます。いずれにしろ負担減に関する情報は常に更新されているため、都度チェックするようにしましょう。
二世帯住宅は、子世帯にとっては子どもの面倒を見てもらうことができる、資金面で援助を受けやすい、家事の負担が減る、といったメリットがあります。一方の親世帯にとっても、いざというときに頼れる存在がすぐ側にいる、有意義な老後の暮らしを送ることができる、といったメリットがあります。
それぞれにとってメリットがある一方で、親子とはいえ別々の暮らしを送っていた2つの世帯が一緒に暮らす上では、
によって様々なトラブルが起こりやすいという側面もあります。それぞれの違いを受け入れた上で、程よい距離感を保ちながら、仲良く快適に暮らすことができるような間取りの工夫が必要です。
世帯主として考えることとして、それぞれの家族のライフスタイルに合わせた間取りプランを考えることが挙げられます。
様々な暮らし方を想定した上で、間取りプランを考えていきましょう。
世帯合併をする場合、玄関や水まわりを共用で使用するプランがあります。共用部が多くなるため建築費用を削減することもできます。
全ての水まわりを共有しなくても、ひとつメインキッチンをつくり簡易型のキッチンを各プライベートスペースにつくることで、お互いに使用したい時に利用することができます。
世帯分離をする場合、玄関のみ共用してそれ以外は分けるプランがあります。共用部分が少なくなるため、それぞれのライフスタイルを守ることができます。
居住スペースが多くなると、どうしてもその分広さが必要となるため、3階建てなどの多層階住宅を視野に検討するなど、広い視野でプランニングをしてみましょう。
ひとつの建物で暮らすこととには変わりませんが、生活空間をしっかりと分けるプランニングも可能です。お互いの生活スタイルの違いも気にならず、干渉も減るためプライバシーを守ることができます。
このプランの場合、生活空間のすべてがふたつ建築されますので建築コストがかかります。
このように、二世帯住宅の建て方ひとつで生活のパターンや快適性は大きく違ってきます。
理想の暮らしを実現するためには、建てる前、プランの時、建てた直後など、お互いの意見を出し合い検討することが一番重要です。
面倒に感じるかもしれませんが、住み始めてからでは遅いため、家族内の意見をしっかりとすり合わせた上で間取りプランを考えていきましょう。
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世帯分離をするのか、世帯合併をするのかによって誰が二世帯住宅の世帯主になるのかが変わります。どのような暮らしをしたいのかを検討した上で、世帯主を決め新しい暮らしをつくりあげていきましょう。
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2024/09/30
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