小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
ライフスタイルが多様化する中、最近は従来の二世帯住宅に加えて、三世帯住宅を検討するご家庭が増えています。
しかし、いまいちどのような住まいになるか想像できない方も多いはずです。
そこで、こちらの記事では三世帯住宅のメリット・デメリットや暮らし方のポイント、間取りづくりに関する注意点などについて詳しく解説します。
これからマイホームづくりを検討する方はもちろん、新たにご家族との暮らしを始める方は、ぜひ参考にしてください。
日本は世界有数の長寿大国です。
そのため、親・子・孫で長期間生活を共にするご家庭が増えています。
また、核家族化が進み、親・子(兄弟)の世帯で同じ屋根の下に住み続けるケースも少なくありません。
そんな中、最近増えているのが「三世帯住宅」です。
三世帯住宅とは、文字通り、3つの世帯が共同生活を営むための住宅で、二世帯住宅も含めて「多世帯住宅」とも呼ばれます。
三世帯住宅が増えている理由は、生活スタイルの多様化が挙げられますが、それ以外にも国を挙げて様々な施策が設けられている影響も大きいです。
国や自治体は、深刻な少子高齢化や介護問題の対策として、三世代の同居や近居を推し進めており、そのための補助制度も数々設けられています。
また、若者の未婚率上昇やDINKSの増加、コロナ禍による精神面や経済面での不安からも、多世帯住宅が注目されているのです。
今までは比較的に郊外では多世帯住宅が多い傾向でしたが、都心部でも三世代同居の推奨が進んでいます。
その表れとして、都内のいくつかの区では独自の補助金制度や支援制度を設けています。
助成金額や対象物件にそれぞれ違いはあるものの、これらに共通する理念は「三世代が同居することで介護や子育てをお互いサポートしやすい住環境を整える」ことです。
家族全員にとって心地よい環境を整えることで、高齢者や子育て世帯、就労世代の人の定住化が進み、街の活性化に繋がることが期待されています。
では、三世帯住宅に住むことのメリット・デメリットはどのような点でしょうか?
ここでは、それぞれ具体的に紹介します。
三世帯住宅の主なメリットは5つあります。
まず、第一に新築時の建設費用を世帯数で分割しやすいため、一世帯住宅と比べると費用負担が抑えられます。
そのため、まだ貯蓄が十分でない若年世帯のご家庭でも、マイホームが持てるのです。
一方、貯蓄はあるものの、将来住宅費でどのくらいの資金が必要か不安に感じる高齢者にとってもメリットがあります。
建物の維持修繕費用を子世帯などにある程度依存できるためです。
そして、最も大きい利点が「介護や子育てのサポートが受けられる」点でしょう。
共働き世帯が増えていると同時に、元気な高齢者も多くいるため、家族間で互いに日常生活をサポートしやすい環境が整います。
建物の所有者をあらかじめ複数人にしておけば、親子の共有資産となるため、相続税対策にも有効です。
生活面や経済面でのメリットがある一方、十分に検討せずに同居を始めてしまうと後悔するケースも後を絶ちません。
その原因は主に3つです。
最も気を付けなくてはいけないのが、間取りや世帯間の距離感です。
ご家庭によっても心地よいと感じる距離感は様々ですし、生活スタイルによって適した間取りは異なります。
そのため、建設会社や設計事務所に任せすぎると、実際住んでみてストレスになることも少なくありません。
必ず、住み始めた後の生活をイメージして、積極的にプランニングに参加しましょう。
最近では互いの世帯を完全分離するスタイルが一般的になりつつありますが、お互いの生活エリアを分ければ分けるほど、建設コストがかかってしまいます。
そのため、予算に応じてある程度の共有空間を設けることもおすすめです。
また、家族構成の変化に伴って、フレキシブルに間取りを変更できるようにしておくことも、長期的に住む上では欠かせません。
一般的には、三世帯住宅は売却が難しいと言われていますが、その際も間取り変更をしやすくしておけば有利に働く可能性もあります。
三世帯住宅は、二世帯住宅と比べても同居パターンが豊富なのが特徴です。
そこで、ここではそれぞれのパターンについて、ポイントを紹介します。
最も一般的なのが、こちらの三世代同居です。
ひと昔前は、親世帯と子世帯が二世帯住宅に住むことが一般的でしたが、長寿化が進む現代においては、祖父母世帯もまだまだ元気で自立生活が十分可能なケースが少なくありません。
この場合、バリアフリーへの配慮は必須であるものの、近い将来に家族構成が変わる可能性は高いため、スペースの利用方法を中長期的に考えておくことも必要です。
祖父母世帯が使っていた部屋を、賃貸で貸し出せるようにしておくなど、家族で10年後20年後の住まい方について話し合っておくこともおすすめします。
子供が複数人いる場合には、どちらも親世帯と同居を考える場合もあります。
この際のポイントは、子世帯の部屋を単身者用にするか家族用にするかです。
将来的に結婚する可能性がある場合には、夫婦や子連れで住むことも想定しておかなくてはいけません。
また、子供がそれぞれ結婚した場合、配偶者同士は赤の他人です。
そのため、互いのプライバシーをしっかりと確保できる間取りづくりが必要になります。
不動産の権利関係上、稀なケースではあるものの、子世帯夫婦それぞれの親と同居する家庭もあります。
その原因は、少子化に伴う一人っ子家庭の増加にあります。
当初は同居を考えていなくても、止むを得ず三世帯で同居しなくてはいけなくなるケースもあるでしょう。
このような場合、親同士のプライバシーを確保するための配慮は欠かせません。
また、三世帯中二世帯で介護が必要になることも想定して、エレベーターを設置することも検討しましょう。
三世帯住宅ならではのデメリットや、同居パターンごとの懸念点を解消するには、間取りを工夫しなくてはいけません。
そこでおすすめなのが、階層で世帯を分ける「上下階完全分離型」です。
互いの視線を気にすることなく適度な距離感が保てます。
また、互いの生活に踏む込むためには上下階を行き来しなくてはいけないため、干渉しにくくなるでしょう。
ただし、これだけでは単なる集合住宅で生活するのと変わりありません。
世帯間で良好な関係を維持するためにも、集まって同じ時間を過ごせる場所は必要です。
例えば、中庭や屋上などがあると、週末だけ集まって一緒に食事をすることも可能となります。
共有部を設ける以外にもポイントとなるのが、「住まいの循環性」です。
どの同居パターンにしても、それぞれのライフスタイルの変化に伴い、ずっと永続的に同じ間取りで生活できるとは限りません。
将来的に三世帯を二世帯にしたり、一部を賃貸住宅として変用できるようにしておくなど、建物の活用方法を長期的な視点で考えておくことも必要です。
将来的に建物の一部を賃貸物件などに転用する場合、その用途によっては再度確認申請をしなくてはいけない場合があります。
下記のケースに該当する場合には、必ず事前に各自治体の建築指導課へ確認しましょう。
用途変更するスペースの床面積が200㎡を超える場合
特殊建築物(集会場、病院・診療所、ホテル・旅館、倉庫など)の用途に変更する場合
ただし、全てのケースで申請が必要とは限りません。
しかし、必要でない場合にも建築基準法に則した仕様や間取りにしていないと、後々大規模な改修ができなくなったり売却時にトラブルになる可能性があります。
ですから、確認申請の必要可否に関わらず、建築基準法に則ったプランニングや施工をしてくれる信頼できる業者を選びましょう。
三世帯住宅を建てる際、土地や建ぺい率にゆとりがある場合には、余剰スペースを有効活用して家賃収入を得ることもできます。
それが、「併用住宅」です。
ご家族の居住スペースに加え、家賃収入を生み出す事業スペースを区分分けして併用する住宅のことで、賃貸住宅や賃貸オフィス、店舗、医療・福祉施設など、様々な用途との組み合わせが可能です。
立地によっては、安定した不労収益を作ることができるため、ぜひ合わせてご検討ください。
少子高齢化が進む中、子育て世帯と高齢者世帯で互いをサポートしながら住むご家庭が増えてきています。
そのため、都市部を中心として、多層型の三世帯住宅が増えています。
しかし、同居する世帯のパターンによって、間取りを工夫しなくてはいけません。
また、将来を見据えて可変性のあるプランにしておく必要もあります。
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さらに、収支シミュレーションや建築後のフォロー体制も万全で、東京で安心してアパート・マンション経営を始められます。
「賃貸経営で土地活用したいけど入居者が集まるか心配」「建築費と利回りのバランスが分からない」などの場合も、それぞれのご希望に沿ったご提案が可能です。
賃貸住宅・賃貸併用住宅・ソーシャルアパートメントなどの土地活用をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
2025/01/30
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