アスベスト処分の費用相場

アスベスト処分の費用相場は?安くする方法も詳しく紹介

「アスベストが含まれている建物の解体費用はどれくらい?」と気になる方も多いのではないでしょうか。

アスベストとは、石綿とも呼ばれる天然の鉱物です。熱や摩擦などに強い特性があるため、これまで建築資材として用いられていました。しかし、健康被害が発生したことから、現在は原則として製造も使用も禁止されています。

そこで本記事では、アスベスト処分の費用相場や必要な手続きを詳しく解説します。アスベストが含まれる建物の解体を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

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アスベスト処分の費用相場

アスベスト処理にかかる費用

アスベストを処分する費用相場として、国土交通省が2007年1月から2007年12月における施工実績データに基づいた目安を紹介します。費用には事前調査や仮設工事、廃棄物処理など除去工事にかかる費用が全て含まれています。

300㎡以下 2.0万円/㎡~8.5万円/㎡
300㎡~1000㎡ 1.5万円/㎡~4.5万円/㎡
1000㎡以上 1.0万円/㎡~3.0万円/㎡

参考:アスベスト対策Q&A|国土交通省

上記の金額はあくまでも目安です。実際はアスベストが含まれている場所や発じん性などによって作業の対策レベルが変わるため、費用も変化します。

レベル1の処分費用相場

レベル1の処分費用の相場は、1㎡あたり5,000円〜85,000円です。発じん性が著しく高い濃度のアスベストであり、アスベスト含有吹付け材などが該当します。レベル1のものは、耐火用や断熱用、吸音用として使用されるケースが多いです。なお、アスベスト含有吹き付け材が使用される場所として、以下が挙げられます。

アスベスト含有吹き付け材はそのまま処分すると、大量のアスベストが飛散する可能性が高いです。そのため、以下で紹介する3つの工法で処分します。

除去工法

除去工法とは、既存のアスベスト含有吹付け材の層を下地から取り除く工法です。リムーバル工法とも呼ばれます。

メリットはアスベストを完全に取り除けることです。一方で、機材が必要になるため費用が高額になることと、取り除くのに時間がかかることがデメリットとして挙げられます。

アスベスト含有吹き付け材はそのまま処分すると、大量のアスベストが飛散する可能性が高いです。そのため、以下で紹介する3つの工法で処分します。

封じ込め工法

封じ込め工法とは、既存のアスベスト含有吹付け材の層はそのまま残し、外側からアスベストが飛散しないように封じ込める工法です。

メリットとして、工事期間が短く済むことと、費用が比較的安いことが挙げられます。しかし、取り除くわけではないため、アスベストが残ってしまうのがデメリットです。

囲い込み工法

囲い込み工法とは、既存のアスベスト含有吹付け材の層はそのまま残し、その上からアスベストではない素材のものを完全に覆うことで密封する工法です。

メリットとして、コストを比較的抑えられることと、工事期間が短く済むことが挙げられます。しかし、封じ込め工法と同様、アスベストが残ってしまうのがデメリットです。

レベル2の処分費用相場

レベル2の処分費用の相場は、1㎡あたり1万〜6万円です。レベル1程ではありませんが、高い発じん性があります。なお、レベル2は以下のような場所で使用されています。

レベル3の処分費用相場

レベル3の処分費用の相場は、1㎡あたり3,000円程度です。レベル3は、レベル1.2と比べて固く割れにくい建材で、アスベストが飛散するリスクが低いです。ただし、解体の際に注意しなければなりません。なお、レベル3は以下のような場所で使用されています。

アスベスト処分費用を安くするには

アスベストの処分費用を抑える方法

アスベスト処分の費用を安くする方法として、以下の2つが挙げられます。

アスベストの処分費用は決して安くはありません。そのため、専門業者に依頼する際は、少しでも費用を安く抑えたいという方は多いでしょう。

下記では、それぞれの方法について詳しく解説します。

補助金を利用する

アスベストの処分にかかる費用に対して、自治体によって補助金が設けられている場合があります。例として、3つの補助金を紹介します。

吹付けアスベスト等分析調査補助金制度

大阪府東大阪市では、アスベストの含有の有無や含有量を調べる際の費用として、最大25万円が助成されます。補助金の対象となる条件は、昭和31年から平成元年までに建築され、延床面積合計300㎡以上の飛散性の高い吹付けアスベストなど(レベル1)が施工されている恐れがある建築物です。

参考:吹付けアスベスト等分析調査補助金制度

アスベスト除去等工事費用助成

東京都江戸区では、除去工事費用の3分の2が助成されます。助成限度額は、住宅の場合は30万円、共同住宅や長屋、事務所、作業所、店舗、倉庫、駐車場などの場合は100万円です。条件として、除去工事後も、建物を継続的に使用することが定められています。

参考:アスベスト除去等工事費用助成

吹付けアスベスト除去等助成事業

京都府京都市では、除去工事費用の3分の2が助成されます。助成限度額は、100万円です。アスベストの含有の有無や含有量を調べる場合は、最大25万円が助成されます。

補助金の対象となる条件は、吹付けアスベスト及びアスベスト含有吹付けロックウールについて含有調査を行い、アスベストが重量の0.1%を超えていること、継続して使用する予定のある建築物であることなどです。

参考:吹付けアスベスト除去等助成事業

相見積もりをする

1社のみに見積もりを取るのではなく、複数の解体業者に見積もりを依頼します。複数見積もりを取ることで、解体工事にかかる費用の相場を把握することが可能です。さらに、他社の見積もり金額を提示することで、他者との費用交渉もしやすくなります。

また、アスベスト除去工事の実績が豊富な業者を選ぶことが重要です。補助金を利用する場合は、依頼できる業者が限られていることがあります。しっかり条件を確認した上で、業者を選定することが大切です。

アスベストの事前調査は義務

アスベストの事前調査

令和4年4月1日以降に着工する一定規模以上の解体・改造・補修工事では、アスベストの有無に関わらず、アスベストの調査結果の報告が必要です。具体的には、設計図書などの文章と現場を目視で確認し、建材が設計図書と整合しているかを確認する作業を行います。なお、その結果は現場に掲示し、3年間保管します。

2006年以降に建てられた建物はアスベストの使用が全面禁止されているため、着工日や製造日などを文書で確認すれば事前調査として報告可能です。また、2023年10月以降は、専門の講習を修了した者だけが事前調査を行うことになりました。

アスベストを処分する流れ

アスベスト処分の流れ

アスベストを処分する際は、大きく以下の4ステップに分けられます。

アスベストの処分は、費用だけでなく手間もかかります。そのため、事前に流れを把握しておくことで、スムーズに処分工事まで進められます。

事前調査

事前調査は義務化されており、主に3つの調査があります。

調査種別 料金相場 調査内容
図面調査 約2.5万円 設計図面から建築材のアスベストの有無を確認する。
現地調査 約3.5万円 アスベストが使用されている可能性の高い天井・壁・柱などを目視確認する。サンプルの取得も実施する。
分析調査 約4.5〜7万円 調査したサンプルを調べ、アスベストの有無を確認する定性分析と含有率を確認する定量分析を実施する。

費用は図面調査、現地調査、分析調査のそれぞれに発生します。

必要書類の作成・届出

アスベストの処分工事をするにあたり、必要な届出があります。なお、必要な届出はアスベストのレベルによって異なります。

アスベストのレベル 必要な届出
レベル1 工事計画届出書
特定粉じん排出等作業実施届出書
事前届出書
建築物解体等届出書
レベル2 工事計画届出書
特定粉じん排出
事前届出書
レベル3 事前届出書

 

届出書類 提出先 提出期限
工事計画届出書 労働基準監督署長宛 作業の14日前
特定粉じん排出等作業実施届出書 各都道府県知事宛 作業の14日前
事前届出 各都道府県知事宛 作業の7日前
建築物解体等作業届 労働基準監督署長宛 作業開始前

 

近隣の住民への告知

工事の施行者は、解体現場に「建築物等の解体作業等における石綿のばく露防止対策等」の内容を提示する必要があります。なお、石綿のばく露防止対策とは、アスベストが体内に侵入するのを防ぐ対策のことです。近隣の方へ工事の説明を行うのは、トラブルを回避し、解体工事をスムーズに進めるためです

基本的に施行者が、アスベストの処分工事の内容や注意点を説明します。ただし、クレームを防止するために、可能であれば発注者も同行することをおすすめします。

処分工事

処分工事をするにあたって、まずは足場と養生シートの設営を行います。足場とは、高所で施工者が作業する際に必要な作業床のことです。また、養生シートとは、建物を囲むシートのことを指します。

建物を解体する際、周囲にアスベストや埃が舞うのを防いだり、騒音を軽減したりするのが役割です。アスベストを含む建物は通常の建物を取り壊すよりも、より対策が必要になります。アスベストを1箇所に集める集じん・排気装置の設置したり、アスベストが飛び散るのを防ぐ飛散防止剤をまいたりする作業も行います。

事前の準備を終えたら、集じん・排気装置を稼働させ、アスベストを集めながら除去していきます。除去したアスベストは二重梱包か固形化したうえで、適切に処理・処分を行います。作業が終わったあとは、使用工具などに付着したアスベストを十分に清掃しなければなりません。

集めたアスベストは最終処分場へ運搬し、足場や養生シートも撤去します。

アスベスト解体工事後の土地活用法

解体工事後の土地活用

アスベスト解体工事後、更地になった土地を上手く活用したいという方もいるのではないでしょうか。アスベスト解体工事後の土地活用法として、以下の5つが挙げられます。

活用法によって、メリットとデメリットが異なります。また、周辺の環境によっても最適な方法が異なるため、考慮したうえで判断することが大切です。下記では、それぞれの活用法について詳しく解説します。

駐車場経営

駐車場経営の最大のメリットは、安定した収入が期待できることと、投資リスクが低いことです。コインパーキングや月極駐車場は運営会社に土地を一括賃貸する形式を選択する方が多くいます。土地を一括賃貸した場合、運営会社から毎月固定の賃料が入ってきます。また、賃貸経営のように建物を必要としないため初期費用も少ないです。

初期費用が少なければ、駐車場経営に失敗した時のリスクも低いです。そのほか、転用しやすいこともメリットの1つです。建物を建築しないため、土地の売却や他の土地活用を素早く行えます。

しかし、収益が比較的低いことと、税制面で優遇されにくいことがデメリットです。建物がない分、アパートやマンション経営に比べて、収益性が低くなります。また、固定資産税や都市計画税の優遇を受けられません。

トランクルーム経営

トランクルームとは、個人や法人のための貸し倉庫のことです。トランクルームを経営するメリットとして、初期費用を抑えられることと、転用しやすいことが挙げられます。特にコンテナ型のトランクルームは、コンテナを設置するだけで始められるため、低コスト・低リスクで土地を活用したい方におすすめです。

基本的に電気や水道、ガス工事なども必要ありません。修繕費用や管理点検も不要で、辞めたいと思ったときに転用がしやすいです。しかし、収益化までに時間がかかる場合があることや税制面で優遇されにくいこと、収益が比較的低いことがデメリットとして挙げられます。

アパートやマンションとは異なり、トランクルームには新規開設という付加価値はありません。また、相続税の節税効果もないため、空室が長く続くと利回りは悪くなります。

コインランドリー経営

コインランドリー経営のメリットは、節税効果があることや固定の利用客がつきやすいこと、ランニングコストが低いことです。相続税を低く抑える小規模宅地等の特例や設備費用の即時償却などの節税効果が期待できます。

また、コインランドリーを利用する人はリピーターになりやすいです。そのため、定期的に利用してくれるリピーターを増やせば、安定した収入につながります。アパート・マンション経営では経年劣化に伴い、さまざまな修繕が必要になりますが、コインランドリーの場合大幅な出費になることはありません。

コインランドリー経営について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

戸建て賃貸経営

戸建て賃貸経営のメリットは、管理に手間がかかりにくいことや入居期間が長い傾向にあること、節税効果があることなどです。アパート・マンション経営とは異なり、共用部の修繕が不要なため、管理労力が軽減されます。

また、ファミリー層が中心に住むため、入居期間が長い傾向があります。引越し費用が大きな出費になる他、子供を転校させたくない、住みやすいなどの理由で、引越しまで至らないケースが多いです。その結果、安定した収入につながります。アパート・マンション経営と同様、固定資産税や都市計画税などの節税効果が期待できる点も大きなメリットです。

しかし、空室リスクが大きいことや隣人トラブルが起こる可能性があることがデメリットとして挙げられます。戸建て賃貸は1家族が入居するため、空室が出た時には家賃収入が大幅に減ってしまいます。また、上下の騒音トラブルはありませんが、隣人トラブルの可能性があることにも注意が必要です。

マンション経営

マンション経営のメリットは、資産になることや節税できる場合があること、安定した収入が期待できることです。建物の価値が極端に低くなっても、土地の価値が大幅に下がることはありません。また、マンション経営をすることで、相続税や固定資産税、減価償却による所得税の節税が期待できます。

その一方で、災害などのリスクがあることやイニシャルコスト・ランニングコストがかかることがデメリットです。マンション一棟を保有している場合、共用部の火災保険や地震保険への加入は、オーナーが行います。火災保険の加入はローンを組んでいれば必須ですが、地震保険は任意です。火災保険よりも保険料が高額になりますが、災害などが起こった時に入っていないと大きな損失につながります。また、共用部の修繕が必要になった場合、費用が高額になることも珍しくありません。

マンション経営について、詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

アスベストの処分や土地活用の相談をするなら

今回は、アスベスト処分にかかる費用相場や必要な手続きなどについて詳しく解説しました。アスベストは健康被害が確認されたため、平成18年以降は原則使用が禁止されています。それよりも前に建てられた建物には、アスベストが含まれている可能性もあります。

アスベストが含まれている建物を解体する際は、実績が豊富な業者に依頼することが重要です。処分費用は決して安くはないため、補助金が使えるか確認し、相見積もりで料金を比較する必要があります。土地活用をお考えの方は、お気軽にご相談ください。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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