店舗兼住宅を建てる際にかかる費用は?ポイントや注意点を解説

店舗兼住宅を建てる際にかかる費用は?ポイントや注意点を解説

新築住宅と店舗の両方を手に入れたいと考えている方の中には、店舗兼住宅に興味を持っている方も多いのではないでしょうか。

店舗兼住宅は、店舗分の家賃がかからず、維持費を節約しながら経営できることが大きなメリットです。通勤が不要で、プライベートと仕事を両立しやすいことも魅力でしょう。

しかし、建築費や立地、税金など慎重になるべき点も複数あり、事業の成功と快適な暮らしの両方を考慮した、入念なプランニングが欠かせません。

この記事では、店舗兼住宅を建てる際の費用やポイント、失敗しないための注意点について詳しく解説します。店舗兼住宅のメリットやデメリットもまとめているので、ぜひ参考にしてください。

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店舗兼住宅でかかる費用に関する知識

店舗兼住宅でかかる費用に関する知識

まず、店舗兼住宅にかかる費用について、以下4つのポイントを詳しく説明します。

建築費用の相場や税金に関する基本的な知識を深めることで、店舗兼住宅にかかる費用の全体像がより具体的にイメージできるでしょう。

1.建設費用がかかる(2,000万〜)

店舗兼住宅の建設費用の相場は、一般的に2,000〜3,000万円ほどです。1坪あたりの費用は、60〜120万円の範囲です。

建設費用には、建物の設計や施工などが含まれています。

建てる店舗兼住宅のスペックやデザインにこだわれば、それに伴って費用も高くなります。そのため、予算や将来の収益を考慮して、返済可能な範囲内で建設費用をコントロールすることがとても重要です。

2.工事費がかかる(200万〜)

建設費用に加えて、店舗経営に必要な内装や設備の工事費用が200〜300万円ほどかかります。

設備の工事には、電気の配線工事、水道配管、ガス配管、電気通信工事などが含まれます。

業種によって工事費は大きく異なり、例えば飲食店では水回りの設備工事やガス配管工事などが必要なため、工事費の負担が大きくなるのがポイント。逆に、アパレルや雑貨販売であれば、ハンガーラックや棚などを準備すれば営業できるので、あまり工事費はかかりません。

また、郊外の場合はお客様用の駐車場を用意する必要があります。庭の一部を駐車場にする場合は、外構工事費も考慮しましょう。

建設費用だけではなく、工事費も含めて予算を考えることが重要です。

3.税金の負担がある

店舗兼住宅では、通常の住宅よりも固定資産税や都市計画税が高くなる可能性があります。

固定資産税と都市計画税は、土地や建物の所有者が支払う税金で、所有している限りずっと払い続ける必要があります。通常の住宅では土地と建物の両方に対して大幅な軽減が適用されますが、店舗兼住宅では状況が異なるため注意が必要です。

通常の住宅で適用される軽減措置は次の通りです。

しかし、店舗兼住宅の場合は店舗部分の面積が全体の50%を超えると、通常の住宅の軽減措置が受けられなくなり、固定資産税や都市計画税が高額になる可能性があります。

税率は地域によって異なりますが、標準で土地と住宅の両方に1.4%の税率がかかります。

店舗部分と居住部分の割合が同じくらいになりそうであれば、居住部分を全体の50%以上に設計することで、固定資産税の負担を大幅に削減できることを覚えておきましょう。

店舗兼住宅にかかる税金についてより詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてみてください。

4.保険料が必要になる

店舗兼住宅は、通常の住宅と比べて保険料が上がることも重要なポイントです。

業種によっては、1.5〜2倍程度も保険料が割り増しになることがあります。例えば、飲食店では火災のリスクが高まるため、火災保険が通常よりも高額になります。

さらに、地震保険や水災保険などにも加入すると、保険料の負担はより増えるでしょう。各種保険料は、店舗部分の床面積で按分した金額を経費として計上できるので、税金対策として覚えておきましょう。

店舗兼住宅に費用をかける際に意識すべき3つのポイント

店舗兼住宅に費用をかける際に意識すべき3つのポイント

続いて、店舗兼住宅に費用をかける際に意識すべき3つのポイントについて解説します。

「想定以上に金利が高い」「そもそも店舗経営ができない」といった予期せぬ問題を防ぐために重要なポイントです。ぜひ確認してください。

1.ローンの扱いを確認する

1つ目の意識すべきポイントは、ローンの扱いをしっかりと確認することです。

店舗兼住宅をローンで建てる場合、「どのローンが適用されるのか」または「どのローンを利用したいのか」を事前によく考えることが大切です。

通常、店舗部分は「事業用ローン」、住居部分は「住宅ローン」が適用されます。

ただし、金融機関によっては、一定の要件を満たす際は、店舗兼住宅でも建物全体に住宅ローンを利用できることがあります。住宅ローンは、事業用ローンと比べ金利が低く、返済期間を長く設定できることが利点です。

住宅ローンが建物全体に適用されるための主な条件は、以下の通りです。

大手銀行やネット銀行は住宅ローン不可のところが多い傾向にあります。一方、地方銀行や信用金庫系などは地域の経済活性化を重要視しているため、条件をクリアしやすいことが特徴です。

費用をできる限り節約するには、各金融機関の融資条件をしっかりと確認し、住宅ローンが使える範囲内で店舗部分を設計することが重要です。

2.建築制限を確認する

2つ目の意識すべきポイントは、建築制限を確認することです。

建築制限とは、建築基準法によって定められた土地の利用方法のことをいいます。建築可能なエリアや店舗面積が法令で決まっていることがあるため、事前の確認が欠かせません。

例えば、第一種低層住居専用地域(良好な住宅環境を保護するエリア)では、通常は商業や店舗などの用途が制限されています。ただし、以下の条件を満たす店舗兼住宅であれば営業が可能です。

また、建築制限は業種を制限していることもあります。一例として、美容院やクリーニング店、飲食店、パン屋、学習塾などは地域住民の生活に必要とみなされ許可されていても、ペットのトリミング店は対象外という地域もあります。具体的な業種についても細かく確認することが欠かせないでしょう。

第二種低層住居専用地域では、2階以下で床面積が150平米以下であれば美容院や飲食店を建てられる場合があります。

理想の土地を見つけた後に開業できないとならないよう、あらかじめ自治体や役所の都市計画や公式ホームページを確認しましょう。

3.複数の業者に見積依頼する

3つ目の意識すべきポイントは、複数の業者に見積を依頼することです。

設計や工法によって費用が大きく異なることもあるため、複数の業者の見積を比較することで、予算内で満足のいく店舗兼住宅を実現できる可能性が広がります。

さらに、営業する業種に適した店舗設計を提案できる経験豊富な業者を見つけることも大切です。経験豊富な業者は、実際の事例を参考にしながら相談でき、具体的なイメージを共有しやすいメリットがあります。

信頼できる業者に依頼することで、満足のいく店舗兼住宅を手に入れることができるでしょう。


店舗兼住宅を建てる3つのメリット

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<p class=次に、店舗兼住宅を建てる具体的なメリットを3つ紹介します。

店舗兼住宅には、経済的な面だけではなくライフスタイルの向上や将来の投資にもつながる様々なメリットがあります。それぞれ詳しく解説します。

1.テナントを借りるよりも費用を抑えられる

店舗兼住宅の最大のメリットは、テナントを借りるよりも費用を抑えられることです。なぜなら、自宅とテナントを別々に用意してローンや家賃を二重で払うよりも、店舗兼住宅として同時に支払ったほうが安くなるケースがほとんどだからです。

テナントを借りるには、保証金や敷金なども必要ですが、店舗兼住宅であれば、これらの費用がかからないことも大きなメリットでしょう。ローンの返済が終われば、さらに負担が軽くなることも大きな魅力です。

2.通勤費・通勤時間がかからない

店舗兼住宅は、通勤費や通勤時間がかからないことも大きなメリットです。

自宅が職場なので、気軽に職場と自宅を行き来できます。ちょっとした隙間時間を活用して家事を進めたり、昼休憩を自宅でゆっくり過ごしたりできることも利点です。

通勤時間がなくなることで、家族との時間を増やすことも可能でしょう。また、仕事終わりにすぐに自宅に帰れるため、プライベートな時間を有効に楽しむことができるのも嬉しいポイントです。

子育てや介護との両立にも向いているため、ワークライフバランスの向上が期待できます。

3.資産形成できる

店舗兼住宅は、資産形成できることもメリットです。

ローンの返済が終わると、店舗兼住宅は所有資産となります。将来的に閉業しても、賃貸テナントとして家賃収入を得ることも可能です。

ただし、住宅ローンの返済中は店舗兼住宅を貸すことはできないので注意しましょう。

店舗兼住宅を建てる2つのデメリット

店舗兼住宅を建てる2つのデメリット

店舗兼住宅には、メリットが多くありますがデメリットも存在します。

デメリットを把握し、事前に対策することが失敗しないコツです。

1.移転・引っ越しがしにくい

デメリットの1つ目は、移転や引っ越しが難しい点です。

貸しテナントであれば、集客の状況が悪ければ移転を検討することもできますが、店舗兼住宅の場合は、マイホームでもあるため、気軽に場所を変えることが難しい傾向にあります。

また、店舗兼住宅は、住み替えたいときに売却が難しい可能性があります。間取りが特殊なので、次の買主が見つかりづらいことが理由です。

移転や引っ越しをせずに、長く快適に暮らすコツは、集客と長期的な生活を考慮して注意深く立地を選ぶことです。

例えば、集客を重要視するのであれば、駅近やアクセスが良く人通りの多い場所が適していますが、居住地は静かなエリアが良いと思っている場合は、ストレスになる可能性があります。

店舗兼住宅で長く快適に過ごすためには、集客と快適な生活の両方を考慮してバランスの良いエリアを慎重に探しましょう。

2.プライベート空間との区別が難しい

デメリットの2つ目は、プライベート空間との区別が難しい点です。

プライベートと仕事の両立がしやすいことはメリットである反面、注意が必要な点もあります。騒音や害虫の管理など、通常以上に気を配らなければならない状況も多いです。

特に子供がいる場合、大きな声や足音が店舗に響く可能性があります。エステやリラクゼーション、学習塾などの場合、騒音は店舗の評判に大きく影響するため、十分に気をつける必要があるでしょう。だからといって、店舗のことを常に気にして過ごしていると、ストレスが溜まる可能性も否定できません。

また、近所でお客様にばったり出くわすこともあるため、休みの日でも気を抜けないという店舗経営者も少なくありません。

店舗と自宅が簡単に行き来できるため、セキュリティー対策も重要です。プライバシーの確保や境界管理にも十分な注意が必要でしょう。

プライベート空間と店舗エリアの区別や騒音対策などは、設計の時点で専門家に相談することが大切です。

店舗兼住宅の費用を上手に使った成功例を紹介

店舗兼住宅の費用を上手に使った成功例を紹介

最後に、店舗兼住宅の費用を上手に使った成功例を2つ紹介します。

ぜひ参考にしてください。

1.助成金や補助金を活用して節約

1つ目は、自治体が提供する補助金制度を上手く活用して節約する方法です。

具体的には、子育て世帯やUターンした世帯に向けて、住宅建築時に活用できる補助金制度を実施している自治体があり、店舗兼住宅も補助金の対象となる可能性があります。

例として、千葉県南房総市では、延床面積の2分の1以上が居住用面積であることを条件に、新築を取得した子育て世代に対し、最大100万円の奨励金を交付しています。

出典:住宅取得奨励金 | 南房総市ホームページ

他にも、以下のようなプログラムが自治体によっては用意されている可能性があります。

これらのプログラムを利用することで、経済的なサポートを受けつつ店舗兼住宅を建てたり、開業したりすることができます。

自治体の公式ウェブサイトや担当窓口で詳細な情報を確認し、自身に該当するプログラムを見つけるようにしましょう。

2.店舗部分は手持ち資金を用意

2つ目は、店舗の建設費用を手元の資金でまかない、事業用ローンの利用金額をできる限り少なくする方法です。

事業用ローンの金利は通常非常に高く、年率で2〜10%以上にもなります。これに比べて住宅ローンの金利は低く、約0.5〜2%程度。住宅ローンには住宅ローン控除の利点もあるため、できるだけ住宅ローンを活用し、店舗部分の借り入れを最小限にすることが重要です。

店舗部分の建設には手元の資金を計画的に活用することで、総費用を抑えることが可能です。

まとめ:店舗兼住宅の費用に関する相談はM-LINEまで!

3階建て賃貸併用住宅を検討する際はM-LINEまで

店舗兼住宅の建設時には、建設費用や工事費、固定資産税や都市計画税などの税金、各種保険料などがかかります。通常の住宅と比べ高額ですが、長い目で見ると、テナントを借りて事業を続けるよりも費用を抑えられることが魅力です。

また、店舗兼住宅には、経済的な面だけではなく仕事とプライベートの両立がしやすかったり、将来の投資にとながったりなどメリットもあります。

費用の負担を少しでも減らすには、本記事で紹介した店舗兼住宅で住宅ローンを使用できる条件や補助金制度などを参考にしてください。

加えて、店舗兼住宅を新築で建てるなら、建築会社選びもとても重要です。

M-LINEでは、店舗兼住宅の建設も得意としており、店舗兼住宅の補助金についてのご相談も承っています。「対象となる補助金があるのか知りたい」「住宅ローンが利用できるのか知りたい」など、不安な点がある方はまずは一度ご相談ください。

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この記事を読んで、質問やご相談などがありましたらまずはM-LINEまでご連絡ください。

他にはない、施工事例のご紹介やお客様に沿ったご提案をさせていただきます。

 

執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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