小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
東京都内は地価が高いため、狭小住宅に住むことを検討している方も多いのではないでしょうか。狭小住宅とは、建築面積が狭い建物のことをいい、東京都内では50平米以下の住宅もあります。
しかし、狭小住宅に住む人からは「狭くて住みにくい」「ストレスが溜まる」などと後悔する声もあり、躊躇している方も多いでしょう。本記事では、東京都の狭い家に住むメリットとデメリット、改善策について徹底解説します。
狭小住宅でも間取りや設計、配置など工夫をすることにより、快適な生活が送れるのでぜひ参考にしてみてください。M-LINEでは、狭小住宅の設計や建築の経験や知識を豊富に持つハウスメーカーのため、ご気軽にご相談も承っています。
東京で狭い家に住むメリットは、以下の3つがあります。
東京都の地価が高い地域が多く、広い土地を利用して建築計画を建てるのは難しい方も多いでしょう。しかし、狭小住宅であれば地価の高い東京でも住宅を建てられる可能性が増えます。
まずは、東京で狭い家に住むメリットについて解説します。
東京都の狭い家に住むことで、好立地に家を建てられるのがメリットです。東京都の狭い家での生活は窮屈だと思われがちですが、全国各地や都心部にアクセスしやすく、通勤・通学などに便利だからです。
さらに、ショッピングセンターや、映画館、美術館、アミューズメント施設なども豊富なため、買い物や休日の娯楽の際にも便利。東京都の郊外や神奈川・埼玉エリアといった場所に住み、長い通勤・通学などにストレスを抱えるよりも利便性が高い立地に家を持つことができます。
実際に通勤時間の負担や利便性を優先し、都心部の敷地面積が50平米程度の住宅に住んでいる家族は、3階建てにしたり、リビングを広めに設計することで快適な生活を送っています。
東京都の狭い家に住むことで、土地の購入額を抑えた建築計画が立てられるのも大きなメリットです。理由としては東京都の狭い土地や変形地は、土地の価格が抑えられている場合が多いからです。
例えば、150平方メートルの広い1つの土地の価格は1億円を超える土地代となりますが、3分割して1棟あたりの敷地面積を狭くすることで建物代も含めて約6,000万円程度で戸建て住宅を売り出された例があります。
東京の地価は、他の地域と比較して地価が高いです。令和6年地価公示 標準地価格高順位によると、港区は1平方メートルあたり535万円、千代田区439万円。
比較対象として神奈川県横浜市中区伊勢佐木町(都心部エリア)の地域は、1平方メートルあたり119万円、 埼玉大宮エリア(さいたま大宮5-1)は418万円と東京の地価が高いことが分かります。そのため、東京で広い土地を購入するには、高額な土地代がかかることが予想できるでしょう。
しかし、東京都の狭い土地や変形地などを利用すれば、土地の購入価格を抑えた家づくりが可能になります。狭い土地で間取りの設計や内装デザインを工夫することで、費用を抑えた家づくりができます。
また、東京都の広い土地と比べてコンパクトな家を建てられるため、建材費用や工賃も抑えられるのもメリットです。浮いた費用を使って設備のグレードアップをしたり、住宅ローンの返済に余裕を持たせたりできるため、東京都内の狭小地を選ぶのも1つの手段でしょう。
東京の狭い家に住むことで、家事の効率が上がるのもメリットの1つ。なぜなら、家全体がコンパクトな間取りとなるため、レイアウトを工夫することで家事効率を上げられるからです。
例えば、洗濯機がある洗面所とベランダの距離が近くなれば、洗濯時の移動の負担が少なくなります。また、玄関からキッチンまで近ければ、買った食材もスムーズにしまうことが可能です。
家全体の面積が狭い分、掃除する面積も少なくなります。移動距離が短く効率的な間取りが作れれば、将来的に足腰が弱くなる老後も住みやすい家づくりができるでしょう。
東京で狭い家に住むデメリットは、以下の通りです。
東京で狭い家は、狭く感じたり収納が少なかったりなどのデメリットもあります。東京の狭い土地を活用して快適な住宅を建てるためには、デメリットを把握し、工夫した家づくりを行うことが大切です。
東京の狭い家に住みたい方でも、小規模住宅の増加を規制する動きがあるのがデメリット。理由としては、50平方メートル程度の小規模住宅が増えすぎると、火災の際の延焼リスクや住環境の悪化が懸念されているため、東京23区内の自治で土地の分割を規制する動きが広まっているからです。
例えば、東京の荒川区では令和元年度に土地を分割して建てられた戸建ての割合が全体の約64%を占める割合となってしまい、敷地面積を60平方メートル以上、120平方メートル未満の土地を2つに分割できない規制が開始されています。
板橋区では、商業地域、工業専用地域を除いた全区域に60平方メートルから100平方メートルの制限が指定されています。このような規制は「敷地面積の最低限度」と呼ばれており、目黒区・世田谷区・杉並区・中野区・練馬区・板橋区・荒川区・江戸川区のほぼ全域で規制があります。
東京の狭い家に住む場合は、こうした規制も考慮しなければならないため、住みたい土地に住みたい家が建てられない可能性があるので事前に規制の有無を確認しておくことが大切です。
東京の狭い家は、狭いと感じる可能性があるのがデメリット。理由としては、広い土地で建てるよりも、部屋の広さが限られているからです。
例えば、リビングや脱衣所などを広くしたいと思っても十分なスペースが作れないでしょう。また、設計時は余裕があると感じても、家具などを配置すると部屋が狭くなる場合もあります。
敷地面積が限られている場合は、3階建てにして縦の空間を活用したり、階段下や天井・床下などのデッドスペースを活用したり、予め部屋に置くものなどを想定したりして、間取りを工夫することが大切です。
東京の狭い家は、収納が少ない可能性があります。こちらの理由も設計するスペースが限られているため、収納スペースが今後足りなくなる場合があるからです。
例えば、現在は収納スペースが足りていても、今後収納する荷物が増えていくことが予想されます。防災用品や備蓄などをストックする場所を確保するのが難しいため、デッドスペースを上手く工夫したり、不要なものは処分したりする対策が必要でしょう。
また、東京の狭い家は、日当たりが悪い可能性があるのもデメリットの1つ。理由としては、隣の家と距離が近かったり、周りにビルや高い建物があったりする場合が多いためです。
東京都の限られた空間で日当たりを良くするためには、天井を透明なアクリル板やガラス板にして採光するなどの工夫が必要です。また、隣の家との距離が近い場合、騒音対策のために防音設備が必要になる可能性もあるので、そうした費用も考慮しましょう。
東京の狭い家に住んでいる人が抱えるストレスは、以下の例が挙げられます。
東京で狭い家に住む際は、上記のようなストレスを改善できるような住まいを作ることが大切です。「狭くて生活しにくい」「引っ越したい」などと後悔しないためにぜひチェックしておきましょう。
東京の狭い家に住んでいる人は、収納が少なく散らかりやすいというストレスを多く抱えています。理由としては、狭い家は敷地面積が限られているため、収納スペースが十分に作れない場合が多いためです。
例えば、子供のおもちゃを収納するスペースがなく、常に出した状態で散らかってみえてしまう場合や、収納場所が少ないため物があふれてしまい、掃除しても綺麗に見えないといった例があります。
こうした問題を改善するためには、収納を多く用意したり、家具や家電は最低限にしたりするなどの工夫が必要になるでしょう。
東京の狭い家に住む場合、動きにくい・家事がしにくいといったストレスもあります。なぜなら狭小住宅は間取りが狭かったり、部屋同士の間隔が狭かったりするからです。
例えば、狭いリビングやキッチンに家電や家具を配置すると、通路が狭くなり料理がしにくいといったケースがあります。子供が小さいうちはストレスを感じない場合でも、成長につれて料理数や量が増え、物が置けなかったり、コンロ数が足りなくなったりという場合もあります。
このようなストレスがこれから増えることも予想されるため、敷地面積が限られている場合でも、ある程度の広さがあるキッチンや設備を用意しておく必要があるでしょう。
東京の狭い家は、生活音が気になるといったストレスも多くあります。狭小住宅はいつも近くに家族がいる環境にあるため「家族の生活音がうるさい」「自分の出している音が家族に聞こえないか心配」といったストレスがあります。
例えば、在宅ワークの家族がいる場合、子供の声や家事などの音が気になって集中できないといったケースがあります。ライフスタイルが違う家族がいる場合や、リモートワークなどを行う可能性がある家庭は、防音対策についても検討しなければならないでしょう。
東京の狭い家は、一人の時間や空間がないのもストレスです。なぜなら狭い部屋は圧迫感を感じたり、家族が同じ部屋にいたりする環境が多くなるからです。
普段から一人の時間が欲しいという方は、狭い家に住むとリラックスできない可能性があります。天井や壁が近いことで、息苦しさを感じるといった声もあるので、圧迫感を感じない間取り作りが重要になるでしょう。
東京の狭い家は、好きな物を置けないストレスもあります。理由としては、狭小住宅は部屋が狭く、収納スペースもないため大きいものを購入できなかったり、我慢したりする場合が多いからです。
自分が好きな物より、サイズ感や圧迫感のないデザインを優先し、思い描いたようなインテリアができない場合があります。せっかくのマイホームを持っても「好きなものを配置できない」「置くと狭くなる・散らかってみえる」「小さいものを購入しなければならない」といった懸念点があるのを理解しておく必要があります。
ここからは、東京で狭い家に住んでいる際の改善策を紹介します。
東京の狭い家でできるだけ快適な生活を送るためには工夫が必要です。家の狭さにストレスを抱えている方は、リフォームや住みやすい狭小住宅に移るといった手段も検討してみてください。
東京で狭い家に住んでいる際の収納が足りない・散らかりやすいといったストレスには、デッドスペースを活用しましょう。例えば、ベッド下・家具と家具の隙間・机の下などに上手く収納したり、吊るせる物は吊るしたりといった方法があります。
うまくクローゼットを活用できていない場合は、収納アイテムを使ってなるべくデッドスペースができないように整理整頓する方法も収納を増やせるコツです。また、リフォームによって階段下や天井、床下などに新たに収納を設置するといった方法もあります。
また、これから狭小地に家を建てる場合は、1つの階層に複数のフロアを設けるスキップフロアにしたり、階段下などのデッドスペースを収納スペースにしたりすることで空間を有効活用することが可能です。
収納を作る際も、布団・洋服・おもちゃなど何を収納するのかを明確にすることで、無駄のない収納スペースを作れます。このように、狭い家でストレスを感じないためには、空間をどれだけ活かして収納するのかに着目することが重要です。
東京で狭い家に住む際の圧迫感や窮屈感を改善するためには、家具の色・デザイン・配置を工夫する方法も有効です。理由としては、統一感を出すことで視覚的に空間を広く見せられるためです。
例えば、ソファーやテーブルなどを壁側に寄せると、空いているスペースを広く見せられます。他にも家具や設備を白に統一し、視覚的に浮いて見せることで広々とした空間に感じさせられます。
解放感が出る間取りの工夫としては、1DKなどの間取りの扉を取り払い、ワンルームのように1つの部屋として広々と使うといった方法も有効です。配置する場所や家具の色・デザインにすることで、窮屈に感じるストレスが軽減できるでしょう。
東京で狭い家に住む際には、天井や床を工夫する方法があります。床の場合は、荷物を床に置かないようにしたり、ベッドやテーブルの高さが低いものは、床が広く空間を広々とした空間に見せられます。
一方で、足の高いものなら掃除がしやすくなるのもメリット。家具の下にも収納する空間ができるため、こうしたデッドスペースをさらに有効活用するのも1つの手段です。
これから狭い土地に家を建てる場合やリフォームが可能な場合は、天井の色を白にするのがおすすめ。白は光を反射する効果があり、開放的な雰囲気に見せてくれる効果があります。
また、1部分だけ天井を高くするのも効果的です。吹き抜けは、天井の高さで開放的な雰囲気を出せるだけでなく、採光も取り入れられるので部屋が明るくなるメリットがあります。
天井や床の工夫をすれば、東京の狭い家でも狭く見えない空間づくりが可能になるでしょう。
東京都の狭い家は、土地の購入額を抑えて好立地に家を建てられたり、家事の効率が上がったりなどのメリットがあります。しかし、狭小住宅は小規模住宅が制限されている地域や、狭い・収納が足りないと後悔する声もあるため注意が必要です。
東京都の狭い家にストレスなく住むためには、住みやすいようにリフォームする、住みやすい狭小住宅に移ることも視野に入れて検討するのがおすすめです。
M-LINEでは、三角形や台形など変形している土地や高低差の激しい土地など、さまざまな土地の設計・建築の経験が豊富にあります。1cmピッチの完全自由設計を採用し、狭い土地でもできる限り要望に沿った提案やサポートも行っているので、ぜひ一度ご相談ください。
2024/08/28
2024/08/28
2024/08/28