小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
「賃貸併用住宅は木造と鉄骨どちらがいいの?」
「木造の賃貸併用住宅のメリットやデメリットは何?」
「木造賃貸併用住宅が気になるけど、後悔はしたくない」
賃貸併用住宅には、鉄骨造、鉄筋コンクリート造(RC造)、木造などさまざまな構造があるため、どの構造を選ぶべきか悩んでいる方もいるでしょう。木造の賃貸併用住宅は、建築費用が抑えられたり、工期が比較的短かったりといったメリットがある一方で、考慮すべきデメリットも存在します。
本記事では、木造の賃貸併用住宅のメリットとデメリットについて詳しく解説します。また、木造賃貸併用住宅での収支管理のポイントもまとめました。木造賃貸併用住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
木造賃貸併用住宅を選ぶメリットは、以下の5つです。
順に詳しく解説します。
木造賃貸併用住宅の最大のメリットは、鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)に比べて建築費用を抑えられることです。
木造は建物の重量が軽いため、基礎工事や地盤改良にかかるコストが比較的少なく済むことが主な理由です。また、木材は他の建材と比べて安価なうえ、加工しやすいという特徴があります。
その結果、建材費を抑えられるだけでなく、工期が短縮されることで人件費も削減できるので、建築コスト全体を低く抑えられます。さらに、木材を新たに加工するのではなく、流通している規格材を使用するといったコスト削減方法も可能です。
構造種別に建築費用が安い順に並べると、以下のようになります。
また、木造の賃貸併用住宅は修繕費を抑えられる点も見逃せません。賃貸併用住宅は通常の戸建て住宅よりも規模が大きいため、修繕箇所も増えがちです。長期目線で考えた際に、修繕費が抑えられるのは大きなメリットといえるでしょう。
建築費用や修繕費用を抑えられれば、自分のこだわりたい部分に予算を割り当てることも可能です。最新の設備を導入したり、デザインにこだわったりできます。建築費用や修繕費用をできるだけ抑えたい方にとって、木造住宅は特に有効な選択肢です。
木造の賃貸併用住宅は、工期が比較的短い点もメリットでしょう。構造種別ごとの工期の目安は以下の通りです。
木造と鉄骨造の工期は同程度ですが、鉄骨造では基礎工事や地盤改良にかかる時間が長くなる場合があります。そのため、トータルの工期は木造が最も短くなる傾向があります。
さらに、施工方法によっては、建材を工場であらかじめ加工してから現場に搬入することが可能です。現場での作業量が削減され、工期の短縮につながります。
少しでも早く賃貸併用住宅の運営を開始し、早期に利益を回収したいと考える場合、木造建築は魅力的な選択肢となるでしょう。
木造賃貸併用住宅は固定資産税が少ないことも利点です。賃貸併用住宅を建てた場合、毎年固定資産税を支払う必要があります。
固定資産税は、固定資産税評価額に税率を掛けて算出されます。計算式は以下の通りです。
固定資産税=固定資産税評価額×税率
木造住宅が固定資産税を抑えられる理由は、鉄骨住宅に比べて資産価値が低く評価されるためです。鉄骨住宅は頑丈で劣化しにくいといった特徴を持っているので、資産価値(評価額)が高くなります。
固定資産税は建物を所有している間、毎年支払わなければなりません。一度に支払う固定資産税の差額は数万円程度でも、長期的にみると大きな差が生じます。木造住宅を選ぶことで、固定資産税を大幅に節約できるでしょう。
木造賃貸併用住宅のメリットとして、増改築がしやすい点も挙げられます。木造の建物は構造が比較的柔軟なため、間取りの変更にスムーズに対応できます。
たとえば、新しい部屋を追加したり壁を取り外して部屋を広くしたりする場合も、木造であれば改築が容易です。家族構成やライフスタイルの変化に対応しやすいため、まずは賃貸併用住宅として利用し、将来的には子供との同居に変更することも可能です。
一方、鉄骨造や鉄筋コンクリート造の住宅は、構造の変更が容易ではありません。増改築を行う際には、コストや工期がかかることが一般的です。
将来的にリフォームや改築をする可能性がある場合は、木造賃貸併用住宅が適しているでしょう。
木造賃貸併用住宅は、デザインの幅が広いことも魅力です。木材は加工がしやすいため、細かい部分まで好みを反映しやすいことが理由です。また、木造住宅は長い歴史を持っているので技術が発展しており、さまざまなデザインができます。
さらに、木造賃貸併用住宅は多くのハウスメーカーで対応しているので、デザインや間取りの選択肢が豊富です。
「多彩なデザインから検討したい」や「デザインや間取りにこだわりたい」という方には、木造賃貸併用住宅がおすすめです。
木造賃貸併用住宅には費用面からデザイン性までさまざまなメリットがある一方、考慮すべきデメリットもいくつか存在します。
木造賃貸併用住宅の主なデメリットは以下の3つです。
順に詳しく解説します。
1つ目のデメリットは、木造の賃貸併用住宅は遮音性が低いことです。鉄筋コンクリート造(RC造)などと比べると、騒音が響きやすい点は懸念点です。特に複数の世帯が生活する賃貸併用住宅では、遮音性が不十分だと隣人の生活音が気になり、プライバシーの問題が発生する可能性も否定できません。
遮音性を高めるためには、設計段階で床材や壁材の選定に工夫を施し、生活音が最小限に抑えられるような設計を心がけることが大切です。
木造賃貸併用住宅の2つ目のデメリットは、鉄骨造や鉄筋コンクリート造(RC造)と比べて耐久性が低いことです。国土交通省によると、構造種別の減価償却資産の耐用年数は以下の通りです。
また、木材は品質にばらつきが出やすく、耐久性が均一でない点にも注意が必要です。耐久性を維持するためには、外装材の仕上げや継ぎ目の止水剤のメンテナンスが欠かせません。
一方、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)は、外壁がコンクリートで作られているため、外壁の強度や耐久性に優れています。
木造賃貸併用住宅の3つ目のデメリットは、木材を食べるシロアリなどの害虫被害を受けやすいことです。害虫による被害が発生すると、建物の耐久性が大きく低下する可能性があります。
害虫から住宅を守るためには、定期的な点検と駆除が欠かせません。
また、床下にコンクリートを敷く方法や、天然素材のホウ酸処理を施すことで、シロアリの侵入を長期的に防ぐことができます。湿気をため込まずに外に逃がす構造を取り入れたり、床下の換気口を設けて空気の流れを確保したりすることも効果的です。
木造賃貸併用住宅で収支管理をする際のポイントは、以下の3つです。
上記のポイントを押さえて収支を安定させることが、賃貸併用住宅の成功につながります。
収支管理の基本は、家賃収入と経費のバランスをしっかり把握することです。賃貸併用物件の場合、定期的な収入源は家賃収入ですが、固定資産税や修繕費、管理費用といった支出もあります。支出が家賃収入を超えないように、家賃設定や維持費の計画を立てることが大切です。
加えて、空室リスクへの対応も不可欠です。もしローン返済を家賃収入に頼っている場合、空室が出ると返済が困難になる可能性があります。特に、賃貸部分が2〜4戸の小規模の場合は、1戸でも空室が出れば収支に大きな影響を与えるでしょう。
ポイントは、空室の発生も見越して収支バランスを考えることです。常に満室を前提にシミュレーションを行うと、空室が発生した際に経済的な負担が重くなることがあります。空室リスクなども考慮したうえで収支バランスを把握することが、経営を安定させる基礎となります。
収支管理をする際には、修繕費やメンテナンス費用を計画的に積み立てることが重要です。
木造住宅は経年劣化が進みやすいため、定期的な修繕やメンテナンスが欠かせません。
たとえば、外壁の塗装や屋根の補修、シロアリ対策などは一般的なメンテナンス項目として挙げられます。修繕やメンテナンスを怠ると建物の劣化が進み、将来的に大規模な修繕が必要になる可能性もあります。修繕費用やメンテナンス費用を計画的に積み立て、適切なタイミングで対処できるようにしておくと安心でしょう。
また、予期せぬ修繕が発生した場合でも、資金繰りに困らないよう余裕を持った収支管理を心がけることも大切です。定期的に修繕費を積み立てておくことで、突発的なメンテナンスにも柔軟に対応でき、安定した賃貸経営を維持することができます。
木造賃貸併用住宅では、固定資産税や所得税の負担を軽減するために、しっかりと節税対策を実施することが重要です。
たとえば、減価償却を適切に行うことで、所得税の節税効果を期待できます。また、賃貸部分に関連する損害保険料や修繕費は経費として計上できるため、計上忘れがないように管理することが大切です。賃貸併用物件で経費になる主な項目は、以下を参考にしてください。なお、経費にできるのは賃貸部分にかかった金額のみです。
<賃貸併用住宅で経費になる主な項目>
また、住宅ローンを利用して賃貸併用住宅を建てた場合、住宅ローン控除を申請することで、所得税や住民税の負担を軽減できます。ただし、住宅ローンを利用するには、自宅部分が建物全体の50%以上であるなどの条件を満たす必要があるため注意しましょう。
節税対策には多くの方法があり、正しく管理することで大きな節約効果が期待できます。もし自分で管理することが難しい場合は、税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家の助言を受けることをおすすめします。
最後に、木造賃貸併用住宅で後悔しないための選び方を3つ紹介します。
上記はどれも長く快適に暮らし、かつ賃貸併用住宅としての利益を生み出すために重要なポイントです。順に解説していきます。
木造賃貸併用住宅を選ぶ際は、モデルハウスや見学会に積極的に参加することをおすすめします。実際の住宅を体感することで、賃貸併用住宅の仕上がりを具体的に把握できるためです。
また、モデルハウスや見学会では、ハウスメーカーや工務店の技術やデザインの幅を直接確認できるので、自分の理想に合ったスタイルを見つけるための大切な機会になることも理由です。
木造賃貸併用住宅を選ぶ際は、複数のハウスメーカーや工務店を比較することが重要です。建築費用、デザイン、保証期間、維持費など、比較項目は幅広くあります。複数のハウスメーカーや設計事務所と相談し、それぞれの特徴や得意分野を理解したうえで、自分の希望や条件に最も合ったプランを選びましょう。
また、ハウスメーカーの中には、土地活用の相談を受け付けているところもあります。たとえば、M-LINEでは賃貸併用住宅の建築はもちろん、所有している土地や要望に応じたオーダーメイドの土地活用方法の提案が可能です。さらに、ご希望の方にはサブリースの案内も行っており、安定した収入を得るためのサポートも提供しています。
さまざまな要素を比較検討することで、長期的に満足できる賃貸併用住宅を選べるでしょう。
木造賃貸併用住宅を選ぶ際は、検討している土地や市場の特性に詳しいハウスメーカーや工務店を選ぶことも重要です。その地域の需要や家賃相場に合った設計やデザインを提案できる会社を選ぶことで、空室リスクを軽減し、長期的な収益性を確保できます。
特に東京都内に賃貸併用住宅を建てたいと考えている場合は、都内特有の課題を解決できる経験やノウハウを持つ業者を選ぶことが重要です。
そこでおすすめなのが、M-LINEです。M-LINEは、東京23区に特化した賃貸併用住宅を数多く手掛けています。東京都内の1坪あたり300〜500万の高額な土地金額や、狭い道路からかかる道路車線制限、厳しい北側日陰規制など、東京ならではのさまざまな難点をクリアし、10cmも無駄にしない設計を実現。
その結果、賃貸空間を最大限に確保した住宅や、狭小地でも十分な収納スペースを備えた住宅を提供しています。
地域に精通した実績のある業者と相談しながら、最適なプランを検討することが成功への第一歩です。
木造の賃貸併用住宅には、鉄筋コンクリート造(RC造)や鉄骨造と比較して、コスト面やデザイン性、将来的なリフォームのしやすさといったさまざまなメリットがあります。
しかし、遮音性が低いといったデメリットもあるため、慎重に検討することが大切です。
東京23区で賃貸併用住宅を建てたいと考えている方は、M-LINEにぜひご相談ください。M-LINEでは、東京23区に特化した建物づくりを行っています。東京都内特有の、道路斜線制限や厳しい北側日影規制など、さまざまな課題をクリアしながらワンランク上の賃貸併用住宅を実現。
豊富な経験と実績を持つ専門スタッフがお客様のご要望を伺った上で、最適な提案をさせていただきます。
2024/10/31
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