
相続した土地や遊休地の活用を考えるとき、多くの方が気になるのが家賃収入の目安ではないでしょうか。「実際にどのくらいの収入が得られるのか」「思ったより手残りが少ないのではないか」といった不安を抱える方も少なくありません。
本記事では、土地活用の家賃収入の目安を活用方法別に整理したうえで、赤字を防ぐための考え方やコツまで詳しく解説します。
土地活用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

土地活用による家賃収入は、活用方法によって目安が大きく異なります。ここでは代表的な5つの活用方法について、収入の考え方とあわせて比較できるよう一覧表にまとめました。
ただしあくまでシミュレーション例であり、実際の収入は立地や土地面積、建物規模、賃貸需要によって変動する点にご注意ください。
土地活用で得られる家賃収入の目安
| 土地活用の種類 | 月額収入の目安例 | 収入規模の傾向 | 収入の考え方 | 向いている土地 |
|---|---|---|---|---|
| アパート・マンション経営 | 月30万〜100万円程度 | 戸数や建物規模を確保できれば、月100万円を超える場合もある | 複数戸から家賃収入を得る。1戸当たりの家賃、戸数、稼働率によって総収入が変わる | 駅や商業施設に近く、単身者やファミリーなどの賃貸需要が見込める土地 |
| 戸建賃貸 | 月10万〜30万円程度 | 原則として1戸分の家賃となるため、総収入は共同住宅より限定されやすい | 一戸建てを1世帯に貸し出して家賃収入を得る。空室になると、その期間は家賃収入を得られない | ファミリー需要があり、学校・公園・スーパーなどが近い住宅地 |
| 賃貸併用住宅 | 月10万〜40万円程度 | 賃貸戸数を増やすほど収入は大きくなるが、自宅部分と賃貸部分の面積配分に左右される | 自宅の一部を賃貸化し、自宅に住みながら家賃収入を得る | 賃貸需要があり、自宅部分と賃貸部分を確保できる広さや建築条件を備えた土地 |
| 店舗・テナント | 月15万〜100万円程度 | 好立地で広い床面積や複数区画を確保できれば、月100万円を超える場合もある | 店舗や事務所などの事業者に貸して賃料収入を得る。立地、床面積、用途、契約条件によって賃料が変わる | 駅前、商店街、幹線道路沿いなど、事業用の賃貸需要が見込める土地 |
| 医療・福祉施設 | 月50万〜数百万円程度 | 施設の種類や建物規模による収入差が大きく、大規模な施設では高額な賃料収入を見込める場合がある | クリニックや介護施設、福祉施設などの運営事業者に建物を賃貸して賃料収入を得る | 施設に必要な敷地面積やアクセス、駐車・送迎スペースを確保でき、地域需要が見込める土地 |
上記の比較表は、一般的な傾向をまとめたものです。同じ活用方法であっても、土地の条件次第で家賃収入は大きく変わります。家賃収入に影響する条件は、主に以下の5つです。
これらの条件によって、建てられる建物の規模や戸数が変わり、結果として得られる家賃収入も変動します。特に狭小地や変形地は設計の工夫次第で建築可能な規模が変わるため、提案力のある建築会社に相談することをおすすめします。
毎月得られる家賃収入が、そのまま手元に残るとは限りません。家賃収入は不動産経営における売上のようなものであり、そこから運営経費やローン返済、税金などが差し引かれた金額が実際の手残りとなるためです。たとえば、不動産経営における収支の考え方を簡略化すると、手残りは以下のような計算式で把握できます。
手残り = 家賃収入 −(管理費・修繕費などの運営経費 + ローン返済額 + 固定資産税・都市計画税などの税金)
家賃収入が多くても、ローン返済額や修繕費の負担が大きければ、手元に残る金額は少なくなります。そのため、土地活用を検討する際は「月いくら入るか」だけでなく、「いくら残るか」という視点を持つことが欠かせません。
土地活用にはさまざまな方法があり、それぞれ特徴やメリット、注意点が異なります。ここでは代表的な5つの活用方法について、向いている土地やメリット、注意点をまとめて解説します。
それぞれの特徴を理解することで、自分の土地にどの活用方法が合っているかを整理しやすくなるでしょう。
アパート・マンション経営は、土地活用で家賃収入を得る代表的な方法です。複数の部屋を賃貸に出すことで、まとまった家賃収入を得やすいのが特徴です。駅や商業施設に近く、単身者やファミリーなど幅広い層からの賃貸需要が見込めるエリアに向いています。
メリットは、以下の通りです。
一方、注意点として、建築費用が高額になりやすく初期投資の負担が大きい点が挙げられます。管理や修繕にかかる手間や費用も考慮したうえで、収支計画を立てることが重要です。
また、用途地域や建ぺい率・容積率によって建築可能な戸数が変わるため、事前に法規制を確認しておく必要があるでしょう。
戸建賃貸は、アパート以外の選択肢として、ファミリー層の需要を狙える活用方法です。一戸建てを1世帯に貸し出し、比較的長期にわたって安定した家賃収入を得やすいのが特徴です。学校や公園、スーパーが近く、ファミリー需要が見込める住宅地に向いています。
メリットは、以下の通りです。
一方、注意点として、1戸のみの貸し出しとなるため、空室が発生すると収入がゼロになってしまう点が挙げられます。退去後の原状回復費用や次の入居者が決まるまでの募集期間を含め、空室期間中の収支計画もあらかじめ考えておくことが大切です。
賃貸併用住宅は、自宅利用と家賃収入を両立できる活用方法です。自宅の一部を賃貸スペースとして貸し出すことで、住みながら家賃収入を得られます。自宅の建て替えや、相続した土地の活用を検討しているケースなどに向いています。
メリットは、以下の通りです。
一方注意点として、賃貸部分と居住部分のプライバシー確保や、入居者との距離感に配慮した設計が必要になる点が挙げられます。間取りの工夫が、収益性と暮らしやすさの両方を左右します。
なお、住宅ローン控除の適用には床面積の2分の1以上を自己の居住用にすることなどの要件があるため、自宅部分と賃貸部分の面積比率には注意が必要です。
店舗・テナントは、建物を店舗や事務所として事業者に貸し出し、賃料収入を得る活用方法です。対象が事業者なので住宅系の活用よりも高い賃料を得られるケースがあります。駅前や商店街、幹線道路沿いなど、事業用の需要が見込めるエリアが向いています。
メリットは、以下の通りです。
一方、注意点は、事業者の業績悪化などによる退去のリスクがあることです。退去後は、次のテナントが決まるまで空室期間が長引く場合があります。
そのため、周辺エリアの事業需要を確認したうえで、一定の空室期間も見込んだ収支計画を立てることが重要です。
医療・福祉施設への賃貸は、高齢化や地域需要を背景に、比較的大きな土地で検討できる活用方法です。クリニックや介護施設、福祉施設などに貸し出すことで、賃料収入を得られます。一定の敷地面積があり、地域の医療・介護需要が見込めるエリアに向いています。
メリットは、以下の通りです。
注意点は、一般的な住宅系の活用に比べて建築コストが高額になりやすいことです。そのため、自己資金や借入額を含め、無理のない資金計画を立てる必要があります。
また、信頼できる事業者との連携が、長期的な収益の安定につながります。契約前には、運営事業者の実績や経営体制を確認し、長期契約に見合う安定性があるかを見極めましょう。

家賃収入を得られる土地活用でも、計画次第では赤字になることがあります。特に初めて土地活用に取り組む場合は、収支計画が甘くなりやすく、リスクを十分に把握できないことも少なくありません。土地活用で赤字につながる主な原因は、以下の3つです。
それぞれの原因を理解しておくことで、リスクを事前に把握し、適切な対策を講じやすくなります。
土地活用で赤字になる原因の1つが、満室状態を前提とした収支計画です。
実際の賃貸経営では、入居者の退去に加え、間取りや設備が地域の需要に合っていない、周辺相場より高い家賃を設定しているなどの要因によって、空室が発生する可能性があります。その結果、想定していた家賃収入を得られないことも少なくありません。
空室によって家賃収入が減っても、ローン返済や管理費、税金などの支出は続くため、空室期間が長引くほど収支は悪化します。
そのため、空室率をあらかじめ織り込んだ、現実的な収支計画を立てることが重要です。また、対象地周辺の家賃相場や競合物件の入居状況を事前に確認しておきましょう。
建築費やローン返済額が収入に見合っていないことも、赤字の大きな要因になります。建物に費用をかけすぎると、家賃収入があっても月々のローン返済額が大きくなり、手残りが少なくなってしまうためです。
たとえばグレードの高い設備を導入したり必要以上に規模の大きな建物を建てたりすると、初期投資が膨らみ返済負担が収入を圧迫します。建築費とローン返済額は、想定される家賃収入とのバランスを踏まえて設定することが欠かせません。空室や家賃下落、金利上昇、修繕費などを想定し、条件を変えた複数の収支シミュレーションを行うことも有効です。
家賃収入から差し引かれる維持費を甘く見積もってしまうと、収支が悪化する原因になります。土地活用では、家賃収入がそのまま利益になるわけではなく、さまざまな費用が継続的に発生するためです。見落としやすい費用としては、以下の項目が挙げられます。
これらの費用を事前に把握したうえで収支計画に織り込んでおくことが、長期的に安定した土地活用につながっていくでしょう。将来の大規模修繕に備え、家賃収入の一部を計画的に積み立てておくことも有効です。

これまで紹介した赤字の原因を踏まえると、安定した家賃収入を得るためには事前の対策が欠かせません。土地活用で家賃収入を安定させる主なコツは、以下の4つです。
それぞれのポイントを押さえることで、長期的に安定した収益を目指しやすくなります。
土地活用を成功させるには、先に建てたいものを決めるのではなく、周辺の賃貸需要から逆算して活用方法を選ぶことが重要です。需要と合わない建物を建ててしまうと、入居者が集まらず、空室が長期化するリスクが高まるためです。
検討にあたっては、以下の4つの項目を調査しておくとよいでしょう。
これらの情報をもとに需要を見極めたうえで活用方法を選ぶことが、安定した家賃収入につながります。賃貸仲介会社や建築会社に相談すると、賃料相場や想定される入居者層、競合物件について専門的な意見を得られるでしょう。
空室対策として、建物の間取りや設備を入居者ニーズに合わせて設計することも欠かせません。ターゲットに合わない間取りや設備では、周辺の競合物件と比較された際に選ばれにくくなるためです。
たとえば、単身者向けであれば防犯性の高い設備やインターネット無料などが好まれやすく、ファミリー向けであれば収納力や生活動線を意識した間取りが選ばれやすい傾向にあります。設計段階から想定する入居者層のニーズを反映することで、空室リスクを抑えやすくなります。
また、入居者ニーズは時代とともに変化するため、竣工後も定期的に市場動向を見直すことが大切です。内見時の入居希望者の声を間取りや設備の見直しに活かすことも、選ばれる物件づくりへとつながっていくでしょう。
家賃収入を安定させるには、楽観的すぎない収支計画を立てることが重要です。満室を前提とした甘い計画では、実際に空室や急な出費が発生した際に、資金繰りが厳しくなるためです。
収支計画を立てる際は、以下の4点を織り込んでおきましょう。
現実的な条件を踏まえた収支計画を立てることが、長期的に安定した土地活用につながります。収支計画は一度立てて終わりではなく、運用を始めた後も定期的に見直すことが望ましいでしょう。
土地活用を検討する際は、不動産相場だけでなく建築条件の確認が欠かせません。土地の形状や法規制によって、建てられる建物の規模や間取りが変わり、収益性にも影響するためです。
建築条件を踏まえて活用方法を検討するには、土地活用に詳しい建築会社へ相談するとよいでしょう。建築会社では、主に以下のような提案やアドバイスを受けられます。
建築会社を選ぶ際は、収益性だけでなく、土地条件や建築条件、将来の維持管理までを踏まえて提案してもらえるかを確認しましょう。複数の建築会社から提案を受け、費用やプラン内容、実績を比較検討することもおすすめです。
また、施工実績だけでなく、竣工後のアフターサポート体制まで確認しておくと、建築後も継続して相談しやすくなります。

土地活用の家賃収入は、活用方法や土地の条件によって大きく異なり、家賃収入がそのまま手残りになるわけではありません。
赤字を防ぐには、空室や修繕費などの支出を見込んだ現実的な収支計画を立てることが重要です。また、需要に合った活用方法の選定や間取り・設備の工夫も、空室リスクを抑えることにつながるでしょう。
「自分の土地でどのくらいの家賃収入が見込めるのか知りたい」という方は、土地条件や建築条件を踏まえて提案できる建築会社へ相談することをおすすめします。
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