併用住宅

併用住宅とは?定義や兼用住宅との違い・メリットをわかりやすく解説

自宅にいながら事業の展開を検討している場合、併用住宅は選択肢の一つとなります。しかし、同じような建物の兼用住宅もあり、併用住宅についてよく分からないという方も多いのではないでしょうか。

ここでは、併用住宅の定義や兼用住宅との違いについて詳しく紹介します。また、併用住宅を建てるメリット・デメリットについて、建築する際の流れとポイントについても解説していきますので、本記事を参考に検討してみてください。

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併用住宅の定義とは

併用住宅の定義とは

併用住宅とは、住宅として使用すると同時に、商業活動や事務所としても使用することができる不動産物件のことを指します。基本的には、一部屋を事務所として使用しながら他の部屋を住宅として使う場合や、店舗や飲食店を併設した住宅物件などが該当します。

併用住宅は、一つの建物に住宅部分と店舗部分で区分されており、それぞれを独立して使用することが可能です。もともと住宅だったスペースを店舗用のスペースとして確保した場合も、併用住宅とみなされます。

併用住宅と兼用住宅の違い

不動産会社でも併用住宅とよく混同されてしまうのが、兼用住宅です。兼用住宅とは、建物全体が住居用途と別の用途(例えば、工場や倉庫)としても利用される建物のことを指します。つまり、併用住宅とは異なり、兼用住宅では業務用途と住居用途が分離されていません。

また、併用住宅と兼用住宅は形態や建築基準法の面で明確な違いがあります。具体的にどのような違いがあるのか、それぞれ以下で解説していきます。

形態についての違い

併用住宅と兼用住宅の形態の違いは「中で行き来ができるかどうか」です。簡潔にまとめると以下の通りです。

兼用住宅は、原則として住宅と非住宅部分が構造的にも機能的にも一体となっていて、かつ用途上分離し難いものが条件となっています。つまり、住宅部分と店舗部分の中で行き来ができなければ、兼用住宅の条件を満たせているとはいえません。そのため、併用住宅と兼用住宅の違いとして、中で行き来ができるのかどうかで判断できます。

建築基準法についての違い

建築基準法についても明確な違いがあります。建築基準法とは、生命・健康・財産を守るために、土地や建物に対して定められた法律です。日本で建築物を建てる際には、この建築基準法は最低限守らなければならないルールとなります。

併用住宅と兼用住宅の違いは、建築基準法上にある法第48条用途地域です。法第48条は、建築基準法が建つか建たないかを分かつ法文であり、この条文に有利なのは兼用住宅になります。理由は、兼用住宅の場合は第1種低層住居専用地域内で建築することが可能だからです。

第1種低層住居専用地域とは低層住宅専用の地域であり、都市計画などにより定められている用途地域の一つです。第1種低層住居専用地域では住宅のみ建築可能とされていますが、兼用住宅であれば一定の条件を満たすことで建てることができます。

つまり、併用住宅と兼用住宅の大きな違いとして、第1種低層住居専用地域内で建設できるのかどうかになります。エリアによって併用住宅は建てられない可能性があるため、検討しているエリアで建築しても良いのか用途地域について確認しておくようにしましょう。

併用住宅の種類

併用住宅種類

併用住宅にはいくつかの種類があります。住宅と事務所を兼ねる場合には住宅兼事務所など、どのような種類の物件を入れているのかによって異なります。主に挙げられる種類について、以下の表でまとめましたのでご覧ください。

種類 特徴
住宅兼事務所 自宅を兼ねて、事務所として使用する場合に使われる
店舗併用住宅 一階部分が店舗、二階以上が住居として使われる
医院併用住宅 一階部分が医院、二階以上が住居として使われる
アパート併用住宅 自宅として住みながら、別棟や一部屋を賃貸することで収入を得るために使われる
飲食店併用住宅 一階部分が飲食店、二階以上が住居として使われる
ホテル併用住宅 自宅として住みながら、一部屋をホテルとして利用して収入を得るために使われる

地域によっては、併用住宅に関する条例が設けられている場合があるため、建築や利用を検討する際には注意するようにしてください。


併用住宅のメリット

併用住宅メリット

併用住宅を建築することで、いくつかのメリットがあります。主なメリットとしては、以下の4つが挙げられます。

事前にメリットを理解しておくことで、ローンの返済や税金の負担を軽減することが可能です。

家賃収入でローン返済が可能である

併用住宅は、家賃収入でローン返済が可能というメリットがあります。併用住宅を建てる多くの場合、住宅ローンを組みます。自分が住む部分に対してローン返済が毎月発生するため、返済に必要な資金を用意しなければなりません。しかし、併用住宅であれば賃貸部分から収益が得られるため、結果的に家賃収入でローン返済を補うことが可能です。

ただし、併用住宅での不動産投資は、建物の管理や賃貸管理などの手間や責任もあるため、投資家としての知識や経験が必要です。

固定資産税の軽減措置が適用される

固定資産税の、軽減措置が適用されるというメリットもあります。固定資産税の軽減措置とは、土地や建物を所有している人に対して課税される固定資産税に対して、条件を満たすことで課税額を軽減する措置のことを指します。併用住宅が軽減措置の適用がされる理由は、事業用資産と居住用資産の両方の機能を持っているからです。

併用住宅を所有している人は、その住宅を居住用として使用する一方で、店舗などを事業用に使用して収入を得ることが可能です。併用住宅の場合、居住用部分と事業用部分に分け、それぞれの評価額を算定した上で事業用部分の評価額について一定の割合で軽減される可能性があります。

ただし、軽減措置の適用には一定の条件があります。条件については、以下の通りです。

また、軽減措置の割合は地域によって異なるということを理解しておきましょう。

老後の収入源を確保できる

併用住宅を建てることで、老後の収入源の確保にもつながります。所有している住宅の一部を賃貸物件として活用することで、老後の年金や退職金などの収入にプラスして、賃貸収入を得ることができます。

将来的に自己や家族が住むための住宅を購入する際、収入が限られる場合であっても併用住宅として活用することで、住宅ローンの返済負担を軽減できる可能性もあります。老後の収入が不安という方には、賃貸収入が得られる併用住宅はおすすめです。

費用対効果がよい

併用住宅は、住宅と店舗が一つの建物で済むため費用対効果が良いです。事業に必要なスペースや設備を自宅内に持つことができるため、別途事業用のオフィスや店舗を借りたり建てたりする必要がなくなり、費用を抑えることができます。

さらに、自宅内で事業を展開することで、通勤時間や交通費が不要になり、生産性の向上や節約につながる可能性もあります。併用住宅は建築費を抑えられるだけでなく、交通費などをコストカットできるため、低コストで事業を展開しようと考えている方にとってメリットは多いでしょう。

併用住宅のデメリット

併用住宅には以下の3つのデメリットが挙げられます。

併用住宅のメリットだけでなく、デメリットについても把握することが大切です。併用住宅は、通常の住宅や賃貸物件とは異なるため、入居者とのリスクがいくつか発生する可能性があります。このようなリスクへの対策について事前に考えるためにも、併用住宅のデメリットについて解説していきましょう。

入居者の確保が難しい

併用住宅は、入居者の確保が難しいというデメリットがあります。家主自身が居住する部分と賃貸する部分があるため、入居者を確保することが難しいケースが多いです。理由として、借主にとって家主が同居していることがデメリットとなるからです。

借主は「自由に生活できない」「プライバシーが守られない」「トラブルが起きた時に家主との関係が悪化する恐れがある」等の理由から、家主が同居する併用住宅に入居したがらない傾向があります。

また、賃貸部分の家賃が市場価格よりも高い場合、さらに入居希望者が減少する可能性もあるため、家賃を設定する際には注意が必要です。

入居者とのトラブルが発生する可能性がある

入居者とのトラブルが発生する可能性もあります。主なトラブルとしては以下の通りです。

大きなトラブルへと発展させないためにも、上記のようなトラブルが発生する可能性があるということを理解しておくことが重要です。

将来的に売却がしづらい

併用住宅は、将来的に売却がしづらいというデメリットもあります。併用住宅は、一般的な住宅とは違って事業用として使用された跡が残るため、将来的に売却する場合には事業用不動産としての需要に限定されてしまいます。

また、需要が限られることで売却価格が低くなる可能性もあります。将来的に売却する場合には、設備や機器の状態や維持・修繕費用についても買主が懸念することがあり、売却がしづらくなる可能性もあることを知っておきましょう。


併用住宅を建てる際の流れ

併用住宅流れ

併用住宅を建てる際の流れについて解説していきます。流れとしては、以下の通りです。

見積もりを依頼する際には、1社だけでなく複数社で見積もりを依頼することをおすすめします。相見積もりをして値段を比較することで、適正な価格を把握できるだけでなく、価格交渉に役立てることも可能です。同じプランでも会社によって金額が異なるため、業者選びで失敗しないためにも比較して検討することが大切です。

併用住宅を建てる際のポイント

併用住宅ポイント

併用住宅を建てる際に、気をつけるべきポイントがあります。ポイントは、以下の通りです。

ポイントを抑えることで、併用住宅による不動産投資の成功につなげることができます。併用住宅を建てる上で大切なポイントとなりますので、以下で具体的に見ていきましょう。

店舗は基本的に1階に作る

店舗は基本的に1階に作ることをおすすめします。店舗は、道路に面した1階に作ることで、周辺環境の利便性を高めることが可能です。1階が店舗であることで、顧客が店舗に入りやすくなり商売の成功につながりやすくもなります。

防災性の面でも1階が望ましく、火災や地震などの災害が発生した場合、店舗を1階に作ることで避難や避難誘導がしやすくなります。また、店舗では音が出ることが多いため、住居部分と分離することで、騒音が住民に与える影響を軽減することも可能です。

業種に合わせた内装や外観にする

業種に合わせた内装や外観にすることも、併用住宅を建てる際の重要なポイントとなります。理由の一つは、業種に合わせた内装や外観にすることで商売の成功につながることです。

店舗の内装や外観は、お客様にとっての印象を左右するため、業種に応じた設計にすることで集客力やブランドイメージを高めることが可能です。例えば、カフェの場合はおしゃれな雰囲気に、医院の場合は落ち着いた雰囲気など、業種に合わせることでお客様の認知度を高めることにつながります。

二つ目の理由は、街並みに調和することです。業種に合わせた内装や外観にすることで周囲の建物と調和し、美しい景観を創り出すことができます。内装や外観のイメージが難しいという方は、専門家にアドバイスを求めるのも一つの手です。

経験豊富な専門家に相談する

併用住宅を建てる際には、経験豊富な専門家に相談することをおすすめします。店舗部分を設計する際には、商業施設としての機能性やデザイン性の両方を考慮する必要があるため、個人で考えるのは難しいです。

また、建築の際には経験豊富な建築家や設計事務所、施工業者、内装コーディネーター、不動産業者、税理士など、様々な専門家が関わってくることがあります。専門家に相談することで、設計や施工のノウハウや法的な知識を得ることができるため、建築を始める前に相談をしておくと安心です。

綿密な事業計画を立てる

建築を検討する際に、綿密な事業計画を立てるようにしましょう。建築をする上で、費用の把握をしておくことは大切なポイントです。綿密な事業計画を立てることで、必要な費用を正確に把握し、資金が不足しないように対策を取ることができます。

また、資金計画によって収支の見通しを立てることもできます。店舗部分の売上や経費、住宅部分の家賃収入や管理費用などを想定して、費用と収益のバランスを見極めることが可能です。

事業計画を立てることで、必要な資金を調達するための手続きもスムーズになります。事業を展開する上で必要な資金をどこから調達するのか、事前に計画を立てて準備することで、速やかな資金調達を実現させることが可能となります

併用住宅を建てるならMLINEへ

併用住宅は、一つの建物に住宅部分と店舗部分で区分されたものであり、兼用住宅とは形態や建築基準法の面で大きな違いがあります。家賃収入へローン返済が可能などのメリットがある一方で、入居者とのトラブルなどのデメリットがあることも把握しておくことが大切です。

併用住宅を建てる際のポイントは、店舗は基本的に1階に作る・業種に合わせた内装や外観にする・経験豊富な専門家に相談する・綿密な事業計画を立てることです。併用住宅の建築を検討している方は、一度M-LINEへご相談ください。

M-LINEでは、経験豊富な知識やノウハウを持つプロの視点から、ご提案・サポートを実施しております。併用住宅を建てたいと考えている方は、お気軽にお問い合わせください。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。
小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

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