小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
マンション経営を考えて資料請求などしている方の中には「マンション経営の勧誘電話がしつこくて困っている」「はっきりと断る方法が知りたい」と考えるケースは多いかと思います。
マンション経営はサラリーマンの副業や資産形成として注目を集めていますが、最近は悪質な勧誘電話が増えていることも問題になっており、国土交通省や各自治体がホームページに注意喚起を載せているほどです。
興味のない営業電話ははっきりと断り撃退することが重要です。
また中には、「優良な不動産会社の話なら聞きたい」という方もいるのではないでしょうか。しかし、勧誘電話から信頼性を見極めるのはなかなか難しいですよね。
そこで本記事では、悪質なマンション経営の電話の特徴や断り方を解説します。さらに、信頼できる優良会社からのマンション経営に関する電話の特徴もまとめました。
マンション経営の勧誘電話にお困りの方は、ぜひお役立てください。
まず、悪質なマンション経営の電話の特徴を5つ紹介します。
悪質な電話をかけてくる会社とは付き合わないことが大切です。ここで紹介する5つのポイントをしっかりとチェックしましょう。
最初にチェックすべきポイントは「社名や名前をしっかりと伝えているか」ということです。会社名や担当者名を伝えずに、いきなり話し始める電話には要注意です。
中には略称や苗字だけを使う担当者もいますが、正式な会社名やフルネームを伝える会社のほうが信頼性が高いと言えます。
同様に、電話の目的が曖昧な場合も注意が必要です。たとえば、「節税対策は何かやっていますか」と始まるような電話です。これでは具体的な内容が不明瞭で、何のための電話なのかがわかりません。
電話がかかってきたら、まずは「誰が」「何のために」かけてきた電話なのかが明確にわかるかを確認しましょう。
迷惑行為をする会社は悪質な営業をしている可能性があるため、関わらないことが大切です。
迷惑行為とは具体的にどういったものがあるのか簡単に説明をしていきます。
宅地建物取引業法(不動産の売買や賃貸などの取引において、適正な取引が行われるように規定された法律)では、以下の行為を迷惑行為と見なし、禁止しています。
優良な企業であれば、法律で禁止されている行為を避けることが通常でしょう。迷惑行為を堂々と行う会社からの電話には応じないようにしましょう。
個人情報を聞き出そうとする電話にも気を付けましょう。あなたが不動産を買うための融資を受けられるか、見込み客かどうかを判断しようとしている可能性があります。
たとえば、以下のような質問には注意が必要です。
中にはアンケートと称して情報を聞き出したり、ファイナンシャルプランナーの資格を持っているからアドバイスできると情報を聞き出したりする場合もあります。質問に答えただけのつもりが、「その後何度も勧誘電話を受けることになった」「巧みな言葉で長々と営業されてしまった」という事態につながりかねません。
質問されても、個人情報を教えないように気を付けましょう。
メリットばかりを伝える勧誘電話にも気を付けることが大切です。
マンション経営は複雑で専門的な知識が必要なため、内容が詳しくわからないまま話を聞いてしまうことは少なくありません。中には、メリットや魅力だけを伝え、功名な言葉で会う約束を取り付けようとする担当者もいるため注意が必要です。
たとえば、「節税できるのでマイナスになりません」や「儲かります」「資産を増やせます」「年金代わりになります」といった言葉には特に慎重になるべきです。
実際に不動産業者に直接会うと、電話以上にしつこい営業で、うまく断り切れずに契約してしまったという被害も報告されています。
言われたことを鵜呑みにせず、必ず自分で調べ検討するよう心がけましょう。
契約を急かしたり執拗に会おうとしたりする電話にも注意しましょう。
本来、マンション経営は十分なリサーチを行い慎重に進めるべきです。それにもかかわらず、「今月限りのキャンペーンなので、お得に紹介できるのは月末までです」「早めに決断ください」など、締め切りを早く設定し、強引に契約を急かしてくる場合は悪質な可能性があります。
たとえ今月のキャンペーンが本当であっても、契約の内容を十分に理解する時間を与えてくれる会社と取引することが、後悔しない契約につながります。
また、「他にも興味のあるお客様がいるためお早めにご検討ください」「最初にご案内したけれど、決めていただけないようでしたら次のお客様に紹介します」「早いもの勝ちです」といった心理的なプレッシャーをかけてくる場合も、応じないことが重要です。
悪質な営業担当者は、相手のペースを考えず、自分の利益ばかりを優先することが特徴です。
続いて、しつこいマンション経営の電話を断るおすすめの方法を3つ紹介します。
迷惑な電話には冷静に対応し、再びかかってこないように対処しましょう。
1つ目の方法は「宅地建物取引業法(宅建業法)において違法だと伝える」ことです。
前述した通り、名前や目的を告げない電話や早朝や深夜(一般的に8:00~21:00ごろ)の電話は迷惑行為にあたります。また、一度断っているにもかかわらず、「より条件の良い物件が入ってきたので紹介したい」といった再度の電話も法律に違反しています(再勧誘の禁止)。
このような行為がある場合は、はっきりと「この営業は違法ではないですか?」と伝えましょう。違法であることを指摘することで、電話をかけないほうがよい相手だと認識され、営業電話を撃退できるでしょう。
<断るためのトーク一例>
2つ目の方法は「マンション経営に興味はない」ときっぱりと断ることです。
少しでも興味を示してしまうと、営業トークが長引き、話を終わらせるのが難しくなります。
中には優しさから、「今は時間がないので」「仕事中なので」と曖昧に断ってしまう方もいますが、これでは再度電話がかかってくることを避けられません。
断る際は、明確にマンション経営に興味がないことを伝えることが重要です。
もし同じ電話を受けたくないのであれば、断るだけでなく、データの削除を依頼したり着信拒否をしたりすることも考慮しましょう。
ただし、営業電話自体は違法ではないので、トラブルを避けるためにも怒りっぽくならず、丁寧に対応することが大切です。
<断るためのトーク一例>
3つ目の方法は「公的機関に相談する」と伝えることです。
断っているにもかかわらず繰り返し電話がかかってきたり、威圧的な発言をされたりした場合は、公的機関に相談すると伝えましょう。
電話先の担当者も面倒なトラブルは避けたいため、有効な方法です。購入の見込みのない相手への電話はメリットも少ないので、電話をかけてこなくなる可能性が高くなります。
実際に公的機関に相談する場合は、国民生活センターや業者に免許を与えている各自治体の国土交通省地方整備局などに、業者名・担当者名・電話がかかってきた時間帯や内容を報告しましょう。
怒鳴りや威圧的な態度で恐怖をおぼえた場合は、警察へ通報しても大丈夫です。
どこに相談したらよいかわからなければ、消費者ホットラインの「188(いやや!)」番に連絡しましょう。最寄りの消費生活センターや消費生活相談窓口を案内してくれます。
<断るためのトーク一例>
ここまで、悪質なマンション経営の電話の特徴や撃退方法を紹介しました。
しかし、「良い会社からの電話であれば聞いてみたい」「興味はあるが強引に勧誘されないか心配」という方もいるのではないでしょうか。こうした方のために、本項では良い会社の見分け方について解説します。
マンション経営の勧誘電話に関するトラブルが報じられていると、マンション経営の電話のほとんどが悪質だと考えがちですが、実際はすべての勧誘電話が詐欺や悪質だというわけではありません。
良い会社のマンション経営に関する電話の特徴は、以下の3点です。
それぞれ詳しく解説します。
良い会社の担当者は言葉遣いが丁寧で、相手への気配りを大切にしていることが一般的です。さらに、優良企業であれば、マナーや言葉遣いなど、営業の基本はトレーニングを通してしっかりと身につけられていることでしょう。
電話の最初には正式な社名やフルネームを名乗り、電話の目的をはっきりと伝える企業は信頼性があります。
また、「今話をしても迷惑ではないか」といった気配りができる担当者は、仕事もできる可能性が高いでしょう。
良い会社からの電話の場合、双方向の会話がしっかりと成り立ちます。当たり前のことのようですが、悪質な営業電話では相手が一方的に話し、実際には会話が成り立っていないことがよくあります。
優良な営業担当者は相手の状況やニーズ、興味レベルを理解し、信頼を築くことに注力しています。そのため、一方的な印象を与えないことが特徴です。
また、話をよく聞き、質問に対して丁寧に回答してくれることもポイントです。
双方向のコミュニケーションがしっかりと成り立つ会社は、良い会社の大きな特徴でしょう。
マンション経営にはメリットだけでなく、リスクやデメリットも存在します。良い担当者は、一方的にメリットばかりを伝え、強引に押し売りするようなことはしないでしょう。
どんなにローリスクの物件であっても、災害や家賃下落などの潜在的なリスクに関してもしっかりと説明してくれる担当者は誠実で信頼できます。
また、リスクを伝えない担当者は、長期的に良い関係で付き合っていこうという気持ちに欠けている可能性も否定できません。なぜなら、リスクについて説明しないことは、後々「聞いていない」という担当者自身のトラブルにつながる可能性もあるためです。
良い会社はリスクを隠さず説明し、長期的に良い取引ができる顧客を探していることが特徴です。
マンション経営の勧誘電話を一度断ったけれど、後で興味が出てくることもあるでしょう。特に良い会社からの話であれば、詳細を知りたいと感じる可能性があります。
もしも考えが変わり詳しく話を聞いてみたくなったら、以下の手順で検討を進めることをおすすめします。
<手順1:勧誘された会社やマンションについて詳しく調べる>
まずは、対象の会社の評判やマンションについてインターネットで詳しく調べましょう。確認するポイントは以下の通りです。
信頼できる会社で魅力的なマンションだとわかったら、次の手順に進みましょう。
<手順2:仲介会社に直接連絡する>
より詳しく話を聞くために、対象の仲介会社に連絡し、面談のアポイントメントを取りましょう。
マンション経営を本格的に検討する場合、不動産や経営の知識だけではなく、法律や財務などの専門知識も必要になります。疑問や不明点は積極的に質問し、慎重に考えることが大切です
また、自分の予算やニーズを伝えることで、より適したマンションを紹介してもらえる可能性もあります。
マンション経営を具体的に始める流れやポイントについて詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
悪質なマンション経営の電話にはうまく対処し、不審な会社とは付き合わないことが大切です。トラブルを未然に防ぐためにも冷静に対応し、正確な知識でしっかりと撃退しましょう。
ただし、マンション経営の電話が全て悪質だというわけではありません。営業電話自体は、多くの企業が取り入れている正式な営業手段の1つです。
営業電話を通して気軽に話を聞いてみたい方は、本記事で紹介した「良い会社のマンション経営に関する電話の特徴」を参考にしてみてください。
マンション経営に興味がある場合は、信頼できる専門家に相談することが一番の近道です。
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2024/11/29
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