小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
この記事では、二世帯住宅のリフォーム費用相場や改装の際のポイントについて紹介します。
「二世帯住宅のリフォームにはいくらぐらいかかるの?」
「二世帯住宅でリフォーム費用を安く抑える方法を知りたい。」
など、二世帯住宅のリフォームを検討している方はこのような疑問があるのではないでしょうか。
二世帯住宅のリフォームを成功させるためには、二世帯住宅ならではのリフォームについて知識をつける必要があります。
ここから二世帯住宅のリフォーム費用相場をはじめ、費用が変動する理由、成功事例まで丁寧に記載しているので、ぜひ参考にしてください。
二世帯住宅のリフォーム費用の相場は1,000万円以上とされています。しかし、この金額は完全分離型のリフォームの平均額です。
完全分離型とは、玄関やトイレ、浴室など、完全に分離した二世帯住宅のことです。
部分共用型として一部の部屋をリフォームする場合には、費用は100万~300万円程度が相場となっています。
部分共用型とは、玄関やトイレ、浴室など一部を親子世帯で共有して使用する二世帯住宅です。
また、さらに小規模なリフォームだと、50万円以下の費用に抑えることも可能です。
二世帯住宅の小規模リフォームの改装箇所は、例えば以下のようなものがあります。
バリアフリー化は、階段や廊下に手すりを設置する場合は約10万円、玄関の段差を解消し手すりを設置する場合は約35万円が費用相場となっています。
ガスコンロをIHクッキングヒーターに交換する場合は、約9万~25万円が相場です。
トイレの増設は、給排水管の設置を含める場合は、約50万円が相場となっています。
二世帯住宅の中規模リフォームの改装箇所は、例えば以下のようなものがあります。
玄関の改修で、断熱化や靴箱などの追加を行う場合、費用は約50万~70万円が相場になっています。
浴室の改修で、ユニットバスへの変更は約100万円以上、バリアフリー仕様の場合は約80万~160万円が相場です。
キッチンの増設の費用相場は約120万~150万円ほどとなっています。
二世帯住宅のリフォーム費用が変動する理由は以下の3つです。
順に説明していくので、最後まで目を通すようにしてみてください。
二世帯住宅のリフォーム費用は、建物の築年数よって大きく変動します。
例えば、築年数が長いほど建物の劣化が進み、修繕や交換が必要な箇所が増えるため、リフォーム費用が高くなる傾向があります。
水回り設備は築15~20年、配管や内装は築30年が目安で劣化が進行するのが一般的です。また、屋根や外壁は築40年を超えると大規模な修繕が必要になる事例が多いです。
さらに、築40年以上の建物は、1981年に導入された新耐震基準以前に建てられている可能性が高く、耐震補強を含む大規模な改修が必要になる場合があります。
二世帯住宅のリフォーム費用は、構造によっても変動します。
建物の構造によっては希望する間取りへの改修が難しくなる場合があり、工事が複雑化することで費用が上昇する可能性が高いです。
また、構造上重要な耐力壁の配置次第では、間取りの大幅な変更が困難になり、高コストにつながる場合があります。
さらに建物の構造上、増築が難しいケースもあり、その場合は代替案の検討が必要となり、リフォームの計画や費用に影響を及ぼします。
二世帯住宅のリフォーム費用は、住宅タイプによって大きく変動します。
完全分離型では、玄関・キッチン・バスルームなどの設備を親子二世帯分用意する必要があるため、建築費用が高額になります。
一方、部分共用型は、玄関やリビングなど一部の設備を共有するため、リフォーム費用が抑えられる可能性が高いです。
二世帯住宅のリフォーム費用は地域ごとにも違い、その要因にはさまざまなものがあります。
例えば人件費は、都市部では賃金水準が高く、職人や作業員の人件費が増加する傾向にあります。一方、地方では賃金が抑えられるケースが多いです。
材料費も関わってきます。都市部では建材の流通がスムーズなためコストが抑えられる一方、地方では輸送距離が長くなることで運送費が高くなります。
さらに、法規制と許認可の違いも影響すます。都市部では建築基準が厳しい場合が多く、許認可手続きが複雑であるため、それが間接的に工事費用に反映されるので注意しましょう。
ここでは、二世帯住宅のリフォーム費用を抑えるコツを3つ紹介していきます。
順に説明していくので、リフォーム費用をできるだけ抑えたい人は、ぜひ確認してください。
二世帯住宅のリフォーム工事を依頼する際、リフォーム会社やハウスメーカーではなく、地元の工務店や業者へ直接依頼すると費用を抑えることができます。
工務店は工事の多くを自社で直接請け負うため、リフォーム会社やハウスメーカーで発生する際の手数料などを削減できるからです。
さらに、地元の工務店を選べば、緊急時やトラブルが発生した際にも迅速な対応が期待できます。
担当者が近くにいることで、対面での打ち合わせがスムーズに進みやすく、アフターフォローも充実しているのも嬉しいポイント。
また、地元に複数の工務店や業者がある場合は、それぞれで見積もりを取り、費用がより抑えられるところを選ぶのも良いでしょう。
リフォーム内容の優先順位を明確にすることで、二世帯住宅のリフォーム費用を抑えることができます。
親子世帯それぞれの理想を全て実現しようとすると、費用がかさんでしまいます。
優先するべきポイントとしては、二世帯住宅において必須の設備や、経年劣化が激しい箇所の改装などです
また、それぞれの世帯で、これだけは譲れないという希望があれば、十分に話し合うことが大切です。
二世帯住宅でのリフォームローンの組み方は以下の3つがあります。
一般的に、最も費用を抑えられるのは「親子の収入合算で組む」方法です。このリフォームローンでは、住宅ローンは一本で組むため、諸費用が最も少なくなります。
親子ペアローンでは、親と子がそれぞれ別々のローンを組むため、住宅ローンが二本になり、諸費用が高くなる傾向にあります。
親子リレーローン団体信用生命保険の加入金や返済が含まれるため、追加の費用が発生する場合多いです。
二世帯住宅のリフォームに活用できる補助金は例えば以下のようなものがあります。
長期優良住宅化リフォーム推進事業は、二世帯住宅の長寿命化を目的とした性能向上リフォームを支援する国の補助事業です。
補助対象となるリフォームには、キッチン、浴室、トイレ、玄関の増設リフォームが含まれます。
補助金額は、対象費用の1/3で、上限は1戸あたり80~160万円です。ただし、劣化対策や耐震、省エネ性を向上させる必須工事と同時に実施することが条件となるので注意してください。
二世帯住宅のリフォーム時の改装で意識しておきたいポイントは以下の3つです。
親世帯が高齢化していくため、バリアフリー化を意識しておくことは重要なポイントです。
まずは、床や玄関、浴室などの段差を解消しておくことがおすすめです。これにより、転倒の防止に繋がります。
段差を平らにするリフォームを行うか、段差解消スロープを設置するのも良いでしょう。
また、玄関、廊下、階段、トイレ、浴室、寝室などに手すりを設けることもおすすめです。これにより、住宅内での移動が安全になったり、楽になります。
さらに廊下や部屋の入り口を広くすることも意識しましょう。車椅子での生活になった際に、便利になります。
二世帯住宅のリフォームでは、断熱性の向上を意識するのもおすすめです。
理由は、冬場に高齢者に多発するヒートショックの防止になるからです。
床、壁、天井、窓を断熱することで、家全体の暖かさを保ち、部屋間の温度差を減らすことができます。また、最上階の天井裏や窓部分だけを断熱する簡易的な方法もあります。
例えば、天井裏の断熱工事は天井を剥がす必要がなく、天井裏に断熱材を追加するだけで済むため、比較的短期間でリフォーム完了できるのです。
二世帯住宅のリフォームでは、耐震性を意識しておくことも非常に重要です。
二世帯住宅は、親子二世帯で長く住むことになるため、老朽化が進んで耐震性が低くなる前に対策しておきましょう。
また、親世帯が高齢になると、地震発生時に逃げ遅れることもあるので、なおさら耐震リフォームしておくことが大切です。
耐震リフォームする際には、どの部分を補強することで全体の耐震性を強化できるのかを診断してもらうことがおすすめです。
最後に、二世帯住宅のリフォームで成功した事例を紹介していきます。
今回紹介する成功事例は、以下の3つです。
二世帯住宅のリフォームで失敗しないために、ぜひ参考にしてみてください。
まず紹介するのは、122万円と安価にガスコンロ付きのキッチンを増設し、リビングダイニングにリフォームした成功事例です。
リフォーム内容は、1階の洋室2部屋をつなげて新たにキッチンを設置し、子世帯専用のLDKを実現しました。また、二世帯住宅全体のガス給湯器をすべて新しいものに交換し、各階でガス給湯器と浴室の電源を個別に操作できる仕様に変更。
このリフォームでは、築年数が比較的新しいことやリフォーム対象が子世帯部分のみであったことから、コストを122万円と抑えることができました。
さらに、増設したキッチンには機能性を備えた設計が施されており、使い勝手が向上。これにより、家事の負担が軽減され、親子世帯双方の家族が快適に生活できる環境が整いました。
また、ガス給湯器の交換によりエネルギー効率が向上し、毎月の光熱費も削減可能に。子世帯が独立して生活できるスペースを確保することで、親世帯との適度な距離感を保ちつつ、二世帯での暮らしがより快適になりました。
これらの工夫が、家族の満足度を大きく高めるリフォームとなりました。
参考:二世帯住宅リフォームの増築を始めとした事例や費用、注意点と使える補助金を解説|ホームプロ
次に紹介するのは、お互いのプライバシーに配慮した部分同居タイプの二世帯住宅にリフォームした成功事例です。
プライバシーを尊重しつつ、適度な距離感で心地よくコミュニケーションが取れるように工夫されています。メインキッチンのほかに親世帯専用のミニキッチンを設置し、親子世帯双方がそれぞれの空間で快適に暮らせるよう設計されました。
また、子世帯のアメリカ人の奥様とご主人の好みに合わせ、フレンチテイストを取り入れたデザインが採用され、洗練された空間を実現しています。
バリアフリー化も重視し、玄関の上がり框には手すりを設置し、親世帯にも配慮した安心の設計に。
さらに、2階の天井には断熱材や屋根裏換気が導入され、夏は涼しく冬は暖かい適切な室温を保てるよう改善が行われました。加えて、各居室には高性能の断熱サッシを採用し、省エネ性能も向上。
リフォーム後は家族全員が快適に暮らせるだけでなく、将来的なメンテナンスコストも抑えられる設計となっています。これらの工夫により、親子世帯全員が満足する住環境が整いました。
参考:二世帯リフォームの種類や事例を詳しく解説|住友林業のリフォーム
最後に、1,600万円という低コストで耐震構造のリフォームに成功した事例をご紹介します。
このリフォームでは、壁量バランスをしっかりと確保しつつ、引き抜き力が過剰にならないよう配慮。
さらに、高齢のお母様との二世帯住宅に適した仕様として、天井を高くし、断熱塗料を使用することで快適な断熱性能を実現しました。
天井をできるだけ高くすることで、リビングに開放感を持たせ、梁をあえて見せるデザインを採用することで、住宅空間にアクセントを加えました。この工夫により、カフェのような雰囲気のリラックスできるスペースが完成。
さらに、家全体の耐震性を高めるため、劣化部分の補強や新しい構造材の導入を行い、安全性も大幅に向上。また、断熱性の向上により、冬は暖かく夏は涼しい環境が整い、高齢者にも配慮した住みやすい家となりました。これらの工夫により、家族全員が快適に暮らせる二世帯住宅が完成しました。
参考:二世帯住宅リフォームの増築を始めとした事例や費用、注意点と使える補助金を解説|ホームプロ
本記事では、二世帯住宅のリフォーム費用の相場や、コストを抑えるコツ、改装で意識するポイントについて解説してきました。
二世帯住宅のリフォームを成功させるためには、費用相場を知って、賢くコストを抑えることが重要です。
二世帯住宅のリフォームをしようと考えている方は、M-LINEにぜひご相談ください。
M-LINEでは、これまで数多くの二世帯住宅のリフォームを行っており、最適なリフォームに関してのアドバイスを提供いたします。
豊富な経験と実績を持つ専門スタッフがお客様のご要望を伺った上で、最適な提案をさせていただきますので、ぜひM-LINEにお問い合わせくだい。
2024/12/27
2024/12/27
2024/12/27