小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
この記事では、二世帯住宅平家にするメリットとデメリットについて紹介します。
「二世帯住宅平家にするメリットはあるの?」
「二世帯住宅平家のデメリットも知りたい。」
など、二世帯住宅平家の建築を検討している方はこのような疑問があるのではないでしょうか。
二世帯住宅平家で親子世帯双方が快適に過ごすためには、二世帯住宅平家ならではの知識をつける必要があります。
ここから二世帯住宅平家の間取りパターンをはじめ、費用相場、成功事例まで丁寧に記載しているので、ぜひ参考にしてください。
二世帯住宅を平屋にするメリットはたくさんありますが、ここでは、二世帯住宅を平屋にするメリットを3つ紹介します。
上記3つを順に解説していきます。
二世帯住宅を平屋にすることで、お互いのプライバシーを守りやすくなるという大きなメリットがあります。
平屋の構造では、生活スペースをワンフロアに広げて配置するため、親世帯と子世帯の間に十分な距離を確保しやすいです。
例えば、それぞれの世帯のリビングや寝室を遠くに配置することで、食生活や夫婦の営みにも干渉されることがありません。
また、平屋は各部屋へのアクセスのしやすさから親世帯の高齢者にとってもメリットがあります。階段がないことで、落下の危険性がなくなり、安全性も向上します。
このように、平屋はプライバシーの確保と安全性の両立が可能です。
二世帯住宅を平屋にするメリットの二つ目は、耐震性の高さです。平屋は建物全体が低く、重心が低い構造であるため、地震が発生した際に揺れが少なく、安定感があります。
これに対して、2階建てや3階建ての建物は高さがある分、重心が高くなるため、揺れの影響を受けやすく、建物にかかる負担も増えがちです。また、平屋は上からの荷重が少ないことに加え、構造がシンプルであるため、耐震補強工事がしやすいのもメリット。
地震の多い日本において、地震への備えは特に重要です。特に小さな子どもや高齢者がいる家庭では、平屋の方が安心感をもたらします。
世帯住宅を平屋にするメリットの三つ目は、お互いの生活音が気にならないことです。
2階建ての二世帯住宅では、上下に分かれた生活空間の間で、特に1階に住む世帯が2階の世帯の足音や排水音などに悩まされることがあります。
また、親世帯と子世帯の生活リズムが異なる場合、深夜や早朝に生じる音がストレスになることも少なくありません。こうした問題は、生活音に敏感な人にとって深刻な課題となります。さらに睡眠不足にも直結します。
一方、平屋では、各世帯がワンフロア内に居住スペースを持つため、上下階の騒音問題が発生しません。隣り合う配置にすることで、生活音が壁越しに軽減され、互いに気を遣う必要が少なくなります。
また、上下階の移動がないため、足音などの騒音問題が発生しにくく、より静かで快適な生活環境を提供します。
そのため、親世帯も子世帯もそれぞれの生活リズムを保ちながら快適にそして健康に暮らすことが可能です。
平屋は、音の問題が発生しにくく、音による世帯間のストレスを減らします。
二世帯住宅を平屋にすることでデメリットもあります。
例えば以下の2つがデメリットと言えるでしょう。
順に解説していきますので、必ず目を通すようにしてください。
二世帯住宅を平屋にする場合、建築費用が高くなるというデメリットがあります。
平屋は2階建てや3階建てと異なり、建物が水平方向に広がるため、基礎や屋根の面積が広くなります。その結果、基礎工事や屋根工事にかかる費用が増加し、同規模の2階建て住宅に比べて割高になる傾向があります。
さらに、ワンフロアに二世帯分の居住空間を確保するには広い土地が必要です。都市部や需要が高い地域では土地代が高額になるため、平屋の二世帯住宅を建てるコストがさらに増加します。
また、建ぺい率など地域ごとの法規制によって、敷地全体を効率的に活用できない場合もあります。つまり、建築費用だけでなく土地取得費用の負担も重くなりやすいのです。
建築費用が高額になるだけでなく、平屋では親世帯と子世帯それぞれにキッチンやバスルームなどの設備が必要になる場合もあるため、コストがさらにかさむ可能性があります。これに加え、基礎部分の面積が増えることで、固定資産税や維持管理費も高くなりやすいのです。
設計段階で建築費用や土地代を考慮し、親子世帯間で十分に話し合いを行うことが重要です。
二世帯住宅を平屋にする場合、水害リスクが高まる点はデメリットです。平屋は2階建てと異なり、万が一水害が発生した際に上階への避難ができません。
そのため、特に高齢者や小さな子どもがいる家庭では避難が遅れる可能性があり、命の危険を伴うケースもあります。
近年の気候変動により、大雨による洪水や浸水のリスクがこれまで以上に高まっています。住む地域が水害リスクの高いエリアであれば、ハザードマップを確認し、川や海抜の低い土地を避けて土地を選ぶことが重要です。
また、万が一の事態に備えて、基礎を高くする高床式の設計や、水害対策を施した建築工法を採用することも検討すべきです。
さらに、事前に避難経路を確認し、浸水想定区域に近い場合は、地域の避難場所や方法を親子世帯で共有しておく必要があります。
平屋を選ぶ際には、快適な住環境だけでなく、水害に対する安全性にも十分配慮し、計画的に準備を進めることが大切です。
ここでは、二世帯住宅平屋の間取りパターンを紹介していきます。
二世帯住宅平屋の間取りは以下の3つです。
順に解説していくので、それぞれ自分に合った間取りを選ぶようにしましょう。
完全分離型の二世帯住宅は、親世帯と子世帯の居住スペースを完全に分け、それぞれの生活設備を備える間取りです。
このタイプでは、キッチン、浴室、トイレ、リビングなどがそれぞれの世帯に設けられます。そのため、生活リズムやプライバシーを尊重した暮らしが可能です。
特に、左右分離型の平屋では、親世帯と子世帯が隣り合わせで住む形になり、玄関も別々に配置されます。これにより、外を通ってお互いの居住空間を行き来できる構造が一般的です。
完全分離型には、分棟タイプと呼ばれる建物自体が完全に独立した設計もありますが、広い土地が必要になるため、都市部では難しい場合があります。
完全分離型は、家族のプライバシーを確保しつつ適度な距離感を保ちたい親子世帯におすすめです。
二世帯住宅平屋の間取りの一部分離型は一部共用型とも言います。一部分離型は親世帯と子世帯が家の一部を共有しつつ、それぞれのプライバシーを一定程度保てる間取りです。
このタイプでは、玄関やリビング、キッチン、水回りなどの設備を共用することが多いですが、具体的な共用部分は親子世帯の希望に合わせて柔軟に設計されます。
例えば、キッチンを共用にして一緒に料理を楽しむ一方、リビングや寝室は個別に分けることで、プライベートな空間を確保できます。
平屋の一部分離型は、家の中心部に共用スペースを配置し、左右に各世帯のプライベートエリアを振り分けるレイアウトが多いです。
こうすることで、適度な距離感を保ちながらお互いの様子を確認できるため、家族間のコミュニケーションが円滑になり、緊急時にはお互いの安全性も守ることができます。
ただし、プライバシー確保のために親子世帯の居住スペースには鍵付きのドアを設けるなどの工夫をしましょう。
一部分離型は、プライバシーとコミュニケーションのバランスを求める親子世帯におすすめです。
完全共有型の二世帯住宅は、親世帯と子世帯が同じ生活設備や居住空間を共用するスタイルで、寝室以外のリビングやキッチン、浴室、トイレなどを共有する間取りです。
この間取りの最大のメリットは、コンパクトな平屋を建てられることにより、広い土地を確保できない場合でも対応可能な点です。また、建物面積が抑えられるため、建築費用を他の間取りパターンよりも低く抑えられるのも大きなメリット。
完全共用型の平屋は、子育てや介護といった親子世帯間で協力が必要な状況で特に真価を発揮します。
例えば、食事の準備や育児、介護などの日常的なタスクを分担しやすく、親子世帯間のコミュニケーションが取りやすい環境を作ることができます。
一方で、プライバシーの確保が難しい点が課題です。これを改善するために、例えば寝室を建物の両端に配置したり、音を遮る構造の壁やドアを取り入れたりする工夫が求められます。
また、お互いの生活リズムを尊重し、相手を思いやる気持ちが必要です。
完全共有型は、費用を抑えつつ親子世帯が密接に協力して生活したい人におすすめです。
ここでは、二世帯住宅平屋の間取りの成功事例を紹介します。
ぜひ参考にしてみてください。
完全分離型の二世帯住宅平屋の成功例として、親世帯と子世帯の居住スペースを完全に独立させた二世帯住宅を紹介します。
この間取りでは、玄関、キッチン、浴室、リビングをすべて各世帯専用とし、生活の全てを分離。お互いのプライバシーがしっかりと守られる構造となっています。
さらに左右対称のデザインを採用し、それぞれの居住空間に同じ機能を持たせることで、生活の質を均等に保つ工夫がされています。
また、親世帯側にはバリアフリー設計を施し、高齢者にも優しい環境を提供。子世帯側ではリビングとダイニングを広く取り、小さな子どもが遊べるスペースも確保しています。
共用部分を一切排除したことで、親子世帯間の干渉を避けつつ、快適に暮らせる平屋となっています。
参考:40坪台の二世帯住宅(二階建て・平家)間取りパターン|NORQ HOMES
左右分離型で一部分離を採用した二世帯住宅平屋の成功事例です。この間取りでは、親世帯と子世帯が適度なプライバシーを確保しつつ、必要な部屋を共有するバランスが特徴です。
共有スペースとして玄関、LDK、お風呂を設け、一方でトイレと洗面所をそれぞれの世帯専用としました。左右の世帯はキッチンとダイニングを挟んで配置され、各世帯の生活空間が独立しています。
右側の世帯は個室とLDKを廊下で繋ぎ、サンルームへ一直線でアクセス可能な便利な動線を確保。一方、左側の世帯はLDK側にもサンルームの出入り口を設け、移動のしやすさを重視しています。
この間取りは3LDKに加えて2つの洗面所と2つのトイレが設けられ、機能性と快適性を兼ね備えたデザインとなっています。
参考:40坪台の二世帯住宅(二階建て・平家)間取りパターン|NORQ HOMES
完全共用型の二世帯住宅平屋の成功例として、耐震性と機能性を重視した二世帯住宅平家を紹介します。
LDKは20.5帖の広々とした空間を実現し、親子世帯が一緒に過ごしやすい設計となっています。また、スタディコーナーや来客用と家族用で分けた洗面所、2wayのウォークインクロゼットなども設置。
建築には「パナソニック耐震住宅工法テクノストラクチャー」を採用し、高耐震・高気密・高断熱を実現しました。特に耐震性に配慮しながら大空間を作れる設計自由度が特徴で、広い平屋ならではの安定感と快適さを提供しています。
また、どっしりとした和モダンの外観も希望通りで、家族の満足度が高い住まいとなっています。
参考:SUUMO 東海版
ここでは、二世帯住宅の平屋を建てる際に抑えておきたいポイントを紹介します。
特に抑えておきたいのは、以下の3つです。
お互いの防音性を高めるために、寝室などのプライベート空間は、できるだけ隣接させない配置が理想的です。
特に、親世帯と子世帯で生活リズムが大きく異なる場合は、それぞれの居室を建物内でもっとも離れたエリアに配置することを検討しましょう。
例えば、間取り設計の際、居室同士の間に収納スペースや水回りを挟むことで、さらに音を遮ることが可能です。
また、防音効果の高い建材やドアを採用することで、音の漏れを軽減できます。さらに、居室間の配置だけでなく、動線にも配慮することが重要です。
例えば、リビングから親世帯の寝室に直接アクセスできる動線は避けるべきで、独立性のある廊下や仕切りを設けることで、親子世帯双方が快適に暮らせる設計が実現します。
窓の配置は、押さえておきたいポイントの一つです。特に、居室同士の窓が向かい合っている場合、視線が交差してプライバシーを損なう恐れがあります。
この問題を避けるためには、窓を異なる方角に設置する、あるいは窓の高さを変えて設置するなどの工夫が必要です。
また、窓ガラスに目隠し機能のある素材を使用するのも有効です。
二世帯住宅の平屋を建てる際にバリアフリーのことも押さえておきましょう。
平屋は段差が少なく、もともとバリアフリーに適した構造ですが、土間やロフト、スキップフロアを採用する場合には、動線の安全性に配慮する必要があります。
これらの設計を取り入れる際には、手すりやスロープを設置するなど、移動しやすさを確保しましょう。
最後に二世帯住宅平屋で理想の間取りを実現するための費用と節約方法について解説していきます。
二世帯住宅平屋の費用相場は間取りごとに異なってきます。
完全分離では、50~60坪で約3,000万円~5,000万円、部分共有では、40~50坪で2,500万円〜4,000万円です。
二世帯住宅平家で利用できる補助金には、例えば以下の2つがあります。
例えば、地域型住宅グリーン化事業は、省エネ性能や耐久性に優れた二世帯住宅平家を地元の工務店で建築する際に利用できる国の補助金制度です。
補助金は工事費の10%以内、1戸当たり最大165万円が支給されます。
さらに、地元の木材を50%以上使用する場合は20万円、二世帯住宅なら追加で30万円が補助され、条件次第で200万円以上の補助が可能です。
本記事では、二世帯住宅メリットとデメリット、成功事例などについて解説してきました。
二世帯住宅平家で快適に住むためには、費用相場を知って、親子世帯がどの間取りを選択するかがポイントです。
二世帯住宅平家を検討している方は、M-LINEにぜひご相談ください。
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2024/12/27
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