小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
「キッチンにゴミ箱は必要?」「どこに置くのがベスト?」「そもそも新築の設計段階で考えるべきことなの?」と考えている方もいるでしょう。
キッチンのゴミ箱の置き場所は、想像以上に生活の快適さを左右します。特に新築住宅では、最初から計画に組み込まないと、後で「置き場がない…」と悩むことになりかねません。
この記事では、キッチンにおけるゴミ箱の必要性と最適な配置について、見落とされがちなポイントを交えながら詳しく解説します。新築設計の段階から「ゴミ箱の置き場」をしっかり考え、快適なキッチン空間を実現しましょう。
キッチンのゴミ箱置き場に困る家庭は意外と多く、原因の多くは設計段階での見落としです。
新築やリフォームではキッチンの間取りや収納ばかりに気を取られ、ゴミ箱の存在が後回しにされがちです。その結果、実際に住み始めてから「置き場がない」「動線が悪い」「見た目が悪い」といった問題が浮上することも。
ここでは、キッチンでのゴミ箱の置き場問題が発生する以下3つの理由について解説します。
新築時の設計でゴミ箱の置き場を考慮しないと、後から不便を感じやすくなります。
新築やリフォームの設計時はキッチンの間取りや収納にばかり気を取られやすく、ゴミ箱の配置が検討されないまま工事が進んでしまうことも少なくありません。完成後に無理にゴミ箱のスペースを作ることになると、動線が塞がれたり見た目が雑然とした印象になったりする可能性があります。
キッチンの見た目やデザインを重視するあまり、実用性を犠牲にしてしまうケースも考えられます。
最近はインテリアと調和した美しいキッチンデザインが好まれ、ゴミ箱を見えない場所に隠すスタイルが増えています。しかし、ゴミ箱が開けにくい位置にあったり、ゴミを捨てるたびにかがまなければならない構造になっていたりすると、日々の使い勝手が悪くなります。
ごみの分別が細かい地域では、複数のゴミ箱を想定した収納計画が欠かせません。
可燃ごみ、不燃ごみ、資源ごみなどの分別が義務づけられている自治体では、ゴミ箱の数も増える傾向にあります。特に新築に伴う引っ越しの場合、以前住んでいた地域と分別ルールが異なることも多く、予想以上にゴミ箱のスペースが必要になるケースも見受けられます。
例えば東京都内でも区ごとに分別方法は異なり、大田区はその細かさで有名です。大田区では「プラスチック」「資源(7品目)」「可燃ごみ」「不燃ごみ」の4種類にゴミを分ける必要があります。食品トレイや弁当の容器、カップ麺やゼリーのプラスチック容器、スーパーやコンビニのレジ袋は「プラスチック」として分別しなければなりません。このような細分化に対応できる収納スペースを確保することが、新生活を快適に過ごすポイントとなるでしょう。
ゴミ箱の置き場所を適切に考慮しないと、ゴミ箱が邪魔になりキッチンが狭く感じるといった問題が起こる可能性があります。新築やリフォームの設計段階で設置場所を決めていない場合、この問題が起こりやすいです。
ゴミ箱が通路や作業スペースに置かれていると動線が妨げられ、料理や片付けの効率が低下します。また、大きなゴミ箱が視界に入るとキッチン全体に圧迫感が生まれ、開放的で清潔な印象が失われがちです。さらに、適切な配置がされていないと、収納や作業スペースが狭くなってしまうケースも考えられます。
ゴミ箱の置き場所を適切に考慮しないと、キッチンでのゴミの分別がしづらくストレスを感じる原因になる可能性があります。
例えば、新築の設計段階で自治体の分別ルールを把握せず、大きなゴミ箱をひとつ置く前提で考えていた場合、あとから不便が生じることがあります。実際には可燃ごみと不燃ごみで袋を分ける必要がある地域も多く、まとめて捨てた後に分別し直す手間が発生することも。
また、必要な数のゴミ箱を確保できていても、それぞれの容量が小さければすぐに満杯になってしまいます。ゴミ捨ての頻度が増えることで、分別作業自体が煩わしく感じられる場合もあるでしょう。
こうした問題を防ぐには、地域の分別ルールに応じたゴミ箱の種類・サイズを確認し、あらかじめ配置場所を検討しておくことが大切です。設計段階から計画しておけば、分別のストレスを感じにくい快適なキッチン環境をつくることができます。
ゴミ箱の置き場所を適切に考えないと、においや虫の発生リスクが高まる恐れがあります。特に生ゴミの管理が不十分だと、キッチンの衛生環境が急速に悪化する原因となるでしょう。
生ゴミは水分を多く含むため腐敗しやすく、気温が高い時期は数日で強い悪臭が広がることもあります。このにおいが害虫を引き寄せ、ハエやコバエの発生につながります。腐敗したゴミの周辺にハエが卵を産み付けると、ウジ虫が発生してしまうケースも珍しくありません。
こうした状況になると、虫やカビの除去に多くの時間と労力が必要となり、普段の掃除だけでは対応しきれなくなることがあります。キッチンは食事を扱う場所なので、衛生面の負担が一層重くなるでしょう。
そのため、設計段階でゴミ箱の置き場所を慎重に検討することが欠かせません。風通しの良い場所を選ぶなど、臭いがこもらないレイアウトを意識すれば、においや虫の発生リスクを大幅に軽減できます。初期段階から衛生環境を配慮した設計にしておくことが、快適なキッチンを実現するためのポイントです。
ゴミ箱の置き場所を軽視すると、おしゃれにこだわったキッチンの雰囲気が一気に崩れてしまう可能性があります。目立つ位置にゴミ箱を置くと、キッチン全体に生活感が漂い、デザインの美しさが損なわれる原因になります。なかでも、オープンキッチンやアイランドキッチンは来客の視線に入りやすく、ゴミ箱の存在がどうしても目立ってしまうものです。
また、適切な配置ができていないと調理中に生ゴミをすぐ捨てられず、作業スペースが狭くなりがちです。その結果、キッチンが散らかった印象になり、整理整頓された美しい空間を維持しづらくなります。キッチンの乱れは、せっかくの洗練されたデザインにマイナスの影響を与えます。
ゴミ箱の置き場所はおしゃれなキッチンを保つうえでとても重要です。目立たない場所に設置場所があれば生活感を抑えつつ、すっきりした空間を実現できるでしょう。
ゴミの量は家族構成や季節によって大きく変わります。そのため、必要に応じてゴミ箱の大きさや置き場のスペースを検討しておくことが大切です。例えば、以下のようなケースが考えられます。
このように、家族それぞれの生活スタイルに合わせたゴミ置き場の広さを確保することが必要です。新築の住宅を計画する際には、日々の生活をイメージしながらゴミ置き場のスペースをしっかり検討しましょう。さらに、ゴミ箱の容器を出し入れしやすくしたり、ゴミ袋を一緒に収納できる余裕を持たせると、より快適に使えます。
生ごみや、食品パッケージなどのゴミはニオイが出やすいので、キッチンの内側スペースに一時保管できると便利です。ゴミ箱もフタのついている物を選んでおけば、常にニオイを気にすることもありません。しかしフタの開け閉めをするときは、どうしてもニオイが出てしまうので、来客時などは注意が必要です。
ニオイが気になるからと、ゴミをテラスなどに出してしまっては、虫や動物、カラスなどの被害に合うかもしれません。生ごみなどを屋外に出すのは控えることをおすすめします。
ニオイの元は、やはり生ごみです。生ごみ処理機などを利用して乾燥させれば、臭わないだけでなく、軽くコンパクトにまとまります。便利な生ごみ処理機を利用するなら、やはりキッチン内に置くスペースを確保しておきましょう。
ゴミ箱はできるだけ見えない位置に置いて、存在を隠しましょう。どんなにオシャレなインテリアに整えても、生活感のあるゴミ箱が目については台無しです。
少しでも見える位置に設置するのであれば、インテリアと馴染みの良い色を選んで目立たないようにしましょう。
また「ゴミ箱は表に出ていた方が使いやすい」と思われる方もいらっしゃいます。そんなときは、ゴミ箱のデザインにとことんこだわって選びましょう。
ゴミ箱の中に敷いたビニールの縁を、ゴミ箱の表面に折り返すような使い方は絶対にやめましょう。
ゴミ箱を見えないようにするのか、見えてもいいゴミ箱を選ぶのか、 どちらかにすることで、おしゃれなキッチンを保つことができます。
キッチンにゴミ箱を置くうえでのアイディア事例を4つ紹介します。ぜひ参考にしてください。
キッチンのシンク下にゴミ箱を配置することで、調理中に出るゴミをスムーズに捨てられるようになります。生ごみや食品パッケージなどシンクまわりで発生しやすいゴミを効率よく処理できるため、動線が短くなり作業効率も向上します。
ただし、あまり広いスペースをゴミ箱に割いてしまうと、調理器具や洗剤などの収納スペースが減ってしまうため、入れるゴミの種類は絞るのがポイントです。たとえば、生ごみを入れる「可燃ごみ」と食品パッケージや紙パックなどの「資源ごみ」など、キッチンで特によく出るゴミに限定するとバランスが取りやすいでしょう。
システムキッチンを導入している場合は、ゴミ箱を収めるための引き出し収納があらかじめ用意されていることもあります。メーカーによっては、専用のゴミ箱やゴミ分別ユニットをオプションで選べる仕様もあるので、購入時に確認しておくとよいでしょう。
また、システムキッチンの一部をくり抜いて市販のゴミ箱を置けるようにしたり、造作キッチンにして寸法を調整すれば、より自分の使い方に合った収納が可能になります。
シンクはキッチンの中でもゴミが発生しやすい場所です。そのすぐ下にゴミ箱を設置すれば、手を伸ばすだけで捨てられるため、衛生面でも快適さが保たれます。
キッチンの背面収納にゴミ箱を組み込めるタイプの収納を取り入れると、スペースを無駄なく活用できます。シンクで調理や片付けをしながら、振り向くだけでゴミを捨てられるため、作業動線もスムーズです。
パントリーであれば、ゴミを捨てるスペースを大きく取ることができます。
キッチンの壁際にパントリーを作る際は、市販のゴミ箱が入るサイズを意識しましょう。
30Lのゴミ箱であれば43㎝程度、45Lのゴミ箱であれば45㎝程度の奥行きが必要です。
パントリーの棚を可動式にしておけば、ゴミ箱のフタの形状を選ばずに済みます。
さらにキッチンに隣接しているウォークインタイプのパントリーであれば、月に1回収集するようなゴミであっても、一時置きするスペースは十分にあるでしょう。
玄関とキッチンの動線上につくることの多い、ウォークスルータイプのパントリーであれば、玄関までの動線も短く、重たいゴミ出しも楽になります。
キッチンの中にゴミ箱を置くスペースが十分にない場合は、キッチンの勝手口から繋がるテラスやバルコニーなども利用していきましょう。
外のスペースに置くゴミは、燃やせないゴミや金属、空き缶や空き瓶、ダンボールなどが適しています。
大型のフタつきボックスを用意して、雨に濡れたり、風に飛ばされたり、鳥などの被害にあわないようにしましょう。
キッチンで使うゴミ箱は単にゴミを入れるだけの道具ではなく、作業効率や清潔さ、美観に大きく関わる重要なアイテムです。限られたスペースの中で快適に作業を進めるためには、使いやすく、インテリアにもなじむものを選ぶことが欠かせません。
ここでは、ゴミ箱選びのポイントを3つの視点から紹介します。自分の暮らし方やキッチン環境に合ったゴミ箱選びにお役立てください。
キッチンでのゴミ箱選びは、スペースに合ったサイズとインテリアになじむデザインが決め手です。一般的な家庭では45リットル程度のゴミ箱が標準ですが、家族の人数や料理の頻度によって必要な容量は変わります。料理をよくする家庭では、生ゴミの量が多くなるため、大容量タイプを検討するとよいでしょう。
また、ゴミ箱はキッチンの見た目を左右するアイテムでもあります。ステンレス製やシンプルなマットカラーのゴミ箱を選ぶことで、生活感を抑えつつ空間になじませることができます。派手すぎず、キッチンのテイストに合ったデザインを選ぶと、全体の印象が整いやすくなるでしょう。
臭いや衛生面が気になるキッチンでは、蓋付きのゴミ箱が欠かせません。特に生ゴミを捨てることが多い場合は、防臭機能のあるものを選ぶことで、キッチンの快適さが大きく変わります。手が汚れていても使いやすいペダル式や、センサーで自動開閉するタイプも便利です。
さらに、キャスター付きのゴミ箱は掃除の際やゴミ出し時に移動させやすく、日々の負担を軽減してくれます。内部にゴミ袋のストックを収納できるスペースがあると交換作業もスムーズに行え、機能性が一層高まります。
ごみの分別が必要な家庭では、分別機能を備えたゴミ箱が重宝します。多段式のタイプなら、燃えるゴミ・プラスチック・缶などを1か所にまとめて管理でき、見た目もすっきりします。蓋が個別に付いているタイプを選べば、臭いの漏れも防げて安心です。
また、縦型でスリムなタイプは、キッチンの隙間や壁際といったデッドスペースを活用でき、省スペースながらも十分な容量を確保できます。ゴミの分別作業をしやすくすることで、日常の家事が効率よく進むようになるでしょう。
最後に、実際にキッチンにゴミ箱を設置して良かったという具体的な事例を3つ紹介します。
多くの住宅で採用されているのが、シンク下にゴミ箱を設置する方法です。調理中に出る生ゴミをすぐ捨てられるため、調理動線が短縮され作業効率が向上します。蓋付きで密閉性の高いゴミ箱をシンク下に設置し、臭いの発生を抑えつつ手早くゴミを処理できるケースも多くみられます。
この配置は、キッチン内の衛生状態が保ちやすく、清掃の手間も軽減されると評価されています。
対面キッチンの背面収納にゴミ箱を組み込む設計は、生活感を抑えつつ見た目をすっきりさせる効果があります。具体的には、背面収納の下部に分別用のゴミ箱を3つ並べて設置し、シンクから振り返るだけでゴミが捨てられる動線を確保している例があります。この工夫により、調理の流れがスムーズになったうえ、キッチン全体が整理された印象に。
収納のデザイン性と機能性を両立させたい家庭におすすめです。
キッチン横のウォークインパントリーにゴミ箱を置く方法も人気です。使用頻度の高い生ゴミ用はキッチン内に置き、不燃ゴミや資源ゴミなどの使用頻度が低いものはパントリー内にまとめることで、空間を効率的に活用しています。調理中は生ゴミをキッチンのゴミ箱に捨て、後でパントリーのゴミ箱にまとめて移動できるため、ゴミ管理がより効率的になります。
新築のキッチンレイアウトを考える際には、ゴミ箱の設置場所も慎重に検討することが重要です。シンク下や壁面収納、パントリー、さらにはテラスなど、さまざまなスペースを活用して最適な置き場所を見つけましょう。
必要なゴミ箱の種類や量は各家庭の生活スタイルや住んでいるエリアによっても異なります。どのようなゴミをどれだけ出すかを考慮したうえで、ゴミ箱の置き場所を含めたキッチン全体の設計やレイアウトを検討することが大切です。
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2025/05/30
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