小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
家を建て、いざ住みはじめると毎年支払う必要がある『固定資産税』。
家は時間が経てば劣化していきますが、鉄骨住宅の場合は固定資産税が下がりにくい、という事実をご存知ですか?
今回は、鉄骨住宅が毎年支払う税金が安くならない理由と、それでも同じ購入するなら鉄骨住宅がいい理由までまとめてご紹介します。
まず疑問に思うのは、『そもそも固定資産税とは?』という疑問ではないでしょうか。
固定資産税とは、固定資産を所有している方にかかる市町村税のことです。
固定資産とは、住宅や店舗などの家屋、田や畑などの土地、機械や工具などの償却資産のことをいいます。
マンションやアパート、一戸建てに賃貸で住んでいる場合は固定資産税を支払う義務はありません。
所有している不動産に対してのみ、固定資産税がかかることになります。
毎年1月1日時点で土地や家屋、償却資産の所有者として固定資産課税大乗に登録されている方が、6月(第1期)、9月(第2期)、12月(第3期)、2月(第4期)の年4回支払います。
固定資産税は、地価などに左右されるため、たとえ隣の土地であっても固定資産税額は大きく異なる可能性があります。
基本的に、
このように定められています。固定資産税は、内容によっては一部軽減措置が認められる場合もあります。
固定資産税を計算する際、重要なのが課税標準額です。
課税標準額は、固定資産評価基準に基づいて各市町村長が決定した課税標準額を元に算定を行います。
固定資産税の税率は、全国一律で課税標準額に対して1.4%です。
住んでいる市町村によっては税率は上がる可能性があります。
税率がいくらになるのかは、納税する市町村に問い合わせてみるとよいでしょう。
課税標準額が一定の基準より少ない場合、固定資産税は課税対象となりません。このことを免税点といいます。
課税標準額が、土地の場合30万円、家屋の場合20万円、償却資産の場合150万円以下であった場合、課税対象外になります。
気をつけるべきポイントは、土地と家屋では課税標準額の基準が異なるということです。
たとえば、土地と家屋を所有していて土地の課税標準額が25万円、家屋の課税標準額が25万円だった場合、土地は課税標準額が30万円未満なので免税となりますが、家屋は課税標準額が20万円を超えているため課税の対象となります。
新築で住宅を建てた場合、経年劣化により資産価値は低下するため、住宅に対する固定資産税は下がっていきます。
しかし鉄骨住宅は頑丈な素材で建てられており、経年劣化もほとんどないため資産価値は高いままとみなされます。そのため、固定資産税は下がりにくいのが現状です。
築30年の鉄骨住宅の場合、市場価値もまだまだありますが、築30年の木造住宅の場合は傷んでいる箇所も多く市場価値は低くなる傾向があります。
固定資産税は家の価値を基準に決められるため、同じ築30年だとしても木造住宅の方が固定資産税は安くなるのです。
また、同じ規模の家を建てる場合、鉄骨住宅のほうが木造住宅よりも建築費は総じて高く、家の税金は「現在建てるとしたらいくらかかるか」に相当する再建築価格を求める都合上、頑丈な造りの家ほど最初から税金が高くなります。
そのため、どうしても木造住宅よりも頑丈である鉄骨住宅は、固定資産税が高くなってしまうのです。
古くなれば古くなるほど、家の価値は失われ税金は安くなっていきます。
しかし、いくら家が古くなっても税金には下限があり、評価時点の再建築価格の2割を下限とする決まりで、2割に達するまでの期間が構造で変わります。
新築を建てた翌年の税金は、構造に関係なく再建築価格の8割となっています。
8割から2割に向かって3年に一度安くなっていく仕組みのため、一般的には木造なら25年程度、鉄骨なら30~40年程度で下限に達し、以降は税金が下がらなくなります。
固定資産税が下りにくい鉄骨住宅ですが、節税対策できる方法ももちろんあります。
固定資産評価額を下げる方法として、1枚の登記簿(一筆)から土地を分ける『分筆』があります。
大きな土地が一筆であると、大通りに面している土地も内側の利便性が低い土地も、同じ評価額となってしまいます。その際、分筆することで利便性が低い土地の評価額を下げることができるのです。
また、後述しますが非課税の『道路』にあたる土地も分筆することでつくり出すことができる場合もあるため、こちらも節税につながります。
ただ、分筆する場合は登記や測量といった費用がかかります。分筆することで減税できる額と費用を比べた上で、本当に分筆するべきなのかを考える必要があります。
私有地であっても、公園や私道といった公益性の高い土地は固定資産税が非課税となります。
このような条件を満たす場合、私有地であっても私道と認められる場合があります。
私道は申告制になっているため、申告しない限りは非課税となりません。所有地に私道が含まれる人は各自治体に申告しましょう。
小規模住宅用地とは、住宅用の土地で1戸あたり200平米までのものを指し、固定資産評価額が6分の1に軽減されるものです。
また、住宅用地であれば、小規模住宅用地の範囲を超えても固定資産評価額が3分の1になるので、節税に役立ちます。
住宅用に利用されている土地は、小規模住宅用地の特例というものが適用されるため大幅に節税することができます。
さらに、固定資産税のみならず都市計画税も小規模住宅用地は3分の1、それ以外の住宅用地は3分の2に軽減することができます。
固定資産税が下がりにくい鉄骨住宅ですが、高い資産価値をキープし続けられるのは大きな魅力です。
節税対策をしっかりとしつつ、安心の住居と資産を生み出す環境を所有し続ける工夫を続けていきましょう。
2024/11/29
2024/11/29
2024/11/29