小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
都内で家づくりや土地活用を検討中の方は、
「狭小地や変形地なので3階建て以上の家が建てたい」
「イニシャルコストを抑えてアパートやマンションを建築したい」
このようにお考えの方もいるのではないでしょうか。
3階建て以上の住宅や、2階建て以上の中高層アパート、マンションを建てるなら、設計自由度が高く、RC造よりも建築コストを抑えやすい「鉄骨住宅(鉄骨造)」がおすすめです。
今回は、都内で鉄骨住宅を手がけるM-LINEが、鉄骨住宅のハウスメーカーを選ぶ際のチェックポイントを紹介します。
都内で鉄骨造ハウスメーカーを検討中の方や、鉄骨住宅メーカーを比較中の方は、ぜひ参考にしてください。
鉄骨住宅が選ばれるメリットは以下の5つです。
骨組みに鉄製や鋼製の部材を用いる鉄骨造(S造)の建物は、鉄や鋼の「ねばり」によって地震に耐える構造です。
鉄骨造の建物は、鉄骨が揺れのエネルギーをねばりによって吸収して変形を抑え、建物の倒壊を防ぎます。
鉄骨造のうち骨格材が幅6mm以上の「重量鉄骨造」は、ビルやマンションにも使われる構造で、より強度や耐久性に優れた構造になります。
鉄骨住宅は、
が多く用いられます。
どちらの構造も、柱と梁で構造体を作るため、間取りの自由度が高いのがメリットです。
特に、重量鉄骨のラーメン構造は、ブレース工法よりも柱が少なく済むので、大空間も作りやすくさらにデザインの自由度が高くなります。
鉄骨住宅なら、
などのデザインも、安全性を確保しながら実現できるのが大きなメリットです。
狭小地や変形地も多い東京都心では、限られた敷地面積の中で、建ぺい率や容積率、斜線制限などを考慮しながら効率的な間取りを作る設計が大切になります。
高強度かつ自由度の高い設計ができる鉄骨造は、敷地条件をフルに活かして3階建て以上の多階層住宅を建てる場合にも最適です。
鉄骨造は、RC造(鉄筋コンクリート造)よりも建築コストを抑えやすいというメリットがあります。
<一戸建て・共同住宅の構造別工事費予定額>
一戸建て
鉄骨造 | 木造 | RC造 | SRC造 | |
---|---|---|---|---|
一戸あたり工事費予定額【万円】 | 3,581 | 1,926 | 4,711 | 3,114 |
1㎡あたり工事費予定額【万円】 | 29 | 17 | 30 | 22 |
共同住宅
鉄骨造 | 木造 | RC造 | SRC造 | |
---|---|---|---|---|
一戸あたり工事費予定額【万円】 | 1,242 | 593 | 1,460 | 1,827 |
1㎡あたり工事費予定額【万円】 | 25 | 17 | 26 | 29 |
(出典)2021年度国土交通省住宅着工統計より抜粋
2021年度の統計では、以下の通りの結果になりました。
一戸建ての工事費予定額は木造<SRC造(鉄骨鉄筋コンクリート造)<鉄骨造<RC造
共同住宅(アパートなど)の工事費予定額は木造<鉄骨造<RC造<SRC造
SRC造の一戸建ては建築戸数自体が少ないことも考慮すると、一般的には、木造<鉄骨造<RC造<SRC造の順に、建築コストが少なくなると言えます。
鉄骨住宅の各部材は、工場で生産されるため均一性があり、現場での施工によるバラつきが出にくいため、工期が短く品質が安定しやすいのもメリットです。
鉄骨住宅のハウスメーカーや工務店を選ぶなら、
などを比較することが大切です。
具体的な鉄骨住宅メーカーの比較ポイントを次章で詳しく解説します。
鉄骨住宅のハウスメーカーを選ぶポイントは以下の5つです。
先にも少し触れましたが、鉄骨造は、骨格材の厚みによって重量鉄骨造と軽量鉄骨造の2種類に分かれます。
骨格材が幅6mm以上は「重量鉄骨造」
骨格材が幅6mm未満は「軽量鉄骨造」
骨格材の厚みは、強度やコスト(建築費用・固定資産税など)、法定耐用年数などに関係してきます。重量鉄骨はより強度が高くなるため3階建て以上の建物、軽量鉄骨は2階建てまでの建物に向いています。
鉄骨住宅メーカーの比較では、軽量鉄骨・重量鉄骨のタイプだけでなく、使用している骨格材の厚みもチェックしましょう。
また、鉄骨造の構造もチェックポイントです。鉄骨造は「鉄骨ラーメン構造」と「鉄骨軸組構造(ブレース工法)」の2種類の構造があります。
鉄骨ラーメン構造(重量鉄骨に多い) | 鉄骨紬組構造(軽量鉄骨に多い) | |
---|---|---|
採用される建物 | 中高層のアパート、マンション、ビル | 中低層のマンション、アパート、店舗、戸建て |
柱と梁の接合 | 剛接合(溶接・ボルト)で一体化 | ピン接合 |
ブレース(筋交い・斜材) | 使用しない | 使用する |
間取りの自由度 | 高い | 低い |
柱の太さ | 太い | 細い |
建築コスト | 高い | ラーメン構造より安い |
上記の表のように、同じ鉄骨造でも鉄骨の種類や構造の違いで筋交いの要不要による間取りの自由度、防音・遮音性能なども変わってくるため、メーカー比較の際はしっかりチェックしましょう。
2022年4月1日から、住宅性能表示制度に「断熱性能等級5」/「一次エネルギー消費量等級6」が新設されました。断熱等級5は、これまでのZEH基準と同水準の断熱性能です。
2022年10月からは、長期優良住宅で求められる水準も、「断熱性能等級5」/「一次エネルギー消費量等級6」になります。
参考:国土交通省 住宅性能表示制度における省エネ性能に係る上位等級の創設
鉄骨造の戸建て住宅や賃貸併用住宅建築で、住宅ローン控除を受ける場合、「長期優良住宅・低炭素住宅」「ZEH水準省エネ住宅」「省エネ基準適合住宅」の認定を受ければ、認定を受けていない住宅よりも控除の対象となる借入限度額が増え、最大控除額も増えます。
そのため、これから鉄骨住宅を建てるなら、断熱等級5、一次エネルギー消費量等級6への対応はどうなっているかを必ずハウスメーカーや工務店に確認しましょう。
鉄骨造は耐久性が高いことがメリットですが、各メーカーは独自に耐震性・耐震性を高める工夫をしています。各メーカーの鋼材や構造の工夫や強みについても確認しましょう。
また、長期優良住宅の基準である耐震等級2以上に対応できるかどうか、最高の等級3にしたい場合は対応可能か、なども忘れずにチェックしたいポイントです。
鉄骨造のデザインの自由度を活かして、間取りや建物の形を自由に決められる「自由設計タイプ」なのか、間取りのパターンが決まっている「規格型」なのかをチェックしましょう。
外観や内装デザインについても、1から自由に決められるフルオーダータイプと、決められたインテリアテイストから選択するタイプがあります。
自由設計やフルオーダーの方がコストは高くなりますが、こだわりのある建物ができます。また、規格型でも、自分の求めるデザインと合致していればコストを抑えて効率的に希望の建物が建てられるというメリットがあります。
コストを優先するのか、デザインの自由度を優先するのかなど、優先順位をつけて、自分に合った鉄骨住宅のプランを提供しているハウスメーカーを選ぶことがポイントです。
鉄骨と木造の混構造のように、必要に応じてコストバランスを取ったり、デザインの自由度を高められたりできる建築方法もあります。
RC造専門、木造専門など様々なハウスメーカーがありますが、難しい敷地も多い都内では、構造選択の自由度がある会社は様々なケースに対応しやすいと言えます。
ここでは、鉄骨造に強いおすすめハウスメーカーを紹介します。
M-LINEは、東京都23区に特化したハウスメーカーで、特に鉄骨造に強い建築技術を持っています。また、RC造やS造の注文住宅、多層階住宅にも対応し、都市部の限られた敷地を最大限に活用する家づくりを提供しています。
M-LINEの家づくりは、「10㎝も無駄にしない」ことを大切にしており、狭小地でも効果的に土地を活用できる設計を提案します。さらに、注文住宅だけでなく、土地活用や賃貸住宅、投資用住宅の相談も受け付けており、幅広いニーズに応えています。
大和ハウスは鉄骨住宅に評判があります。大和ハウスの鉄骨住宅は、軽量鉄骨造の「xevoΣ(ジーヴォシグマ)」と重量鉄骨造の「skye3(スカイエ3)」を中心に展開されています。
軽量鉄骨造は「持続型耐震構造」とも呼ばれ、地震に強い設計が特徴です。特にxevoΣでは、耐力壁に「Σ」形状の金属接合部を採用し、地震のエネルギーを効果的に吸収することで、柱や梁の損傷を防ぎます。これにより、安心して長く住み続けることができます。
一方、重量鉄骨造のskye3は、3階建てや4階建ての住宅や賃貸住宅に適しており、高い設計自由度を持っています。広々とした空間設計が可能で、個々のニーズに合わせた住まいづくりが実現できます。
耐震性に優れていることに加え、自由度の高い間取り設計が可能である点や、鋼材による高い耐久性といったことが嬉しいポイント。これらの特徴により、大和ハウスの鉄骨住宅は、快適で安心な住まいを提供しています。
積水ハウスの鉄骨住宅は、1・2階建て向けの「ダイナミックフレームシステム」や、3・4階建て向けの「フレキシブルβシステム」といった独自構法を採用し、高い安全性と設計の自由度を両立しています。
また、地震対策として、制震システム「シーカス」の導入や、高層ビルと同等の耐震基準設計を取り入れることで、優れた耐震性能も備えています。
特にダイナミックフレームシステムでは、最大7,000mmもの柱なし大空間を実現でき、広々としたリビングをはじめ、間取りの自由度が高い設計が可能です。さらに、独自開発の制震システム「シーカス」は、地震の揺れを効果的に吸収し、建物の変形を抑えることで内外装の損傷を軽減します。
鉄骨造は、木造に比べて白蟻被害や腐食のリスクが少なく、耐久性にも優れています。積水ハウスでは、1・2階建ての「イズ」シリーズや、3・4階建ての「ビエナ」「レグヌムコート」シリーズなど、多彩な商品ラインナップを用意しており、幅広いニーズに応えています。
独自の構法と先進の技術によって、積水ハウスの鉄骨住宅は、快適な住空間と高い安全性、そして長期にわたる耐久性を兼ね備えた住まいを提供しています。
ヘーベルハウスは、鉄骨造に強みがある住宅メーカーです。耐震性・耐火性・耐久性に優れた住まいを提供しています。
耐震性においては、鉄骨造の高い基本性能に加え、標準装備の制震装置によってさらに揺れに強い住宅を実現しています。また、耐火性にも優れており、外壁には高性能なALCコンクリート(通称ヘーベル板)を使用。これにより、火災時にも強い構造となっています。
耐久性の面では、防錆処理を施した鉄骨を採用し、経年によるサビの発生を防止。さらに、柱や梁には座屈に強い角形・肉厚の鉄骨を使用し、長期間にわたる強度を確保しています。
工法には、2階建て住宅に多く用いられる軽量鉄骨の「ハイパワード制震ALC構造」、および3階建て住宅や広い空間設計に対応した重量鉄骨の「重鉄制震・デュアルテックラーメン構造」や「重鉄・システムラーメン構造」などがあります。
さらに、ヘーベルハウスでは、建築後も安心して暮らせるよう長期メンテナンスサポートを充実させており、住まいの資産価値を長く保つことができます。
パナソニックホームズは、鉄骨造住宅を得意都するハウスメーカーです。重量鉄骨と軽量鉄骨、2種類の構造を採用しています。
重量鉄骨では、高層ビルにも用いられるラーメン構造をベースにした「NS構法」が特徴です。高力ボルト接合によって精度と品質を高め、優れた耐震性と広々とした大空間を実現します。また、柱と梁のみで建物を支える「ワイドスパン設計」により、柱間隔を広く取り、自由な間取りプランが可能です。さらに、「オーバーハング構造」によって上層階を張り出すことで、敷地を有効活用できる設計も魅力です。
軽量鉄骨では、重量鉄骨の柱と制震耐力壁を組み合わせた「制震重鉄ハイブリッド構造」が採用されており、東日本大震災を想定した実験でもその高い耐震性能が確認されています。また、「制震鉄骨軸組構造」では、高層ビルにも用いられる制震技術を応用し、繰り返し発生する地震にも強い住宅を実現しています。
このように、パナソニックホームズは、高い耐震性と空間の自由度を兼ね備えた鉄骨住宅を提供しています。
鉄骨造に強いハウスメーカーを選ぶ際の注意点は主に以下の3つです。
鉄骨造に強いハウスメーカーを選ぶ際は、建築費用だけでなく、将来的なメンテナンス費用にも注意が必要です。鉄骨は耐久性に優れていますが、定期的な防錆処理や点検が不可欠であり、メンテナンスコストが発生します。特に長期間住み続ける場合、初期費用が抑えられても、維持管理費用が高額になるケースもあります。
そのため、建物の構造や保証内容だけでなく、長期的なメンテナンスプランやサポート体制についても事前に確認し、総合的なコストを見据えてハウスメーカーを選ぶことが大切です。
鉄骨造に強いハウスメーカーを選ぶ際は、建築実績が希望する地域にどれだけあるかをチェックすることが重要です。地域によって気候や土地条件が大きく異なり、例えば雪国では積雪荷重に耐える設計が必要で、都市部では限られた敷地を有効活用する設計力が求められます。
各地域に適した施工ノウハウを持っているかどうかで、住宅の性能や住み心地に大きな差が出るため、過去の施工事例や対応力をしっかり確認した上で、ハウスメーカーを選ぶことが大切です。
鉄骨造に強いハウスメーカーを選ぶ際は、必ず複数社からプランや見積もりを取り寄せ、比較検討することが大切です。鉄骨造住宅は構造や仕様によってコストや性能に差が出やすく、見積もり内容も各社で異なる場合があります。
一社だけで判断してしまうと、割高な契約をしてしまったり、自分に合ったプランを見逃してしまう可能性も。費用、耐震性、間取り提案、アフターサポートなど、総合的な観点から慎重に比較し、自分たちに最適なハウスメーカーを選びましょう。
最後に鉄骨住宅で後悔しないための質問について回答していきます。
鉄骨造は、木造に比べて高い耐震性を持つとされています。鉄は引っ張りや曲げに強く、地震の揺れに柔軟に対応できるため、建物全体の倒壊リスクを低減します。また、ハウスメーカーによっては制震技術を組み合わせ、さらに耐震性能を高めているケースもあるため、事前に確認しておきましょう。
鉄骨住宅は熱を伝えやすいため、断熱対策が重要です。しかし、近年の鉄骨住宅は高性能な断熱材や外張り断熱工法を採用し、断熱性を大幅に向上させています。さらに、二重サッシや高断熱サッシの採用、気密性の高い施工により、夏は涼しく冬は暖かい快適な住環境を実現できます。
鉄骨住宅は構造体が強固なため、間取り変更などのリフォームにも比較的柔軟に対応できます。特にラーメン構造の鉄骨住宅は、柱と梁で建物を支えているため、壁を抜いたり広い空間にリフォームしやすいのが特徴です。
一般的に鉄骨住宅は木造住宅に比べて建築コストが高めです。目安としては、同じ規模・仕様で比較すると、鉄骨造は木造よりも1~2割程度高くなるケースが多いです。
鉄骨住宅は耐久性が高いものの、長期的には防錆処理や外壁・屋根の補修などのメンテナンスが必要です。一般的には30〜50年の間に大規模なメンテナンスが数回必要となり、費用は1回あたり数十万円から数百万円かかることもあります。
今回は、鉄骨住宅のメーカーを選ぶ際のポイントについて開設しました。
メーカーを比較する際は、それぞれのハウスメーカーが、自分の建てたい建物をどの鉄骨で、どんな構造で建ててくれるのか、コストはどう変わってくるのか、最新の断熱等級や耐震等級への対応はどうなっているか、などがポイントになってきます。
それぞれのポイントについて、担当者が明確に説明してくれるか、安心できるかという部分で比較すると、最適なメーカーが見えてくると思います。ぜひ参考にしてくださいね。
M-LINEは、都内で鉄骨造(重量鉄骨)・RC造の豊富な建築実績があります。また、不動産部門(D-LINE)とも連携し、ハウスメーカーと地域工務店のメリットを兼ね備えた家づくりを提供しています。
地域密着の家づくりの経験から、都内の各エリアの特徴や土地の特徴を踏まえた、最適な構造や設計をご提案。木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など構造を選ばず、自分の希望に合わせた建物が実現できます。
さらに、土地活用をご希望の方に向けた収支シミュレーションや建築後のフォロー体制も万全で、東京で安心してアパート・マンション経営を始められます。
「重量鉄骨で大空間のある間取りの家を建てたい」「狭小地で3階建て以上の戸建てを建てたい」「重量鉄骨でアパート・マンションを建てて土地活用をしたい」などの場合も、それぞれのご希望に沿ったご提案が可能です。
都内で鉄骨造住宅・賃貸住宅・賃貸併用住宅・ソーシャルアパートメントなどの土地活用をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
2025/04/30
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