小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
マンション経営は、土地活用方法として人気が高いですが、初期費用が高額になるのがデメリットです。マンション経営を成功させるためには、初期費用の内訳や相場を理解し、可能な限り初期費用を抑えることが大切です。
ただ、初期費用を抑えすぎると、様々なデメリットが生じる恐れがあるため注意しましょう。
今回は、マンション経営に重要な初期費用の内訳や相場、初期費用を抑えるコツについても解説します。この記事を参考にすれば、初期費用を抑えつつ、マンション経営開始後もスムーズな経営ができます。
マンション経営を行うには、ある程度の初期費用が必要です。初期費用の内訳としては「頭金」と「物件購入費」に分類されます。一般的に、都市部は地方に比べて初期費用が高額になりやすいだけでなく、マンションも一棟ものの方が区分マンションよりも高くなることがほとんどです。
マンション購入では、ローンを利用する方が多いです。マンション購入でローンを組む場合には、金融機関から頭金として個人の資金負担を求められます。頭金の額としては、不動産価格の10〜30%程度になるのが一般的です。例えば、マンション価格が1億円の場合、頭金として1,000〜3,000万円が必要です。
また、マンション購入費以外の支出は個人資金で賄う必要があり、一般的には取得費用の10%程度が目安だと言われています。
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マンション経営にかかる初期費用の内訳は、下記の6つです。
マンション経営にかかる初期費用は必ず必要となるため、何にどれぐらいの費用がかかるのかを理解しておくことが大切です。マンション経営を行おうと考えている方は、どの程度の自己資金が必要になるのかを考えておきましょう。
マンション経営を行うためには、マンションを取得するための費用がかかります。マンションを新築で建設する場合には新築工事代金がかかり、購入する場合には購入費用が必要です。
さらに、土地を所有していない場合には土地代も必要となります。購入エリアや土地の有無、マンション構造によっても大きく異なりますが、数千万円から数億円程度は必要だと考えておきましょう。
マンションを購入する場合、不動産取得税を一括で支払う必要があります。不動産取得税は「不動産の評価額×3%」の割合で計算されます。ただし、築年数など一定の条件を満たせば、2分の1が控除されため理解しておくことが大切です。
さらに、マンション所有者の税負担を軽減するために、1200万円を控除する特例もあります。詳細は、国土交通省のホームページを参考にしてください。マンション購入を検討しているなら、不動産の専門家に相談した上で、正しい手続きを行うことが大切です。
火災保険料は、マンション取得後に支払う必要がある費用です。火災保険料を支払い方法としては、5年間一括で支払うか、年払いの保険料に分割して支払う方法の2つから選択可能です。
一般的に、一括払いの方が支払総額は少なくなりますが、初回支払額は多くなります。期間を短くすれば、支払い総額は多くなりますが、火災保険会社や契約内容を途中で変更できるのがメリットです。
不動産登記は、土地や建物の敷地や広さなどの現況と、誰が所有しているかなどの所有者の識別情報を明示し、誰でも閲覧できるように公開するために必要です。不動産登記することで、不動産取引の手続きが簡素化され、財産の安全性が確保されます。
また、不動産の所有権を移転したり安全を確保したりするためには、登録免許税と司法書士報酬からなる「登記費用」を支払わなければなりません。登録免許税は誰に依頼しても金額は変わりませんが、司法書士に依頼する場合には料金設定が異なります。
通常、司法書士報酬は10万円前後、その他必要な手続き費用は20万円~40万円前後が必要です。
マンション購入のためのローンを選択する際には、事務手数料と保証料がかかります。事務手数料は、金融機関によって異なる場合があり、特に保証料は高額になることが多いので注意が必要です。
ローン利用時の事務手数料や保証料は、平均してローン全体の1〜3%となることが多いです。
不動産会社を介してマンションを購入する場合、仲介手数料を支払う必要があります。そのため、マンションの売主が不動産会社の場合には、仲介手数料が発生しません。
宅地建物取引業法では、仲介手数料として請求できる上限額が定められています。
第四十六条 宅地建物取引業者が宅地又は建物の売買、交換又は貸借の代理又は媒介に関して受けることのできる報酬の額は、国土交通大臣の定めるところによる。 引用:宅地建物取引業法 | e-Gov法令検索 |
マンションの売買金額が400万円を超える場合は「取得価額×3%+消費税6万円」となります。例えば、5,000万円のマンションを取得した場合、仲介手数料の上限は「5,000万円×3%+6万円=156万円+消費税」となるため、事前に理解しておくことが大切です。
マンション経営にかかる維持費用の目安は、下記の通りです。
マンション経営では、初期費用だけでなく維持費用も考えなければいけません。事前にどれくらいの維持費用が必要なのかを考えておくことで、トラブルが起きた際にも冷静に対処できる可能性が高いです。
マンションの所有者は、毎年1月1に固定資産税を納めなければいけません。固定資産税は、1年分をまとめて支払うか、期限を定めて連続して支払うかのどちらかで支払います。
固定資産税率は、下記の計算式で算出できます。
固定資産税額=固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(標準税率) 引用:地方税制度|固定資産税の概要 |
固定資産税評価額は、総務大臣が定めた「固定資産評価基準」によって、自治体の市町村長が決定します。固定資産税評価額は、3年に1度評価替えされるため、定期的に確認しておくことが大切です。
マンション経営の固定資産税について詳しく知りたい方は「マンションの固定資産税を新築・中古で比較|計算方法をシュミレーションで解説」をご覧ください。
所得税は、所得に対して課される税金です。個人が不動産を調達して賃貸事業を行い家賃収入を得る場合、所得税の義務を果たさなければなりません。所得税率は、下記表を参考にしてください。
引用:No.2260 所得税の税率|国税庁
ちなみに、賃貸ローンの返済額のうち、利息分は経費計上可能です。マンション経営による所得が赤字になってしまった場合は、所得などの追加収入源から赤字分を差し引けるため覚えておきましょう。
マンション経営の維持費としては、住民税も挙げられます。住民税は所得税と同様、所得に応じて課税される税金のことです。
住民税は、所得割と均等割の2つに分けて計算されます。所得割は10%であり、内訳は都道府県民税が4%、町民税が6%です。均等割の場合、所得に関係なく一律の住民税となりますが、地域によって多少の格差があります。
マンション経営にかかる火災保険料は、年間3〜10万円と言われています。火災保険料は、再調達価額によって決まり、複数階のマンションや鉄筋コンクリートや鉄骨でできたマンションの火災保険料は、より高い保険料がかかることが多いです。
しかし、補償範囲を限定した火災保険にすれば、保険料を抑えられます。例えば「洪水災害は発生リスクが低いので補償しない」又は「補償額の上限をマンション価格の80%に設定する」などです。補償範囲を限定することで、火災保険料を削減しつつ、万が一のときにも最低限の補償が受けられます。
マンション経営では、定期的に修繕費も必要です。収税費としては、現在の入居者が退去した後や約12~15年ごとの定期的な修繕などが挙げられます。
修繕費は、各年の状況によっても異なるため、予期せぬ修繕費を考慮した予算を確保しておくことが大切です。
マンション経営の収入の中で、大きな割合を占めるのが「家賃収入」です。家賃の支払いが主な収入源となるほか、共益費や礼金、更新料などの副収入が加わります。具体的な収入相場としては、下記表を参考にしてください。
内訳 | 収入相場 |
---|---|
家賃 | 設定金額による |
共益費 | 家賃の5〜10%程度 |
礼金 | 家賃の1〜2ヶ月分 |
更新料 | 家賃の1〜2ヶ月分 |
例えば、家賃が10万円の場合、1部屋あたり30.5〜51万円程度の収益を得られます。ただ、礼金と更新料に関しては毎月得られるわけではないため注意が必要です。
マンション経営では、空室を減らせるかどうかが、利益を最大化するための鍵となります。理想的な空室率は、5%程度を目安にしてみましょう。
マンション経営で初期費用を抑えるコツとしては、下記3つが挙げられます。
マンション経営を長期的に成功させるためには、初期費用を抑えることも大切です。初期費用を抑えれば、最終的な回収にかかる期間も少なくなるため、早い段階で黒字化できます。
マンション手続きを検討する場合、複数の会社のプランや料金を調べることが欠かせません。費用や設計図は会社によって大きく異なるため、自分のニーズに最も合うものを判断することが重要です。
さらに、業界における経験や実績についても確認することで、期待できるサービスの質を判断できます。最終的に、どのマンションプランが自分にとってベストなのか、十分な情報を得た上で決定することが重要です。
マンションの登記手続きは、自分自身でも行えます。自分自身で登記手続きを行えば、司法書士への依頼コスト削減可能です。ただ、書類や法律を理解するための時間や労力が必要となるため、よく考えた上で検討しましょう。
手間がかかってたとしても、書類がマンションの状況を正確かつ適切に反映しているかや情報が最新かつ完全であるかを確認することが大切です。
ローンを組む場合、どんなに小さな金利の変化でも、長い目で見れば返済額が大きく異なります。ローン返済の負担を軽減するためには、低金利で利用可能な条件を提示してくれる金融機関を見つけることが大切です。
また、金利だけでなく月々の手数料やローンの組成費用など、ローンに関連するあらゆる手数料を考慮に入れて金融機関間の金利や条件を比較しましょう。
マンション経営の初期費用でよくある質問は、下記の3つです。
マンション経営を始める前に、上記を疑問に思う方も多いです。スムーズにマンション経営の手続きを進めるためにも、疑問に対する回答を事前に理解しておきましょう。
マンションを購入する際には、税金や登記費用、借り手を探すための費用、広告費、不動産業者への手数料など、多くの支払いが必要になります。各費用が数万円、数十万円と積み重なると高額になるため、自己資金を潤沢に用意しておくことが大切です。
具体的には、マンション建築費用の10%程度を目安に自己資金を用意しておきましょう。
マンション経営とアパート経営では、初期費用が大きく異なります。マンション経営では、内容次第で数千万円から数億円の初期費用が必要です。しかし、アパート経営は、数百万円程度初期費用があれば始められます。
マンション経営よりも安いからと言って、数百万円を用意するのは容易ではないため、ローンを組んで費用を賄いましょう。ただし、空室や修繕のために、ある程度の自己資金は用意しておくことが大切です。
マンション経営では、初期費用を抑えることで自己資金による負担を軽減できます。しかし、初期費用を抑えてしまうと、ローンの借入額が上がり返済額が増えてしまったり、マンションのグレードが下がったりしてしまいます。
初期費用を抑えるとマンション経営を始めやすくはなりますが、抑えすぎるとデメリットが生じることを理解しておきましょう。
マンション経営では、多額の初期費用がかかるため、全て自己資金で賄うのは難しいです。また、ローンを組むとしても「自己資金はどれだけ用意すればいいのか」がわからない方もいます。
マンション経営にかかる初期費用で相談したいなら「M-LINE」へ相談しましょう。M-LINEは、都心部を中心としたマンション作りを得意としており、様々な要望に対して最適な提案が可能です。また、マンション経営を始めるにあたって、必要な初期費用やその他のポイントも併せて相談できるため、一度相談してみることをおすすめします。
2024/11/29
2024/11/29
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