小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
マンション経営は大きなリスクがあるので、実際どのくらい儲かるのか気になりますよね。
儲かるならやりたい、儲からないならやりたくないと思うのが普通です。
ただ、もちろん投資である以上、100%儲かるという保証はありません。
今回の記事では、マンション経営のオーナーの平均年収、収入の内訳、支出の内訳について解説します。最後まで読んでいただくことで、マンション経営の収支のイメージが掴めます。
マンション経営のオーナーとしての平均年収は、およそ350万~400万円です。
収入として入ってくる金額は年間約500万円ですが、そのうち2~3割は支出として出ていきます。
よって、手元に残るのは350万~400万円になります。
月々の金額に換算すると、約30万円です。これだけの金額が不労所得として入ってきたらかなり豊かになりますね。
マンション経営オーナーの年収の統計データは以下です。
年収 | パーセンテージ |
〜100万円 | 5.3% |
101万円〜200万円 | 18.9% |
201万円〜300万円 | 17.0% |
301万円〜500万円 | 24.0% |
501万円〜1,000万円 | 23.3% |
1,001万円〜2,000万円 | 23.3% |
2,001万円〜5,000万円 | 2.4% |
5,000万円〜1億円 | 0.3% |
1億円〜 | 0.1% |
参考記事:不動産所得|国税庁
このように300万円〜1,000万円ほどの不動産所得を得ているマンションオーナーが多いようです。
サラリーマン大家と法人オーナーには、年収の差は当然あります。サラリーマン大家の方が法人オーナーより不動産所得は少ない傾向にあります。
以下の記事ではマンション経営で法人化するメリットとデメリットについて解説しています。サラリーマン大家で法人化に興味がある方はぜひ参考にしてください。
物件規模別の平均年収はこちらで、規模に応じて得られる収入も大きく変わってきます。参考までに目を通してみてくださいね。
ワンルーム投資 | 1~3戸 | 100万~300万円 |
小規模マンション | 4~10戸 | 300万~800万円 |
中規模マンション | 11~30戸 | 800万~2000万円 |
大規模マンション | 30戸以上 | 2000万円以上 |
マンション経営における収入は、主に以下の5つの要素で構成されています。
家賃はマンション経営における主要な収益源で、キャッシュフローの安定に直結する要素です。多くの場合、前払いが基本となるため、月末には振込状況を必ずチェックし未払いを防ぐことが大切です。
空室対策としては、適正な家賃設定や設備の見直しを行い、魅力的な物件づくりに努めましょう。
また、信頼できる管理会社との連携によって、入居者の獲得と賃貸管理の負担軽減が期待できます。安定した運用を続けるためには、こうした取り組みを継続して行うことが重要になります。
多くのマンションでは家賃と一緒に共益費を徴収し、共用スペースや駐車場の維持管理に充てることが一般的です。
法律上、具体的な使途が厳格に定められていないため、設備修繕や清掃などさまざまな用途に利用できます。
また、管理費を同時に徴収しても実質的な違いはほとんどありません。
礼金は、マンション経営における重要な収入源の一つです。入居者が新たに契約を結ぶ際に支払うもので、一般的には家賃の1~2ヶ月分が相場とされています。
この金額は敷金と異なり、契約終了時に返還されることはなく、オーナーの純収入となります。しかし、近年の賃貸市場では、競争が激化しているため、礼金を設定しない物件も増加しています。
これは、入居者をより多く集めるための戦略として利用されています。礼金の有無や金額は、物件の立地や設備、周辺の賃貸市場の動向によっても大きく影響されます。
このように、マンション経営者は最新の市場の状況を十分に把握し、適切な礼金設定を行うことが重要です。
マンション経営における収入源の一つである更新料は、賃貸借契約を更新する際に入居者から徴収される費用です。
通常、契約更新は2年ごとに行われ、更新料の相場は家賃の1~2ヶ月分とされています。しかし、更新料の徴収は法律で義務付けられているわけではありません。そのため、競争が激しい地域や物件では、入居者を確保するために更新料を設定しないオーナーも増えています。
更新料の有無は入居者にとって重要な要素となるため、マンション経営を行う際は地域の市場動向を考慮し、戦略的に設定することが求められます。更新料は、収益の安定化に寄与する一方で、入居者の負担を軽減し、長期的な居住を促す手段としても活用できます。
マンションに駐車場を設けることで、駐車場代を収入源として活用できます。駐車場代は地域ごとに異なるため、周辺の相場を調査して適切な料金設定を行うことが重要です。
多くの場合、家賃と一緒に駐車場代を徴収する方法が一般的です。このようにすることで、入居者にとっても支払いが簡単になり、管理側も効率的に収入を管理できます。駐車場の収入は、マンション経営の安定した収益源となるため、適切な管理と料金設定が求められます。
マンション経営をするなら、収入だけではなく、支出についても知る必要があります。
なぜなら、どのような支出が発生するのかを把握しておかないと、マンション経営を始めてから思った以上の支出の大きさに苦しむことになりかねないからです。
また、節税のことについて知っておくことで、余計な税金を払わずに済みます。
では、支出の内訳を見ていきましょう。
マンション経営は、基本的にローンを借りておこないますが、ローン返済費は毎月の支出の中で最も大きな割合を占めます。
目安でいうと、マンションが満室の時に得られる賃料の30~35%程度です。
金額が大きいので、支払いが滞らないよう支出の管理はしっかりおこないましょう。
ちなみに、マンション経営にかかる支出は経費として計上出来ますが、ローン返済費に関しては利息分しか計上できません。
つまり、元本分は控除対象をならないため、そのことも念頭に入れておきましょう。
管理費は、マンションの管理を管理会社に委託した場合に発生します。
そのため、管理会社を使わなければ発生しませんが、それはおすすめしません。
なぜなら、入居者対応の内容は多岐にわたり、それをオーナー自らおこなっていたのでは消耗してしまうからです。
管理費の相場は、毎月の家賃の5%程度です。
ただし、管理会社によって質が異なるため、本当に信用できる管理会社を探しましょう。
修繕費とは、マンションの損傷や劣化した部分を直す費用です。
毎月必ず発生するものではなく、金額も損傷や劣化具合によって異なります。
修繕はこまめにおこなわないと、あとで大幅な修繕が必要となり、膨大な費用がかかる恐れがあります。
保険料には、火災保険料や地震保険料があります。
これらは毎年支払うものですが、5年分や10年分をまとめて支払うことができ、そうすることで1年分あたりの保険料が安くなります。
また、最近保険料は増額傾向にあるので、その影響を受けないまとめ払いをおすすめします。
仲介手数料は、不動産業者から入居者を紹介してもらうたびに発生し、金額は家賃の半分です。
オーナーが自ら入居者を見つけた場合は発生しません。
マンション経営において継続的にかかる税金は、固定資産税、都市計画税、所得税、住民税です。
固定資産税は固定資産税評価額の1.4%、都市計画税は0.2~0.4%が毎年課せられます。
ただし、マンションの固定資産税評価額は毎年下落していくので、それに伴ってこれらの税金の額も減額
所得税と住民税は、収入によって金額が変わります。
ですので、上手く経費を計上することで金額を抑えることが可能に。
ちなみに、所得税は累進課税制度が採られているため、収入が大きくなるほど税率が高くなります。
諸経費とは、入居者を募集するための広告宣伝費や、不動産会社との打ち合わせ時に使う接待交通費、さらに共有部分の光熱費などのことです。
細かな金額のものが多いですが、これら諸経費をすべて合わせると、毎年数十万以上は必要となるでしょう。
節税対策になるので、レシート類は捨てずに取っておきましょう。
マンション経営オーナーで収益を最大化するための4つのポイントについて解説していきます。
マンション経営で収益を最大化するためには、立地選びが極めて重要です。なぜなら、需要の高いエリアに物件を所有すれば、安定した入居率を確保でき、長期的に収益を維持しやすくなるからです。
特に、人口が増加しているエリアでは、新たな住民の流入が見込まれ、賃貸需要が高まりやすい傾向にあります。例えば、再開発が進んでいる都市部や、大学・企業の集積地などは、継続的な需要が期待できるため、家賃の下落リスクも低くなります。
一方で、過疎化が進むエリアでは、人口減少による空室リスクが高まり、家賃の値下げを余儀なくされる可能性も。
また、駅からの距離や商業施設・病院・学校などの周辺環境も、入居希望者にとって大きな判断材料となります。需要の高いエリアを選定することで、安定した賃貸経営が可能となり、長期的な収益最大化につながるでしょう。
マンション経営で収益を最大化するためには、入居率を維持する戦略を立てましょう。特に、競争が激しいエリアでは、家賃を下げるのではなく、リノベーションや設備投資を行うことで競争力を高めることが重要です。
例えば、内装のデザインを現代的にアップデートしたり、人気の高いシステムキッチンや独立洗面台を導入することで、入居希望者の満足度を向上させられます。また、オートロックや宅配ボックスなどの設備を追加することで、安全性や利便性を強化し、他の物件との差別化を図ることも可能です。
さらに適切な管理会社を選ぶことも重要です。管理会社の対応力や入居者サポートの質が、入居率や物件の評価に直結します。
迅速な対応や適切なメンテナンスを行う管理会社を選ぶことで、入居者満足度を高め、長期的な収益の安定につながります。
以下の記事では、鉄骨造マンションの収益性を保つためのポイントについて解説しています。鉄骨造マンションの経営を考えているオーナーはぜひ参考にしてください。
マンション経営で収益を最大化するには、空室リスクを抑える工夫が欠かせません。特に法人契約を狙うことで、企業の社宅利用など安定した長期入居が見込めます。また、単身者向け物件は競争が激しいため、ファミリー向け物件を展開することでターゲット層を広げ、安定した賃貸需要を確保するのも有効です。
さらに、空室リスクを軽減する方法としてサブリース契約があります。サブリースでは管理会社が物件を一括借り上げし、オーナーに安定した家賃収入を保証しますが、契約内容によっては家賃が相場より低く設定される場合や、契約更新時に条件が変更される可能性があるため注意も必要です。
マンション経営で収益を最大化するには、余裕があれば複数物件を運用し、年収アップを狙うのも有効な戦略です。
複数の物件を所有することでリスクを分散でき、特定の物件で空室が発生しても他の物件からの収益でカバーできます。
また、エリアやターゲット層を分けて運用することで、安定した家賃収入を確保しやすくなります。さらに、規模が大きくなると管理会社との交渉力も高まり、管理費のコスト削減にもつながる可能性が高いです。
以下の記事では、物件選びのコツについて解説しています。物件選びに失敗してマンション経営悪化になりたくないオーナーは参考にしてみてください。
最後に、マンション経営オーナーの成功事例・失敗事例を紹介します。マンション経営に興味があり、成功して年収を上げたい方は最後まで目を通すようにしてください。
まずは成功事例を2つ紹介します。
1.不動産会社と信頼関係を築きマンション経営オーナーとして成功
福岡市東区に住む57歳のAさんは、元サラリーマンからアパート経営オーナーへと転身しました。きっかけは、老後の安定した収入源を確保するためでした。年金だけでは不安を感じ、不労所得を得る手段を模索していたところ、不動産会社アパート経営を決断。
慎重に情報収集と資産計画を行い、投資用アパートなら定年までに投資額を回収し、その後は安定した家賃収入が得られることを確信しました。
現在、Aさんは7棟49戸を所有し、月額198万円、年額2,380万円の家賃収入を確保。成功の鍵は、不動産会社との信頼関係を築くことでした。不動産経営は多くの関係者が関わる信用取引であり、オーナーだけが利益を得るのではなく、入居者や不動産会社、金融機関すべてが満足できる関係を築くことが重要です。Aさんは、信頼できるパートナーと協力し、長期的に安定した経営を実現しています。
2.好立地物件の選定でマンション経営オーナーとして成功
宮崎市でアパート経営を行うAさんは、3年前に中古マンションを購入し、リフォームを施した後、賃貸運用をスタートしました。当初は不動産投資の知識が少なく、不安もありましたが、地元の不動産会社に管理を依頼し、入居者募集から契約手続きまでを一任。プロのサポートを受けることでスムーズに運用を開始できました。
「周囲のアドバイスを参考に、好立地の物件を選んだことで、空室が出ることなく常に満室を維持できています。初期投資を抑えながらも、利回り6%を確保できているので、とても満足しています。」とAさん。
リフォームによる資産価値向上と好立地物件の選択、適切な管理会社の選定が、安定経営のカギとなりました。今後も物件のメンテナンスを続け、収益の最大化を目指していくとのことです。
参考記事:オーナー向けコラム#11|株式会社ハウジング情報プラザ
次に失敗事例を2つ紹介します。
1.適切なメンテナンスを怠り、マンション経営オーナーとして失敗
Mオーナーは、将来的な売却を見据え、資産価値が上がりそうなエリアに物件を購入しました。管理は地元の管理会社に委託し、物件を訪れることなく順調に運営を続けていました。入居も安定しており、購入から約10年が経過した頃、高く売却できるタイミングを見計らって市場に出しました。
しかし、問い合わせはあるものの、実際に現地を見た購入希望者からは辞退や大幅な値引き交渉が相次ぎました。その理由は、「築年数の割に物件が汚すぎる」というものでした。共用部分の汚れが目立ち、管理の行き届いていない印象を与えてしまっていたのです。
Mオーナーは最低限の管理はしていましたが、管理会社から提案されていた特別清掃や高圧洗浄は「どうせ売却するから」と断り続けていました。その結果、汚れが蓄積し、大掛かりな清掃や修繕が必要な状態に。最終的に、購入希望者から「300万円の値引き」を求められ、それを受け入れざるを得ませんでした。
売却自体は利益を得ることができましたが、もし定期的な清掃やメンテナンスを行っていれば、さらに高値で売却できた可能性がありました。Mオーナーは「もっと早く対策をしておけばよかった」と後悔しています。
参考記事:アパート経営の失敗例5パターンと成功に導く4つの対策を解説|AIWA CREATIVE
2.無計画なサブリース契約でマンション経営オーナーとして失敗
Iオーナーは、相続した田舎の土地を活用するためにアパートを建築しました。建築・管理を一括で請け負う業者から「サブリース契約をすれば安定した家賃収入が得られる」との提案を受け、安心して契約を結びました。
最初の4年間は順調でしたが、5年目に管理会社から「家賃相場が下がっており、半数が空室のため賃料を見直す必要がある」と通告されました。契約書には「2年ごとに賃料改定」と明記されており、家賃を下げれば赤字、サブリースを辞めればさらなる空室リスクに直面するという状況に。
この失敗の原因は、サブリースなしでは成り立たないエリアにアパートを建てたことです。アパート経営では、入居需要が最も重要な要素です。甘い言葉に惑わされず、事前に市場調査を徹底し、長期的な視点で経営計画を立てることが失敗しないために重要になります。
参考記事:アパート経営の失敗例5パターンと成功に導く4つの対策を解説|AIWA CREATIVE
以上、マンション経営のオーナーとしての平均年収、収入と支出の内訳について解説しました。
もしマンション経営に魅力を感じていただけたなら、将来の収入の安定のための手段のひとつとしてチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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さらに、収支シミュレーションや建築後のフォロー体制も万全で、東京で安心してアパート・マンション経営を始められます。
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賃貸住宅・賃貸併用住宅・ソーシャルアパートメントなどの土地活用をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
2025/03/31
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