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屋上庭園のあるマンションのメリット・デメリット|東京の屋上緑化・壁面緑化補助金情報も

屋上庭園のあるマンションといえば、タワーマンションのペントハウスや高級分譲マンションを思い浮かべる方も多いかもしれません。

賃貸マンションでも、共用スペースの屋上庭園があるデザイナーズマンションや、最上階が屋上庭園やルーフバルコニー付きの住戸になっているマンションを建築することは可能です。

屋上庭園やルーフバルコニーのある賃貸住宅は入居者に付加価値としてアピールできるだけでなく、建物の省エネにもなるなどのメリットがあります。

今回は、屋上庭園のあるマンションを建築して土地活用するメリットと、屋上庭園を作る際の注意点について解説します。

また、東京都のマンション建築で利用できる緑化・屋上緑化・壁面緑化の補助金などの助成についても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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屋上庭園とは?

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屋上庭園は、住宅の上部(屋上)や最上階のベランダ(ルーフバルコニー)などに作られた庭のことを指します。

屋上庭園は、一戸建てやマンション、店舗ビル、商業施設、公共施設など、屋根が平ら(陸屋根)で屋上のある建物に作られます。

屋上庭園は、屋上に土を運んで人工的に土壌を作り、芝生や苔、セダムなどを敷き詰めるシンプルな屋上緑化が基本でしたが、最近は樹木を植えてイングリッシュガーデンや果樹園のような本格的な庭園を作るなど、様々なバリエーションの屋上庭園も作られるようになってきました。

屋上庭園は、庭としてだけでなく、イベントに利用したり、チェアやテーブルを設置して利用者向けのリラックススペースにしたりなど、様々に活用できます。

賃貸住宅で屋上庭園を作ることももちろん可能です。土地活用においては、目的やコンセプトを明確にし、適切な機能・安全性を持つ屋上庭園を作ることで、入居率を高めたり、空調などの省エネや建物の長寿命化につながったりする効果が期待できます。

マンションに屋上庭園を作るメリット

次に、屋上緑化・屋上庭園のメリットについてまとめてみます。

魅力的な共用スペース・屋上付き住戸が作れる

マンションの屋上庭園は、単なる屋上緑化とは異なり、住人が利用できるスペースになります。

屋上庭園を共用スペースにして住人に開放することで、都市部でも緑に触れられる癒しのスペースを提供できます。

また、マンションの最上階を屋上庭園付き住戸にすることもできます。タワーマンションのペントハウスのような住まいを賃貸でも実現し、独自の強みとして集客力を高められます。

省エネ効果(断熱効果)・建物の劣化防止

屋上緑化や壁面緑化には、ビルの外壁や天井に施工する断熱材と同じ断熱効果や、紫外線等による建築物の劣化防止効果があります。

屋上庭園を作ることで、空調などの省エネや建物の長寿命化ができます。

ヒートアイランド現象緩和・地球温暖化対策

屋上庭園(屋上緑化)は、都市部のヒートアイランド現象の緩和にも効果があるとされています。

屋上緑化によって、緑化土壌の断熱作用や、植物自体が日射を遮ることによる屋内の温度上昇抑制や省エネ効果が期待できます。

さらに、植物の蒸散作用によって屋外空間の温度上昇を緩和し、二酸化炭素の吸収量の増加により地球温暖化対策への貢献もできます。

参照:国土交通省資料「未来につなぐ都市とみどり」

大気浄化

緑には、NOx(窒素酸化物)等を吸収したり、酸素を供給するなど、大気の浄化機能があります。

建物が密集している市街地は、窒素酸化物の発生量も多くなるため、緑化による緩和が望ましいのですが、新たに緑化する余地がないため、現在以上に緑を増やすことが困難です。

そこで、屋上緑化により市街地に緑を増やすことで、大気浄化を促す効果が期待できます。


屋上庭園を作る際の注意点

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マンションに屋上庭園を作る場合は、通常の屋上とは異なる注意点があります。建物の計画時・施工時の注意点について解説します。

積載荷重に合わせた緑化工法を選ぶ

屋上庭園は、植える植物によって必要な土の厚みや重さが変わり、それに伴って緑化の工法も変わってきます。

例えば、ユニット式屋上緑化システムは、平らな建物の屋上だけでなく、折板屋根や勾配屋根にも施工でき、軽量で施工が簡単、メンテナンスが簡単というメリットがあります。ただし、植えられる植物は芝生や地被植物、常緑キリンソウ、セダムなど高さのない植物に限られます。

野菜や中低木などを植えたい場合は、それぞれに適した土壌の厚みや排水層を設ける必要があるため、ユニット式よりも重量が重くなります。

建物にはそれぞれ積載できる限度の重さがあり、積載荷重を超える規模の屋上庭園は安全性が確保できないため施工できません。

マンションなどの屋上緑化計画時には、工務店やビルダーなどの施工会社に積載荷重を必ず確認して、建物に合った緑化計画を立てましょう。新築の場合は、あらかじめ屋上庭園にすることが決まっている場合、構造補強が行われます。

排水構造に注意

屋上緑化のトラブルの多くは、水に関するものです。近年はゲリラ豪雨も多いため、屋上の排水がうまくいかないと、階下の住戸に浸水・雨漏りが起きたり、屋上を囲む手すりや立ち上がりを超えて水や土が流れ出してしまう恐れもあります。

屋上庭園では確実に排水される構造になっているかが大切なチェックポイントになります。

耐根層を設ける

植物は生きているので生育につれて根が伸びていきます。根が伸びて防水層に入り込むと浸水の原因になるため、耐根層(耐根シート・防根シート)を必ず貼りましょう。

風対策(地下支柱、マルチング)

屋上は強風にさらされることが多いため、風で樹木や植物が倒れる事故や、強風による土壌の乾燥・飛散を防ぐ必要があります。樹木には地下支柱を設置し、土壌にはマルチング材を敷き詰めるなど、乾燥や急な寒さへの対策をしておきましょう。

水やりシステム

屋上は風によって乾燥しやすいため、屋上庭園の維持管理には定期的な水やりが欠かせません。

屋上緑化では、ホースなどを使って人の手で水やりを行う以外に、灌水ホースやスプリンクラーをあらかじめ設置して水やりをする方法があります。現在の都市部では、灌水ホースやスプリンクラーをタイマーなどでコントロールする自動式が主流です。

屋上は特に風が強いので、散水時にムラができやすいスプリンクラーよりも灌水ホースが向いています。

屋上庭園の規模やメンテナンスの手間・コストなどを総合的に検討して最適な方法を選びましょう。

乾燥に強い植物を選ぶ

屋上庭園に使う植物は、屋上の環境に耐えられる、乾燥や暑さ・寒さに強い植物を選びましょう。

屋上庭園に適した植物は、芝生の他に、常緑キリンソウやセダムなどの多肉植物があります。

その他の草花や樹木も、常緑植物(1年中葉が付いて緑が見られる植物)・落葉植物(定期的に葉を落とす植物)や適した生育環境が異なるので、求めるデザインや地域の気候、メンテナンス性などを考慮して選びましょう。

屋上庭園のメンテナンス方法

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次に、屋上庭園を維持管理していく上で大切なメンテナンスについて解説します。

屋上庭園は、草刈りや定期的な清掃・点検などのメンテナンスをきちんと行うことがとても重要です。定期的に目を配ることで、防水層や舗装材などの劣化や、植物が成長して周囲に影響を与えていないかなど、事前に気づいて対処できます。

また、植物のメンテナンス以外にも、屋上緑化設備は定期的な更新(改修)が必要です。

防水層の改修

屋上の一般的なアスファルト防水層は一般的に10~15年ごとに更新が必要です。防水層を改修する際は、屋上緑化に関する設備は全て一度撤去しなければなりません。防水層メンテナンスのスケジュールを事前に把握して計画的に動いていくことが重要です。

床材・各種舗装材のメンテナンス

ウッドデッキ・舗装材などの床材や、植物を囲む花壇・枕木なども時間が経つにつれ劣化や破損が起こることがあります。定期的にチェックしておきましょう。

また、緑化システム自体のメンテナンスは、緑化システムを提供する会社ごとに異なります。トラブルが起こった際に慌てないよう、施工会社にすぐに連絡が取れるようにしておきましょう。

東京都の屋上庭園・屋上緑化の助成・補助金制度

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自治体ごとの都市計画では、建物を新たに建てる場合「緑化率」が定められています。新しく建物を建てる際は、緑化率を達成するために、敷地内や建物に、植栽や花壇、樹木類などの緑地施設を一定数の割合で設ける必要があります。これは、賃貸住宅・賃貸併用住宅でも同様のルールです。

例えば、新宿区では新宿区では、「新宿区みどりの条例」に基づき、敷地面積 250㎡以上の民間施設を建築する際、緑化することを区民や事業者に義務付けています。さらに、敷地面積 1,000㎡以上の民間施設の場合は、地上と屋上の両方の緑化が必要になります。

参考:新宿区HP「緑化計画書制度」

 

緑化が必要な敷地面積や条件・求められる緑化の内容は自治体ごとに異なりますが、一定以上の規模の建築に対して地上部、または地上部と屋上部の両方の緑化が義務付けられています。

そこで、各自治体では緑化、屋上緑化、壁面緑化を推進する助成制度や補助金制度を実施しています。

先ほどの新宿区の例では、

上記の改修や新築において、新たに屋上緑化・壁面緑化をする場合工事費の一部を助成する制度があります。

参考:新宿区HP「屋上緑化・壁面緑化助成制度」

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今回は、マンションに屋上庭園をつくるメリットと、屋上庭園の設計・メンテナンスの注意点について解説しました。

屋上庭園は、住人の憩いの場や屋上付き物件を作れるため、賃貸住宅のアピールポイントになり入居者を集めやすくなるでしょう。

ただし、屋上庭園は定期的なメンテナンス・点検や防水改修などの費用がかかってくるため、やみくもに設置するのではなく、屋上庭園を設置する目的を明確にしてデザインし、メンテナンスのスケジュールやかかる費用も先まで見通して計画を立てることが成功のポイントになります。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。
小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

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