小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
大家さんは、表面的には安定的な家賃収入を補い、不労所得を得る最適な方法と思われるかもしれません。
しかし、実際は責任が重く、フルタイムになりがちな仕事でもあります。大家さんになるべきかどうかを悩んでいるなら、家賃収入や仕事内容を理解しておくことが大切です。
今回は、大家さんに向いている人の特徴や収入の内訳、主な仕事内容、リスクについて詳しく解説します。この記事を読むことで、大家さんになるべきかどうかを判断しやすくなります。
実際の大家さんの多くは、儲かっている人が多いです。大家さんが儲かっているかどうかは、2019年度分の国税庁データの「不動産所得の申告結果」から判断できます。国税庁のデータによると、平均所得額は約430万円となっています。
所得階級 | 平均所得額 |
---|---|
150万円以下 | 1,158,553円 |
200万円以下 | 1,556,346円 |
250万円以下 | 1,936,216円 |
300万円以下 | 2,301,745円 |
400万円以下 | 2,821,353円 |
500万円以下 | 3,585,210円 |
600万円以下 | 4,375,438円 |
700万円以下 | 5,176,528円 |
800万円以下 | 5,983,634円 |
1,000万円以下 | 7,189,061円 |
1,000万円以下 | 7,189,061円 |
1,200万円以下 | 8,917,165円 |
1,500万円以下 | 10,991,154円 |
2,000万円以下 | 14,250,722円 |
3,000万円以下 | 20,013,054円 |
5,000万円以下 | 31,122,736円 |
10,000万円以下 | 53,234,253円 |
20,000万円以下 | 102,823,944円 |
50,000万円以下 | 220,358,696円 |
100,000万円以下 | 418,166,667円 |
平均 | 4,301,239円 |
参考:申告所得税標本調査結果|国税庁
ただし、必ずしも儲かるわけではありません。不動産所得にばらつきがあるように、人によっては年間100万円も得られていないケースもあります。
また、アパート経営における経費率は20%前後とされています。不動産所得は家賃収入の約8割と想定されるため、最低でも家賃収入が625万円以上なければ手取り500万円の確保は難しいです。
専業大家として生活していくためには、手取り収入が500万円以上無いと難しいため、最初は副業として始めることをおすすめします。
大家さんに向いている人の特徴は、下記の通りです。
大家さんになることを検討している人は、大家さんに向いている人の特徴を知っておくことが重要です。賃貸経営は、計画性やコミュニケーション能力も必要となるため、上記がない人だと失敗してしまう可能性が高いです。
また、大家さんに向いてない人の特徴としては「先払いができない人」「結果をすぐに求める人」などが挙げられます。
大家さんに向いている人の特徴として、計画性があることが挙げられます。なぜなら、大家で生計を立てていくためには目標を決めて、行動しなければならないからです。
賃貸経営をする上では、将来の目標に対して具体的にどのような行動をしないといけないかわからないと失敗する可能性が高いです。
また、計画性をもって行動するためには、下記を意識しておくことをおすすめします。
どのような事業であっても、計画が重要です。安定して賃貸経営を進めるためには、市場の変化を予測し、テナントの期待に応え、賃貸契約を交渉することが大切です。経営を進める中での急な変化にも対応できるように、前もって計画を立てておきましょう。
大家さんに向いている人の特徴として、コミュニケーション能力があることが挙げられます。なぜなら、トラブルなく賃貸経営をするためには、入居者とも良好な関係を築かなければいけないからです。
他にも、下記のような理由から、大家さんにはコミュニケーション能力が求められます。
大家として、必ずしも同意しない借主に対処しなければなりません。効果的なコミュニケーションができれば、大家さんと入居者との間に理解と相互尊重を確立できます。
大家さんに向いている人の特徴としては、努力を怠らない人も挙げられます。なぜなら、大家さんは、入居者が快適に暮らせるように、設備の改善や清掃などの地味な仕事をコツコツ続けていく必要があるからです。
例えば、毎日共用部の掃除をせずに放っておくと、誰も利用しなくなるだけでなく新たな入居希望者が現れづらくなってしまいます。
大家さんの仕事は、誰にでも務まるわけではありません。入居者が家賃の支払いに遅れていないかや賃貸契約に従っているか生活しているかどうかなども確認する必要があります。賃貸経営を進めるためには、努力だけでなく忍耐力も必要です。
大家さんの仕事内容は、物件を管理することだけではありません。具体的には、下記3つの仕事内容に分けられます。
また、上記以外にも必要に応じて修繕や原状回復などを行わなければいけません。ただ、物件管理は管理会社に委託することも可能です。
大家さんになろうかどうか悩んでいる人は、自分自身で行う必要があるかどうかも一緒に考えておくことが大切です。
大家さんとして安定した収入を得るためには、入居者を募集しなければいけません。ただ、大家さんとして成功できるかどうかは、入居者の質に大きく左右されます。
優良な入居者を安定的に確保するためには、包括的なマーケティング戦略を立てることが重要です。オフラインだけでなく、インターネットや口コミでも物件を宣伝する必要があります。
また、優良かつ効率的に入居者を募集するために、不動産会社も利用しましょう。不動産会社も適切な会社を選ぶ必要があり、集客力や手数料の高さなど多面的に判断することが大切です。
ただ、最終的には大家さん自身で入居者を見極める必要があります。入居希望者と直接会話した上で、家賃滞納や入居者同士のトラブルが起こる心配はないかどうかを見極めましょう。
大家さんは、入居者が快適に暮らせるように、困りごとやクレームを聞き対応・改善などに対応しなければいけません。
大家さんの対応が必要になりそうなケースとしては、クレーム対応が挙げられます。クレーム対応の代表的なものとしては、入居者同士のトラブルです。設備のように修繕すれば済むクレームとは異なり、入居者同士のトラブルは解決に繋がらないことも多いです。
クレームが多すぎて他の入居者に迷惑がかかっている場合には、定期借家契約を導入し、契約期間を満了させ退去してもらうことをおすすめします。
大家さんは賃貸の経営者として、入居者全員と良好な関係を保つことが大切です。入居者全員と良好な関係を保つことで、快適な住環境の構築に繋げられます。
建物の管理も大家さんの重要な役割の1つです。具体的には、建物の清掃や改修などの日々の管理や空室への対策、大規模修繕の計画などが挙げられます。
建物管理は自分自身で対応する大家さんもいます。しかし、業務が多く手間がかかることから、管理会社に委託するケースも多いです。大家さんになるかどうかを検討しているなら、どうするべきなのかを確認しておきましょう。
また、賃貸契約や現地のテナントに関する法律に変更があった場合は、常に最新の情報を入手しておくことが大切です。
大家さんの収入の内訳は、下記を参考にしてください。
また、上記以外にも必要に応じて修繕や原状回復などを行わなければいけません。ただ、物件管理は管理会社に委託することも可能です。
大家さんになろうかどうか悩んでいる人は、自分自身で行う必要があるかどうかも一緒に考えておくことが大切です。
家賃とは、借主から支払われる賃料のことで、収入の大部分を占めています。家賃の特徴は、下記の通りです。
一般的に、翌月分の家賃は当月末までに支払うことが多いです。また、入居日によっては、当月末までの家賃を日割り計算して支払ってもらうことで調整しています。
礼金とは、物件を契約する際に借主が大家さんに払う「謝礼金」のことです。多くの場合、貸主が借主を見つけたり、物件を維持するための費用に充当されます。
礼金の特徴は、下記の通りです。
入居する際に支払うのが一般的であり、返金されることはほとんどありません。また、相場は家賃1ヶ月分となっていますが、エリアによっては家賃2ヶ月分支払ったり、礼金無しの物件も多いです。
更新料とは、現在入居している人の契約を更新する際に発生する手数料のことです。更新料は、大家さんの収入ではなく、管理会社の収入となるケースが多いです。
更新料の特徴は、下記の通りです。
更新は2年ごとに行うのが一般的であり、通常家賃の1ヶ月分がかかります。ほとんどの場合、更新料は返金されないのが特徴です。
共益費と管理費に明確な違いはなく、借家人が共同で使用したり、利用する設備や施設の運営および維持するために要する費用とされています。共益費や管理費に関しては、賃貸借契約書の詳細が記載されています。
共益費・管理費の特徴は、下記の通りです。
共益費・管理費は、全て大家さんの利益となるわけではありません。賃貸物件の管理を外部に委託する場合、管理料を請求されることがあります。
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大家さんは、賃料全てが収入になるわけではありません。賃料から管理費や税金などの経費を差し引いた金額が利益となります。
大家さんの具体的な支出の内訳と詳細は、以下を参考にしてください。
大家さんとして生計を立てるなら、想定される支出を把握することが重要です。賃貸経営では、不動産の購入にかかる初期費用だけでなく、維持管理にも費用がかかります。
考慮すべき最も重要な経費の1つは、保険料です。家主は、潜在的な訴訟や物的損害から身を守るために、家主保険を購入する必要があります。万が一の時のために保険に加入していなければ、自然災害によって全てを失うことになるため注意しましょう。
さらに、年間を通じて必要となる可能性のある修理やメンテナンス、継続的なセキュリティ向上のための支出も考えた上で資金管理することが大切です。
令和2年申告所得税標本調査結果によると、国内の不動産所得の平均額(大家さんの年収)は、540万円となっています。平成27年は518万であり、令和元年は525万円であるため、微増傾向にあります。
引用:申告所得税標本調査結果|国税庁
賃貸経営に関連する費用に加えて、潜在的な収入も考慮することが重要です。大家さんの年収は、ほとんどが入居者からの家賃収入で構成されています。家賃収入で、住宅ローンの支払いや保険、税金、修理・メンテナンスなど、大家さんの固定費を全て賄わなければいけません。
また、家賃収入だけでなく、不動産価値の上昇の可能性も考慮することが重要です。物件が高く評価されれば、大家さんの年収が大幅に増える可能性があります。
しかし、物件の評価は保証されたものではなく、地域の住宅市場など多くの外的要因に影響される可能性があるため注意しましょう。
大家さんになるには、賃貸住宅や物件の維持管理に関する多くの知識が必要です。また、多くの労力と資源を投入しても、希望する収益が得られるという保証はありません。
大家さんになる際には、下記4つのリスクについても考えておく必要があります。
大家さんになるリスクについて理解しておくことで、様々なトラブルを未然に防ぎやすくなります。
大家さんには、家賃滞納によって収入が減少するリスクがあります。家賃滞納リスクとは、住人が家賃を払わず安定的に家賃収入が得られないことです。
家賃滞納は、下記のような理由で起こる可能性が高いです。
家賃滞納リスクを避けるためには、クレジットチェックや雇用や収入の確認、バックグラウンドチェックなどを行い、入居者を慎重に見極めることが大切です。
また、家賃を迅速に支払うために、確実な家賃回収システムを導入する必要があります。もし、入居者が家賃を滞納した場合、大家さんは、その問題を解決するために迅速に行動しなければなりません。
賃貸経営では、入居者がいないために収益が上がらないという状況が発生することがあります。これを「空室リスク」と呼びます。空室になる原因としては、立地や築年数、供給過多などが一般的です。
空室リスクを避けるためには、空室を早期に埋め、空室が発生しないようにするためのマーケティング戦略が不可欠です。先手を打つことで、物件が市場に出るまでの時間を短縮し、同時に空室の心理的不安も軽減できます。
大家さんになるリスクとして、建物の老朽化によるリスクが挙げられます。建物は古くなればなるほど、より多くのメンテナンスや修理が必要になります。そのため、定期的に建物を点検し、損耗を未然に防ぐことが重要です。
また、築10年以上の建物では、老朽化による修繕のリスクも高まります。そのため、補修や塗装・清掃などの予防保全を行い、寿命を延ばすことが必要です。
さらに、建物の老朽化によるリスクを軽減するために、信頼できるハウスメーカーに依頼することをおすすめします。質の高いハウスメーカーであれば、修繕を行い、建物を長期間にわたって稼働させ続けやすくなります。
大家さんになる際には、入居者トラブルによるリスクを理解しておくことも大切です。入居者トラブルによるリスクとしては、下記のようなものが挙げられます。
入居者トラブルが発生した場合、他の入居者が退去してしまうかもしれません。他の入居者が退去した結果、収益の減少につながる可能性があります。
そのため、入居審査では、信用情報や犯罪歴、賃貸履歴などを詳細に確認し、問題が発生する前に見極めることが大切です。また、賃貸物件を決定する際には、地域のルールや規制にも気を配りましょう。
成功する大家さんになるには、単に入居者を見つけるだけが大切なことではありません。成功する物件の運営には、多大な努力が必要です。成功する大家さんになるためには、組織的であることや地域の住宅関連法に精通していること、人との付き合い方が上手であることが求められます。
また、これから大家さんになろうと考えているなら「マンション経営」を検討してみてください。M-LINEは、高層建築であるマンションの監修に精通しており、1cm単位の空間を最大限に活用する設計ノウハウや他社では再現できない立体的な住まいを提供することが可能です。
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2024/11/29
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