賃貸経営

賃貸経営のメリットとリスク|マンションとアパートの経営の違いも解説

賃貸経営を始める前には、賃貸経営のメリットやリスクについて理解しておく必要があります。賃貸経営のメリットやリスクについて理解していないと、賃貸経営の恩恵を受けられなかったり、トラブルに正しく対応できなかったりする恐れがあります。

また、賃貸の種類として「マンション」と「アパート」にも分かれるため、両者の違いを理解しておくことが大切です。

今回は、賃貸経営のメリットやリスク、マンション経営とアパート経営の違いについても解説します。この記事を参考にすれば、賃貸経営を始める前に理解しておくべき要点を理解できます。

そもそも賃貸経営とは?

賃貸管理とは、住宅や事務所ビル、店舗などを貸し出し、その賃料から収益を得ることです。賃貸経営をする上では、借主の募集や交渉・契約、賃貸料の徴収・管理、賃貸不動産の維持管理などの業務が含まれます。

ただ、賃貸管理は管理業者に委託することで、自分自身で業務を行わなくても賃貸経営を進められます。

また、賃料を受け取っても全てが利益となるわけではありません。賃料から、管理費や税金などの経費を差し引いた金額が利益となります。

マンション経営とアパート経営の違い

違い

賃貸経営は主に、マンション経営とアパート経営に分けられます。マンション経営とアパート経営の違いは、下記表を参考にしてください。

  • マンション経営の特徴
  • 経営方法:一棟または一室経営
  • メリット:資産価値が下がりづらい、初期費用や維持費が安い、耐用年数が長い
  • リスク:低い
  • 利回り:低い

  • アパート経営の特徴
  • 経営方法:一棟経営が一般的
  • メリット:空室リスクが低い、収益性が高い、土地を資産として得られる
  • リスク:高い
  • 利回り:高い

マンション経営は、一室から経営できるのに対し、アパート経営では一棟経営するのが一般的です。また、一棟経営が一般的なアパートでは空室リスクが低いですが、マンション経営の方が資産価値が下がりづらく、耐用年数が長いメリットもあります。

リスクや利回りに関してはマンション経営はどちらも低く、アパート経営はどちらも高くなっています。上記表でマンション経営とアパート経営の違いを理解した上で、自分自身に最適な経営手法を選択することが大切です。

賃貸経営のメリットは4つ

賃貸

賃貸経営のメリットとしては、下記4つが挙げられます。

賃貸経営のメリットは、安定した家賃収入を得られることだけではありません。節税効果や金融機関からの融資などでも様々なメリットがあるため、賃貸経営を始める前に理解しておくことが大切です。

安定した家賃収入が得られる

賃貸経営の大きなメリットとして、安定した収入が確保できることが挙げられます。多くの賃貸契約は定期契約なので、入居者が契約を破棄しない限り、毎月一定額の家賃を受け取ることが可能です。

そのため、景気や住宅市場の変動に関係なく、定期的に予測可能な収入を得ることができるため経済的な安定に繋がります。また、安定した家賃収入があれば、将来の計画も立てやすく、病気やケガで働けなくなったなど不測の出費にも対応できるのも大きなメリットです。

節税対策につながる

賃貸経営で節税対策ができる具体的な税金としては、下記5つが挙げられます。

例えば、同じ金額を贈与する場合、現金で贈与するのと賃貸として贈与するのでは贈与税額が異なります。アパートの場合には、暦年課税と相続税精算課税を選ぶことができ、事前に税率を確認しておくことが大切です。

また、賃貸経営を行う大家さんの場合には、固定資産税や保険料、修繕費など、物件に関わる一定の経費を控除することができるようになります。さらに、住宅ローンの支払いにかかる利息分も控除可能です。

賃貸経営の節税効果を最大化するために、すべての経費を詳細に記録しておくことをおすすめします。

不動産を担保に金融機関からの融資が可能

不動産を保有していることで、不動産を担保に金融機関からの融資も受けやすくなります。さらに、不動産を担保にすることで、低金利で借りれたり限度額が大きくなったりするなどのメリットもあります。

銀行などの金融機関は、賃貸物件のオーナーに対しては積極的に融資をしていることが多いです。なぜなら、賃貸収入をローンの返済に充てることができ、貸し手の安全性を高めることができるからです。

不動産を担保に金融機関から融資を受ければ、追加で賃貸物件を購入することも可能であり、今まで以上に高い収益を安定させられるかもしれません。

定年退職後にも収入が得られる

賃貸経営の重要なメリットとしては、定年退職後も収入源が継続することが挙げられます。長期的に安定した収入を得ることができれば、定年退職した後でも、生活水準を落とすことなく生活を続けられる可能性が高いです。

近年、少子高齢化の影響もあり、年金の受給タイミングが後ろ倒しになってきています。市場や経済とは関係無く安定的に収益を得られる賃貸経営は、注目度も高まっています。

また、賃貸経営は追加コストがほとんどかかりません。賃貸経営のための初期費用さえ用意すれば、賃貸経営にかかる費用は比較的低額で済むこともメリットの1つです。

賃貸経営における主なリスク

賃貸リスク

賃貸経営における主なリスクとしては、下記6つが挙げられます。

賃貸経営を始める前にも、考慮しておかなければならないリスクがあります。潜在的なリスクを把握することで、マンション経営後被害を被害を最小限に抑えられるかもしれません。

家賃滞納によるリスク

賃貸経営における主なリスクの1つに、家賃滞納リスクが挙げられます。家賃滞納は、下記のような理由により発生することが多いです。

家賃滞納が起こる理由は1つだけではありません。家賃滞納リスクを回避するためには、入居希望者を徹底的に審査することが重要です。入居希望者の審査では、信用情報のチェックや収入・雇用の確認、バックグラウンドチェックなどが含まれます。

また、一貫した家賃回収方針を実施するのもおすすめです。家賃回収方針があれば、家賃は期限内に回収され、滞納があった場合は速やかに追求されることになります。入居者が家賃を支払わない場合は、できるだけ早く対処して、家賃不払いのリスクを軽減する必要があります。

ただ、家賃滞納が続くようであれば退去させることも可能です。1〜2ヶ月などの短期間の滞納の場合は退去させられないため注意しましょう。

空室によるリスク

賃貸経営におけるリスクとしては、空室リスクも挙げられます。空室リスクとは、貸す相手がおらず家賃収入が入らないことです。

空室になる要因としては、立地、築年数、 供給過多などが挙げられます。空室リスクを回避するためには、物件のマーケティングや空室補充を積極的に行うことが重要です。空室リスク対策をしておくことで、物件が売りに出される期間を最小限に抑え、空室問題を未然に防ぐことができます。

自然災害によるリスク

自然災害によるリスクも、賃貸経営において考慮しなければならないリスクの1つです。立地条件によっては、洪水や台風、地震などの自然災害リスクが考えられます。

自然災害リスクを100%予防することは不可能です。しかし、自然災害が発生した際の被害を最小限に抑えることは可能です。例えば、適切な保険に加入することで、自然災害による損害から回復することができます。

ただ、ケースによっては保険が適用されず、ローンが残ったり収入を得られなくなったりするかもしれません。加入している保険内容が、どんな自然災害に対して利用できるのかを細かく把握しておくことが大切です。

建物の老朽化によるリスク

賃貸経営を行う上で最も多いリスクは、建物の老朽化によるものです。築年数が古くなるほど、建物の修繕が必要になるのは仕方ありません。不動産管理者である以上、建物を維持し、老朽化が進まないようにすることを求められます。

建物の老朽化によるリスクを減らすためにも、定期的に建物を点検し、修繕が必要な場合は修繕することが大切です。建物の老朽化による修繕リスクは、築10年を過ぎたあたりから高まります。

建物を長持ちさせるためには、建物が老朽化した際に修繕するだけでなく、塗装や清掃などのメンテナンスを定期的に行いましょう。

また、建物の老朽化によるリスクを抑えるためには、品質の良いハウスメーカーに依頼するのもおすすめです。高品質なハウスメーカーに依頼することで、修繕すれば長期間は再び問題なく使用できるようになります。

入居者トラブルによるリスク

賃貸経営を行う上で考慮しなければならないもう一つのリスクは、入居者トラブルのリスクです。よくある入居者トラブルとしては、下記のようなものが挙げられます。

入居者トラブルが発生することで、他の入居に影響を与え「退去」されてしまうかもしれません。退去されてしまうと、収入が減ってしまうため未然に防止することが大切です。

例えば、入居を許可する際には、入居者関連のリスクを軽減するために入居希望者の審査を行うことが重要です。入居者の審査は、信用度や犯罪歴、賃貸歴などの観点から徹底的に行う必要があります。

さらに、適用される法令を遵守するため、地域の賃貸規制の変更について、常に最新情報を入手することをおすすめします。

金利上昇によるリスク

賃貸経営をする際には、金利上昇に伴うリスクも考慮する必要があります。金利が上昇すると、賃貸物件の所有・管理コストも上昇する可能性があるからです。

また、ローンを組んで不動産を購入した場合、金利が上昇したことで返済に当たる手数料も増える可能性があります。

金利の上昇は、いつ起きるかわかりません。金利の上昇に備えなければ、経営が苦しくなる恐れがあるため注意しましょう。安定した賃貸経営を行うためには、地域の市場をよく理解し競争力を維持するために金利を監視することが重要です。

さらに、金利上昇リスクを抑えるためには、固定金利で組む割合を多くしたり、ある程度自己資金が貯まった状態で不動産を購入したりするなどの工夫が必要です。

賃貸経営を始める前に知っておくべきこと

賃貸リスク

賃貸経営を始める前に知っておくべきこととしては、下記3つが挙げられます。

賃貸経営は、上記を理解してから始めることをおすすめします。上記を理解していない状態で賃貸経営を行うと、スムーズかつ安定して賃貸経営を進められません。賃貸経営を始める前に、上記がなぜ大切なのかを理解しておくことが大切です。

入居者のターゲット層・エリアを明確にしておくこと

賃貸経営を始める前には、入居者のターゲット層とエリアを明確にすることが大切です。そもそも、安定的に家賃収入を得るためには、保有する物件に入居してもらわなければいけません。

目指す入居者のターゲット層と対象エリアを明確にすることで、ターゲット層に沿った物件や設備選びができます。例えば、若年層がターゲットならインターネット無料、女性がターゲットならセキュリティを強化するなどがおすすめです。

ターゲットとなる入居者に魅力的な賃貸物件を提供できるようになれば、人気物件となり、家賃収入を安定させられます。

また、ターゲットとなる地域の家賃相場を考慮し、競争力のある賃貸物件にすることも重要です。家賃相場と大きく乖離しない賃料にすることで、入居するハードルも下げられます。

経営知識を身につけておくこと

賃貸経営を始める前には、経営に関する知識を身につけることも重要です。賃貸経営を進めるためには、マーケティングや財務管理、メンテナンスなどの様々な側面が必要です。

経営に関する知識を身につけておくことで、効率的な経営が可能になり、問題が発生した場合にも早急に対処できます。経営に関する知識を身につける方法としては、書籍やオンラインコース、セミナーなどがあるため積極的に活用してみましょう。

リスクが発生した際の対処法を確認しておくこと

賃貸経営では、何らかのリスクが発生する可能性があります。賃貸経営を始める前には、賃貸経営に潜むリスクを理解しておきましょう。

賃貸経営で想定されるリスクは、下記表の通りです。

賃貸経営をする際には、上記表にあるような入居者とのトラブルや家賃滞納、修繕など様々なリスクを想定しておきましょう。

リスクを最小限に抑えるためには、リスクが発生した際にどのように対処するかが重要です。リスク発生時に備えて、明確なルールや規制を設けるとともに、潜在的なリスクをカバーする保険に加入することが必要です。

賃貸経営を成功するためには

賃貸管理は、最初は難しく感じるかもしれません。しかし、正しいリサーチと準備をしておけば、成功させられる可能性は高いです。賃貸経営で成功するためには、入居者のターゲット層やエリアを明確にするだけでなく、経営知識を身につけ、リスク発生時の対処法を確認しておくことが大切です。徹底した準備をしておくことで、賃貸経営を成功に近づけられます。

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初めてマンション経営を行う人は、どのように考えれば良いのかを判断できません。一度建設してしまうと簡単にはリフォームできないため、専門家に相談しつつ、納得のいくマンション経営をすることをおすすめします。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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