小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
「不動産投資を始めたいけどやり方が分からない」と不安に思う方も多いのではないでしょうか。不動産投資による資産運用を成功させるには、事前に情報を収集しておくことが大切です。
そこで今回、不動産投資が初心者の方に向けて具体的な始め方について詳しく紹介します。また、不動産投資を始めるタイミングや気をつけるポイントについても解説していきますので、少しでも不安を持っている方は参考にしてみてください。
不動産投資は複雑な部分も多いため、基礎知識をしっかりと理解しておくことが大切です。基礎知識として、主に以下の3点があります。
不動産投資で損をしないためにも、事前の勉強や情報収集をして戦略的に行動することが成功へとつながります。
不動産投資で得る利益は、インカムゲイン(家賃収入)とキャピタルゲイン(売却益)の2つに分類されます。不動産投資による利益の仕組みを知ることは、投資の戦略や運用を考える上で非常に重要となるため理解しておくことをおすすめします。
まず、不動産投資によるインカムゲインとは、不動産を購入して入居者から定期的に入る家賃収入を狙う利益を指します。インカムゲインでは、購入した物件のローンが完済すると、家賃収入だけになるため一気に収益が膨らむというメリットがあります。
一方、キャピタルゲインは、不動産の購入時よりも高い価格で売却をして売却益を狙う投資です。そのため、上手くいけばインカムゲインよりも利益が大きく、投資による回収スピードが早いというメリットがあります。
不動産投資で利回りはよく使われる言葉で、利回りとは投資金額に対する収益の割合のことを指します。不動産投資においての利回りは、物件の取得費用に対する家賃収入額の割合です。
利回りには「表面利回り」と「実質利回り」の2つがあります。表面利回りとは物件価格に対して、現時点でどの程度の家賃収入が得られているのかという表面上の収益数を示す数値です。表面利回りの計算方法は、以下の通りです。
表面利回り(%)=年間家賃収入÷物件価格×100 |
実質利回り(%)=(年間家賃収入−年間コスト)÷(物件価格+購入時コスト)×100 |
どちらも把握しておくことで、不動産投資による収益を予想することができるため重要な指標です。
自分自身に適した投資方法が不動産なのか見極めるためにも、不動産以外の投資方法を知り、比較することも必要です。例えば、株式投資は企業が発行する株式を購入し、株価が上昇したタイミングで売却することでキャピタルゲインを得ます。
株式投資は資産の流動性が高いため、不動産投資よりも早い段階で利益を得られるというメリットがあります。逆に、流動性が高いことから損失が出る場合もあるというデメリットもあるため注意が必要です。
一方、不動産投資では株式投資よりも、投資による資産の流動性が低く長期間の運用で、安定的な収入を得ることが可能です。ただし、土地の購入や、マンションの建築など投資を始めるにあたって、他の投資方法より初期費用が高い傾向にあります。
比較することで、それぞれの特徴やメリット・デメリットが見えてくるため、自身がどの投資方法に適しているのか検討することが大切です。不動産投資だけでなく他の投資との違いを比較することも、投資で損をしない大切なポイントとなります。
不動産投資の基礎知識について理解したところで、この章では、不動産投資の始め方について紹介します。主なステップとしては、以下の通りです。
すぐに投資を始めるのではなく、まずは目標を決めて綿密な情報収集からスタートしていくことが大切です。
不動産投資を始めるにあたって、この目的や目標を決めておくことで購入する不動産が変わってきます。目的や目標を決めずに不動産を購入してしまうと自己資金に見合わず、不動産経営が上手くいかなくなる可能性もあるため注意が必要です。
主な目的としては「老後の年金対策」「子どもの教育費」「資産形成したい」など、個人によってさまざまです。
目的を明確にすることで運用していく方向性が決まり、目標の金額を立てやすくなります。目標とする目安の金額が決まったら、検討している収益計画・資金計画に適した不動産を購入を検討しましょう。
不動産投資を始める前に、情報収集をしておくことが不動産投資に関する経営スキルをつけることが可能です。一般的な勉強方法としては、以下の3つが挙げられます。
勉強をして知識をインプットすることで、初心者でも自分がどのような物件に適しているのか絞り込みやすくなります。特に、セミナーやウェビナーでは同じく不動産投資を検討している人とコミュニケーションを取ることができるため、多くの知識をインプットできます。
不動産投資において、安定的な収入を得るためには、エリアは重要なポイントの一つです。どれだけ優良な物件だとしても、エリアによっては賃貸ニーズが少なく思うような不動産経営を行えない場合もあります。
ニーズの他に、ハザードマップで自然災害によるリスクがないか確認し、賃貸需要を調べて長期的な視点で収益を得られそうなエリアを決めることが大切です。もし、持っている土地がある場合も同様に、ハザードマップや賃貸需要を確認して、不動産経営に向いているのか判断するようにしてください。
不動産会社は、契約から売買までの不動産に関する総合的な相談先になります。もし、購入する物件が具体的に決まっていなくても不動産会社へ相談することは可能なため、上手く活用することをおすすめします。
また、不動産会社は1社だけではなく、複数の会社に相談してから信頼できそうな会社を選ぶようにしてください。複数の会社に電話などで問い合わせて、担当者の態度や雰囲気を感じながら実際に購入する不動産会社を検討するのがおすすめです。
不動産会社が決まったら、実際に内覧や現地確認をして、不動産経営をしたい土地・物件を決めます。入居者は物件だけでなく、その土地周辺の環境や物件の設備なども重視しているため、住む人の立場になってさまざまな点に考慮する必要があります。
例えば、外観でエントランスや共用部分に管理は行き届いているのか、室内の状態や設備に不備はないか、騒音・異臭はないかなどを確認します。チェックし忘れがないように、事前にリストアップしておくのも良いでしょう。
購入したい物件の現地調査が済んだら、買付けの申し込みを行います。買付申込書に記載する項目には、物件の名称や所在地、買付希望額、支払い方法、手付金の金額、有効期限などを記入し、買主の署名・捺印をします。
買付申込書は購入するという意思表示であるため、キャンセルしたとしてもペナルティは発生しません。
また、買付申込書を提出したとしても、必ず物件を購入できるとは限りません。例えば、購入希望者が複数いた場合は売主本人が誰に売るのかを選ぶため、売主本人が「現金払いの人」や「購入希望額が高額な人」などの、何を重要視するかによって購入できない可能性あります。
売買契約は、宅地建物取引士から重要事項の説明を受けることから始まります。重要事項は必ず買主に説明する必要があり、口頭ではなく書面を通して説明すると法律で定められています。
契約書では署名・捺印を行い、手付金を支払った後、正式に契約が成立します。手付金の金額については、正式に決まっているわけではありませんが売買価格の5〜10%が目安とされています。
売買契約は、宅地建物取引士から重要事項の説明を受けることから始まります。重要事項は必ず買主に説明する必要があり、口頭ではなく書面を通して説明すると法律で定められています。
契約書では署名・捺印を行い、手付金を支払った後、正式に契約が成立します。手付金の金額については、正式に決まっているわけではありませんが売買価格の5〜10%が目安とされています。
金融機関で本審査(ローン)の申し込みを行いましょう。本審査で承認が下りることで、ようやくローンを組むことができます。一般的には、本審査の結果が出るまでに約2週間〜1ヶ月程度かかります。
本審査では、事前審査に提出した書類と売買契約書や賃貸借契約書、重要事項説明書、手付金領収書などが必要です。
売主と買主、不動産会社が立ち合い、物件が引き渡し可能な状態かどうかなどのチェックを行って正式に引き渡されます。決済については、まず司法書士が登記に必要となる書類が揃っているのかを確認し、問題なければ融資担当者へ連絡して融資が実行され、決済手続きに入ります。
一連の手続きが全て完了することで、物件の鍵や関連書類を受け取り引き渡しが終了です。
物件の引き渡しが完了したら、ここでようやく運用を開始します。物件の運用が始まったら、まずは入居者の募集に着手します。
このように、不動産投資を始めるには事前の準備や多くのステップを踏むことにより、ようやく不動産経営をスタートすることが可能です。不動産投資を成功させるためにも、始めるタイミングについて次章で詳しく解説します。
不動産投資を始めるにあたって、適切なタイミングも存在します。適切なタイミングとしては、以下の通りです。
不動産投資は物件購入というローンを組んで行う投資がほとんどのため、資金にある程度の余裕がないと予想外の出費発生などのリスクが伴います。また、収入が見込める物件があった時も、不動産投資を始めるのに適しています。良好な物件には人気が集中するため、自身が求めている物件であった場合には、購入するタイミングとして適しています。
また、低金利でローンが組める場合も最適なタイミングとなります。金利は上昇していく傾向にあるため、ローンを検討している方は低金利でスタートするに越したことはありません。
最後に、自分自身の属性(信用)が高い時も良いタイミングの一つです。ローンを組む際には、金融機関の審査を通過する必要があるため、自身の信用が高く評価されないとローンを組むことができません。属性としては、年齢・職業・雇用形態・年収・他社からの借入状況などの内容から評価されます。そのため、転職をする前などの自分自身の属性が高いタイミングで不動産投資を始めるのがおすすめです。
初心者が不動産投資を始める前に気を付けるべきポイントについて、以下の5つについて解説します。
良好な物件だとしても、これから紹介するポイントを押さえていないと、不動産投資に失敗してしまう可能性があります。
不動産経営を行う上で、オーナーとして物件選びなどの知識を身に付けることも重要です。これは、不動産会社の言われるがままに物件を選んでしまうと損をしてしまうケースもあるからです。
知識習得の場としては、セミナーやウェビナーなどがおすすめです。実際に不動産経営を行っているオーナーの声を聞けることや、意見交換の場などもあるため、知識や経営のノウハウを身につけることができるなどのメリットがあります。
無理な資金計画を立てないことが、不動産投資を行う上で重要なポイントになります。不動産経営ではローンを組む人が多いため、事業資金計画をしっかりと立てておくことが大切です。
不動産投資は、流動性が低く軌道に乗るまでに時間がかかるため、予想していなかった出費が発生し思わぬ落とし穴に遭遇することがあります。そのため、不動産経営はギリギリの資金で行うのではなく、資金に余裕を持った上で始めるようにしましょう。
不動産投資をする目的を明確にしておくことで、対策すべき戦略も変わってきます。例えば、家賃収入で生活したい場合には、なるべくリスクを抑えるためにも空室を防ぐ戦略が必要です。その他、不動産経営で多く稼ぎたいという場合には、初期費用は高くなりますが、利回りの高いアパートやマンション経営の方が長期的な戦略に適しています。
このように、不動産投資を行う目的によって戦略が異なるため,しっかりと目的を明確にすることが重要なポイントです。
不動産投資を始める前に、リスクについて理解して事前に備えておくことが大切です。例えば、不動産投資のリスクには物件の老化による管理・修繕や空室率の増加、入居者同士のトラブルなどが多い傾向にあります。
対策としては、定期的に修繕を行うことや家賃相場のリサーチ、見直し、入居者トラブルでは不動産管理会社に対応を依頼などが挙げられます。どれも起こりやすいリスクのため、事前に理解し対策を考えておく必要があります。
不動産会社によって、物件の種類やサポート内容が異なるため、自分自身が希望する内容の不動産会社を慎重に選ぶことが必要です。
また、不動産会社によっては家の品質が悪く、サポートがない場合もあります。このような不動産会社を選ぶと、購入したすぐに修繕が必要となることもあり、空室や滞納リスクなども懸念されます。不動産投資は長期にわたる投資のため、不動産会社は慎重に選ぶことが大切です。
不動産投資の始め方でよくある質問について、以下3点を紹介します。
不動産投資に失敗しないためにも、少しでも疑問があれば解決しておくことが大切です。
不動産投資を始める際の自己資金の目安としては、一般的に物件価格の15〜30%用意することをおすすめします。主に、ローンの頭金と不動産投資を始める際に必要な諸費用のためのお金になります。
逆に考えると、自己資金から見てどのくらいの収益物件を購入できるのかの目安にすることが可能です。
まずは、不動産投資についての知識を体系的に付けることを目的とし、メディアのコラムや本などでインプットすることから始めることをおすすめします。また、WEBサイトを活用し「不動産経営とは」「不動産経営 メリット」「不動産経営 リスク」などの検索キーワードをかけてもみることもおすすめです。
ただし、WEBサイトは一部信憑性に欠けるものもあるため、情報の精査は自分で行う必要があります。
初心者におすすめの不動産投資は、主に以下の2つが挙げられます。
どちらも共通して、アパートやマンションの一棟投資に比べて初期投資を押さえて不動産経営を始めることが可能です。融資を受ける場合でも、返済の負担が軽く余裕を持って運用できるため、初心者の方におすすめとなります。
不動産投資を始める前に、事前の準備や知識を身に付けておくことが投資の成功へとつながります。本記事を参考に、不動産投資のやり方や手順を進めてみてください。
また、不動産投資の始め方に不安を抱えている方は、ぜひMLINEへご相談ください。MLINEでは、アパート・マンション建築や、経営に関する実績が豊富にあり、サポート体制が整っています。不動産投資に関して、少しでも興味のある方や疑問のある方は、お気軽にお問合せください。
2024/11/29
2024/11/29
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