小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
土地活用を始めるためには、活用方法の選定や融資手続き、活用するための工事など、さまざまなステップを踏む必要があります。土地活用は、やみくもに進めてしまうと、思ったような収益が挙げられない可能性があるため、事前の準備や目的を決めることが大切です。
本記事では、土地活用を検討している方に向けて、土地活用の流れについて詳しく紹介していきます。また土地活用を始める上での注意点や始める際のコツについても解説していきますので、参考にしてみてください。
そもそも土地活用とは、利用していない空き地などの土地を有効活用して利益を得る事業です。土地活用の流れとしては、まず事前にしっかりと準備をすることが大切です。事前準備の進め方としては、以下の通りです。
事前準備を怠ると、土地を有効活用できず事業に失敗してしまう可能性が高くなります。特に、初めて土地活用を検討している方は、適切な判断をするためにも事前準備を怠らないようにすることが重要なポイントになります。
まずは、事前に土地活用の目的を明確にすることが大切です。土地を活用することで得たい効果を見据えて、計画的な活用方法を選ぶようにしましょう。例えば、収益性を重視する場合には、利回りの高い「アパート・マンション経営」がおすすめです。
土地活用の目的を明確にすることで、方向性が見えてくるため計画を立てやすくなります。土地活用をどのように進めて良いか分からないという人は、まず目的を明確にすることから始めるようにしましょう。
目的が明確になったら、所有している土地にどのような活用方法が向いているのか市場調査を行いリサーチしましょう。土地活用方法によっては、ニーズが低く、思ったような収益を得られない可能性があります。そのため、有効的に土地活用するためにも、その土地活用方法が最適であるのか市場調査を行うことが大切です。
また、都市計画区域内にある土地の場合は、用途地域の制限がある場合もあるでしょう。都市計画区域内とは、まとまった一つの都市として開発または整備する必要のあるエリアのことを指します。都市計画区域の範囲やエリアについては、都市計画法に基づいて都道府県知事や国土交通大臣が指定しています。
この都市計画区域内では、地域の特性を考慮した用途地域と呼ばれる制限を受ける可能性があり、大きく分けて「住居系」「商業系」「工業系」で用途にあった建物を各地域に指定されます。しかし、住居系だけでも用途地域ごとに建築できるものとできないものが存在するため、事前に調べておきましょう。
土地活用を始める前に、建築事務所や士業事務所などの土地活用会社に相談をしましょう。具体的な土地活用方法が決まっていなくても、目的などを明確にしておくことで、土地活用会社が有効的な土地活用プランを考えてくます。
また、相談をする際には複数の会社と比較し、最も効果的で費用対効果の高い土地活用方法を決定することをおすすめします。会社によって提案する土地活用プランや期待できる収益は異なっています。そのため、複数の会社と交渉してベストな推薦を他の会社と比較検討することは戦略的優位性にもつながるでしょう。
注意すべき点として、トラブルを避けるためにも契約を締結する前に、必ず契約書の内容すべてに目を通すようにしてください。その際に、もし疑問点などがあれば質問して解決しておくことが重要です。
土地活用に対する事前準備が終わったら、いよいよ実行していきます。土地活用の流れ、実行の進め方については以下の通りです。
以下では、土地活用としてアパート・マンション経営を選択した場合の進め方を解説します。
土地活用会社に相談してプランが決まったら、業者と工事請負契約を結びます。契約を結んだ後は、建設資金を金融機関に相談しましょう。銀行金融で融資を受けるために大事なことは以下の3つです。
銀行金融は、自己資金力を見てお金を融資する相手に返済能力があるのかを重視しています。また、担保価値では融資した金額を回収できるだけの価値があるのか不動産評価額から判断し、建築予定の建物や土地に対して担保を設定します。逆に考えると、担保価値が高い資産を現金に変えることで、自己破産などのリスクを避けることが可能です。
最後の事業の有効性では、その土地活用によって生み出される将来的な利益を事業計画書などから判断し、融資した金額を完済できるのかを見ています。そのため、事業計画書の作成は綿密に作る必要があります。もし、事業計画書の作成に不安があるという場合には、不動産活用会社に相談しながら作ると良いでしょう。
金融機関から融資が下り、行政からの建築許可が下りたら工事が着工します。
前述したように、行政からの建築許可が下りたら工事が着工します。平均的な工事期間は、アパート建築の場合で約3〜6ヶ月、マンション建築の場合は5〜8ヶ月ほどといわれています。
工事に際し、建築業者などは建築確認許可などの建築をすすめる上で必要な資料を作成します。基本的には、自分で作成するべき書類になっていますが、非常に複雑な図面や多くの書類が必要となるため、建築業者などに委託して手続きを行ってもらいます。
また、工事が順調に進んでいれば、事業を開始してすぐにでも安定的な収入を得るためにも、入居者を募集しておくことが大切です。
工事が終わると役所の完了検査が行われ、問題がなければ竣工・建物の引き渡しとなります。ここから、入居者を入れて不動産運営をスタートしていきます。管理運営方法については、以下の2通りです。
管理会社に委託は、管理会社が建物や入居者などの管理を、オーナーに代わって管理運営を代行する方法です。管理する内容や部屋数によって管理会社に委託することができ、全てを一括して委託するプランから一部だけを任せるプランまでさまざまです。
サブリースとは、管理する不動産を一括して借り上げて運営する仕組みとなっています。そのため、管理などの手間をなくし、不動産経営からの利益だけを得たいという人にサブリースがおすすめです。サブリースでは、空室リスクなど関係なく契約している金額をサブリース会社から得ることができるため、積極的に利用するオーナーも増えています。
不動産の管理を委託することで、オーナーは管理業務以外の部分に集中することができます。
土地活用を進めるうえで注意すべき点としては、以下の3つが挙げられます。
注意点をおさえておくことで、土地活用が初心者の人でも失敗するリスクを下げることができます。
土地活用を始める前に目的を明確にすることは非常に重要です。オーナーによって土地活用していく目的は異なりますが、自分が土地活用によってどんな効果を得たいのかを見据えることで計画的に進めていくことができます。
例えば、土地活用によって相続税対策をしたい場合には、節税効果の高い土地活用を検討します。特に、アパートやマンション経営では相続税に対して節税効果が高いと言われているため、相続税対策を考えている人におすすめの活用方法です。
以上のように、やみくもに土地活用を始めていくのではなく、自分が土地活用によってどんな効果を得たいのか最終的な目的を明確にすることが重要となります。
ローンを組む際には、ある程度の自己資金がある状態で借りることをおすすめします。建物を建築するとき、ほとんどの人が金融機関からローンを組みます。自己資金があることで、金融機関からの融資を受けやすくなるだけでなく、頭金を支払うことで借入金額が少なくなり月々の返済額を減らすことも可能です。
また、余裕のある資金計画を立てておくことで金利も管理しやすくなるでしょう。土地活用には大きな金額が必要となりますが、自己資金が多いほど運営していく上での安全性が高くなり、ローンのメリットをより実感することができます。
不動産会社は、土地活用においてのパートナーになるため慎重に選ぶことが大切です。不動産会社の中には、悪質な会社も存在するため理想とは異なる物件を勧められる可能性もあります。
>悪徳な不動産会社に当たらないためにも、複数の会社に相談をすることで費用の適正値を把握することができます。1社だけに相談すると建築費用が適正なのか判断することができず、最悪の場合には適正価格より高く設定される可能性があるため注意が必要なのです。
複数の会社に相談することで信頼できる不動産会社を知れるだけでなく、価格交渉にも役立てることが可能です。そのため、複数の不動産会社に相見積もりしてもらい、比較し検討していくことが大切です。
土地活用を成功させるためにも、紹介する2つのコツをおさえておく必要があります。
土地活用を始めるコツとして、初期費用に合った活用方法を選ぶことが大切です。もし、初期費用に合わない土地活用を始めてしまうと失敗する可能性が高くなります。
例えば、土地活用にアパートやマンション経営を選んだ場合、土地の上に建築物を建てる際の建物の取得費用がかかります。建物の大きさや構造、使う資材、工事期間などによって費用は異なります。デザインや間取りなどのこだわりによっては、さらに費用が必要となり建築費が数億円近く上ることもあるかもしれません。
例えば、初期費用を抑えるためにも狭小地の活用なども選択肢に入れることが大切です。狭小地とは、一般的に15〜20坪以下となる土地のことを指す言葉で、通常の土地価格よりも安くなることが多い傾向にあります。狭小地の詳しい活用方法については、「狭小地のおすすめの土地活用8選|狭い土地でも収益を得る方法を解説」をご覧ください。
土地活用とは、長期的に行うことで利益を得るビジネスであり、経営事業にあたります。そのため、事業を効率的に運用していくためにも経営知識を身につけておくことが大切です。
土地活用では、初期費用を投資して建築物を建てる必要があり、初期費用にかかった金額やローンを完済することで大きな利益を得ていきます。そのため、無理をした資産運用を行ってしまうとキャッシュフローが赤字になってしまう可能性もあります。
土地活用で賃貸経営を検討している場合は、特に回収期間と転用性にも着目する必要があります。このような経営に必要なスキルに対応するためにも、本やWebサイトなどを活用し経営知識を身につけておくことをおすすめします。
土地活用の流れでよくある質問についてまとめました。ここで紹介する質問は、以下の通りです。
土地活用を検討する中で、少しでも疑問に思うことがあれば事前に解決しておくことが大切です。
土地活用での税や資金計画に対する相談先としては、ファイナンシャルプランナー、金融機関、税理士などがおすすめです。それぞれが、お金に関してのプロフェッショナルであり、見込み収支についての相談をすることができます。また、融資関連についての相談をすることも可能です。
相談をする際には、土地活用プランが出来てから相談することをおすすめします。理由としては、土地活用プランがあることで「この土地活用だと税金はどうなるのか」など具体的に質問することができ、プロの専門的な視点からアドバイスをもらうことが可能となるためです。
土地活用の流れのステップとしては、以下の通りです。
土地活用を始める際には、まず事前準備からスタートする必要があります。土地活用の目的をしっかりと明確にし、市場調査や土地活用会社に相談するようにしましょう。
意識したいポイントとしては、決定を焦らず長期的な目線で収益を生み出していくことが大切です。土地活用では多額の金額が必要となるため、失敗しないためにも焦らず最適な活用方法を検討する必要があります。
土地活用の種類には数多くあり、アパートやマンション経営、店舗経営、駐車場経営、等価交換、賃貸併用住宅、土地売却など他にもさまざまな方法が存在しています。その中でも、おすすめの活用方法は以下の3つです。
マンションとアパート経営については、不動産を賃貸に出して入居者を募り、定期的に入る家賃収入で収益を得る方法となります。特に、マンション経営は多くの部屋数を保有しているため空室が全て埋まった場合には、マンション経営だけで生活することも可能です。
マンション経営について詳しく知りたいという方は「マンション経営のメリットやリスクとは?失敗しにくい物件の選び方も解説」を参考にしてください。
店舗経営とは、飲食店やコンビニなどに場所を貸し出す土地活用方法です。収益を得る仕組みとしては、土地を貸し出して土地代のみを受け取る方法と、土地の上に店舗用の建物を建てて土地と建物の両方を貸し出し収益を得ていく方法になります。事業用として土地を貸す場合には、料金を高く設定できるため収益性が高いというメリットがあります。
土地活用を有効的に行うためにも、まずは土地活用を始める目的を明確にすることが重要です。また、資金面や手続き関係など、土地活用を始めるには大切なフェーズがたくさんあります。流れを理解し、計画的に運用を進めていくとよいでしょう。
土地活用をどの方法にすれば良いのか悩んでいる人は、安定的な収入が見込めるマンション経営がおすすめです。MLINEでは、現在お持ちになっている土地に最適な、マンション経営の方法のご提案やサポートを行っております。
土地活用について少しでも疑問や不安を抱えている方は、お気軽お問い合わせください。
2024/11/29
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