賃貸併用住宅

【失敗パターンを徹底解説】賃貸併用住宅で後悔しないためのポイント

自宅と賃貸が一つの建物にある賃貸併用住宅は、魅力的なメリットが多い反面、入居者とのトラブルなどのリスクもあります。失敗パターンを把握しておくことで、事前に対策を取ることができリスクヘッジにつながります。

本記事では、賃貸併用住宅の失敗パターンについて詳しく紹介します。また、失敗しやすい人の特徴や後悔しないためのポイントも解説していきますので、賃貸併用住宅を検討している方は参考にしてみてください。

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賃貸併用住宅とは

賃貸併用住宅とは

賃貸併用住宅とは、賃貸住宅のような第三者に貸し出す部分と、自宅部分が一つになった建物のことを指します。例えば1階部分は自宅に、2階部分は賃貸住宅など第三者に貸し出す部屋を備えた住宅になります。

賃貸併用住宅は自宅として住みつつ、賃貸部分から家賃収入を受け取ることが可能です。家賃収入が得られることで、家賃収入から住宅ローンの返済を行えるため、月々にかかる負担を減らしながらマイホームの購入を実現させることができます。

また、賃貸併用住宅は賃貸として利用するだけでなく、将来的に二世帯住宅にできることも魅力の一つとなっています。このように、メリットが多く見える賃貸併用住宅ですが、誰もが成功するわけではありません。賃貸併用住宅を購入後に後悔をしないためにも、どのような失敗パターンがあるのか理解しておくことが大切です。

賃貸併用住宅の失敗パターンとは?

賃貸併用住宅失敗

賃貸併用住宅で起こる失敗パターンについて紹介します。主な失敗パターンとしては、以下の通りです。

このような失敗がなぜ起きるのかを理解しておくことで、事前に対策を立てることやリスクの回避につながります。賃貸併用住宅の購入は安くないため、購入後に後悔がないよう失敗パターンと対策法について詳しく見ていきましょう。

経営がうまくいかない

賃貸部分での経営がうまくいかないと、収支が成り立たず失敗につながる可能性があります。賃貸併用住宅は、賃貸で発生する家賃収入で月々のローン返済を賄うため、経営がうまくいかないということは赤字になります。想定していた家賃収入が見込めなくなり、やむを得ず物件を売却することになる可能性もあるでしょう。

対策としては、賃貸で空室が出ることを想定した収支シミュレーションをしておくことです。常に満室の状態での経営を計算していると、いざ空室が出た時に月々のローン返済のスケジュールが崩れてしまい赤字につながる可能性があります。

賃貸併用住宅でうまく経営するためにも、満室ではなく空室を念頭においた収支シミュレーションを考えるようにしましょう。

入居者との間で気まずさが生じる

賃貸併用住宅は、オーナーと入居者との距離が近いため、気まずさが生じるケースも少なくありません。距離が近いことは、入居者がオーナーにすぐ相談できることや、オーナー側も入居者が変なことをしていないか把握できるなどのメリットにはなりますがトラブルにもつながります。

常に見張られているようなイメージが先行し、入居者から敬遠されることも少なからずあります。また、オーナー側も入居者と顔を合わせることに気まずさを感じることもあるでしょう。

対策としては、自宅部分と賃貸部分の出入りの動線を分けると効果的です。例えば、賃貸併用住宅の設計段階で入り口の方向を変えることや、内階段を採用して共用部分を少なくすることが挙げられます。顔を合わせる回数を減らすことで、気まずさの解消につながります。

お互いのストレスを減らすだけでなく、プライバシー保護の観点から見ても、生活動線を分けることは大切でしょう。

修繕費用が予想以上にかかる

修繕費用が予想以上にかかってしまい、経営がうまくいかなくなるケースもあります。また、賃貸部分でも自宅部分も、長く住んでいれば当然修繕が必要になり、原状回復を行う必要があります。原状回復とは、入居者の退去後に行うハウスクリーニングなどを指します。

基本的には、入居者が故意に部屋を汚したり破損させない限り、修繕費はオーナー負担です。そのため、予想していなかった額の修繕費が発生してしまい、場合によっては賃貸併用住宅の経営に大きな影響を及ぼすこともあるでしょう。

対策としては、リスクヘッジへの対策が万全か否かを必ず不動産会社などと確認することが大切です。修繕費は、経年劣化などにより必ずどこかのタイミングで発生する費用となるため、経営を始める時にしっかりと対策を考えるようにしましょう。

騒音が気になる

賃貸併用住宅は、すぐ近くに他人が住んでいる状況のため、足音や音楽などの騒音により精神的ストレスがかかることがあります。さらに、小さな子供がいる場合は、子どもの足音が下に響かないかどうか気になり、クレームが入らなくても気疲れしてしまうこともあります。

オーナーと入居者との距離が近いため、生活リズムのズレなどによる生活音が、お互いに気になってしまいストレスに発展することもあるでしょう。

対策としては、設計時に遮音性の高い構造にすることや水回りの位置がまとまるような配置にすることが挙げられます。水回りの設備は、特に騒音が気になってしまいがちな寝室から遠ざけることをおすすめします。設計に関して不安だという方は、専門家に相談するのも一つの選択肢でしょう。

将来売却しづらい

賃貸併用住宅は日本では一般的ではないため、将来売却しづらい傾向にあります。収益物件としても居住用物件としても中途半端と判断され、なかなか購入者が見つからないことも少なくありません。

賃貸併用住宅は賃貸部分での経営がうまくいかなくなった場合、家賃収入でのローン返済が難しくなり、手放さなければいけない状況になることもあるでしょう。そのため、売却を検討しているのであれば、家賃収入と月々のローン返済の収支シミレーションを行い、余裕を持って売却できる状況を作ることが大切です。

売却しづらい対策としては、設計時に間取りや価格帯などを売却しやすいように工夫をしておくことです。また、将来的に売却をせずに長期運用を考えたプランを立てることもおすすめです。二世帯住宅にするなどの、売却という選択肢を無くすことで売却しづらい問題は解決します。


賃貸併用住宅で失敗しやすい人の特徴

賃貸併用住宅で失敗しやすい人の特徴

賃貸併用住宅の失敗パターンが分かったところで、失敗しやすい人の特徴について紹介します。特徴を理解することで、成功へのポイントが分かりやすくなります。賃貸併用住宅で失敗しやすい人の特徴は、以下の通りです。

上記のように考えている人は、賃貸併用住宅で失敗しやすい傾向にあります。なぜ失敗につながってしまうのか、自分に当てはまっていないか、以下で詳しく見ていきましょう。

知識がない人

賃貸併用住宅は賃貸部分で経営を行うため、経営の知識がない人は失敗してしまう可能性が高いです。例えば、「経営を始めればすぐに入居者が集まるだろう」と楽観視をしてしまうと危険です。

入居者を募り、安定した家賃収入を得るためには最低限の賃貸経営のノウハウが必要となります。知識がない人は、経営スキルを身につける以外にも収支シミュレーションを活用することも一つの方法です。

賃貸経営に関して少しでも不安があるという方は、専門家に相談することをおすすめします。

将来売却を検討している人

将来売却を検討している人は、賃貸併用物件は避けた方が良いです。上記でも解説してきたように、賃貸併用物件は売却しづらい物件のため、売却を検討しているのであれば他の物件をおすすめします。

賃貸併用住宅は購入者が限られているため、一般的な戸建て住宅やアパートに比べて売却の難易度は高くなります。売却をしやすいように工夫をしたとしても、将来売却を検討しているのであれば、最初から需要のある物件を選んだ方がリスクも少ないでしょう。

賃貸併用住宅を売却すると自宅も同時に失うため、新しい自宅も確保する必要があります。賃貸部分でうまくいかないまま購入者を待ち続けているリスクを考えると、将来売却を検討している人には賃貸併用住宅は向いていないでしょう。

賃貸併用住宅にメリットもある

賃貸併用住宅に関する失敗の面ばかり解説してきましたが、メリットもあります。メリットは、以下の通りです。

失敗パターンや失敗する人の特徴を理解し対策を立てることで、上記のメリットを最大限に活かすことができます。賃貸併用住宅にはどのようなメリットがあるのか、以下で詳しく見ていきましょう。

住宅ローンを使える

賃貸併用住宅では、金融機関の融資条件をクリアすることで住宅ローンを利用できます。通常であれば、賃貸要素のある物件を購入する際には、アパートローンと呼ばれる投資用ローンを組みます。

金融機関ごとに条件は異なりますが、賃貸併用住宅では住宅ローンが利用可能であり、アパートローンなどと比べても返済期間も長く金利が低いというメリットがあります。アパートローンよりも返済期間が長い住宅ローンは、毎月の返済額を小さくすることも可能です。

さらに、住宅ローンを組むことが出来れば住宅ローン控除の適用を受けられる可能性があります。住宅ローン控除とは、住宅ローンを借り入れてマイホームの取得・新築・増改築をした場合、年末時点でのローン残高0.7%を所得税(一部、住民税)から最大13年間控除する制度です。

賃貸併用住宅は、返済額を小さくできることや住宅ローン控除の適用などにより、負担を減らしながら賃貸物件を所有することができます。

家賃収入を得られる

賃貸併用住宅は、賃貸部分で入居者から家賃収入を得ることができます。また、この家賃収入を月々のローン返済に回すことも可能です。うまく経営することができれば、住宅ローン全額を家賃で支払える可能性もあります。

自己資金が少ない方でも、金融機関から安定した家賃収入が見込めると判断されることでローンも組みやすくなります。家賃収入をローンの返済に当てることで、月々の負担についても軽減されるため、自己資金が少ない方でも建て替えなどが可能です。

また、ローンを全額返済した後は、副収入として家賃収入を得ることができるのもメリットの一つと言えます。副収入として得るためにも、綿密なローンの返済計画を立てるようにしましょう。

賃貸併用住宅の成功のポイントとは?

賃貸併用住宅の成功のポイントとは?

賃貸併用住宅を成功させるには、いくつかのポイントがあります。成功のポイントについては、以下の通りです。

これらのポイントを抑えることで、失敗などのリスクを軽減させることができます。安定した経営を行うためにも、以下で詳しく見ていきましょう。

シンプルなつくりにする

賃貸併用住宅を立てる際、オーナーのこだわりを見せすぎないようにすることが大切です。外観がシンプルなつくりのほうが、入居者から好まれる傾向にあるからです。また、外観だけでなく内装もシンプルな間取りであるほど万人受けします。

自分が住む部分もあるため、こだわりたい箇所もあると思いますが、入居者の需要を考えると万人受けした物件の方が収益面でも安心です。賃貸併用住宅の賃貸部分で失敗してしまうと、経営がうまくいかないリスクもあるため、オーナーのこだわりが強すぎない住みやすい物件にすることがポイントです。

そのため、賃貸併用住宅を検討する際には自宅として考えるのではなく、収益物件であることを意識した設計が大切です。入居者の賃貸需要を高めるためにも、シンプルなつくりを優先させるようにしましょう。

住宅ローンを利用する

賃貸併用住宅にするなら、住宅ローンを利用しましょう。住宅部分を含む賃貸併用住宅は、金融機関の融資条件を満たすことで住宅ローンを利用することができます。

自宅部分を50%以上とするなどの条件を満たすことで、金利や借入期間などの条件が良い住宅ローンを利用可能です。借入期間が長くなることで月々の返済額も少なくなり、キャッシュフローが良くなります。キャッシュフローとは、家賃収入からローン返済や経費などの支出を差し引く、お金の流れのことです。

キャッシュフローが悪いと、手元に残るお金が少ないということになるので、経営がうまくいかなくなる可能性があります。住宅ローンを利用して月々にかかる負担を軽減し、キャッシュフローを良くすれば経営成功へとつながります。

入居者ニーズの綿密なリサーチ

賃貸部分への入居者ニーズに対する、綿密なリサーチが大切です。ニーズが無く空室が発生すると、その間での家賃収入は無くなるため収益に大きなダメージとなります。そのため、他の物件での賃貸経営よりもいっそう空室リスクへの対策が重要です。

入居者ニーズでは、立地からファミリータイプ、単身者用かなどを事前にリサーチする必要があります。例えば、入居者ニーズを考えずに家賃を高く設定できるからといってファミリータイプの間取りを選んだ場合、その地域の需要に合っていないと入居者が入らないというリスクにつながる可能性があります。

入居者のニーズを把握していないと空室リスクも高くなるため、リサーチを行うことは重要です。また、入居者が求める設備などを充実させることで、入居者の満足度を向上させ、空室リスクを下げることもできます。賃貸併用住宅では、空室リスクへの対策は重要なポイントとなるため、入居者ニーズのリサーチは綿密に行うようにしましょう。

賃貸併用住宅で失敗しないためには

賃貸併用住宅は、住居部分と賃貸部分が一つになった特殊な建物ですが、失敗パターンを知っておくことで事前に対策を立てることができます。賃貸併用住宅を成功させるためにも、万人受けするシンプルなつくりで入居者ニーズに合った建物を考え、少しでも空室リスクを下げることが重要です。

賃貸併用住宅はマイナス面ばかりでなく、家賃収入を得られることや住宅ローンを利用できるなどのメリットもあるため、自己資金の少ない方でも始めやすい賃貸物件となっています。

注意点としては、オーナーと入居者との距離が近いため、トラブルやストレスを軽減させる間取りを設計する必要があります。通常の建物よりも特殊な間取りになるため、経験豊富な専門家に相談することをおすすめします。

賃貸併用住宅を検討する中で少しでも不安や疑問があるという方は、一度MLINEにご相談ください。MLINEでは、ご相談内容に応じて専門的な知識を持ったプロの視点からご提案・サポートを実施しております。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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