小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
狭い土地でも始められるコインランドリー経営は、収益を得やすいと注目されつつあります。しかし、実際にどのくらいの費用がかかるのか、どのように始めるのか分からないという方も少なくないでしょう。
本記事では、コインランドリー経営について具体的に紹介します。また、コインランドリー経営の始め方や成功させるポイントについても解説しますので、コインランドリー経営を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
コインランドリー経営とはコインランドリー用の建物を建て、設備を導入して利用者から収益を得る経営方法となっています。洗濯機や乾燥機をいくつか設置するだけで運用できるため、比較的狭い土地でも始めやすい土地活用方法です。
コインランドリー経営は現地に管理者が常駐する必要がないため、無人で経営を行うことが可能です。コインランドリーでは、洗濯機よりも乾燥機の方が収入の柱となっており、一般的には売り上げのほとんどを乾燥機が占めています。雨の日などの洗濯物が乾きにくい日に、乾燥機の売り上げが伸びることが理由の一つとなっています。
また、コインランドリーの利用は女性客の割合が高いです。そのため、コインランドリー経営を検討している場合には、おしゃれで清潔感のある店舗にすることで需要を高めることができます。
どのようなコインランドリーが需要を集めているのか、または具体的な経営をイメージするためにも近隣のコインランドリーを調査してみると良いでしょう。
コインランドリー経営を始める、メリットデメリットについて紹介します。メリットとデメリットを以下の表にまとめましたので、ご覧ください。
メリット | デメリット |
---|---|
狭い土地でも始めやすい | 収益が低い |
無人で運用可能 | 初期費用の高さ |
節税効果がある | 防犯面でのリスクがある |
コインランドリー経営は洗濯機などの設備を置くだけで経営可能なため、土地の形状や狭い土地であっても問題ありません。また、無人で運用可能なことから人件費が不要となります。コインランドリーは節税効果も期待でき、小規模宅地などの特例により相続税対策をすることも可能です。小規模宅地の特例とは、コインランドリーの場合400㎡までの土地に対して、土地の課税評価額を80%まで減額する特例となります。
一方、デメリットとしては収益が低いことが挙げられます。経営を始めるだけでは収益が最大化せず、まずは利用者に認知されリピーターを増やさなければ、安定した収益を得ることはできません。また、コインランドリー経営は初期費用が高額な傾向にあります。土地や建物だけでなく、洗濯機などの設備投資も必要となるため入念な資金計画を立てることが大切です。
無人で経営を行えるメリットがある反面、防犯面でのリスクも発生するため、初期費用の中に監視カメラなどの設備も必要となるでしょう。コインランドリー経営を検討している方は、メリットとデメリットの両方を考慮した上で経営を始めるようにすることが大切です。
コインランドリー経営は初期費用が高く、その他にもランニングコストもいくらか発生します。コインランドリー経営にかかる主な費用としては、初期費用とランニングコストが挙げられ、それぞれどのくらいの金額になるのか把握する必要があります。
余裕を持った資金計画を立てるためにも、以下で詳しく見ていきましょう。
コインランドリー経営にかかる初期費用は、店舗の大きさによって相場が異なっており、15坪から50坪ほどの店舗など幅広く違いがあります。初期費用としては、更地から始めると工事費や設備費などを合わせて、大体4,000万円〜5,000万円程度が目安です。内訳は以下の通りです。
初期費用 | 金額(目安) |
---|---|
建築費 | 400万円〜1,500万円 |
内装等の工事費 | 700万円〜1,500万円 |
設備費 | 1,500万円〜2,000万円 |
コインランドリー経営でかかる初期費用の大部分は、洗濯機などの設備費です。そのため、コストを抑えたいという方は中古の設備を仕入れるなどの工夫をするようにしましょう。
コインランドリー経営におけるランニングコストとは、洗濯機などの運転費用や維持費用のことを指します。ランニングコストの内訳については、以下の表でまとめています。
ランニングコスト | 金額(目安) |
---|---|
ガス代 | 10万円〜15万円 |
電気代 | 4万円〜5万円 |
水道代 | 約89.1万円 |
SRC造 | 1万円〜2万円 |
ランニングコストには家賃や人件費なども挙げられますが、自分の土地である場合は家賃はかからず、無人で稼働する場合は人件費もかかりません。ランニングコストはキャッシュフローに大きく関わってきますので、どのくらいかかるのか把握しておくようにしましょう。
コインランドリー経営の始め方について紹介します。始める流れとしては、以下の通りです。
すぐに経営を始めるのではなく、事前の準備や情報を収集してからスタートさせることが大切です。コインランドリー経営を検討している方は、どのような流れで経営を始めるのか参考にしてみてください。
まずは、経営方法を具体的に決めましょう。コインランドリー経営には、主に以下の3種類の経営方法が挙げられます。
一つ目は、自分で土地や店舗を用意してから運営する方法です。土地を用意して、設備を導入すればすぐに経営を始めることができます。ただし、知名度がない状態からのスタートになるため、宣伝広告をしっかりと行うことが大切です。
二つ目は、フランチャイズへ加盟して始める経営方法となります。フランチャイズへの加盟には加盟料がかかりますが、スーパーアドバイザーからアドバイスを受け取れることや、始めから知名度の高い状態で経営を行うことができます。
三つ目は、土地をコインランドリー事業者に貸して収益を得る経営方法です。事業者に貸すことで、経営がうまくいくいかないに関わらず一定の賃料を得ることができます。
それぞれ、特徴が異なるため自分に合った経営方法を見極め決めるようにしましょう。
具体的な経営方法を決めたら、コインランドリー会社やフランチャイズ本部などの専門家に相談しましょう。各専門家に相談をすることで、適切な支援を受けることができます。
コインランドリー経営に対する支援業者もあるため、さまざまな相談先に相談してみると良いでしょう。経営が初めてという方も、このような支援を利用することで安定的な収益を見込むことが可能となります。
コインランドリー経営を検討している立地の市場調査を行いましょう。コインランドリーは立地が命と言われています。利用者の獲得やリピーターを増やさなければ、コインランドリーで安定した収益は見込めません。
そのため、その立地でコインランドリーがどのくらい需要があるのか事前に市場調査をしておくことが重要です。市場調査としては、アパートやマンションが多い、駐車場がある、待ち時間に暇潰しができるものがあるなど、さまざまな観点からの調査が必要です。
また、立地だけでなくターゲット層なども明確にしておくと利用者の増加につながります。最終的には現地へ行き、車でアクセスしやすい場所であるのかなどの確認も忘れずにしておきましょう。
市場調査を行った後、店舗をどのように作っていくのか検討していきます。来店数や回転率などを考慮し、「洗濯機や乾燥機をいくつ設置するか」「どのようなレイアウトで配置するか」などの店舗作りが必要です。
具体的な店舗作りが固まったら、工事をどのように進めていくのかスケジュールを組みます。設備周りに関してはもちろん、リピートしてもらえる店舗づくりなど集客の仕組みも考える必要があるため、検討する際には注意しましょう。
コインランドリー経営を始める際には、保健所へ届出を提出しなければなりません。コインランドリー経営は「コインオペレーションクリーニング営業施設開設届」と呼ばれる書類の提出が必要となります。
書類は保健所の公式サイトからPDFでダウンロード可能で、コインランドリーを開業する地域の保健所へ提出しましょう。
コインランドリー経営を成功させるためにも、どのような失敗例があるのか把握しておく必要があります。成功させる主なポイントとしては、以下のものが挙げられます。
上記3つのポイントで、具体的に何に気をつけることで成功へとつながるのか、詳しく見ていきましょう。
前述してきたように、コインランドリーは立地が命と言われています。最適な立地を選べば繁盛しリピーターも獲得でき、安定的な収益を見込むことが可能です。
まずは、所有する土地が本当にコインランドリーに適しているか、しっかり市場調査と見極めが重要なポイントになります。
混雑しているエリアだけが良いわけではない
場所を選ぶ際、混雑しているエリアだけが良いとは限りません。混雑していたとしても、競合が多いと参入障壁は高まります。そのため、ニーズの見極めが重要であり、ニーズに合わせた差別化が成功へとつながります。
駅前よりも住宅街の方が需要がある場合も
人が多い駅前の方が需要があると思いがちですが、ターゲット層を見極めると住宅街の方が需要があるケースもあります。例えば、マンションや住宅地が駅から離れている場合、居住地区に近い場所の方が需要が高い傾向にあります。
そのため、人の導線を考慮した場所選びを意識することが大切です。
場所選びの次に大切なポイントとなるのが設備選びです。適切な設備選定をしないと、ランニングコストや収益に大きな影響を与える可能性があります。
設備によって、経営が大きく左右してしまわないように設備選びは的確に行うようにしましょう。
洗濯機と乾燥機の数のバランス
コインランドリーで、利用者が最も多いのは乾燥機です。自宅に洗濯機がある人でも乾燥機までは持っていない場合が多いため、コインランドリーに洗濯物を持ち込みます。
乾燥機が少ないと、利用者が求める設備が不足している店と思われてしまう可能性があります。洗濯機と乾燥機は、バランス良く適切な数にしておきましょう。
機械の耐久性を見極めることも重要
コインランドリービジネスは薄利多売のため、機械の故障が多いと大きく経営に響く可能性があります。
また、機械の耐久性が低いと余計なランニングコストがかかり、機会損失にもつながるため注意が必要です。設備を選ぶ際には、機能やデザインばかりではなく耐久性についても意識するようにしましょう。
コインランドリーは利用者がいなければ収益は得られません。そのため、集客が上手くいかないと収益も先細りとなり、経営が失敗に終わる可能性があります。
集客を成功させるためには、単身者や主婦層などのメインターゲットを定めることが大切です。
ただ看板を出すだけでは集客につながらない
ただ看板を出すだけではリピーターは付きにくいため、次回来店時に使えるクーポンやポイントカードなどの工夫が大切です。また、コインランドリーは女性利用者が多いため、こまめな清掃も重要なポイントになります。
常に新規顧客が得られるよう、集客のための工夫をし続ける必要があります。もちろん、看板など人目に付くようにすることも大切です。
地域に合わせたサービスの提供が重要
地域のニーズに合わせた店づくりをしましょう。例えば男性単身者が多い場合、待ち時間のために漫画を置くなどのサービスが考えられます。
また、ファミリー層が多い場合は子供用のスペースを作るなど、地域に合わせたサービスの提供が集客へとつながります。
コインランドリー経営の今後の展望と可能性について紹介します。今後の展望と可能性は、以下の通りです。
コインランドリー経営を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
コインランドリーにおけるIoT技術とは、スマホの専用アプリにより予約から決済までを行えるものであり、技術の進化によりサービスの需要に応じて価格を変動させる仕組みもでてきています。
IoTの導入により、両替機などの導入費の削減が可能となり、両替機を狙う犯罪リスクの対策にもつながっています。スマホアプリで、割引クーポンやポイントカードなどの発行も遠隔操作で設定可能です。
スマホで簡単に予約ができるため、待ち時間などによる利用者のストレスを解消し、オーナー側も回転率の向上を期待できるでしょう。
最近のコインランドリーは、ただ洗濯をする場所ではなく、エコ志向や有意義な時間を過ごす場所などのトレンドに対応しつつあります。エコ志向の面では、洗濯機をはじめとした電化製品の技術向上により、効率的かつ環境に優しいものが普及しています。
また、コインランドリーの中にカフェスペースを設置しているところも増えており、有意義な時間を過ごせると利用者に人気です。このように、トレンドに対応し集客するためにも利用する層の動向に合わせていく事が大切です。
コインランドリーが難しいと感じた場合、土地活用の選択肢は他にも多くあります。コインランドリーと同様の規模で経営できる土地活用には、以下のものが挙げられます。
駐車場経営とは敷地を駐車場として運用し、利用者から使用料を得る経営方法です。月極駐車場とコインパーキングの2種類があり、どちらも比較的少ない費用で経営をスタートできます。
トランクルーム経営とは、敷地にトランクルームをいくつか設置し、貸し出すことで使用料を得る経営方法です。トランクルームは立地など関係なく、地方でも経営できる土地活用方法となります。
アパートやマンション経営とは、建物を第三者に貸し出し、入居者から家賃収入を得る経営方法となります。空室が出ない限り、安定した収入を長期に渡って得ることができます。
それぞれの土地活用にはメリット・デメリットがあるため、所有している土地に合った活用方法を見極めることが大切です。最適な土地活用が分からないという方は、専門家へ相談すると良いでしょう。
MLINEではアパートやマンションの建設実績が豊富にあります。過去の施工事例やMLINEについて知りたい場合は、無料でカタログをお送りいたします。
それぞれの土地活用にはメリット・デメリットがあるため、所有している土地に合った活用方法を見極めることが大切です。最適な土地活用が分からないという方は、専門家へ相談すると良いでしょう。
コインランドリー経営は、狭い土地でも始めやすい土地活用方法となっています。しかし、初期費用が高い傾向にあることやランニングコストがかかるということを、理解して経営を始めることが大切です。
コインランドリー経営を成功させるには「場所選び」「設備選び」「集客」の、3つを意識するようにしましょう。
MLINEでは、経験豊富な専門家が土地活用に関するサポートをご提案いたします。少しでも不安や疑問を抱えている方は、お気軽にお問い合わせください。
2024/11/29
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