土地活用相続税対策

土地活用の相続税対策は有効?その理由と活用方法を解説

多くの資産や土地をお持ちの方は、ご自身が亡くなった後の相続税の負担について不安に思う方も多いのではないでしょうか。

アパート・マンション経営などの土地活用を行うことによって、相続税の対策となります。中でも「貸家建付地」として土地活用できれば、そのまま相続するよりも大幅に財産の評価額を減額することが可能です。

本記事では、土地活用に関する相続税の仕組み、相続税対策に有効な3つの理由、相続税対策に効果的な土地活用方法などについて詳しく解説します。「実際どのくらい相続税の対策になるの?」「更地より建物を建てる方がいいのはなぜ?」と疑問に思っている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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土地活用に関する相続税の仕組み

土地活用に関する相続税の仕組み

相続税を計算する際は、相続財産の評価・債務控除などを行う必要があります。まず相続財産の評価とは、預貯金や所有する株式、不動産などの財産の評価額を決定するものです。

不動産は、土地の評価と建物の評価を別々に行います。土地は、路線価方式と倍率方式で算出され、国税庁で定められているエリアでは、路線価方式で算出を行います。

所有しているエリアが路線価方式か倍率方式か分からない場合は、国税庁の路線価図で確認が可能です。土地の評価額の計算方法は、以下を参考にしてください。

方式 計算方法
路線価方式 路線価図×宅地面積=土地評価額(※)
倍率方式 固定資産の評価倍率×評価倍率=土地評価額

※接している道路の状況や土地の形状によっては、定められた補正率で路線価を修正する場合があります。

また、債務や葬儀費用などは、相続財産から控除することが可能です。故人のマイホームのローンやクレジットの残高、未納の税金、入院費用などが含まれます。

ただし、墓地や墓石などの買い入れにかかった費用や、香典返しのための費用、初七日や法事のための費用などは控除の対象外となります。葬儀などに関わる費用を控除する際は、控除できるもの・できないものについて確認しておきましょう。

次に、課税遺産総額の計算を行いましょう。課税遺産総額とは、相続税の対象となる現金・土地・家などの財産総額から基礎控除額を差し引いた金額をいい、相続税の課税対象となる財産のことです。

上記を参考に預貯金・不動産・株式など相続財産の評価額を合わせ、基礎控除を差し引いた金額が課税遺産総額となります。このように課税遺産相続を計算することで、亡くなった親などから、お金や土地などの財産を相続した際に、実際にかかる税金が算出できます。

土地活用が相続税対策に有効な3つの理由

土地活用が相続税対策に有効な3つの理由

土地活用をすることで、相続税の評価額を減額できる可能性があります。土地活用が相続税対策に有効な理由は、以下の3つの理由があります。

上記の理由により、土地やお金などの財産をそのままにしておくより、土地活用をした方が相続税評価額を減額することができます。上記の節税の仕組みを理解し、賢く相続税の節税対策を行いましょう。

1 建物の評価額は現金よりも安く評価されやすい

現金をそのまま相続するより、土地や建物などの不動産として相続をした方が、相続税が安く評価されます。理由としては、相続税の評価額は現金で相続するよりも、土地や建物などの不動産として相続する方が相続税評価額が下がるためです。

相続税は、現金・土地・建物などの財産を相続した際に課せられる税金ですが、不動産においては財産の価格を相続税の評価額で計算を行います。例えば現金を「建築物」に変えると、相続税の評価額を約40%程度軽減させることが可能です。

40%程度も大きな節税ができる理由としては、税法上、新築の建物の評価額(固定資産税評価額に由来)は工事金額の約60%の評価となるためです。例えば、現金をそのまま預貯金で2億円を所持していた場合、1億2,000万円程度の評価額にすることが可能になります。

また、建築物を「貸家」にすることで、評価額を約30%軽減させることもできます。このように現金をそのまま相続するより、土地活用によって建物を建てたり賃貸物件として活用したりすることで、相続税の節税対策を行えるのも有効です。

2 賃貸住宅の場合「貸家建付地」にすることで減額評価がされる

所有地に賃貸住宅を建てることも、相続税対策になります。なぜなら土地活用を行い、所有する土地に賃貸住宅が建つと「貸家建付地」として減額評価されるためです。

貸家建付地とは、貸家が建て付けられた土地のことです。つまり、賃貸用のアパート・マンション・貸家などが建っていれば貸家建付地となります。

「貸家建付地」にすることで約20%の減額評価に繋げることができ、大きな節税効果となるのです。理由としては、貸家建付地は建物に他人の借家権が発生するため、土地の所有者が土地や建物を自用地よりも自由に使えなくなるからです。

賃貸物件を経営する上では、借家権が発生することは大きな問題とならないため、相続税の節税には有利な方法として知られています。

3 小規模宅地等の特例を使うことができる

小規模宅地等の特例によって、さらに相続税の評価額を下げることができます。なぜなら「小規模宅地等の特例」という制度は、50%~最大80%まで評価額を減額できる制度だからです。

亡くなった人が住んでいた土地や事業を行っていた土地の相続税が、そのまま被相続人に満額負担がかかってしまうと、売却せざるを得ない場合もあるでしょう。そのような事態を防ぐために、小規模宅地等の特例という制度が出来ました。

小規模宅地等の特例は、以下の3種類があり、条件によって50%から80%の減額評価が得られます。

種類 減額評価
特定居住用宅地等(そのまま居住を継続する場合) 300㎡までの宅地が80%減額評価
貸付事業用宅地等(貸付業を継続する場合) 200㎡までの宅地が50%減額評価
特定事業用宅地等(事業を継続する場合) 400㎡までの宅地が80%減額評価

上記のように、居住用や貸付事業用など小規模宅地を使える土地は3種類あります。それぞれで面積や減額評価の割合、要件などが違うため、相続前に確認しておくと良いでしょう。


相続税対策に効果的な土地活用方法【3選】

相続税対策に効果的な土地活用方法【3選】

土地活用を賢く行うことで、相続税の節税対策になります。中でも相続税対策に効果的な土地活用の方法は、以下の通りです。

上記のように現金がある場合は建築物に、建築物がある場合は貸家になど状況に合った土地活用の方法を選ぶことが大切です。以下では費用などについても解説するので、ぜひ相続税対策に土地活用を始めたいと思っている方は参考にしてみてください。

1 現金の場合:建築物にする

預貯金で現金を2億円保有していると、相続税を2億円分そのまま負担することになってしまいます。そのため、現金を建築物にすることで、相続税を約40%軽減させることができます。

例えば2億円を使って建築物を建てた場合、1.2億円程度の評価額に下げることができます。上記の場合、現金をそのまま相続するより、現金を使って建築物を建てる方が8,000万円の相続評価額を引き下げられる計算となります。

さらに土地活用によって賃貸物件を建てることができれば、安定的な家賃収入を得られます。その結果、固定資産税などの納税資金に充てることもでき、残された家族も安心して暮らしていけるでしょう。

2 建築物の場合:貸家に変更する

建築物をそのまま相続するより、「貸家」に変更すると相続税対策となります。なぜなら建物が貸家になれば「貸家建付地」となるため、評価額の減額が受けられるからです。

例えば、1億円の土地であれば、賃貸物件を建築することによって評価額を8,000万円程度に引き下げることが可能です。さらに小規模宅地等の特例も適用となるので、200㎡までの宅地が50%まで減額評価が受けられ、さらに節税効果となります。

貸家として家賃収入を得ることができれば、納税資金に充てられます。また、住居が綺麗な状態の場合は、簡単なクリーニング代のみでコストを抑えて土地活用が始められるのがメリットです。

また、リフォーム・リノベーション代となっても新築を建てるよりは費用も抑えられるため、低コストで土地活用が始められます。需要がある場所なら高額収入も期待できるので、建物を所有する方は貸家として土地活用を始めるのがおすすめです。

3 更地の場合:貸家建付地にする

更地を所有している方は、「貸家建付地」として土地活用を始めるのがおすすめです。理由としては貸家建付地は、さまざまな相続税評価額の減額効果があるためです。

まず、貸家を建てることで評価額を約20%減額、さらに借家権が適用されることで30%の評価額を減額することが可能です。この時点で約50%の評価額の減額が受けられ、1億円の土地なら5,000万円の評価額となり、大きく節税できます。

貸家建付地の相続税評価方法は、以下の通りです。

自用地評価額×(1-借地権割合×借家権割合×賃貸割合)=評価額

借地権割合は全国一律30%と決まっており、借地権割合は国税庁の路線価図を確認すれば分かります。賃貸割合については、部屋数ではなく床面積で計算します。ここで注意したいのが、賃貸割合は入居率によって評価額が変わる点です。

そのため、長い間空き家状態となっている場合は、それだけ評価額が下がる可能性があります。空き家でも評価額が高く評価されるのは、入居者が1ヶ月以内に退去したケースや、すぐに不動産で募集をかけるなどの対応をしているケースなどが挙げられます。

また、貸家建付地は小規模宅地等の特例の適用も受けることができるため、さらに節税効果が抜群です。アパートやマンションなどの賃貸経営は、需要があるエリアでは収益性も高くなるため、安定的な収入源を得られるチャンスにもなります。

ただし、更地から新築物件を建築する際は、それなりの初期費用がかかるため慎重に判断しましょう。その土地に需要があるのか・コストがどのくらいかかるのか・空き家リスク・メンテナンスなど、あらゆるリスクや費用面を想定して、計画を立てる必要があります。

土地活用は、所有する土地の土地活用に詳しい専門家に相談するのがおすすめです。専門家と共に費用対効果を検討しつつ、相続後も家族に安定的な収入が得られるような土地活用を行いましょう。

土地活用の相続税対策に関するよくある質問

土地活用の相続税対策に関するよくある質問

上手く土地活用が出来れば、相続税対策になります。しかし、「相続税はいくらまで無税?」など疑問に思うことも多いでしょう。ここからは、以下のような土地活用の相続税対策に関するよくある質問について解説します。

相続税は、基礎控除額の範囲内であればかからないケースもあります。相続税評価額の計算は、土地や建物によっては複雑になるケースも多いため、専門家などにお願いするのがおすすめです。

土地に関する相続税はいくらまで無税になる?

土地に関する相続税財産がいくらまで無税かという目安は、3,600万円です。なぜなら基礎控除の最低金額が3,600万円であり、この金額以下であれば税務署等への申告も必要ないためです。

ただし、相続税の基礎控除の金額は、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。法定相続人1人あたりに600万円加算する仕組みとなっているため、一律にいくらとはいえないので注意しましょう。

例えば相続人が5人いる場合の基礎控除額は、「3,000万円+(600万円×5人)=6,000万円」という計算になります。相続人などの条件もあるので、事前に調べておくようにしましょう。

土地の相続税はかからない場合はある?

前述でも解説した通り、3,600万円以下であれば非課税となります。なぜなら相続税には基礎控除という非課税枠が設定されているためです。

また、一律に3,600万円という訳ではなく、法定相続人の数によって控除額が変わります。土地・現金・建物どんな財産を相続しても3,000万円の非課税枠があり、法定相続人1人あたりに600万円非課税枠が加算される仕組みです。

上記の方法で基礎控除額を調べておき、相続税負担が多い場合は土地活用を検討してみましょう。

親名義の土地や家を相続した場合の税金はどのくらいかかる?

親が亡くなった後に親名義の土地や家を相続した場合、相続税がかかります。しかし、相続する財産が基礎控除内に収まるのであれば、相続税は発生しません。

相続税評価額を算出するには、土地と家屋と別々に計算が必要です。家屋の相続税評価額は、「固定資産税評価額×1.0」で計算を行います。

賃貸アパートなどの場合は、「固定資産税評価額×(1-借家権割合×賃貸割合)」です。

土地の相続税評価額を計算するには、路線価方式と倍率方式の2種類あります。どちらかを選ぶのではなく、路線価が設定された土地であれば路線価方式、それ以外は倍率方式を適用してください。

路線価については、国税庁のホームページで確認が可能です。

土地の相続税対策で孫に名義を移すのは効果的?

土地や家などの相続税対策として、孫に名義を移すのも効果的な方法です。理由としては親から子、子から孫へと相続されていきますが、孫に直接相続することによって1回分の課税を回避できるからです。

本来であれば親から子、子から孫へと2回分の贈与が発生するため、相続税が1回多く課税されてしまいます。いずれ孫に相続する財産に関しては、一世代超えて孫名義に移すのも1つの選択肢でしょう。

相続税を節税したいという方は、孫への生前贈与という方法も有効なので検討してみてください。

まとめ:土地活用の相続税対策はM-LINEで!

まとめ:土地活用の相続税対策はM-LINEで!

今回は、土地活用に関する相続税の仕組み、有効な理由、効果的な土地活用の方法などについて詳しく解説しました。上手く土地活用を行うことで、相続する家族の負担を軽減することができます。

しかし、相続税の仕組みは複雑な部分も多く、知識がない人にとっては実際にどの程度相続税がかかるのかイメージを描きにくい部分もあるでしょう。

本記事の相続税に有効な理由などを参考に、ある程度どのような減額評価が受けられるか確認し、詳しい数字などについては専門家に相談することをおすすめします。

M-LINEでは、相続税・固定資産税対策の土地活用の提案も行っています。お客様のご要望に伺った上で、アパート・マンション経営、テナント経営、定期借地など、様々な土地活用の方法をご提案が可能です。

M-LINEの専門スタッフは、様々な土地活用の知識や経験がある土地活用のプロフェッショナルです。「どのくらい相続税評価額が減額できるのか?」「収益性がどのくらいあるのか?」「初期コストは?」など不安な点がある方は、ぜひ一度ご相談ください。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。
小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

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