戸建て狭小住宅

戸建て狭小住宅で得られるメリット・デメリット6選

最近では、コスト面や立地の観点からも狭小住宅を検討している方が増えています。

家を建てるといえば、大きくて広いイメージがあるかもしれませんが、戸建ての狭小住宅はそのような通常の家とは異なり、様々なメリット・デメリットが存在します。

そこでこの記事では、戸建ての狭小住宅に関する基本的な知識から、建てる際のメリットやデメリットを詳しく解説。事例も紹介しながらわかりやすくお伝えしていくので、ぜひ参考にしてみてください。

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戸建ての狭小住宅とは?

戸建ての狭小住宅とは?

読んで字のごとく、狭小住宅は小さな土地に建てられた狭く小さな住宅を指します。狭小住宅に具体的な定義はありませんが、一般的に15坪・50平方メートル以下の土地に建てられた家を指すことが多いです。

そのため、狭小住宅と聞くと狭くて生活しづらそうといったネガティブなイメージを持つ人が多いのも事実ではあります。

しかしながら狭小住宅にはメリットがいくつもあります。今回は狭小住宅のメリットとデメリットについてフォーカスしていきます。これを読んだ皆さんの助けになればと思います。

戸建ての狭小住宅で得られるメリット6選

戸建ての狭小住宅で得られるメリット6選

まずは、狭小住宅のメリットを6つ挙げていきます。

  • ①土地の価格が安い
  • ②税金が安くなる
  • ③トータルのコストを抑えられる
  • ④光熱費を抑えられる
  • ⑤家の中の家事動線が短くなる
  • ⑥掃除が楽になる

①土地の価格が安い

住宅を建てるうえで大きな障壁になるものの一つに、土地の購入が挙げられます。東京や都市部で探した場合、予算を超える高額な値段となり購入を諦める人もいるかもしれません。

このような場合には狭小地が非常に有効な選択肢となるケースもあり得ます。狭小地が販売されているような場所というのは、大都市部にあることが多いです。区画を大きく取ることが難しかったり、取得できたとしても高額になりすぎて買い手が見つからなくなってしまいます。

そのため、あえて小さくして販売する場合もありその際は比較的安く購入できたり、買い手が見つからないので相場よりも価格を引き下げていることもあります。

また、綺麗な長方形ではなく、三角形や台形など変形していることも多々あるものです。変形地は少し使いづらさはあるかもしれません。

しかし、既に多くの建物が立ち並んでいる利便性の高い都市部、あるいは人気の高いエリアであることを示しています。立地条件の良い場所にある土地を、手ごろな価格で購入できることは狭小地の大きな魅力です。

需要の高い立地であれば、将来売却するときに土地の価値が落ちにくいのもメリットの一つになります。

②税金が安くなる

令和3年度から住宅ローン控除の優遇措置が変更されました。それ以前までは延床面積の要件が50㎡以上の住宅だけが対象でした。しかし、延床面積の要件が40㎡以上50㎡未満の住宅も対象に加えられたので、狭小住宅でも控除対象となれば税金が安くなるでしょう。

このような背景から狭小住宅を購入を検討する人が増えたのも事実です。

ただし、住宅ローン控除の対象が広がったとは言え、ローン審査が100%通るわけではありません。このことは頭の片隅に入れておくと良いでしょう

固定資産税・都市計画税の負担を軽くできるメリットもあります。固定資産税はその年の1月1日時点で、土地、家屋及び償却資産の所有者として、固定資産課税台帳に登録されている方が納税対象となります。納税する金額の計算方法は以下の通りです。

土地:課税標準額×税率1.4%
家屋:課税台帳に登録されている価格×税率1.4%

200平方メートル以下の住宅用地(200平方メートルを超える場合は住宅1戸あたり200平方メートルまでの部分)を小規模住宅用地といいます。小規模住宅用地の課税標準額については、価格の6分の1の額(都市計画税は3分の1の額)とする特例措置があるのが特徴です。

都市計画税とは「都市計画事業または土地区画整理事業に要する費用に充てるため、課税される目的税」と定義されています。都市計画税の対象となるのは市街化区域に指定された地域内に土地、家屋などを所有している人です。

市街化区域というのは「既に市街地を形成している区域や概ね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」のことを指します。

いずれにしても、土地の広さに応じて税金がかけられる部分があります。その意味において、狭小住宅は課税額が少なくなるため節税効果を感じられるでしょう。

③トータルのコストを抑えられる

注文住宅を建てるときに出てくる言葉に「坪単価」があります。坪単価とは1坪(約3.3平米)当たりにかかる建築費用のことを指します。坪単価を知ることで家の建築費用が高いか安いかをある程度知ることが可能です。

計算方法は「本体工事費 ÷ 延床面積」となります。本体工事費とは建物を作るためにかかった費用のことです。これとは別に、ガス・水道などの敷設工事、エアコンや照明器具、駐車場などの工事に使われる別途工事費用もあります。

また、延床面積を使用するので、3階建ての場合は3フロア分の床面積を使用することになります。

例えば、全体の費用が2500万円で、延床面積が50㎡の場合は2500万円 ÷ 50㎡ = 50万円/坪 という計算です。狭小住宅で室内の広さを確保しようとすると、敷地が狭いためどうしても縦方向に伸ばしていくことになります。

こういう理由で、一般的に坪単価は上がる傾向にあるので覚えておくと良いでしょう。 昨今では、建築資材価格の高騰が続いていて、それに伴い住宅の建築費用も上がり続けています。現在、一般的なサイズの一軒家を建てようとすると、一昔前では考えられないような価格になるかと思います。

しかし、狭小住宅の場合は家そのものの規模が小さくなるのが特徴的です。小さい分、使用する建材の量も少なくなり結果、建築費用を抑えることが可能になります。土地の価格自体も安いので、これと合わせて「トータルコストが安くなる」というわけです。

④光熱費を抑えられる

狭小住宅というだけあって、一つ一つの部屋の広さはどうしても狭くなります。しかし、空間が小さいということはそれだけ冷やしたり暖めたりする空気の量も少なくなります。

つまり、冷暖房効率が良くなる、というわけです。

目標温度に到達するまでにかかる時間が短くなるので、エアコンや電気ストーブ等の電気使用量もそれだけ少なくなるということになります。

また、部屋全体を明るくするために大きなサイズのシーリングライト、複数の照明器具などが不要となります。結果として、全体の消費電力を抑えることに繋がり電気代の節約になるでしょう。

もし構造的に、複数の部屋と繋がっていて少ないエアコン台数でまかなえれば、節電効果は大きくなります。

⑤家の中の家事動線が短くなる

フロアの面積が小さいので”移動距離=家事動線”が短くなります。家事動線が短くなれば家事にかける時間を短縮して、他のやりたいことに時間を割くことができるようになるでしょう。

毎日行うことの多い洗濯を例に考えてみます。洗濯機から洗濯物を取り出して、それを持って干場へ移動しますよね。洗濯機が1階で干場が2階にある場合は、階段の昇り降りが生じます。

濡れて重くなった洗濯物をもって階段となると、かなり大変ですよね。家事のちょっとした移動を運動だと思ってできる方には問題ありませんが、大半の方は面倒に感じることでしょう。

この場合は、洗濯機から干場への動線をフルフラットにするのがおすすめです。移動距離が短くなるような配置・設計が出来ればなおさら良いでしょう。

⑥掃除が楽になる

広い部屋を掃除するのは大変な作業ですよね。しかし、狭小住宅ならではの部屋の狭さがここではメリットとなって活きてきます。掃除する面積が減るため、負担が軽くなり、時間も短縮できるでしょう。

多くの物を置いておく場所も限られているため、必要以上に物を持たなくなります。物が少ない分掃除も楽にできるというわけです。

また、庭が作れない場合も実はメリットになる部分が存在します。庭があればそこには多少なりとも植栽があり、植栽は放っておけば伸び・荒れ放題となってしまいます。定期的な手入れは最低でもしてあげないといけません。

さらには、強風で飛ばされてきた落ち葉が溜まった時も掃除をしないといけません。我が家の前面にゴミが溜まっていると外観も良くないですし、気分的にも落ち着かない可能性もあるでしょう。

他にも、庭にウッドデッキをつくっていたり、テーブルや椅子を置いている場合も同様に手入れが必要です。雨風にさらされていると汚れてくるので拭いたりして汚れを落としてあげます。手入れをサボると劣化が進み、破損の原因となります。最悪の場合、ケガに繋がる可能性もあります。

狭小住宅にはデメリットもある

狭小住宅にはデメリットもある

続いて、デメリット部分にも触れていきましょう。

①フロアあたりの面積が狭い

狭小地に建てる狭小住宅である以上、これは物理的にどうしようもない部分になってしまいます。

しかし「広さを演出」する方法であれば存在します。方法としては、壁やドア等の仕切りを減らすことです。室内に開放感が生まれて視界が開けることで狭さを感じさせず、広々とした印象を与えてくれるでしょう。

狭いことに付随して収納も少なくなるというデメリットも存在します。このデメリットを補うにはデッドスペースを上手に使い切ることです。階段下に収納を設けたり、壁面に収納棚を設けるのは定番のデッドスペース活用方法です。

また、洗濯機周りはデッドスペースが生まれやすい場所です。一般的に洗濯機上部には空間が生まれると思います。こちらに棚を設置して、洗濯グッズを収納すれば有効活用できますよね。

「床下」は家の中の数あるデッドスペースにおいて代表格の1つです。キッチンにある物件が多いイメージがありますが、別にキッチンの床にしか作れないことはありません。洗面所や和室にだって問題なく設置できます。

注意点としては床下収納の蓋の縁が金属で裸足で触れると冷たい、人が通るときしんで音がする、段差に引っかかる等があります。賢く床下収納を作ってかさばりやすい物を収納し、お部屋をスッキリさせましょう。

空間の活用方法として、スキップフロアを作る方法も人気があります。スキップフロアとは同一フロアの中で床の高さを少しずつ上げていきながら、階段でつないでいく建築方法のことです。空間を壁で区切るのではなく、段差で区切ります。空間をあいまいにつなげながら、上へ伸びていくため解放感が得られるでしょう。

通常の壁で区切るタイプのように廊下を作る必要もないので、床面積の節約をすることも可能です。空間が区切られていないため家族の気配を感じながらも、プライバシーを守れるメリットもあるのです。狭小住宅では、わずかな空きスペースでも有効活用していきましょう。

②何かをするにも階段の昇り降りが必要となる

狭小住宅の宿命とも言えるかもしれませんが、広さを確保するためにどうしても家が縦方向に伸びてしまいます。

リビングが2階にリビングがある場合を考えてみましょう。玄関は1階にあると思うので帰宅したらまず2階へと上りますよね。

宅配便が来た時には、荷物を受け取りに下に降りて、荷物を抱えてまた階段を上がって戻るということになります。買い物でたくさん買ってきた場合では一度に荷物を運びきれず、何往復かしないといけないこともあるでしょう。

赤ちゃんがいる場合は、先に赤ちゃんを上に連れていってから、下に降り、荷物をもってまた昇ることになります。

足を捻挫や骨折してしまったときも階段の昇降が困難となる可能性があったり、その他にも忘れ物をして取りに戻るときも階段を往復しないといけないのは不便です。このように日常生活で階段の上り下りを何度も繰り返すこととなります。

年齢が若いうち、体が元気なうちは階段は全く問題にはならないですが、誰でも歳を重ねていき足が弱ってくると、階段の昇り降りの負担は想像以上に大きなものとなります。いつかは上層階に登れなくなる日も来るかもしれません。

そういったことも考慮して、1階で生活が完結するように必要な設備をまとめておくといったことも検討した方がいいかもしれません。自分の家では快適に、末永く暮らしたいものです。そのための対策も施した家づくりをしていく必要もある、ということを頭の片隅に置いておきましょう。

③隣近所との距離が近い

近隣との距離が近いと生活音が筒抜けになってしまいます。それを防ぐために遮音性・防音性に優れた素材を使用して外に音が漏れないよう、また外からの音が入りにくいよう対策してあげる必要があります。

例えば、エアコンの室外機の音が近隣の家に届きにくいよう、設置場所にも配慮する必要がある場合があるでしょう。

また、民法には下記の記述があります。

民法234条
「建物を築造するには、境界線から50cm以上の距離を保たなくてはならない」

狭小住宅建築では敷地のギリギリまで建物を建てることが多いです。そのためエアコンの室外機を置く場所に困ってしまうこともあります。

その他、意外にも気をつけるべきところは「排気口」です。キッチンや風呂場の換気扇の排気口はそのまま外へ繋がっているため、音はかなり漏れるのです。

こちらの対策としては、防音タイプのレンジフードを使用することです。他にも24時間換気システムも外と繋がっているので、音が漏れやすい箇所です。こちらの対策には換気口のパイプ、ダクトに設置するサイレンサーがあります。サイレンサーは、消音効果を持った素材でできています。

これら一つ一つは本当に小さなことではありますが、ご近所トラブルを起こさずお互いが気持ちよく快適に暮らせるような配慮はする必要があるでしょう。

④建築コストが高くなってしまう場合がある

敷地の周囲に余裕がない場合、組める足場も狭くなります。通常に比べて、外壁工事等の作業がやりにくくなってしまいます。そのことを理由に請け負ってくれる職人がなかなか見つからないということもあるかもしれません。

他にも資材置き場の確保、資材の搬入に機械が必要、人手を追加する必要が生じる場合もあり、このようなときには別途工賃・費用を請求される可能性があります。

また、③「隣近所との距離が近い」というデメリットと絡み、隣近所と距離が近いので騒音対策を手厚く施さないといけない場合があります。遮音性・防音性の高い素材を使用するとその分費用がかさむでしょう。

①はセメント系の固化材を使用して地表の周辺を固めるものです。地表表面の土を掘り起こして、それに固化材を混ぜ合わせ、再び元に戻して強度を上げます。

②は地面にコンクリートの柱を等間隔で何本も設置して、その上の建物の重さを支える方法です。こちらは大きな小・中規模のビルやマンション等で用いられることが多いです。

最後の③は、②で使用するコンクリートの代わりに鋼管杭を打ち込み補強する方法です。こちらは狭小地や変形地等でも対応可能な方法となります。

以上のように、+α の工事が必要となってしまうと、建築コストが上がってしまいます。土地選びの段階で、そのような追加の工事が必要とならないか、を確認できると良いでしょう。

まとめ:戸建ての狭小住宅を検討している方はまずM-LINEへ相談を!

まとめ:戸建ての狭小住宅を検討している方はまずM-LINEへ相談を!

狭小住宅に住むことのメリット・デメリットについてご紹介してきました。

狭小ならではの良いところ、不便なところはそれぞれあります。それらを踏まえたうえでどの選択をしたら幸せに暮らせるのか考えてみてください。失敗、後悔のない住まいづくりを目指しましょう。

最後にメリット・デメリットをまとめると以下の通りでした。

メリット

デメリット

このように戸建ての狭小住宅には様々なメリットやデメリットがあります。

双方を天秤にはかり、デメリット部分をどの程度許容できるかどうかがポイントになるかと思いますが、生活の中で妥協できる部分も出てくることでしょう。

戸建ての狭小住宅に関する事例やより詳しい内容を知りたい方は、まずはM-LINEへご相談ください。

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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