2階建て賃貸併用住宅の間取り

2階建て賃貸併用住宅の間取りは?考え方や実例を紹介

2階建ての賃貸併用住宅は、家賃収入を住宅ローンの返済に充てられたり、ライフスタイルの変化に応じて二世帯住宅に変えられたりすることが魅力です。一方で、入居者とのトラブルや空室リスクなど注意が必要な側面も存在します。

2階建ての賃貸併用物件を成功させる秘訣は、間取りにあります。間取りによって建築費用や快適性、収益性は大きく変わるため、慎重に検討することが重要です。

この記事では2階建ての賃貸併用物件の目的別の間取りや成功事例、建てる際の注意点などをまとめました。賃貸併用物件を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

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2階建て賃貸併用住宅の理想の間取りは?【目的別】

2階建て賃貸併用住宅の理想の間取りは?【目的別】

まず、2階建ての賃貸併用住宅の理想の間取りを、目的別に7つ紹介します。

賃貸併用住宅の間取りを計画する際には、物件の魅力と住み心地の良さの両方を考慮することが重要です。目的に応じた適切な間取りを選ぶことで、満足のいく賃貸併用物件を手に入れられるでしょう。

1.住宅ローンを利用するための間取り

住宅ローンが利用できるのかは、建物の間取りに大きく関わります。

賃貸併用住宅を建てる際は、通常、住宅ローンか不動産向けのアパートローンが適用されます。住宅ローンはアパートローンよりも金利が低く、返済期間が長いことがメリットです。住宅ローン控除を受けられ、税負担を軽減できることも大きな利点でしょう。

一方で、アパートローンは審査が厳しく、返済期間が20年ほどと短いことが特徴です。アパートの収益性やアパート経営の経験も審査に大きく影響するため、融資が受けられないケースも少なくありません。

賃貸併用住宅で住宅ローンを利用するには、住宅の延べ床面積の50%以上が自宅部分であるなど、金融機関が定めた条件を満たしている必要があります。

住宅ローンを利用するには、各金融機関の融資条件をしっかりと確認し、住宅ローンが使える間取り設計することが重要です。

2.収益を考えた間取り

2つ目は、収益を最大化するための間取りです。

具体的な方法として、単身者向けのワンルームの戸数を多く配置することが挙げられます。なぜなら、戸数が多くなればそれだけ家賃収入が増える可能性があるからです。

この場合、横割りの間取りが有効です。ワンフロア全体を賃貸スペースとして使うことで、ワンルームの部屋数を増やしやすくなります。ただし、エリアの重要が単身者でない場合は、無理に単身者向けのワンルームにこだわらず、エリアの需要に合わせた間取りを検討することも必要でしょう。

収益を追及した間取りにするためには、良い条件のスペースを賃貸に充てることも有効な手段です。

賃貸住宅は1階よりも2階以上が好まれる傾向があるので、上階に賃貸スペースを配置することで、賃料を高く設定できる可能性があります。

また、「南向きで日当たりが良い」「眺望が良い」など多くの人が好む条件の部屋を賃貸スペースにすることで、入居者を確保しやすくなります。逆に、「北向き」「窓の少ない部屋」ばかりでは空室リスクが高まる可能性も否定できません。

収益を考えるうえで最も重要なのは、空室を発生させないことです。このためには、プロのアドバイスを受けることも1つの手です。専門家の意見を取り入れることで、見落としていたポイントに気づくことができるでしょう。

3.初期費用を抑えた間取り

3つ目は初期費用を抑えた間取りです。

初期費用を抑えるためには、居住部分を全体の50%以上にして、住宅ローンを活用することが有効です。

建物の形や間取りをシンプルにすることも、費用を節約するポイントとなります。複雑な形状は建築費を増やす原因になるため、1階と2階の面積を均等にし、正方形や長方形のシンプルな形にすることで初期費用を抑えることが可能です。

また、ドアや柱の数を最小限にしシンプルな間取りにしたり、戸数を少なくしトイレやキッチンの数を減らしたりすることも、材料費や設置工事のコストの削減につながります。

複数の対策を組み合わせることで、初期費用を効果的に削減できるでしょう。

4.二世帯住宅にするための間取り

ライフステージの変化に応じて、将来的に二世帯住宅にする予定がある場合、建築の段階で間取りを考慮することが重要です。

賃貸併用住宅と二世帯住宅は似たような建物構造のため、最初は賃貸として利用し、将来的に二世帯住宅に転用できることが利点です。

間取りを考える際のポイントは、賃貸部分も将来的にファミリー対応できるようにすることです。同時に、バリアフリーの設計を取り入れておくことで、賃貸としても二世帯住宅としても住みやすくなるでしょう。

5.騒音対策を考えた間取り

入居者とのトラブルをできるだけ避けるためには、騒音対策を考えた間取りにすることが重要です。

騒音対策が不十分だと、オーナーと入居者の双方に不満が生じる可能性があります。騒音が原因で入居者同士のトラブルに巻き込まれる可能性も否定できません。

騒音が起こりやすい間取りの特徴として、外階段とリビングが隣接していたり、寝室と賃貸部分の水回りが隣接したりしていることが挙げられます。

騒音対策する場合は、縦割りの間取りが有効です。この配置であれば、2階からの音が気になりにくく、騒音問題が軽減できます。また、部屋同士の境になる部分に収納やクローゼットを配置したり、水回りに棚を設けて障壁にしたりすることも効果的でしょう。

横割りの間取りの場合はこれらの対策が難しいため、防音に特化した床材や建材の使用を検討しましょう。

6.プライバシー問題を考えた間取り

6つ目は、プライバシー問題を考慮した間取りです。

賃貸併用住宅は、オーナーと入居者が近くに住んでいるため、お互いの顔をよく合わせることになります。これが頻繁に続くと、常に監視されているような感覚が生まれ、入居者が居心地悪く感じることがあります。

オーナーにとってもプライバシーが確保できていなければ、安心して暮らすことができず、ストレスが溜まる原因になりかねません。

プライバシーを守るためには、オーナーと入居者の生活空間を明確に区切った配置が有効です。

たとえば、賃貸と自宅の入り口を逆に配置することで、お互いの接触頻度を減らすことができます。他にも、賃貸と自宅のベランダを離れた場所に配置することや、各部屋が見える位置に窓を配置しないことも効果的でしょう。

建物が完成した後に、玄関やベランダの位置を変更することは難しいため、設計段階からプライバシー問題を考慮した間取りにすることが大切です。

7.外観を考えた間取り

7つ目は、外観に焦点を当てた間取りです。

賃貸併用住宅は、自宅という側面だけではなく賃貸の側面を持っていることを理解したうえで外観を考えることが成功の秘訣です。

一般的にオーナーのこだわりが強調された外観よりも、シンプルなデザインのほうが広く受け入れられやすい傾向があります。

具体的には戸建然とした外観よりも、アパートやマンション風の外観の方が人気があります。集合住宅の一般的な外観は長方形が多く使われているため、賃貸併用住宅の間取りもこれに合わせると良いでしょう。

賃貸併用住宅を建てる際は、自分の住まいとしての好みだけではなく、収益物件であることも意識して、バランスの取れた間取りにすることが大切です。

2階建て賃貸併用住宅の成功例【3つの実例】

2階建て賃貸併用住宅の成功例【3つの実例】

続いて、2階建て賃貸併用住宅の具体的な成功例を3つ紹介します。

賃貸併用住宅を検討している方はぜひ参考にしてみてください。

1.開放的な横タイプの間取り

まずは、天井を高めに設計し、広々とした空間を実現している横割りタイプの事例です。

2階には2戸の賃貸ルームを配置し、1階にはオーナーの住居スペースを設けています。

この間取りの特徴は、吹き抜けとロフトを組み合わせることで、開放感あふれる部屋を演出していることです。

2階に賃貸用の住居を配置し、日当たりや眺望が良い条件を提供することで、入居者が快適に暮らせるように配慮しています。賃貸ではめずらしい、高級感のある木目調の対面式キッチンを取りれていることも、入居者を惹きつけやすいポイントでしょう。

また、オーナーの住居を1階に配置することで、階段の移動負担や入居者への騒音への気遣いを軽減できることも魅力です。

より詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

2.斜めの土地を活かした間取り

続いての事例は、斜めの土地を活かした間取りです。

狭小地や変形地でも空間を上手に使うことで、生活しやすい物件を建てることができます。

1階は19.9㎡のコンパクトな1LDK。2面採光にすることで、自然の光を部屋に取り込めるように設計しています。窓を開けると、植栽が見えるようにすることで、都心で狭い空間でも自然を感じながら快適に暮らせることもポイントです。

2階の部屋はロフト付きの30.6㎡です。リビングに窓を多く設け、明るい空間を演出しています。また、ロフトを設けることで、天井が高く、実際の面積よりも広々と感じられることも魅力です。

より詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

3. プライバシーを守る縦割りタイプの間取り

最後の事例は、お互いのプライバシーをしっかりと確保できる縦割りタイプの事例です。

賃貸と自宅のスペースを左右に配置するメゾネットタイプにすることで、生活音が広がりにくく、プライバシーを守れることが利点です。

縦割りタイプは、自宅と賃貸の両方に庭やベランダを造ることができることも魅力でしょう。また、玄関の向きを変えることで、お互いの顔を合わせる機会を減らせることも重要なポイントとなります。

プライバシーがしっかりと守られているため、将来的に売却したり、建物全体を賃貸物件として転用したりしやすいこともメリットです。

プライバシーを守り、快適に暮らしたい方におすすめの間取りです。

2階建て賃貸併用住宅を建てる際に意識したい3つのポイント

2階建て賃貸併用住宅を建てる際に意識したい3つのポイント

最後に賃貸併用住宅を建てる際に、意識したいポイントを3つ紹介します。

賃貸併用住宅で後悔しないために大切なポイントなので、ぜひチェックしてください。

1.立地に合わせてターゲットを明確にする

賃貸併用住宅を建てるうえで、まず重要なポイントは、立地に合わせてターゲットを明確にすることです。

立地とターゲット層が合致していないと、空室リスクが高まる可能性があるため、慎重にリサーチすることが大切です。

ターゲットが明確になれば、適切な間取りを考えやすくなります。たとえば、周辺に大学のキャンパスがある場合は、学生向けのワンルームが適しています。公園が豊富なエリアなら、子供と住みやすい間取りが適しているでしょう。

どのような需要があるのかを把握するには、地域の不動産に相談することも効果的です。

地域の需要を把握しターゲットを明確にしたうえで、賃貸併用住宅の間取りに反映させることが欠かせません。

2.入居者に好まれるデザインや設備を取り入れる

入居者に好まれるデザインや設備を導入することは、賃貸併用住宅の入居率を高める鍵となります。

国土交通住宅局の「令和4年住宅市場調査」によれば、民間賃貸住宅に関する住宅の選択理由として、「家賃」「立地環境」の次に「住宅のデザイン・広さ・設備」の項目が挙げられています。

出典:国土交通住宅局|令和4年住宅市場調査のデータ

周辺のアパートと差別化できるよう、外装のデザインにこだわると良いでしょう。

また、内装や設備も重要です。収納スペースやロフトがあるなど、狭いスペースでも快適に生活できる設備が備わっている家は人気が高い傾向にあります。

どのような設備やデザインが好まれているのかを知るためには、周辺の賃貸物件を調査することが大切です。

地域で人気のあるアパートを参考にし、魅力的なデザインや設備を取り入れることで、入居所を安定して確保できる賃貸併用物件が完成するでしょう。

3.収支シミュレーションする

賃貸併用物件を建てる際は、アパートやマンションなどの収益物件と同様に、しっかりと収支シミュレーションを立てることが欠かせません。

ポイントは、空室が発生することも想定して収支シミュレーションを行うことです。常に満室の状況でシミュレーションをしてしまうと、実際に空室が出たときに支払いが厳しくなる可能性があります。また、賃料を相場よりも低く設定しても、しっかりと収支が回るように調整しておくと安心でしょう。

加えて、収支シミュレーションの際は、管理費や修繕費、固定資産税などの長期的なランニングコストも忘れずに計算することが大切です。

個人で正確な収支シミュレーションを実施することが難しい場合は、専門家やプロの力を借りることをおすすめします。

収支シミュレーションをしっかりと行うことで、安定した経営を実現できるでしょう。

賃貸併用住宅にかかる費用について詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。

賃貸併用住宅の建築費の相場と計算方法について徹底解説「詳細はこちら」

まとめ:2階建て賃貸併用住宅を検討する際はまずはM-LINEまで

2階建て賃貸併用住宅を検討する際はまずはM-LINEまで

この記事では、2階建て賃貸併用住宅の目的別の間取りや実例について詳しく解説しました。

安定した収益を確保しつつ、入居者とオーナーが快適に過ごすためには、慎重に間取りを考えることが大切です。成功の鍵は、ご自身の目的や重要視するポイントに焦点を当てた適切な間取りを選ぶことです。

また、新築で賃貸併用住宅を建てる場合は、建築会社の選定も非常に重要です。

M-LINEでは、賃貸併用住宅の建設においても豊富な経験があり、賃貸併用住宅の間取りに関するご相談も積極的に受け付けています。

「収支バランスの良い間取りについてアドバイスが欲しい」「プライバシーをしっかり守る賃貸併用物件を建てたい」「住宅ローンを上手に活用したい」といった不安やご希望がある方は、まずはお気軽にご相談ください。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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