土地活用で戸建賃貸経営を行うには?徹底解説

土地活用で戸建賃貸経営を行うには?徹底解説

コロナ禍以降、テレワークの普及や騒音問題対策などの理由からますます人気が高まっている「戸建賃貸」。

戸建賃貸はアパートと比べて初期費用がかからなかったり、競合が少なく安定して入居者を確保できたりなどのメリットがあります。ただし、基本的には一世帯のみに貸し出すため、利回りが0%か100%になるなど、アパートやマンションとは異なる注意点も存在します。

この記事では、土地活用としての戸建賃貸併用住宅のメリットや留意点を詳しくまとめました。さらに、戸建賃貸を経営するための具体的なステップも解説します。

土地活用として戸建賃貸の経営を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

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戸建賃貸とは?

戸建賃貸とはその名の通り、一戸建ての住宅を一世帯に貸し出して家賃収入を得る不動産投資の手法です。土地活用として戸建賃貸をするには、所有している空地に新築の戸建て物件を建てて賃貸します。

アパートやマンション経営と比べてあまり馴染みがないかもしれませんが、高い需要があり、安定した収益を期待できる土地活用の方法です。

主なターゲットはファミリー層。子供の義務教育期間は同じエリアに住みたいと考えるファミリーが多く、一度入居したら安定した家賃収入が見込めることが特徴です。

また、戸建賃貸はアパートやマンションと比べて建築費用がかからないため、少ない初期費用で比較的手軽に始めることができます。

土地活用で戸建賃貸経営を行う5つのメリット

土地活用で戸建賃貸経営を行う5つのメリット

ここからは、土地活用で戸建て賃貸経営を行うメリットを5つ紹介します。

戸建賃貸は、建築から売却に至るまで、さまざまなメリットがあります。それぞれ詳しく解説します。

1.狭小地や変形地でも活用できる

戸建賃貸経営の大きなメリットは、狭小地や変形地でも有効に活用できることです。

マンションが建てられないような狭小地や変形地でも、戸建てであれば土地に合った建物を建築できる可能性があります。

「こんなに狭い土地は家が建たないのでは」と感じるような場所でも、工務店によっては戸建てを建てることができるかもしれません。

また、三角形のような変形地でも、有効なスペースに戸建てを建てれば賃貸経営が可能です。戸建てはアパートよりも間取りの配置に自由度が高いため、変形地や方位の制約を解消できることが大きな利点です。

狭小地や変形地で手つかずの土地を所有している人にとって、戸建賃貸は非常に魅力的な選択肢の1つです。

2.駅から遠くても需要がある

戸建賃貸は、駅から離れていても入居者を見つけやすいことが利点です。

なぜなら、戸建を希望する入居者は一般的にファミリー層が多く、駅からの距離よりも通学や買い物のしやすさなど、生活環境のよさを重視する傾向があるためです。また、ファミリー層は車を所有していることが多いので、駅から多少離れていてもアクセスに不便を感じにくいことも理由の1つでしょう。

一方で、アパートやマンションは単身者の需要が高く、通勤の利便性を求める人が多いことが特徴です。駅から離れると空室リスクは高まるでしょう。

アパート経営で入居者の需要が少ない場所でも、戸建賃貸なら生活環境を重視するファミリー層の需要を取り込めることは大きなメリットです。

3.競合が少ない

戸建賃貸は競合が少なく、入居者を確保しやすいことも大きな利点です。

戸建賃貸は、アパートやマンションではなく戸建てに住みたい人の需要を満たすため、アパートと競合にはなりません。さらに、アパートやマンションに比べて物件数も少ないため、入居者を確保しやすいことが魅力です。

令和3年の国土交通省の土地問題に関する意識調査によると、「今後望ましい住宅形態」において「一戸建」と答えた人が全体の54.4%もいます。全体の半数以上が戸建て住宅に住みたいと考えているのです。しかし、実際には戸建賃貸の供給はアパートやマンションに比べて不足している実情があります。

出典:国土交通省|令和3年度「土地問題に関する国民の意識調査」の概要について

このように、戸建賃貸への需要が高いにもかかわらず供給や競合が少ないので、高い入居率を確保しやすいことが魅力です。

4.将来的に売却しやすい

戸建賃貸は、将来的に売却しやすい点も魅力です。

戸建賃貸の入居者はファミリー層が多く、保育園や小学校など、子供の生活環境と密接しています。入居者が生活環境をできるだけ変えたくないと考えている場合は、そのまま売却できる可能性があります。そうなれば、家賃収入に加え、売却による利益も見込めるでしょう。

戸建賃貸は用途を転用しやすく、出口対策の選択肢が広いこともポイントです。アパートやマンションを売却する場合、ターゲットは不動産投資家にしぼられますが、戸建てならマイホームを購入したい人への売却も可能です。将来的にシェアハウスやグループホームなどに転用して売却することも可能でしょう。

また、マンションやアパートのように解体費が多くかからないため、更地にして土地だけを売るという方法もできます。

このように、戸建賃貸は出口対策の選択肢が多く売却しやすいため、安心してスタートできることが利点です。

5.管理する手間が少ない

戸建賃貸は管理する手間が少ないこともメリットです。

アパートやマンションは、エントランスや廊下など共用部分の清掃が必要ですが、戸建賃貸は庭やゴミ置きも含めて入居者が掃除をするため、定期清掃の必要がありません。

また、マンションは入居者同士のトラブル対応が必要な場合もありますが、戸建賃貸は基本的に1世帯のみが独立して暮らしているため、トラブルやクレームが少ないことも利点です。

戸建賃貸は自主管理しやすいため管理の委託が必要なく、管理費を節約できることも大きなメリットです。


土地活用で戸建賃貸経営を行う際の5つの注意点

土地活用で戸建賃貸経営を行う際の5つの注意点

続いて、土地活用で戸建賃貸経営を行う際の注意点を5つ紹介します。

メリットの多い戸建賃貸ですが、デメリットもいくつか存在します。デメリットを事前に把握したうえで検討することが大切です。ぜひチェックしてみてください。

1.空室が出ると利益が得られない

空室が出ると利益が得られないことは、大きなデメリットでしょう。

一般的に戸建賃貸は1世帯に貸すことが基本です。そのため、空室が出た場合は利益が得られず、損失は大きくなります。退去して次の入居者が見つかるまでの間も利益は得られません。

ただし、戸建賃貸は出口対策の選択肢が多く売却しやすい土地活用法。万が一、空室が続いた場合は、売却したりデイサービスに転用したりなどの対策が可能です。

戸建賃貸を経営する際は、空室リスクを考慮したうえで、収益プランや対策プランを立てておくことが重要です。

2.アパートに比べて収益性が低い

安定した収益が狙える一方、家賃収入の収益はアパートに比べて小さいことが一般的です。

さらに、ローンの金利によっては負担が大きくなり、ローンの返済を差し引いたら手元に残る金額が少なくなる可能性があります。また、一世帯の入居者のためだけに1棟を建築するので、建築費用に対しての収入の割合は低くくなる可能性があります。

戸建賃貸は、小規模ながら確実に収益を得たい人に向いているでしょう。

3.需要の見極めが難しい

アパートやマンションに比べて戸建賃貸の市場は小さいので、需要の予測が難しい傾向にあります。

例えば、地域の競合はどのくらいあるのか調べたい場合、アパートやマンションは外観から簡単に見分けがつきますが、賃貸戸建は通常の戸建と外見が似ているため、調査が難しいことがあります。

独自の調査が難しい場合は、専門家に相談することを検討しましょう。

4.修繕費が割高になる

戸建賃貸は、退去時の修繕費が割高になる可能性があります。

なぜなら、戸建賃貸は入居者が長く住んでくれることからメンテナンスが不十分になる可能性があるためです。手入れが疎かになると、シロアリの発生や雨漏りなどの問題が起き、大規模な修繕が必要になることがあります。

また、戸建賃貸はアパートに比べて部屋数が多いことが一般的です。そのため、退去時に行う修繕作業の箇所が多く、修繕費用も相応に高くなります。

退去時には修繕が必要な箇所がアパートよりも多く、修繕コストも高額になる傾向があるため、修繕費用をしっかりと見積もった収支計画を立てることが重要です。

5.マイホームと競合する

最後の注意点は、マイホームと競合する可能性があることです。

戸建賃貸はアパートやマンションとの競合にはなりにくい一方で、マイホームと競合する可能性があります。戸建賃貸を借りる人は、ファミリー層が多くマイホームを建てるか検討する人が多くいるためです。

その際にデメリットとなるのが家賃料でしょう。

例えば3千万円のマイホームを購入した場合、金利1.6%の35年ローンだと、毎月の支払いは約9万円です。戸建賃貸が競争力を持つためには、家賃をマイホームの支払い額以下に設定する必要があるでしょう。

もちろんローンが通らない人や転勤族など、マイホームの購入が難しい人もいます。全ての入居者がマイホームの購入を検討しているわけではありませんが、家賃の設定時には、マイホームの支払い額と比較しながら検討することが大切です。

土地活用で戸建賃貸経営を始めるためのステップ【6つ】

土地活用で戸建賃貸経営を始めるためのステップ【6つ】

ここからは、土地活用で戸建て経営を始めるための具体的なステップを解説します。

土地活用としての戸建賃貸に魅力を感じている人は、具体的なステップを確認してみてください。

ステップ①専門家に相談する

まずは、専門家に相談しましょう。

所有している土地やオーナーの理想が戸建賃貸に向いているのか、経営の見通しがよいのかなど、専門家にしっかりと相談することが大切です。

土地を有効活用する方法は、戸建賃貸以外にも賃貸併用住宅や賃貸マンション、デイサービスとして貸し出すなど、さまざまな手段があります。土地の形状や立地によって、最適な活用方法が異なります。

相談することで、戸建て賃貸経営以外にもよい方法が見つかる可能性もあるでしょう。戸建賃貸を含めた複数の土地活用方法を検討することが失敗しないコツです。

また、専門家に相談することで市場調査を行うこともできます。地域の需要を見極めたうえで、最適な土地活用方法を見つけられるでしょう。

ステップ②プラン設計・見積りを立てる

専門家のアドバイスを受けたら、戸建賃貸のプラン設計に進みましょう。

プラン設計には、建物や駐車場の配置計画、建築における資金計画、不動産業の収支計画などが含まれます。

プラン設計では、複数の建築会社に依頼することがポイントです。業者によってプランや費用が大きく異なるため、1社に絞らず、複数の業者に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。

戸建て賃貸は、アパートやマンションと比べ収益性が低くなりがちなため、建築費や家賃など全体のバランスを考慮しながら計画を立てる必要があります。修繕費や保険料、固定資産税、メンテナンス費用などのランニングコストも見逃さずに計算しましょう。

建築費用だけでなく、収支計画も含めて複数のプランを比較・検討することが成功の鍵です。

ステップ③契約する

プランが確定したら、業者と工事請負契約(工事開始時に交わされる契約書)を締結します。

工事が始まる前に近隣に挨拶をしておくことで、トラブルを避けられ、その後の経営もスムーズに行うことができるでしょう。

ステップ④各種手続きを行う

工事請負契約を締結したら、金融機関や行政の手続きを行いましょう。

建築工事の届出や建物の設計図などは、特定の行政機関や民間の確認検査機関に提出する必要があります。これらの申請手続きは多くの場合、建設業者に委託して手続きが進められます。

また、工事が始まる際には地鎮祭(工事の安全と成功を祈る儀式)を行うことがあります。地鎮祭では、オーナーも大切な役割を果たすことが期待されているので、しっかりと準備して参加しましょう。

ステップ⑤入居者を募集する

建物が完成する前に入居者募集をスタートしましょう。

通常は建築会社に手続きをお願いし、建築会社からの案内に従って進めていきます。入居者募集の計画は、建物の着工から逆算して立てることが一般的です。

入居者は内覧を希望することがあるので、建物が内覧可能な状態になったら速やかに案内できるよう、募集のタイミングを計画的に進めることが、経営をスムーズに始める秘訣です。

また、入居者の審査も重要です。家賃の未払いや滞納などのリスクを回避するためにもしっかりと行いましょう。

ステップ⑥引き渡し・賃貸経営を開始する

戸建ての賃貸住宅が完成したら、物件の引き渡し手続きが始まります。

入居者が決まっていれば、戸建賃貸経営を開始しましょう。まだ入居者が確定していない場合は、引き続き募集活動を行います。

まとめ:土地活用で戸建賃貸経営を検討するならM-LINEへ相談を!

まとめ:土地活用で戸建賃貸経営を検討するならM-LINEへ相談を!

戸建賃貸は、アパートやマンションに比べて初期費用を抑えて土地活用できる方法です。狭小地や変形地、駅から離れた立地でも入居者を確保しやすいうえ、一度入居者が見つかれば長く住んでくれるので安定した経営が可能です。出口対策も複数あるので、できるだけリスクを抑えて土地活用したい方におすすめです。

ただし、戸建賃貸は空室が出ると利益がゼロになったり、大きな収益性は見込めなかったりなどのデメリットも存在します。

まずは専門家に相談し、所有している土地や土地活用の目的が戸建賃貸に適しているのか見極めることが重要です。土地活用方法はさまざまあるので、経験豊富な専門家に相談することをおすすめします。

M-LINEでは、ご相談内容に応じて専門的な知識を持ったプロの視点からご提案・サポートを実施しております。戸建賃貸を検討する中で少しでも不安や疑問があるという方は、一度ご相談ください。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。
小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

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