小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
近年、日本で働く外国人労働者が増えています。そのため、空室リスクに備えたりするために、賃貸経営で外国人の入居者を受け入れるのか迷っている方もいるのではないでしょうか。
賃貸経営で外国人を受け入れると、日本と海外との生活文化の違いでトラブルになる事例も少なくありません。しかし、外国人を受け入れると空室リスクを軽減できたり、物件のデメリットが気にならなかったりとメリットも多いのも事実です。
そこで、本記事では賃貸経営で外国人が入居する場合のトラブル事例や、対処方法、メリットなどについて徹底解説します。
今後外国人の入居者を受け入れて「満室経営を目指したい!」という方は、ぜひ参考にしてみてください。
賃貸経営で外国人が入居する際のトラブル事例は、主に以下の7つが挙げられます。
賃貸経営で外国人の受け入れを検討している方は、上記の注意点をしっかり確認し、リスクに備えることが重要です。
賃貸経営で外国人が入居する際に多いトラブルは、日本人との生活文化の違いによるトラブルです。理由としては、生活の仕方・家事のやり方・ゴミの出し方などの文化がそれぞれの国によって違うため、日本人が不快に思う場合があるためです。
例えば、パーティー文化のある国の外国人の場合は、夜中パーティーで大騒ぎして騒音のトラブルになる事例があります。また、ゴミの分別方法も日本とは大きく異なる場合もあるため、事前にルールの周知を徹底する必要があるでしょう。
賃貸経営で外国人が入居する際に多いトラブルとして、入居者属性の判断が難しいことが挙げられます。入居者属性とは、住人の経済力・信頼性・モラルなどを判断し、家賃を滞納しないかについて見極めるものです。
例えば、入居者の年齢・年収・勤務先・勤続年数・雇用形態・連帯保証人の有無などの個人情報を基に判断を行います。とくに海外から引っ越してきたばかりの人や、海外の会社の判断が難しいなどが問題となるケースが多いです。
賃貸経営で外国人が入居する際のトラブルとして、家賃滞納の問題があります。日本人でも家賃滞納のリスクはありますが、外国人の場合は連帯保証人を立てることができず、家賃を滞納したまま帰国してしまったという事例があります。
もしそのようなトラブルが起こった場合、契約解除の手続きに進めず、長期間次の入居者を募れないケースも。訴訟を起こす場合も労力や費用負担もかかるため、家賃滞納が起きたときのリスクについて考えておく必要があるでしょう。
賃貸経営で外国人が入居する際に注意したいのが、又貸しや転貸のトラブルです。なぜなら、海外では日本よりも住居を借りにくい環境のため、又貸しや転貸を当たり前のように行っているからです。
例えば、母国へ帰国中に空いた部屋を他の外国人の知り合いに貸すといった事例があります。そのため、入居前に契約違反になることを伝えたり、又貸しや転貸の際は報告したりするなどルールを作ることが重要です。
賃貸経営で外国人が入居する際のトラブルの1つが、部屋の使い方が汚い点です。理由としては、海外の人は家の中でも土足で過ごすことが基本だからです。
そのため、賃貸物件の床や畳などの劣化が早くなるケースがあります。外国人が入居する際は、土足厳禁であることを伝えたり、劣化した場合の修繕費の負担があることを追記したり、対策が必要になるでしょう。
賃貸経営で外国人が入居する際、外国人向けのリノベーションをして失敗した事例もあります。理由としては、外国人向けの改修工事をしなくても、現状のままで入居者を募ることができるからです。
海外の方は、家の機能性に多くを求めない傾向があるため、リノベーションしなくても入居するケースが多いです。ただし、現在の間取りの需要がない、シェアハウス形式にしたいといった場合にはリノベーションの必要性があるでしょう。
賃貸経営で外国人が入居する際は、長期的な不動産経営について考えられてない事例も少なくありません。入居者の対象を外国人にした場合、帰国や転勤などといった場合があり、入居率が下がるケースも考えられるためです。
そのため、入居者の対象は外国人だけに絞らず、日本人の入居者を基本とするなど、運用方法について考える必要があるでしょう。外国人の入居に限らず、賃貸経営を始める際は、空き家対策などさまざまなリスクを考えることが大切です。
外国人との賃貸経営で上記のようなトラブルを避けるためには、以下のような対処方法があります。
賃貸契約を交わしてしまった後だと、外国人を追い出すという行為は難しくなります。そのため、事前に行える対処方法を理解し、適切に対処できるように準備しておきましょう。
賃貸経営で外国人の入居トラブルを避けるためには、外国人でも読める張り紙やマニュアルを用意するのがおすすめ。理由としては、入居する外国人が読めるものを用意すれば、記載してある契約やルール等に対して「理解していなかった」と言い逃れできなくなるためです。
契約時にマニュアルの周知はもちろん、騒音の注意喚起、ゴミの出し方などについても外国語に対応したものを用意し、目に入りやすい場所に掲示しておきましょう。
賃貸経営で外国人の入居を検討している際は、まずは外国人のためにリフォーム・リノベーションを行うのはやめておきましょう。理由としては、外国人は日本人のように綺麗な物件や築浅物件を求める傾向ではなく、現状のままでも借り手が見つかることが多いからです。
ただし、希望の間取りでなかったり、水回りや床など生活できないレベルで痛んだりするケースは例外です。また、外国人にはシェアハウス形式の賃貸も人気なので、そうした物件へのリフォームなどは行う価値がありそうです。
外国人の入居トラブルを避けるためには、畳の部屋を作らないのも1つの手です。元々畳の部屋がある場合はそのままでもいいですが、新しく作る場合などは土足で生活する外国人の生活によって畳の劣化が早まってしまう可能性も考えられます。
現状畳がある賃貸の場合は、入居時に土足厳禁などといったルールを作ることも大切です。万が一、汚れや破損が見つかった場合には、退去時に修繕費の負担があることを追記しておきましょう。
賃貸経営で外国人の入居トラブルを回避するには、契約解除のルールを事前に設定しておきましょう。理由としては契約解除のルールを決めておくことで、家賃滞納などのトラブルが起きた際もスムーズに対処できるようになるためです。
例えば、家賃滞納が起きた際には、管理会社の催促→内容証明の郵送→裁判所への支払い催促の申し立て→訴訟などといった手順も契約書に記載しておきましょう。また、これらの契約書なども多国籍の書類を用意し、外国人入居者への理解を深めることも大切です。
賃貸経営で外国人の属性判断をする際は、どのようなビザをもっているか確認しましょう。なぜなら外国人が日本に滞在するためには、ビザが必要でどのようなビザを持っているかが入居審査の判断材料になるためです。
一番属性がいいビザは、永住ビザです。永住ビザは、10年以上日本に住んでいたり、5年以上就労ビザを維持していたりなどが条件となっています。また、安定した収入や資産があると証明できる場合も、永住ビザがもらえるケースもあります。
賃貸併用の二世帯住宅を建てるメリットは、以下の3つが挙げられます。
外国人の入居メリットを把握した上で、外国人の入居を受け入れるかどうか検討してみてください。
賃貸経営で外国人が入居すると、空室のリスクを減らせるのがメリット。理由としては、外国人を受け入れる賃貸物件は限られるため、受け入れてくれる賃貸に入居希望が殺到する傾向にあるからです。
日本では、外国人と賃貸契約するのを嫌がるオーナーも多いため、外国人のニーズを回収できれば満室経営も可能です。外国人対応の管理会社に相談するなどして、計画的に受け入れる準備を行いましょう。
外国人は、賃貸物件の外観や内装を日本人ほど気にしないのもメリットです。外国人は、日本人のように築浅物件やおしゃれな物件などを好む訳でもなく、経年劣化による汚れも日本人より気にしない傾向にあります。
理由としては、外国人の文化として古い家を大切にすることや、自分らしくリフォームを前提としていることが要因とされています。内装の汚れやシミなども、そのままの状態で受け入れてくれる場合も多いようです。
そのため、外国人の入居を考えている場合は、まずはそのままの状態で入居者を募ってみるとよいでしょう。
賃貸経営で外国人が入居する際のメリットは、外国人のコミュニティが強い点が挙げられます。日本に住む外国人は、とくに日本の外国人とのネットワークがあるため、外国人が住める賃貸物件としてコミュニティ内で口コミで広がることが多いです。
そのため、入居していた外国人が帰国する際でも、仲間からの紹介などで比較的早く入居者が見つかる傾向にあります。外国人の知り合いの入居が決まれば、退去時のクリーニング費用や修繕費なども問題なく支払ってくれる傾向にあるのもメリットでしょう。
賃貸経営で外国人が入居する前に、準備すべきことは以下の5つの通りです。
必要書類の用意やリサーチなど事前準備を行っておくことで、外国人の入居後のトラブルのリスクを軽減できます。
賃貸経営で外国人が入居する際は、空室リスクに備えることが重要なポイント。理由としては、さまざまな空室リスクに備えておくことで、安定的に賃貸経営が可能になるからです。
具体的には、以下のような方法で空室リスクに備えられます。
フリーレントとは、入居後1ヶ月から3ヶ月程度の一定期間、家賃が無料になる賃貸方式。アメリカや東南アジアではよくある賃貸方式で、引っ越しの初期費用を抑えられるのがメリットです。
基本的には2年程度の契約でフリーレントが終わった後に住み続けるのが条件のため、空室リスクを減らせます。入居者側にとっても初期費用を抑えられるため、オーナー側も入居者側にとってもメリットがある賃貸方式です。
また、一括借り上げは、会社や学校などにマンションの部屋を貸し出す賃貸方式。管理をすべて任せられて、外国人とのコミュニケーションが心配という方におすすめです。
一括借り上げにも種類があり、建物の一部を貸し出す方式、建物一棟を貸し出す方式、管理もすべて任せるサブリース契約方式、民宿事業を主体とした方式などがあります。賃貸物件のエリアや間取りによっても需要が異なるので、ハウスメーカーや不動産会社に相談して決めるのがよいでしょう。
賃貸経営で外国人が入居する際は、契約書や説明書を外国語対応にしておくこともポイントです。契約する外国人の母国の契約書を作ることで、認識の相違のリスクを軽減できます。
オーナー側の不安を減らすだけでなく、契約する外国人にとっても母国語の書類で契約するのは安心に繋がるでしょう。外国人との円滑な入居を目的に国土交通省でも「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」が作成されているので、参考にしてみてください。
参考:外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」(賃貸人、仲介業者・管理会社の方へ)|国土交通省
賃貸経営で外国人を視野にいれ入居を募る場合は、外国人対応可能な不動産会社と契約しましょう。理由としては、外国人の対応に慣れた不動産会社は、入居者募集や契約の段取りなどもスムーズに行えるためです。
また、外国人の賃貸経営のトラブルにも精通しており、万が一トラブルにあった際もサポートしてくれるでしょう。とくに外国語に強い担当者がいる、外国人への賃貸契約実績が多い会社など、複数の会社から話を聞いてみましょう。
賃貸経営で外国人の入居を目的とする場合、外国人に魅力的な付加価値を付けましょう。理由としては海外の賃貸物件は、家具付き物件が多いため、外国人のニーズが高まる可能性があるからです。
具体的には、ベッド・テーブル・タンス・ソファーなど、間取りに適した家具を用意しましょう。即日入居した場合でも、食事が食べられたり睡眠ができたりできる環境に備えておくと需要が高まります。
外国人の家賃滞納リスクを軽減させるためには、クレジットカード払いに対応しておくのがおすすめ。クレジットカードは、クレジットカード会社を通してお金のやり取りを行うため滞納リスクが低くなります。
外国籍の方は、母国の銀行口座をメインに資金を蓄えているケースが多く、クレジットカードの引き落とし先も母国の銀行口座に指定されている場合が多いです。しかし、クレジットカードで家賃の支払いができる不動産会社は少ないので、事前に下調べしておくことが大切です。
賃貸経営で外国人に入居してもらうためには、トラブル事例や注意点についてしっかりと把握しておく必要があります。それぞれの国籍によって生活ルールや文化が違うため、賃貸物件に住む住人全員が気持ちよく暮らせる環境づくりを行うことが大切です。
また、入居者は外国人だけを対象するのではなく、一般の日本人と外国人が入居することを前提に入居者を募集するのがよいでしょう。スムーズに外国人に入居してもらうためには、外国人の対応に精通した不動産会社やハウスメーカーを選ぶこともポイントです。
M-LINEは、賃貸経営で外国人が入居する物件の経験・実績があります。そのため、賃貸経営でスムーズに外国人に入居してもらうための知識やノウハウを提供させていただきます。
「賃貸物件の入居率をあげたい」「空室リスクに備えたい」など、どのような悩みでもぜひ一度ご相談ください。
2024/11/29
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