アパート経営赤字

アパート経営で赤字になったら?確定申告や損益通算の方法を解説

アパート経営で赤字になった際に「確定申告が必要?」「節税効果がある?」などと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

結論からいうと、アパート経営において確定申告が必要になるのは、アパート経営の所得の合計が年間20万円を超えた場合です。ただし、損益通算を行うと、不動産が赤字になった際に、その赤字所得を自分の本業の所得から差し引くことができるのが特徴です。

また、アパート経営は空室だらけといって赤字になるケースも少なく、健全なアパート経営ができていれば赤字になりにくいといわれています。

本記事では、アパート経営が赤字になりにくい理由や、アパート経営における損益通算について詳しく解説。アパート経営で赤字になった際の確定申告についても詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

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アパート経営は赤字になりにくい?理由を詳しく解説

アパート経営は赤字になりにくい?理由を詳しく解説

アパート経営は、赤字になりにくいという特徴があります。理由としては、アパートの空室率が全体の3割にならないと赤字になる可能性が低いためです。

家賃収入から減価償却費・固定資産税・保険料・仲介手数料等の必要経費を差し引いても、家賃収入の2割から4割程度が不動産所得となる場合が多いです。費用で多くを占めるのは、減価償却費で家賃収入の4割から5割程度の割合を占めます。

これからアパート経営を始める場合は、新築で魅力的な物件であることも多く、的外れな経営をしなければ空室率が3割以上になることは考えられないでしょう。一般的に良好なアパート経営ができていれば、空室率は5%程度なのでアパート経営は赤字になりにくいといわれているのです。

ただし、アパート経営においては、借入金の金額によってキャッシュフローが赤字になる場合があります。キャッシュフローとは手持ちの現金のことを指します。

借入金の利子は必要経費となりますが、元本返済額は必要経費とならないため、会計上は黒字であっても手元の資金がないという場合があるのです。さらに、借入金は会計上の損益として扱われず、収入金額となって課税されるため、返済額としては節税できません。

この場合は、アパート購入時に頭金を多く入れておくことで、キャッシュフローをプラスにすることができるでしょう。アパート経営においての節税には、現金の移動を伴なわない減価償却費という支出のない経費を利用するのがポイントです。

このようにアパート経営には、会計上の赤字とキャッシュフローの赤字の違いが非常に大切です。以下の章では、具体的な例を交えて、詳しく解説していきます。

アパート経営で赤字になるケース【3つの例】

アパート経営で赤字になるケース【3つの例】

アパート経営で赤字になるケースは、以下の3つが挙げられます。

とくにアパート経営を始めた初年度は、運用時期などによって赤字になりやすいです。空室だらけという場合の赤字は少なく、節税対策が上手くできていなかったり大きな支出があったりする場合が多くなっています。

まずはアパート経営で赤字になるケースについて確認してきましょう。

1.初年度は赤字になりやすい

アパート経営で赤字になりやすいのは、初年度です。なぜなら運用期間が短く、初年度は多くの経費が発生する場合が多いからです。

例えば、竣工日が11月1日だった場合、確定申告は1月~12月までの所得を計算するため、11月・12月と2ヶ月分の家賃収入しか得られないことになります。初年度は建物の不動産所得税・登録免許税・管理会社との契約金・仲介料などが発生します。

そのため、2ヶ月分の家賃収入よりも経費の方が上回ってしまう事例が多いのです。そのため、初年度は経費が多く発生するため、しっかりと入居者がいる状態でも赤字になりやすいのです。

2.外壁塗装などを行った場合

アパート経営において、初年度以外にも外壁塗装を行った年も赤字になりやすいです。理由としては、外壁塗装は1回で全額経費として計上ができる可能性があるからです。

例えば、建物や部屋の全戸数分などの大がかりなリフォームやリノベーションなどの修繕は、減価償却費として少しずつ経費計上を行います。しかし、建物の損傷した部分を修繕し、原状回復を目的として行われたもの、災害などの影響により損傷した部分の修繕をしたと外壁塗装明である場合には、一括で経費できる可能性があります。

そのため、1回で大きな金額を経費として計上できるため、その年で赤字になる場合も多いです。ただし、見た目が悪いなどの理由である場合は、一括計上が認められない可能性もあるので税理士に一括計上が可能かどうか確認するとよいでしょう。

参考:〔資本的支出と修繕費等〕|国税庁

3.青色申告の節税を活用できてない場合

アパート経営で赤字になるケースは、青色申告の節税を活用できていない場合もあります。理由としては、青色申告をした場合の方が、多くの節税効果があるからです。

確定申告は、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は、経費や売上を複式簿記で記帳しなければなりませんが、以下のようなメリットがあります。

一方で白色申告は、簡易帳簿といってシンプルな帳簿で事務作業が簡単なのがメリットです。しかし、青色申告をしている人と比べると節税効果が少なく、アパート経営で赤字になるケースもあります。

最近では、会計ソフトで比較的簡単に帳簿がつけられるようになってきたので、赤字に悩んでいる方はぜひ一度挑戦してみてください。ただし、青色申告を行う場合は、その年の3月15日までに青色申告の申告書を出す必要があります。

参考:No.2070 青色申告制度|国税庁

アパート経営における損益通算の意味

アパート経営における損益通算の意味

アパート経営における損益通算の意味を理解しておく必要があります。

損益通算とは、給与所得・利子所得・雑所得などの所得を合わせたものから、アパート経営の赤字分を差し引くことを指します。ここからは、本業の所得・不動産所得が赤字の2つに分けてアパート経営における損益通算の意味について解説します。

1.本業の所得

アパート経営の損益通算は、不動産が赤字になった際に、その赤字所得を自分の本業の所得から差し引くことを指します。

本業の所得とは、以下のような所得のことをいいます。

上記の所得を合わせた金額から、アパート経営の赤字分を差し引くことが損益通算です。次は、アパート経営の不動産所得の赤字について見ていきましょう。

2.不動産所得が赤字

アパート経営において不動産所得が赤字であるということは、家賃収入-経費がマイナスであることを指します。具体的には、毎月の家賃収入・更新料・敷金・礼金などから経費を引いた金額がマイナスである場合です。

また、経費に計上できるものとしては、減価償却費・修繕費・固定資産税・管理委託費・損害保険料・仲介手数料・保険料・借入金の返済などがあります。しかし、これらの経費のなかにも、手元の現金を減らさずに赤字を作れるのがポイント。

赤字には、会計上の赤字とキャッシュフローの赤字の2種類があります。会計上の赤字は、現金の移動を伴わない経費を計上するため、手元の現金を減らさず赤字を作れるのがメリットです。

具体的には、減価償却費という支出のない経費を計上することによって、手元の現金を減らさず節税できます。キャッシュフローをよくするためには、不動産収入から減価償却費以外の経費を最小限にし、減価償却費を多くすることで赤字額を大きくすることがポイントです。

家賃収入でキャッシュフローの黒字部分を得ながら、減価償却費の赤字で損益通算できるのがアパート経営を成功させるコツとなるのです。

アパート経営で損益通算するのは節税のためであることを知っておく

アパート経営で損益通算するのは節税のためであることを知ってお

アパート経営において、損益通算は、本業の所得金額や不動産所得の所得税・住民税を節税することが目的だと理解しておきましょう。課税金額を少なくするためには、手元の現金を減らさず減価償却費を利用して所得を下げることが大切となります。

例えば不動産所得が-1,500万円、本業の所得が3,000万円の場合、所得は1,500万円になり、所得税と住民税が節税となるのです。不動産所得で赤字を作るには、減価償却費の金額が大きく取れる物件を購入・建築するのがポイント。

つまり、不動産収入から減価償却費以外の経費・減価償却費を引いた金額を赤字にするということです。

赤字の金額を大きくする方法は、以下の3つの方法があります。

しかし、1以外の方法を取ると手元の現金を減らさなければならないため、アパート経営を安定させられません。そのため、支出を伴わない減価償却費で赤字を大きくさせ、節税をするのが重要です。

減価償却費の金額を大きくするには、初期のアパート購入時がポイントです。アパート経営においての減価償却費とは、アパート経営の際に使用する大きな資産の購入費用を、耐用年数で割って年ごとに計上する経費のことを指します。

つまり、アパートの購入費用や建築費用が減価償却費に該当します。ただし、土地代は価値が下がらないため、減価償却費として計上できないことを覚えておきましょう。

アパート経営で赤字になった際の確定申告は?

アパート経営で赤字になった際の確定申告は?

結論からいうとアパート経営で赤字になった際は、確定申告の義務はありません。理由としては、確定申告が必要になるのは給与以外の所得の合計が年間20万円を超えた場合だからです。

また、この所得とは給与所得以外に事業所得や雑所得があった場合、それらの所得も合算して20万円を超えたら確定申告が必要になります。この不動産所得は、不動産の家賃収入から修繕費・管理料・保険料などといった必要経費を差し引いた金額です。

例えば、家賃収入で月に15万の収入が合った場合、年間の家賃収入は150万円になります。修繕費や管理料などで年間130万円支出した場合は、所得は20万円となるため確定申告は不要です。

さらに、不動産所得は家賃収入だけでなく、以下の3つの所得もあります。

出典:No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

アパートの家賃収入以外にも、該当する所得がないか確認しておきましょう。

また、アパート経営で赤字になった場合でも、確定申告をすると損益通算で節税効果があります。理由としては、給与などの他の所得を損益通算を行うことで、所得税の節税効果があるからです。

損益通算は、本業の所得金額や不動産所得の所得税・住民税を節税することが目的です。例えば、給与の年収が500万円、アパート経営が100万円赤字だった場合、400万円のみの所得税が課税されます。

ただし、別荘の貸付、一定の組合経営に営まれる事業などは損益通算できないので注意しましょう。

また、20万円以上の不動産所得があるのにも関わらず、申告を忘れたり漏れがあったりする場合は追徴課税される場合があります。追徴課税は以下の3種類があるので覚えておきましょう。

重加算税とは、所得の隠ぺい、虚偽記載などを行った場合に課税される税金です。本来の納税額の35%、無申告で発覚した場合は45%追加で税金を支払う必要があります。

延滞税とは、遅れて申告した場合に課税される税金です。延滞した日数・納税額などによっても課税される金額が異なります。

ただし、延滞税は法定申告期限後1年経過してから修正申告または更生が合った場合、確定申告書を提出した後に減額更生がされ、その後さらに修正申告または更生があった場合などは延滞税の計算期間に含まないという特例があります。

また、過少申告税とは、確定申告後の税務署調査にて、申告内容に誤りがあった際にペナルティとして徴収される税金のことをいいます。20万円以上のアパート経営の所得がある場合は、正しく確定申告を行うように準備しておくことが重要です。。

出典:No.1370 法人税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)|国税庁

出典:No.1370 No.9205 延滞税について|国税庁

出典:No.1370 No.2026 確定申告を間違えたとき|国税庁

アパート経営におすすめの青色申告書の確定申告の方法は、以下の手順で行います。

「青色申告書は帳簿が大変そう」「赤字だと面倒なのでは?」と心配な方も多いでしょう。しかし、最近では簡単に決算書が作成できる会計ソフトや、地域での講習会などが定期的に行われています。

また、アパートの管理などを行っている不動産会社やハウスメーカーに相談してみるのもおすすめです。さまざまなアパート経営の管理や契約を行っているため、赤字の場合の確定申告の相談にも対応してくれるでしょう。

まとめ:アパート経営で赤字になったらM-LINEに相談!

まとめ:アパート経営で赤字になったらM-LINEに相談!

本記事ではアパート経営で赤字になった際に、確定申告が必要なのかや、アパート経営においての損益通算について解説しました。アパート経営においては空室だらけで赤字になるケースは少なく、良好なアパート経営ができていれば赤字になりにくいといわれている不動産経営の1つです。

しかし、初年度やリフォームなどの時期によっては、費用が嵩み、赤字になる場合も多いです。基本的にアパート経営の所得が20万以上でなければ、確定申告の必要はありません。

また、アパート経営の赤字を本業の所得と合わせて損益通算をすることによって、本業の所得金額や不動産所得の所得税・住民税を節税できます。アパート経営における損益通算を理解し、賢くアパート経営を行いましょう。

M-LINEでは、アパート経営で赤字になった際の確定申告や損益通算についての相談も承っています。「確定申告の書き方が分からない」「損益分岐点ってなに?」など、アパート経営についてのご相談なら一度ご相談ください。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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