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賃貸アパート・マンション経営に関わる経費を徹底解説

2024/6/26(水)

賃貸アパート・マンションを経営を行う際、管理費・固定資産税・修繕費・損害保険料・接待交通費などさまざまな費用がかかります。しかし「経費になるのか分からない」と悩む項目も多いでしょう。

賃貸経営において管理費・固定資産税・修繕費・損害保険料・接待交通費などが経費計上できます。ただし、物件の購入代金・不動産購入時の仲介手数料など、一見経費として落ちそうな項目も経費にならないものもあるため注意が必要です。

そこで本記事では、賃貸アパート・マンション経営を行う際に経費計上できる費用や、逆にできない費用について徹底解説します。賃貸アパート・マンション経営の確定申告でしっかりと経費計上し、節税効果が得られるように準備しましょう。

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賃貸アパート・マンション経営に関わる経費【13つをピックアップ】

賃貸アパート・マンション経営に関わる経費【13つをピックアップ】

賃貸アパート・マンション経営に関わる経費は以下の通りです。

賃貸アパート・マンション経営をしている方は、どこまで経費にできるのか気になっている方も多いでしょう。経費として認められるのは、事業用として使われている経費となります。

必要経費は税務調査や確定申告の際にチェックされるため、経費かどうかの判断に迷った際は、税理士に相談するのが確実でしょう。

1.減価償却費

賃貸アパート経営やマンション経営においての減価償却費とは、備品や建物など経年によって価値が変わる固定資産に対して計上できる経費です。減価償却費は、国が定める耐用年数に応じて、分割して毎年の経費を計上します。

国で定められた法定耐用年数は、下記の通りです。

建物の種類 耐用年数
鉄骨造 30年
軽量鉄骨造 19年
木造 22年

出典:耐用年数(建物/建物附属設備)|国税庁

例えば、木造のアパートを購入した場合、22年間を行い、毎年少しずつ経費として計上が可能です。また、事業用として使う車も経費計上できます。

賃貸アパートやマンション経営で自動車を経費として計上する場合は、物件を行き来する際や不動産管理業者との打ち合わせの際に使用する車などが該当します。ただし、プライベートの生活において同じ車を使用している場合には、プライベートと事業用の按分割合で計上する必要があるので注意が必要です。

例えば車を購入し、週5日は事業用として使用、週末はプライベート用として使用している場合について見ていきましょう。

この場合の事業用としての使用頻度は7分の5になるため、約7割近くを経費として計上できます。自動車本体価格以外にも付属品・納車費用・中古車の未経過自動車税・中古車の未経過自賠責保険など、さまざまな経費も車の取得価格に含まれるため一緒に経費計上可能です。

また、カーリースを利用する場合は、購入した年に全額経費として計上できます。理由としては、カーリースはカーリース会社に保有権があるため、固定資産として扱われないためです。

カーリースは、自動車税や保険料などさまざまな費用が含まれているため、経費精算の手間が少ないメリットがあります。

2.固定資産税・都市計画税

アパート経営やマンション経営の固定資産税は、土地や建物を保有することでかかる税金です。固定資産税は、毎年1月1日時点で不動産所有者に対して課せられるため、アパートやマンションを所有している不動産経営者は経費として計上できます。

都市計画税とは、市街地区域内の土地や建物を所有している人に課せられる税金です。都市計画税もアパートやマンションを所有していることで課せられる税金のため、経費計上が可能です。

また、固定資産税と都市計画税は国や自治体で軽減措置が受けられる場合があるので、賢く節税を行いましょう。

出典:固定資産税・都市計画税(土地・家屋)|東京都主税局

3.修繕費・修繕積立金

賃貸アパートやマンション経営では、建物の修繕のためにかかった修繕費や、修繕に備えて定期的に積み立てる修繕積立金も経費計上可能です。例えば、外壁のペンキの塗り替え・退去時のクリーニング代・トイレやキッチン周りの修理などが挙げられます。

ただし、アパートやマンションの修繕費のうち、屋根の張り替え・耐震補強・防水加工などは経費として計上できないので注意が必要です。理由としては、建物本体や設備の価値を高めたり使用期間を延長したりする資本的支出にあたるためです。

上記の資本的支出に当たる場合は、修繕した後の設備や建物の耐用年数に応じて減価償却し、経費として計上する形になります。修繕費の判断が難しい場合は、税理士に相談し、適切に処理を行うようにしましょう。

4.租税公課

賃貸アパートやマンション経営では、不動産所得税・事業税・登録免許税・印紙税・事業用の車の自動車税などの税金も経費として計上が可能です。勘定科目は租税公課として処理します。

注意したいのが、プライベートでかかった税金や所得税・法人税については経費として計上できない点です。賃貸アパートやマンション経営に直接関わる税金のみを経費計上するようにしましょう。

5.管理費

賃貸アパートやマンション経営でかかった管理費も経費として計上可能です。これらの管理費は、アパート経営やマンション経営を行う上で必要な経費だからです。

管理会社への委託費用・清掃会社の費用・入居者の募集費用・保守管理費用などが挙げられます。

6.損害保険料

賃貸アパートやマンション経営は、保有している不動産の火災保険や地震保険などの損害保険料も経費として計上できます。

ただし、1年ごとに契約している保険であれば全額経費として計上できますが、数年単位で契約している場合は、年単位の保険料を経費として計上する必要があるので注意しましょう。

7.通信費

賃貸アパートやマンション経営において、電話通信料・郵送代・インターネット料金なども通信費として計上可能です。ただし、通信費も事業用で使われている費用のみを計上する形となります。

そのため、プライベート用でも使用している費用に関しては、按分割合で計上する必要があるので注意しましょう。

8.借入金利息

賃貸アパートやマンション経営で借入金(アパートローンなど)がある場合には、借入金の利息を経費として計上できます。

ただし、借入金の元本の返済金や、土地購入分の利息は経費として計上できません。

9.消耗品費

賃貸アパートやマンション経営では、消耗品費も経費計上できます。賃貸アパート・マンション経営においても消耗品は、内装や外観を撮影するためのカメラや、書類を印刷するプリンター、その他事務用品などが挙げられます。

ただし、10万円以上の場合は、減価償却費として経費処理する必要があるので注意が必要です。

10.接待交際費

賃貸アパートやマンション経営では、接待交際費も経費計上が可能です。例えば、税理士や管理会社での打ち合わせなどで利用した飲食費、お中元やお歳暮などの費用も接待交際費で処理できます。

接待交際費も他の経費と同じく、事業用で必要な費用のみが経費計上が可能です。プライベートの飲食代や身内に贈るお中元などを経費として計上しないようにしましょう。

11.新聞図書費

賃貸アパートやマンション経営では、新聞図書費として書籍・新聞・雑誌などを必要経費として計上できます。例えば、不動産経営に役立つ書籍や、確定申告などの参考書など、事業に関わるものが挙げられます。

12.交通費

賃貸アパートやマンション経営のために利用した交通費は、経費として計上できます。例えば、保有するアパートに向かうための交通費や、不動産に関わるセミナーなどに参加するための交通費などが該当します。

また、車で移動した際も、事業用で移動した際に使ったガソリン・高速料金・駐車場代も交通費として計上可能です。事業用で購入した車であれば、さらに車検費用・自動車保険料・自動車税も経費にできるのがメリットです。

13.その他

上記で挙げた経費以外にも、以下のようなさまざまな費用が経費として計上可能です。

基本的には、賃貸アパートやマンション経営に関わる費用と明確に分かるものが経費として計上できます。

「どこまでが経費か分からない」「計上の仕方が分からない」という場合には、税理士などの専門家に相談して正しく処理を行うことが大切です。


賃貸アパート・マンション経営で節税可能な4つの税金

賃貸アパート・マンション経営で節税可能な4つの税金

賃貸アパート・マンション経営では、以下の4つの税金が節税可能です。

しっかりと税金について理解しておくことで、支払う税金の負担が軽減できます。

1.所得税

賃貸アパート・マンション経営でかかる経費を申告することで、所得税を節税できます。理由としては、減価償却費や保険料などの経費を損益通算して所得を圧縮できるからです。

所得税の税額控除額は、課税所得によって変化します。事業の課税所得の計算方法は以下の通りです。

総収入金額-必要経費=事業所得の金額

特に減価償却費は、価格が大きいため、節税効果も大きくなります。減価償却費を1度に経費計上してしまうと、最初の年に赤字が出てしまうため、何年にも渡って計上する必要があります。アパートやマンションの購入費などの減価償却費が大きければ大きいほどより所得を圧縮でき、節税効果を高められるでしょう。

出典:No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)|国税庁

2.固定資産税

賃貸アパート・マンション経営にかかる固定資産税も節税できるのがメリット。なぜなら、事業用として使用する土地・家屋などの固定資産税は、必要経費として認められているからです。

固定資産税は、不動産経営においては必要な税金となるため、忘れずに経費計上を行い、節税をしましょう。

出典:No.2215 固定資産税、登録免許税又は不動産取得税を支払った場合|国税庁

3.住民税

賃貸アパート・マンション経営では、所得税と同じく、住民税の節税ができる可能性があります。理由としては、オーナーの不動産以外の所得から赤字分を損益通算することが、住民税の課税額を圧縮できるためです。

アパートやマンションの家賃収入より必要経費が上回ってしまった場合は、青色申告などの確定申告で適切に申告する必要があります。

出典:No.2250 損益通算|国税庁

4.相続税

相続した現金や銀行預金を利用して不動産経営を始めると、相続税が節税できる可能性もあります。なぜなら、現金や銀行預金で相続するよりも、不動産で相続した方が相続税の負担が低くなるからです。

相続税の課税金額は、非相続者が保有している財産の相続税評価額で計算されます。例えば、相続する財産が現金1億円だった場合、相続税評価額はそのままの1億円で課税されます。

しかし、土地や家屋などの1億円相当の不動産を相続した場合、相続税評価額から軽減措置が受けられる可能性があるため、課せられる税率が低くなります。例えば、賃貸物件として利用している場合や、小規模宅地の特例が利用できるケースです。

また、土地や建物を貸し出している場合、貸家建付地となるため、借地権や賃貸割合などが評価額から控除されます。相続税評価額は以下の通りになります。

貸家建付地の価額= 自用地としての価額-自用地としての価額×借地権割合×借家権割合×賃貸割合

さらに、小規模宅地の特例による評価額の減額が適用できる場合もあります。小規模宅地の特例による相続税の減額については以下の通りです。

相続開始直前の宅地の利用区分 要件 限度面積 減額される割合
被相続人等の貸付事業用の宅地等 貸付事業用宅地等に該当する宅地等 200㎡ 50%

出典:相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)|国税庁

遺産を相続する際は、不動産として相続し、課税額を節税することも視野に入れておくとよいでしょう。

出典:No.4614 貸家建付地の評価

賃貸アパート・マンション経営で経費として落とせない4つの項目

賃貸アパート・マンション経営で経費として落とせない4つの項目

賃貸アパート・マンション経営で経費として落とせない項目は以下4つです。

上記の4つの支出は、経費として計上できないので、その理由や注意点を把握しておきましょう。

1.物件の購入代金

賃貸アパート・マンション経営において、物件(不動産)の購入代金は経費として計上できません。理由としては、物件の代金は、貸借対照表の資産に該当し、資本的支出となるので経費計上ができないためです。

例えば、アパートローンの頭金・ローンの元本部分は、借りたお金を返しているだけなので経費として計上できません。物件の購入代金は前述の通り、減価償却費として耐用年数で配分し、経費計上が必要です。

出典:No.2100 減価償却のあらまし|国税庁

2.仲介手数料(不動産介入などの場合)

賃貸アパート・マンション経営は、不動産購入時の仲介手数料も経費として計上できません。なぜなら、不動産購入時の仲介手数料は費用ではなく、アパート・マンションの購入費用の一部として、購入代金と合算するためです。

また、アパートやマンションの仲介手数料の上限は、宅建業法46条で「物件の売買価格×3.3%+6.6万円(税込)※売買価格が400万円を超える場合」と定められています。そのため、不動産購入時の仲介手数料は高額になり、物件の購入代金と同様、資本的支出の一部となります。

出典:不動産相談|公益財団法人不動産流通推進センター

3.団体信用生命保険特約料

賃貸アパート・マンション経営の団体信用生命保険特約料は、個人事業主など個人の場合は経費計上できません。理由としては、団体信用生命保険料への加入は、個人の身の危険があった際への備えとみなされるためです。

団体信用生命保険特約料とは、団体信用生命保険(略:団信)に加入した際に、特約料という形で毎月の掛け金に上乗せして支払うものです。アパートやマンションのローンの残高等と特約料率によって算出した額となります。

また、個人の確定申告の際に受けられる生命保険料控除にも該当しないため、注意が必要です。

賃貸アパート・マンション経営の団体信用生命保険特約料は、団体の場合は事業上の経費として計上できます。保険金で債務の弁済を受けた場合、その法人の利益となります。

出典:特約料について|住宅金融支援機構

4.固定資産税精算金

賃貸アパート経営・マンション経営では、固定資産税精算金も経費計上できません。固定資産税精算金とは、その年の固定資産税を購入後の所有日数分だけ負担するお金のことをいいます。

経費計上できない理由としては、固定資産清算金は物件の売買価格へ上乗せする形となり、資本的支出の一部となるためです。税金調整のためのやり取りとなりますが、経費としては認められないので注意しましょう。

出典:賃貸不動産の売買における固定資産税精算金の取扱いについて|公益社団法人全日本不動産教会

最後に:賃貸アパート・マンション経営に関する経費のことはM-LINEに相談!

最後に:賃貸アパート・マンション経営に関する経費のことはM-LINEに相談!

賃貸アパートやマンション経営では、減価償却費・固定資産税・接待交通費・交通費・管理費・修繕費などさまざまな費用が経費計上できます。適切に経費計上を行えば年間経費率が上がり、節税効果が得られます。

しかし、経費にできないものや、按分などで経費計上が難しい費用も多いため、適切に経費処理を行うためには、専門家のアドバイスを受けるのがおすすめです。

M-LINEでは、賃貸経営における経費の相談も承っているので、ご気軽にご相談ください。

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この記事を読んで、質問やご相談などがありましたらまずはM-LINEまでご連絡ください。

他にはない、施工事例のご紹介やお客様に沿ったご提案をさせていただきます。

 

執筆者情報

館山

館山

不動産管理会社の知識を活かしながら、フリーランスのライターとして活動をしています。

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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