小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
住み心地を大きく左右する要素の一つに「間取り」が挙げられます。
家の購入で後悔しないためには、購入前に間取りについてしっかりと確認することが欠かせません。また、間取りについての基本的な知識を身につけておくことも大切です。
そこで本記事では、東京に住む際におすすめの間取りを紹介します。住宅を購入する前に知っておきたい良い間取りや悪い間取り例、注意すべき間取りのポイントもまとめています。
これから東京での住宅購入を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
東京でマンション購入を検討する際に、知っておきたい良い間取り例を3つ紹介します。
順に詳しく解説していきます。
広いバルコニーがある間取りは人気が高く、多くの方の憧れです。
広いバルコニーの最大の魅力は、東京のマンションでも開放的に暮らせることでしょう。高層階であれば、カーテンを開けて採光をたっぷり取り入れることができます。また、庭がなくても家庭菜園をしたり外ごはんやコーヒータイムを楽しんだりすることも可能です。
最近のバルコニーにはシンクや水栓が備えつけられていることが多く、靴やアウトドア用品を洗う、植物の水やりをする、ミニプールをするなど、多目的に使用できる点も魅力です。
ワイドスパンな間取りにも注目です。ワイドスパンとは、建物の間取りにおいて横幅(スパン)が広く設計されていることをいいます。
ワイドスパンの間取りでは窓の数が多く、面積も広いので、自然光が部屋全体に行き渡りやすくなります。窓を開けることで風通しが良くなり、快適な空間を保ちやすいこともメリットでしょう。眺望が良い部屋であれば、大きな窓は特に嬉しいポイントです。
さらに、ワイドスパンな間取りは全居室が横並びになっていることも少なくありません。全室に大きな窓が設置できるため、すべての部屋に自然光が入り、明るく開放的な空間が作られます。
ワイドスパンは特に都市部のマンションなどで人気が高く、快適な住環境を提供する要素の一つとされています。
将来的に売却する可能性がある場合は、売却しやすい間取りを把握しておくことも重要です。
売却しやすい間取りとは、そのエリアのニーズに合った間取りを指します。たとえば、ファミリー層が多いエリアでは、3LDK以上の広めの間取りが人気を集めやすいです。一方、都市部の中心エリアでは、1LDKや2LDKなどのコンパクトな間取りが単身者や共働き夫婦に支持され、売却しやすい傾向があります。
マンションを購入する際には、その地域に多い世帯のタイプや、どのような間取りのニーズが高いのかを調査することが大切です。
個人での判断が難しい場合は、不動産の専門家に相談することで、地域の市場動向や将来的な売却時のアドバイスを受けることができ、より確実な購入判断が可能になります。
東京のマンション購入を検討する際は、悪い間取りについて把握しておくことも大切です。慎重に検討すべき間取りには、以下の3つが挙げられます。
マンション選びで後悔しないためにも、ぜひ読み進めてみましょう。
サービスルームのある間取りには注意が必要です。
サービスルームとは、建築基準法で定められた採光や換気の要件を満たしていないため、正式な「部屋」としては扱われないスペースのことを指します。窓がない、窓が小さい、または北向きで十分な自然光が入らないなどの特徴があります。
サービスルームは間取り図で「S」として表記されることが多いです。たとえば、3部屋の個室がある物件の場合、すべての部屋が居室として認められれば「3LDK」となりますが、同じ広さや部屋数であっても、1部屋がサービスルームの場合は「2LDK+S」と表記されます。
特にファミリー層が多いエリアでは、部屋数を確保するために非常に狭い部屋をサービスルームとして設けているケースが少なくありません。しかし、サービスルームはコンセントや空調などの設備が不十分であることが多く、そのままでは居室として使用するのが難しい場合があります。また、日当たりが悪く、湿気がたまりやすいことでカビや虫が発生しやすい点もデメリットです。
とはいえ、サービスルームがある物件は、同じ広さの一般的な物件と比べて価格が低く設定されているため、コスト面ではメリットがあります。デメリットを理解したうえで、自分のライフスタイルに合った活用方法が見つかればお得なマンションともいえるでしょう。
バルコニーの前方に他の住戸の窓や廊下、バルコニーがあるような物件も、慎重に検討する必要があります。
たとえば、バルコニーの正面に他の住戸や廊下がある場合、外からの視線が気になり、プライバシーが確保しにくく感じることがあります。また、窓を開けている際に他の住戸からの音や、廊下を通る人の声が聞こえやすくなり、騒音が気になることも考えられるでしょう。
さらに、対面に建物や廊下があることで、バルコニーからの眺望が遮られたり、日当たりが悪くなったりする可能性も否定できません。
共用の廊下に部屋が面している間取りは、防犯性やプライバシーを重視する方は慎重に検討する必要があります。
共用の廊下に面していることで、他の住戸の住人が廊下を通る際に、ドアの前や窓から室内が見えやすくなります。また、共用の廊下を通る人の声や音が、室内まで聞こえてくる可能性もあるでしょう。
続いて、東京の住宅購入を検討する際にチェックしておきたい間取りのポイントを5つ紹介します。
上記の項目は長く快適に暮らせるかどうかに関わる大切なポイントです。順に解説します。
1つ目のポイントは、動線の良さです。
動線とは、家の中を移動する経路を線で示したものです。動線が優れている家では、移動や家事をスムーズに進められるので、毎日の負担を大幅に軽減できることがメリットです。
動線には様々なパターンがありますが、注目すべき点は主に以下の7つです。
洗濯動線 | 「洗濯→干す→たたむ→収納する」流れをスムーズにする |
掃除動線 | 「掃除用具を取り出す→掃除する→ゴミを捨てる」流れをスムーズにする |
買い物動線 | 玄関から買ったものを収納するまでの流れをスムーズにする |
ゴミ出し動線 | 「各部屋のゴミを集める→収集場所に出す」流れをスムーズにする |
料理動線 | 「調理する→配膳する→片付ける」流れをスムーズにする |
衛生動線 | 手洗い場やトイレ、浴室へ行くための移動をスムーズにする |
来客動線 | お客様の移動をスムーズにする |
間取りを見る際は、これらの導線がしっかりと確保できているか確認することが大切です。実際に自分の移動や家事パターンに合わせて、スムーズな動線なのかシミュレーションしてみると判断しやすいでしょう。
たとえば、料理中に洗濯もしたい場合、キッチンの横にランドリールームが設置されていれば、最短距離で行き来ができ、家事を同時に進めやすくなります。もしキッチンとランドリーが離れていれば、移動時間が増えて家事の効率が下がるでしょう。
気に入った住宅が見つかったら、間取りの図面を見ながら実際の生活をシミュレーションし、自分や家族にとってスムーズな動線なのかを確認しましょう。
2つ目のポイントは、プライベート空間がしっかり確保できるかどうかを確認することです。
プライベート空間には主に2つの種類があります。一つは外部からの視線や干渉から守るためのプライベート、もう一つは家族の各メンバーがそれぞれ持つプライベート空間です。長く快適に暮らすためには、両方のプライベート空間を確保していることが重要です。
まず、外からの視線を遮るためには窓の位置やサイズなどがポイントになります。たとえば、通行人の多い道側の窓が高い位置についていれば、通行人からの視線を気にせずに窓を開けることが可能です。
また、子供を外で遊ばせたいと考えている場合は、中庭があることで外の自然を感じながらもプライベート空間を確保できます。リビングが2階に配置された住宅は、外からの視線を気にせずに開放的に暮らしたい方に人気の間取りです。
東京は地方に比べて人口密度が高いため、外からの視線を遮りプライバシーを確保できているか確認することは欠かせません。
さらに、家族それぞれのプライベート空間があることも重要です。特に、子供が成長した際に一人でゆっくり過ごせるスペースがあると、自宅がより快適な空間に感じられるでしょう。
家族それぞれの居場所が確保できる間取りを考慮することで、より快適な生活空間を実現できるでしょう。
3つ目のポイントは収納スペースが十分にあるかチェックすることです。収納が不足している間取りでは整理整頓が難しく、部屋が散らかりやすくなります。
収納は、大型収納と小型収納の両方が備わっていることが重要です。大型収納は、季節用品やスーツケースなど、特定の時期にしか使わないものを保管するのに便利です。一方、小型収納は、文房具や貴重品など、よく使うものを保管するのに役立ちます。各部屋に小型収納があると、部屋をすっきりと整理しやすくなるのでおすすめです。
また、玄関の収納スペースもしっかりと確認しましょう。玄関の収納が不足していると、子供の遊具や靴が散乱し乱雑な印象になりやすいです。
十分な収納スペースがあるか検討する際には、家族の人数や趣味を考慮し、何をどれくらい収納するのかを具体的に計画することがコツです。
4つ目のポイントは、生活音に配慮された間取りかどうかを確認することです。
生活音が伝わりやすい間取りでは、就寝時にリビングのテレビの音が聞こえたり、シャワーの音や廊下を歩く音が響いたりといった騒音問題が発生し、ストレスが溜まる要因になりかねません。
音に配慮された間取りの特徴として、部屋と部屋の間にクローゼットや廊下が設けられていることが挙げられます。
生活音に配慮された間取りであれば、より快適で落ち着いた住環境を実現できます。
最後のポイントは日常を楽しめるスペースがあるかという点です。生活の快適さや便利さだけではなく、楽しさも重視することで、より豊かな暮らしを実現できるでしょう。
たとえば、ゆっくりと本を読める書斎があると、静かで落ち着いた空間で読書を楽しむことができます。ほかにも趣味を楽しむホビールームのある間取りやペットと暮らしやすい間取り、映画鑑賞ができるシアタールームのある間取りなどが挙げられます。
また、のんびり過ごすことが好きな家庭であれば、家族全員が寝転んで思い思いの時間を過ごせる広い和室やファミリールームがあると良いでしょう。
日常を楽しめる空間があれば、家族全員にとって居心地の良い住まいが実現できます。
最後に、東京で住宅を購入する際に気をつけるべき3つのポイントを紹介します。
順に解説していきます。
住宅の周辺環境は、生活の便利さに大きく影響します。どんなに理想的な住宅でも、周辺の環境がよくない場合は、快適な暮らしを実現することが難しくなります。
周辺の環境を考える際は、以下のポイントに特に注意しましょう。
治安 | ・犯罪発生率や警察の巡回状況などを確認 ・夜間の街灯の多さや明るさを確認 |
利便性 | ・アクセスが良く、通勤や通学がスムーズにできるか確認 ・周辺に病院や学校、保育所などの施設が揃っているか確認 |
騒音・振動問題 | ・交通量や周囲の商業施設、工場などの騒音源を確認し、日常生活に影響がないかを調査 ・鉄道や道路などからの振動が住宅に影響を与えないか確認 |
周辺環境は昼と夜、平日と週末で様子が異なることがあります。平日の昼間は落ち着いていても、夜や週末に人通りが増え、治安に不安が生じる可能性もあります。環境を確認する際は、時間帯や曜日を変えて複数回調査することが望ましいです。
眺望や日当たりも居住空間の快適さに直接影響するので、購入前には慎重に調査することが重要です。
バルコニーや窓からの眺めが良いか、十分な自然光が入るかを確認し、長期的に快適に暮らせるかどうかを考慮しましょう。また、周辺に高い建物が建つ予定がないかも確認しておくと安心です。東京のように人口密度の高いエリアでは、眺望や日当たりに関するトラブルが発生しやすいです。
購入を検討する際には実際に物件を訪問し、異なる時間帯に眺望や日当たりの状態を確認することをおすすめします。晴れた日と曇りの日、午前と午後での状況をチェックし、季節による変化も考慮するとより確実です。
住宅購入にあたっては、資金計画もとても重要です。購入価格だけでなく、諸費用やローンの返済計画を含めた総合的な資金計画を綿密に立てる必要があります。
特に注意が必要なのは、理想の物件を探しているうちに、当初設定した予算が徐々に上がってしまうことです。東京には多くの魅力的な物件があり、理想を追い求めすぎると予算が膨らむ可能性があります。物件を選ぶ際には予算上限を設定し、その範囲内で物件を探すことが大切です。
また、ローンの支払いプランも重要なポイントです。収入の安定性と生活費を考慮し、無理なく支払える毎月の返済額を明確にする必要があります。将来的な収入の安定性や住宅ローン以外の生活費、他の借入れの返済も含めた全体のバランスを考えることが重要です。
間取りは、長く快適に暮らすうえで非常に重要な要素です。東京のように人口密度が高く、住宅が密集しているエリアでは、間取りによってプライバシーが確保されていなかったり、日当たりが悪かったり、騒音が気になったりなどのトラブルが発生する可能性があります。
住宅購入を検討している方は、本記事を参考にして自分に最適な間取りを見つけることが大切です。
また、理想の住環境を実現するためには、専門家に相談するのが効果的です。「自分のライフスタイルに合った間取りは?」「4人家族に最適な間取りは?」などの疑問がある方は、ぜひM-LINEにご相談ください。
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2024/11/29
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