小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
この記事では、東京の建て替え助成金制度について紹介します。
東京で住宅建て替え制度は、たくさんあり、どれが自分に当てはまるのか分からないですよね。
また、内容も煩雑で助成金額の計算方法や申請方法も複雑です。
しかし、一つひとつ丁寧に見ていけば、簡単に助成金を受け取ることができます。そして、住宅環境も良くなって一石二鳥です。
ここから助成金の制度をはじめ、助成金の受け取り方まで丁寧に記載しているので、ぜひ参考にしてください。
東京都には住宅建て替え助成制度がたくさんあります。
今回は以下の7つの助成制度について解説していきます。
これらの助成制度は、東京都における住宅の防災性や環境性能を向上させるための取り組みです。各制度ごとに対象者や助成金額が異なるため、該当するものを確認して、最適な支援を受けることが重要です。
順に説明していきますので、自分が対象者かどうか、助成金額はいくらかなどを確認しながら読み進めてください。
東京都の木造住宅建替え助成制度は、1981年5月31日以前に建築された耐震性の不十分な木造住宅を対象に、建替えや除却に関する助成が提供されています。
助成金額は地域や住宅の条件に応じて異なり、防火地域や緊急輸送道路沿道では最大400万円の助成が受けられる場合もあります。
例えば中野区の木造住宅建替え等助成は、除却工事助成か建替え工事助成のどちらかを選択することが可能です。
除却工事助成金は以下の3つから最も少ない金額に地域の助成率を掛け合わせたものが助成金額として算出されます。
また、建替え工事助成金は、以下の2つでどちらか少ない金額に地域の助成率を掛け合わせたものが助成金額として算出されます。
除却工事助成金も建替え工事助成金も、それぞれ限度額も定められていることには注意してください。
各自治体で助成内容や申請手続きが異なるため、詳細はお住まいの各市区町村のホームページを確認してみてくださいね。
参考:木造住宅の耐震化を支援します(昭和56年5月31日までに着工した木造住宅)|世田谷区
「既存住宅省エネ改修促進事業」とは、2030年までに温室効果ガス排出量を50%削減するというカーボンハーフを実現するため、お住まいの住宅の「省エネ診断」と「省エネ設計」に要する費用を負担してくれる制度です。
受付期間は、令和6年5月22日から令和7年1月17日までです。なお、省エネ改修については既存住宅省エネ改修促進事業では助成の対象外ですので、注意してください。
対象者は、以下のようになっています。
省エネ診断の補助率は2/3になっており、1戸につき17万円が限度額として定められています。省エネ設計では、省エネ基準適合の補助率が2/5でZEH水準適合が4/5となっています。限度額は1戸につき、それぞれ18万円と36万円です。
東京都の「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」とは、省エネで、災害に強く、身体にも優しい断熱・太陽光住宅の普及を目的とした住宅建て替え助成金です。
高断熱窓・ドアへの改修や、蓄電池、太陽光発電設備やエコキュート・ハイブリッド給湯器、V2Hなど設置にかかる費用を東京都が負担してくれます。
ただ、申請受付窓口が設備によって異なるので、注意してください。
補助項目によって、補助率や限度額が異なります。例えば、高断熱窓の補助率は1/3で、限度額が100万円です。また、高断熱ドアは補助率が1/3で、限度額が16万円です。
「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」の申請期間は、令和6年5月31日から令和7年3月31日までとなっています。
「災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業」は電子申請が可能です。電子申請では、受付と審査状況をWeb上で確認することができます。
また、交付決定通知書の電子通知も行なっており、オンラインで完結します。紙申請も可能ですが、電子申請よりも手続きに時間がかかるので注意してください。
自宅を省エネで、災害に強く、身体にも優しい断熱・太陽光住宅への改修に興味がある方は、ぜひ申し込んでみることをおすすめします。
参考:災害にも強く健康にも資する断熱・太陽光住宅普及拡大事業|環境局
「マンション建替え等に伴う助成制度(都市居住再生促進事業)」は、東京都が進める防災性向上や良質な住宅供給の促進を目的とした住宅建て替え助成制度です。
2人以上の敷地を共同で利用し、新たに共同住宅を建設する方や、老朽化したマンションを建て替える方が対象者です。
条件は、共同化タイプ、マンション建て替えタイプ、既存ストック再生タイプでそれぞれ異なっています。対象者で、この制度の利用を考えている方は、お住まいの市区町村の公式サイトを確認してください。
また、助成金の限度額もそれぞれ異なっていますが、共同化タイプなら1戸につき最大で300万円まで補助してくれます。
なお、「マンション建替え等に伴う助成制度(都市居住再生促進事業)」の窓口は、東京都住宅政策本部民間住宅部マンション課マンション建替え支援担当です。
参考:マンション建替え等に伴う助成制度(都市居住再生促進事業)|東京都マンションポータルサイト
東京都の耐震化促進事業はさまざまな助成が提供されています。耐震化促進事業とは各区市町村において、耐震診断、耐震改修などに要する費用の一部を助成する制度のことです。
耐震化促進事業は以下の5つに分けられています。
例えば、千代田区の木造助成では診断・改修・除却は補助の対象ですが、補強設計・建替は対象外となります。また、マンション助成では診断・補強設計・改修・建替・アドバイザー全てが補助の対象です。さらに、シェルター助成もあります。
また、住宅やマンションだけでなく、病院や学校、社会福祉施設、商店街のアーケードなども耐震化助成制度の対象です。
それぞれの市区町村ごとに、助成金が出る項目が異なるため、お住まいの市区町村のホームページを確認してください。
不燃化特区制度とは、東京のJR山手線外周部などの木造住宅密集地域の火災防止を進める制度です。
この不燃化特区と呼ばれる地域では、首都直下地震が発生した際に大規模地震火災による甚大な被害が予想されています。
支援制度としては、主に以下の3種類です。
専門家の派遣では、老朽化したご自宅の除却や建替などについての相談を弁護士・税理士・不動産鑑定士・建築士・無接道敷地対策コーディネーターなどの専門家にすることができます。
老朽建築物除却費の助成と建築設計費・工事費等の助成では、要件を満たす場合は、固定資産税と都市計画税の減免を最大で5年間を受けることができるのが嬉しいポイント。
支援制度の細かな内容や助成金の限度額などは各区で異なっています。詳しくはお住まいの区の建築防災課やまちづくり推進課にお電話でお問い合わせください。
空き家等の利活用等区市町村支援事業とは、東京都で計画的な空き家の利活用等を推進するための助成事業です。
空き家利活用等区市町村支援事業(基本型・企画提案型)・先駆的空き家対策東京モデル支援事業【チャレンジ型】・エリアリノベーション推進支援事業の3つがあります。
空き家利活用等区市町村支援事業(基本型・企画提案型)では、基本型と企画提案型の2つに分かれており、基本型ではさらに以下の10点の補助メニューがあります。
例えば、「公的跡地活用を目的とした老朽空き家又は不良住宅の除却等及び跡地整備」は、「老朽空き家を除却した跡地を、土地の使用貸借契約等に基づいて、区市町村が公的に活用すること。」と定められています。
空き家を除却した後に区市町村が運営する児童館やジム、図書館などの活用が義務付けられているという意味です。
企画提案型は「地域の特性を踏まえ独自に企画して実施する事業への補助」があります。
先駆的空き家対策東京モデル支援事業とは、先駆的で高度なノウハウを要する事業で、共通課題の解決を図る事業への補助のことです。
調布市では過去にSNSを活用した空き家予備軍の可視化プロジェクトを開催した実績があります。これは市民参加型で行われ、LINE公式アカウントの機能実装の体験ワークショップなどが開催されました。
エリアリノベーション推進支援事は、それぞれのエリアの空き家活用の方針を共有し、空き家が有意義に活用されるように区市町村が支援する事業です。
参考:空き家利活用等区市町村支援事業補助金交付要綱|東京都住宅政策本部
参考:エリアリノベーション推進支援事業 について|東京都住宅政策本部
助成制度によって、申請書類に添付する資料などは異なりますが、大まかな流れは以下のようになります。
各ステップごとに必要書類や注意事項が異なるため、確認が重要です。
順に説明していきますので、最後まで目を通すようにしてください。
東京都の建て替え助成金を申請する際には、まずお住まいの市区町村の担当窓口への事前相談が必要です。相談では、対象となる物件の診断や見積もり、申請手続きの説明、必要書類などについての案内が行われます。
事前に予約が必要な場合も多いので、各自治体のホームページで詳細を確認し、必要に応じて電話などで予約を取ってください。
次に、助成交付申請に進みます。ここでは、各助成制度で定められた申請書や証明書の作成・取得・提出を行なってください。
例えば、中野区木造住宅建替え等助成では、以下の申請書類が求められます。
この中で一つでも書類が欠けていると、交付申請が受理されません。そのため、早めに事前に用意できるものは準備しておくようにしましょう。
参考:20220401木造住宅建替え等助成申請書類チェックリスト
審査が無事通過すると、交付申請から、通常は1週間以内に交付決定通知の受領を受領します。
助成制度により、交付決定通知に記載されている内容はさまざまです。一般的には以下の項目などが記載されています。
建替や除却などの場合は、交付決定通知を受け取れば、この段階で近隣住民に挨拶に行くのが良いでしょう。騒音トラブルなどを防ぐことは重要です。
事前相談・交付申請・交付決定通知の受領が終わると、いよいよ工事契約・着工になります。
工事契約では、役所に契約書の写しの提出が求められます。
契約書に記載の金額が、交付申請で提出した書類に記載されている金額と一致しているかどうかには注意してください。ここの金額に差異があると、助成金を受け取ることができません。
もし工事内容に変更がある場合は、助成内容変更申請を着工前までに提出するようにしてください。
着工中に注意することは、工事内容の変更などで、工事期間や金額に影響がある場合は、変更が分かった時点で速やかに役所に相談することです。
工事が完了したら、速やかに完了報告を行います。例えば、中野区の木造住宅建替え等助成では、完了報告の際に以下の提出書類が必要です。
東京都知事宛に報告書を作成し、提出します。
参考:20220401木造住宅建替え等助成申請書類チェックリスト
最後に助成金の受け取りです。こちらも工事完了後は速やかに請求を行なってください。
助成金の受け取りには、助成制度により異なるものもありますが、一般的に以下のものが必要です。
助成金交付請求書の受け取り方法は、役所の担当課の窓口です。
助成金が振り込まれたら、東京都の建て替え助成金の申請は以上となります。
参考:20220401木造住宅建替え等助成申請書類チェックリスト
東京都では、環境、耐震、火災など、さまざまな観点から住宅やマンション、施設の建て替えが推奨されています。
東京都で建造物の建て替えや除却、を検討していて、助成制度を利用しようと考えている方は、M-LINEにぜひご相談ください。
M-LINEでは、東京都で鉄筋コンクリート造・鉄骨造・木造などさまざまな構造の建物づくりを行っています。除却後の建て替えでも、災害に強く、地球環境にも優しい住宅や共同住宅などを提供します。
豊富な経験と実績を持つ専門スタッフがお客様のご要望を伺った上で、最適な提案をさせていただきますので、ぜひM-LINEにお問い合わせください。
2024/10/31
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