木造の3階建て住宅

木造と鉄骨はどっちがいい?木造住宅と鉄骨(重量鉄骨造)住宅の違いを解説

都内で家を建てるなら、「木造」か「鉄骨造」、どちらが良いかで迷っている人も多いのではないでしょうか。

今回のコラムでは、木造と鉄骨造を比較した、それぞれのメリットとデメリットをまとめて紹介します。コストの違い、デザインの自由度、耐久性などを詳しく比較していますので、ぜひ参考にしてくださいね。

木造住宅の特徴

木造住宅の外観

木造は、木材を主要な構造部材としてつくられる建物で、日本で古くから用いられてきた構造です。

国土交通省が公表している、「2021年度建築着工統計」によると、2021年に着工した建築物のうち、約76%が木造でした。今も日本の大多数の建築物が木造で建てられていることが分かります。

木造には多くの住宅に採用されている在来軸組構法やツーバイフォー(枠組壁)工法、木質系パネル工法などがあります。

木造在来軸組構法

柱と梁と土台、筋交い、耐力壁で骨組みをつくる、最も一般的な構法です。日本古来の伝統工法を現代の住宅に合わせて簡略化した工法で、木造住宅の筋交い(斜め材)や面材系耐力壁をバランスよく配置することで、地震や風圧に耐えられます。

間取りの自由度が高く、開放的にすることも可能で、日本の高温多湿な気候・風土に適しています。比較的リフォームがしやすいというメリットもあります。

ツーバイフォー(枠組壁)工法

断面が2×4インチ等の木材でつくった枠に構造用合板を釘打ちしたパネルを箱のように組み立てる工法です。床・壁・天井のパネルが耐力壁となり、「面」で建物を支えます。地震により強く、気密性能も上げやすいのがメリットです。施工がしやすいため、工期が短めなのもメリット。

木質パネル工法

木質パネル工法は、木質系プレハブとも呼ばれ、ツーバイフォー工法の一種ですが、パネル自体を工場生産して、現場で組み立てる(プレハブ工法)を使用したものを指します。工場で規格化された部材を多く使うため、ツーバイフォー工法の中でも、施工性、品質の安定性に優れています。

木造住宅のメリット

木造2階建ての家

他の構造よりも安価

木造は最も普及している構造であり、部材の単価が他の構造よりも安く流通量も多くなっています、また、ノウハウが一般化し熟練した職人も多いことから、他の構造よりも施工コストも低くなり、より安価に建てられます。

在来工法は間取りの自由度が高い

木造在来軸組構法は、柱と梁で構造を作り、木材という加工しやすい材料を使っているため、構造的な制約が少なく、間取りの自由度が高いのがメリットです。狭小地や変形地にも対応しやすい構造です。

耐震性の確保が比較的容易

木材は、鉄やコンクリートなど他の部材に比べて軽量なため、比較的に耐震性を上げやすい構造です。特に、ツーバイフォー工法では建物を面で支えるため、特別な金物などを用いなくても高い耐震性を確保できます。

断熱性を確保しやすい

木材は熱伝導率が低いため、構造材の間に断熱材を充填する充填断熱で十分な断熱性を確保できることが多く、より少ないコストで高断熱化ができます。

木造住宅のデメリット

シロアリ被害の可能性がある

在来工法、ツーバイフォー工法のどちらも、木材を主材料としていることから、シロアリ被害のリスクは避けられません。そのため、防蟻処理をしっかりと施し、また定期的にメンテナンスすることが必要になります。

鉄骨造のような大空間、大開口の設計はコストが上がる

一般的な在来工法では、鉄骨造やRC造のような大空間、大開口のある間取りをつくるためには、より柱や梁を太く頑丈なものにしたり、木造ラーメン工法など、強度の高い工法を使用したりする必要があります。その場合、安価に建てられるという木造のメリットが生かせなくなってしまいます。

ツーバイフォー工法は間取りの自由度が低い

ツーバイフォー工法は、パネルで構成する工法なので、間仕切り壁や窓の位置、大きさなどの制約が在来工法よりも多くなります。また、面によって強度を確保しているので、在来工法と比べると壁を取り払って部屋を繋げるリフォームなどの自由度も低くなります。

鉄骨住宅の特徴

鉄骨造の賃貸併用住宅

鉄骨造住宅とは、その名の通り、柱や梁に鋼製の鉄骨を使用して作られた住宅のことです。鋼鉄を英訳した「Steel」の頭文字を取って「S造」とも呼ばれます。

鉄骨造は、骨格材の厚みによって重量鉄骨造と軽量鉄骨造の2種類に分かれます。

それぞれの特徴について解説します。

軽量鉄骨造

軽量鉄骨造は、木造在来軸組構法に似た考え方で、柱と梁、筋交いで建物を支える構造です。木造と重量鉄骨造の中間的な構造とも言えます。部材は工場生産されたJIS規格品の鋼材が使用されるため、精度が高く強度も安定しているのがメリットです。規格化・工業化された工法であることから、「非木質系プレハブ」と呼んで重量鉄骨造と区別されることもあります。

重量鉄骨造

重量鉄骨造は、軽量鉄骨造より厚く強靭な柱と梁で構成されるため、高層の住宅にも対応可能です。また、部材の強度が高いため、軽量鉄骨よりも柱の間隔が大きくとれ、より広い大開口や開放的な大空間のある間取りが可能になります。

鉄骨住宅のメリット

鉄骨造のイメージ

耐久性が高い

鉄骨造は、構造部材の耐久性の高さから、長持ちする家が建てられます。

鉄骨造の法定耐用年数は

  • ①骨格材の肉厚が3mm以下…19年
  • ②骨格材の肉厚が3mm超4mm以下…27年
  • ③骨格材の肉厚が4mm超…34年

と、骨格材の厚みによって分けられています。このうち、②にあてはまる軽量鉄骨造や、③にあてはまる軽量鉄骨・重量鉄骨造は、木造の22年と比較しても長く設定されています。

また、法定耐用年数は建物の寿命とイコールではなく、鉄骨造の家は適切にメンテナンスすれば60年近くも住み続けられると言われています。実際に、法定耐用年数を超えても十分に利用できている鉄骨造の建物も存在しています。

耐震性が高い

骨組みに鉄製や鋼製の部材を用いる鉄骨造の建物は、鉄や鋼の「ねばり」によって地震に耐える構造です。

鉄骨造の建物は、鉄骨が揺れのエネルギーをねばりによって吸収して変形を抑え、建物の倒壊を防ぎます。

重量鉄骨造は、ビルやマンションにも使われる構造で、より強度や耐久性に優れた構造になります。

設計の自由度が高い

鉄骨住宅の構造材である鋼材は加工しやすく、強度が高いため、構造計算を行うことで比較的自由な設計ができる点がメリットです。

また、重量鉄骨造は、「ラーメン構造」という工法で建てられます。
ラーメン構造とは、建物の構造形式の1つで、柱と梁で作った骨組みの接合部を、溶接などで変形しないように一体化(剛接合)して、強固な枠組みを形成する構造形式です。

鉄骨のラーメン構造は、耐震性が高く、体育館、大空間のあるオフィスビルなど、広い空間を作りたい時にも適しています。さらに、鉄骨の軽くて強度がある特徴を活かして、広いビルトインガレージやオーバーハングデザインなど、より自由度の高いデザインや間取りの建築が可能になります。

3階建て以上の建物が建てやすい

鉄骨造は、強度を活かして中高層を建てられます。重量鉄骨造は、木造では難易度の高い3階建て、4階建て以上の住宅やアパート、マンションなどの建築にも最適な構造です。特に、狭小地の多い都内の住宅建築ではメリットの大きい構造と言えます。

木造よりも防音性が少し上がる

鉄骨造は、基本的には柱や梁の部分を木材から鉄骨に置き換えた構造です。壁や天井がコンクリートでできているRC造のように、壁自体が鉄骨でできているわけではありません。

そのため、木造との防音性の差は、鉄骨造で柱が太くなった分、壁も厚くなるため多少防音性が高くなる程度、と考えておきましょう。

鉄骨住宅のデメリット

強固な地盤が必要

特に重量鉄骨は建物の重量が大きいため、より強固な地盤が必要で、場合によっては地盤補強工事など大掛かりな工事が必要なケースがあります。地盤改良工事は、建物本体の建築費用とは別に、数百万円以上の費用がかかることもあるため、事前に地盤が重量鉄骨に適しているか、しっかり確認しておくのがポイントです。

木造よりも建築費用が高い

鉄骨造の場合、木造と比べて材料費が高くなり、部材が大きく施工コストも上がるため、坪単価も高くなります。また、重量鉄骨造は工場で加工した鋼材を搬入し、クレーンなど大型重機を使って組み立てるので、敷地に接する道路が狭いなど、敷地周辺の環境によっては施工コストがさらに上がる可能性があります。

耐火性・断熱性を確保する工夫が必要

建築の構造材などに使用されるようなある程度厚みのある木材は、火がついても表面が炭化するだけで奥の方はなかなか燃えずに、一定の時間は強度を保ちます。

鉄骨の場合は、火災時に一定時間強度を保ち、非難する時間を稼ぐという意味では木造よりも不利になります。鉄骨の材料である炭素鋼は、500℃になると軟化して、常温の1/2の強さ、600℃で常温の約1/3、100℃では強さは0と、一定以上の高温になると非常に脆くなってしまうというデメリットがあるためです。

鉄骨造の住宅やマンションはそのままでは火災に遭うと大きな被害を生じる可能性があります。そのため、「耐火被覆」と呼ばれる、柱や梁などの骨組み部分をロックウールなど耐火性のある材料で覆う処理が不可欠になります。

また、木造住宅のメリットの裏返しで、鉄骨は木材やコンクリートよりも熱伝導率が高く、外気の熱や寒さが住宅の内側に伝わりやすい「ヒートブリッジ(熱橋)」や、結露が発生しやすくなります。そのため、しっかりとした断熱性能を確保するためには、外断熱や気密処理などで施工コストが上がりがちです。

固定資産税が高く、下がりにくい

新築で住宅を建てた場合、経年劣化により資産価値は低下するため、住宅に対する固定資産税は下がっていきます。

しかし鉄骨住宅は木造と比較すると頑丈な素材で建てられており、経年劣化もほとんどないため資産価値は高いままとみなされます。そのため、木造住宅よりも頑丈である鉄骨住宅は、固定資産税が高くなり、また経年しても下がりにくいのが現状です。

まとめ

今回は、木造と鉄骨造の住宅の違いについて解説しました。木造住宅は、低コストで持続可能な資源を使ったエコな家づくりや、高気密高断熱で日本の気候にあった家づくりがしやすいのがメリットです。

一方、鉄骨住宅は強度を活かした大空間や大開口のある間取りが可能で、3階建て、4階建て以上の住宅を建てるのにも最適な構造です。

それぞれのメリットを比較して、実現したい建物や間取り、予算にあった構造を選択することが成功のポイントになります。

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監修者情報

高坂 昇

高坂 昇ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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