小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
現在、有効活用できていない土地でお悩みではありませんか?
活用されず放置されている土地を「遊休地」と呼びます。遊休地は、所有しているだけでも固定資産税などの税金や管理にかかるコストがかかるため「マイナス資産」の土地になってしまいます。
今回は、遊休地の意味や定義と、有効な活用方法について解説します。
土地を相続したけれど活用方法が分からない、農地だった遊休地を宅地に転用できるのか知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
遊休地とは、住宅や農地、駐車場など、どの用途でも活用されずに放置されている状態の土地のことを指します。使わずに遊ばせている、休ませている土地という意味があります。
遊休地と似た言葉に「遊休土地」があります。遊休土地は、国土利用計画法で定められている、一定以上の規模の土地で、取得後適正な利用が図られていない土地のことを指します。
市街化区域 | 都市計画区域 | 都市計画区域外 | |
---|---|---|---|
規制区域 | 1,000㎡ | 3,000㎡ | 5,000㎡ |
監視区域 | 都道府県(指定都市)が規則で定める面積 ※ただし、その面積が規制区域欄に示す面積未満である場合は、規制区域欄の面積 |
||
その他 | 2,000㎡ | 5,000㎡ | 10,000㎡ |
「遊休土地」と認定された土地は、都道府県知事からその土地所有者に通知が届き、積極的な利用または処分(転売)などを促すために助言や勧告が行われます。
(参考)国土交通省「遊休土地制度」
遊休地というと、農地のような広大な土地を想像する方が多いかもしれません。遊休地の活用方法としてよく挙がるのが「太陽光発電」です。太陽光発電は、周囲に遮るものがない広い遊休地には効率的な活用方法です。
ですが、郊外以外の都市部にも遊休地は存在しています。都心部に遊休地を所有しているなら、エリアのニーズに合わせてマンションや商業施設などを建てて土地活用したほうが効率が良いでしょう。
遊休地は、そのままで所有しているだけでも、「固定資産税」「都市計画税」が毎年かかってきます。その土地から得る収益がなければ、毎年ただお金が出ていくだけになってしまいます。
また、遊休地を放置したままにしておくと、雑草が隣の敷地や公道にまで伸びて迷惑になったり、不法投棄のような犯罪の温床になったりなどのトラブルが起きることもあります。
このように、遊休地は税金に合わせて、定期的な管理にもお金や手間がかかるため、適切に活用するか、売却するなどの対処をすることが望ましいです。
活用していない遊休地を所有していて、土地活用を検討する際に、事前にチェックしておきたいポイントをご紹介します。
土地は地目と呼ばれる登記上の分類があります。「宅地」「田」「畑」など全部で23区分の分類があります。
所有している土地がどの地目に属するかによって、可能な土地活用方法も変わってきます。23区分のうち、宅地、山林、原野は住宅が建築でき、雑種地は現状建物があれば宅地とみなされます。ただし、地目を宅地に変更する必要があります。
田や畑のような農地は、農地法による制限のため、建物を建築できません。建物を建築したい場合は、農地転用の許可を得て宅地へ地目を変更する必要があります。
遊休地が都市計画法でどの用途地域に該当しているかで、建てられる建物の大きさ(建ぺい率、容積率、高さ制限)や、可能な活用方法が変わってくるため、事前に必ずチェックしましょう。
例えば、工業専用地域には住宅の用途の建物は建築できず、第一種低層住居専用地域には店舗やホテルなどの商業施設を建てることはできません。
用途地域による建築物の用途制限については、東京都都市整備局のHPで確認できます。
東京都都市整備局「用途地域による建築物の用途制限の概要」
また、自分の所有する土地がどの用途地域に該当するかは、各区市町都市計画担当課または東京都都市整備局都市づくり政策部都市計画課で確認できるほか、概略位置を表示した参考図を都市計画情報インターネット提供サービスで閲覧できます。
東京都都市整備局「都市計画情報等インターネット提供サービス」
土地活用方法を決める際は、そのエリアに求められるサービスを見極めることが大切です。駅が近く、通勤や通学のベッドタウンになっているエリアなら、賃貸需要が高いと予測できます。
また、エリアの平均年齢や年齢別人口などから、小さな子どものいるファミリー層が多いのか、シニア層が多いのかなどを分析することで、老人福祉施設や保育園などの最適な活用方法を選ぶことができます。
今回は、一定規模以上の遊休土地も含めた、有効活用されていない土地を「遊休地」とした上で、都内の場合の効果的な活用方法を紹介します。
土地の面積や立地、形状などによって最適な活用方法は変わってきますので、所有している土地に合った活用方法を見つけてみてください。
遊休農地とは、現在農地として使われておらず、今後も引き続き使われる見込みのない土地、あるいは、農地としての利用の程度が周辺の農地よりも著しく劣っている土地を指します。
遊休農地は「荒廃農地」と言い換えられることもありますが、荒廃農地のうち再生利用が可能な農地を遊休農地と呼ぶことから、遊休農地は荒廃農地の一種と言えます。
(出典・参考)
総務省「荒廃農地対策に関する調査-遊休農地に関する措置を中心として-」を開始
農林水産省「荒廃農地の現状と対策(令和3年12月)」
現在の日本は、農家の高齢化や労働力不足などで、荒廃農地が増えています。農地を相続したまま放置している非農家も多く、周辺農地に鳥獣被害などの悪影響を及ぼすなどのトラブルも起きています。
さらに、遊休農地を農業委員会からの勧告に従って適切に対応せず放置した場合は、固定資産税の課税が強化される可能性があるため、積極的に活用することが望ましいです。
農地をそのまま農業用として他社に貸し出す方法です。
などの方法があります。
農地をそのまま貸し出すメリットは、初期費用が少なく済み、地域の活性化に貢献できることです。デメリットは、土地の条件によっては貸し手が見つかるまでに時間がかかる可能性があることや、後述する他の活用方法と比べて収益性が低いことです。
参考:農林水産省「農地中間管理機構(農地バンク)とは」
農林水産省「市民農園の開設方法」
農地を賃貸住宅など、農地以外の方法で活用する場合は「農地転用」と呼ばれる、土地の登記上の分類(地目)を変更する手続きを行うことで用途を変更して活用できます。
農地転用は、農振法(農業振興地域の整備に関する法律)による農地の分類ごとに、農地法の転用許可制度で許可/不許可が決められています。まずは所有している農地がどの分類に当てはまるのかを調べましょう。
参考:農林水産省「農地転用許可制度について」
農地転用の費用は、転用許可・届出のために数万~数十万の費用がかかります。また、転用後宅地などに使えるようにするための地盤改良、盛土などの工事費用や、地目変更の登記申請費用が必要に応じてかかってくるため、宅地に変更して建物を建てたい場合は、事前に施工会社に相談して土地を調査してもらい、工事費用の目安をつけておきましょう。
今回は、遊休地の意味やデメリット、有効な活用方法について解説しました。
遊休地を放置している場合は、デメリットが圧倒的に大きくなってしまいます。立地や地目、エリアのニーズに合わせた方法で土地活用を行えば、マイナス資産だった土地を収益性の高い土地・建物に変えることもできます。
M-LINEは、地域密着の家づくりの経験から、都内の各エリアの特徴や土地の特徴を踏まえた、最適な構造や設計をご提案。木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造など構造を選ばず、自分の希望に合わせた建物で土地活用が実現できます。
さらに、土地活用をご希望の方に向けた収支シミュレーションや建築後のフォロー体制も万全で、東京で安心してアパート・マンション経営を始められます。
「都内で遊休地を持て余している」「土地を相続したが活用方法がわからない」などの場合も、それぞれのご希望に沿ったご提案が可能です。
都内で賃貸住宅・賃貸併用住宅・ソーシャルアパートメントなどの土地活用をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
2024/11/29
2024/11/29
2024/11/29