小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
副業を検討しているサラリーマンの中には、マンション経営が気になっている方も多いのではないでしょうか。「サラリーマンでもマンション経営はできるの?」「サラリーマンのマンション経営は副業におすすめ?」と気になりますよね。
結論から述べると、マンション経営は自由な時間を確保しながら収入を増やせたり、節税効果を得られたりと複数のメリットがあります。しかし、注意点もあるため慎重に取り組むことが大切です。
本記事では、サラリーマンがマンション経営を副業にするメリットやポイントをわかりやすく解説します。マンション経営に関するよくある質問もまとめました。ぜひお役立てください。
サラリーマンがマンション経営をする主なメリットは、以下の3つが挙げられます。
具体的なメリットを把握することで、マンション経営を始めるかどうかの判断がしやすくなります。ぜひご確認ください。
サラリーマンがマンション経営をする最大のメリットは、収入の柱が増えることです。
うまくいけば、マンション経営は本業以上の収入が得られる可能性も大いにあります。定年後も一定の収入を得ながら安定した生活を送ることが可能でしょう。
さらに、実際に労働していなくても賃貸料が収入として得られるため、不労所得に近いことが魅力です。副業の中には実働しなければ収入が得られないものも多くありますが、マンション経営は管理会社に業務を委託すればほとんど手間がかからず、時間や労力をかけずに追加収入を得ることができます。
また、収入の柱が増えることでリスクが分散されるメリットもあります。
健康や精神的な理由で本業が続けられなくなった場合でも、マンション経営をしていることで安定した収入を確保し続けられるでしょう。
本業以外の収入源が増えることで、金銭的にも気持ち的にも余裕のある生活を送れることが利点です。
サラリーマンがマンション経営をする2つ目のメリットは、節税対策になることです。
マンション経営が節税対策になる理由は、「損益通算制度」が適用されることにあります。損益通算制度とは、投資や事業において生じた損失と利益を相殺して計算し、最終的な課税対象所得を算定する制度です。
仮に、課税所得額が1,000万円のサラリーマンが、マンション経営により500万円の赤字が発生した場合、損益通算制度が適用され、課税所得額は500万円(1,000万円-500万円)となります。この500万円から所得税や住民税などを差し引いて計算するため、1,000万円の税額よりも減税できるのです。つまり、マンション経営の損失を利用することで、本業の給与から引かれる税金を減らすことができるのです。
ただし、マンション経営する目的が収入アップの場合は、収益を増やすことが重要なので、節税効果は副次的なメリットとして捉えるようにしましょう。
また、マンション経営をすることは相続税対策にも効果的です。
将来的に資産を子供や孫に相続したいと考えている場合、現金をマンションに換えて相続することで、相続税を減らすことができます。現金は時価と同等の評価額ですが、マンションのような不動産は、実際の取引価格よりも低い額で評価されることが理由です。
マンション経営をすることで、所得税や住民税、相続税などの節税効果を得ることができるでしょう。
サラリーマンがマンション経営する3つ目の利点は、生命保険代わりになることです。
このメリットの背景には、マンションを購入するための融資を受ける際に加入する「団体信用生命保険(団信)」が関係しています。
団信とは、ローン契約者が死亡または高度障害になった場合、保険会社が代わりに残債を支払う仕組みのことです。ローンの残高がなくなるため、残された家族には資産のみを遺すことができます。言い換えれば、生命保険と同じような効果を生むことができるのです。
家族はマンションのローンを返済する必要がなく、家賃収入だけを受けとれるため、大黒柱を失っても何十年も安定した収入を確保できます。状況によっては、物件を売却してまとまった資金を受け取ることも可能でしょう。
団信には「がん保障付団信」「全疾病保障付団信」「三大疾病保障付団信」など様々なバリエーションがあるので、金利を考慮しながら比較検討することが大切です。
サラリーマンがマンションを経営することは、家族により良い安心材料を残す手段としても有効でしょう。
続いて、サラリーマンがマンション経営をする際のポイントを3つ紹介します。
これらのポイントに留意することがマンション経営を成功させる鍵です。それぞれ解説します。
需要のあるマンションを見極めることは、安定した経営をするうえでとても重要です。
ポイントは、ターゲット層をしっかりと絞り込み、ターゲットに合った立地や物件タイプを選定することです。例えば、最近は単身者が増加していることからシングル用のマンションの需要が高まっています。都心へのアクセスが良く、利便性の高いエリアであれば入居者が安定して長期間住んでくれる可能性も高まります。
逆に、需要のないマンションでは、空室率が上がり安定した家賃収入を得ることが難しくなるでしょう。
マンションを選ぶ際は購入費用だけではなく、マンションの需要を見極め、将来的な収入を予測することが重要です。
どのようなマンションに需要が集まっているかを自分で判断することが難しい場合は、専門家に相談すると良いでしょう。地域の不動産市場の動向や将来性などについてアドバイスをもらえる可能性があります。
マンション経営を管理会社に委託することも大切なポイントです。
マンション経営をスタートさせたら、すべてを自分で行うよりも、管理会社に仕事を任せることで、経営をスムーズに進めることができます。
「家を貸したら自動的に家賃収入が入ってくる」「管理会社に頼まなくても休日に対応できる」と考えている方もいるかもしれません。しかし、入居者からの問い合わせ対応や慣れない管理業務は予想以上に大変なものです。
管理業務に追われることで、本業へ支障が出る可能性も否定できません。さらに、管理がスムーズに行われなければ入居者に不満がたまり、退去につながる可能性もあります。
こうしたリスクを回避するためにも、管理会社に業務を委託することをおすすめします。管理会社に委託する手数料の相場は、家賃収入の5〜10%ほどです。
管理会社を利用することで、スムーズにマンション経営をスタートさせられるでしょう。
マンション経営をスタートする際は、出口戦略を考えて進めることが欠かせません。
出口戦略とは、将来的にマンションをどのように扱うかを考えることです。つまり、長期的に賃貸で運用し続けるか、それとも売却するかなど、経営をどのように終えるかを考慮することです。
入居者がいる限りは安定した家賃収入を得られますが、マンションの築年数が古くなれば修繕費がかかったり、入居率が下がったりする可能性が高くなります。そうなれば、いつまでも安定した家賃収入を確保できる保証はありません。
また、賃貸用のマンションを売却する場合は、満室状態であれば資産価値が高く、収益面でも高評価を得やすいため、買い手を見つけやすいでしょう。逆に、空室率が高いと次の買主が金融機関からの融資を受けにくくなるため、売却が難航する可能性があります。
このように、マンションの将来性を考慮し、売却を含む出口戦略を事前に考えておくことは、マンション経営を成功させるうえで必要不可欠です。
サラリーマンがマンション経営を副業としてスタートすることは可能です。
通常、マンション経営は副業ではなく不動産投資に該当します。ただし、一定の規模(5棟10室・年間の収入が500万円以上など)を上回ると、投資ではなく事業とみなされる可能性もあります。
基準を上回る場合、まずは勤めている会社の就業規則を確認することが大切です。就業規則で副業が禁止と記載されている場合は、慎重になる必要があるでしょう。規則を無視すると懲戒処分になる可能性もあるため、十分な注意が必要です。
ただし、最近では日本政府が景気後退を受けて副業を奨励しており、副業を認めている会社も増えています。本業に支障が出ない範囲であれば、副業をすることは問題にならないケースが多いでしょう。
副業についてのルールがわからない場合は、まずは会社に相談することをおすすめします。
結論から述べると「サラリーマンのマンション経営は副業としておすすめできる」といえます。
マンション経営は一度軌道に乗ると不労所得に近く、長期に渡り安定した収入を確保できます。さらに相続税や所得税などの節税対策にも効果的です。また、団信に加入することで、生命保険代わりになることも魅力です。
しかし、マンション経営にはリスクも伴うため、慎重に検討することが大切です。
マンション経営の副業が特におすすめな方は、以下の通りです。
最後に、サラリーマンのマンション経営に関するよくある質問に回答します。
サラリーマンのマンション経営に関してより深く理解するためにも、ぜひチェックしてみてください。
マンション経営ができるか否かは、主にマンションを購入するための融資が受けられるかどうかに大きく影響するでしょう。
年収がいくらあれば融資が受けられるのかは、金融機関や申込者の属性によって異なりますが、一般的な目安として500万円以上が好ましいです。また、年収が高いほど、融資を受けられる可能性が高まります。
中には年収の審査基準を300万円以上に設定している金融機関もあるため、複数の機関を比較することが大切です。
マンションを購入する際に適用されるアパートローンは、年収の10倍以上の融資を受けることも可能なため、審査に通れば、年収に関わらずマンション経営を始めることは可能でしょう。
サラリーマンの借入可能額は金融機関の審査基準によって異なりますが、主に以下の4つが借入可能額に影響するポイントとして挙げられます。
借入可能額は、本人の返済能力やマンションの収益性などから総合的に判断されます。具体的にいくらまで借りられるかは複数の金融機関に確認すると良いでしょう。
マンション経営をする際にかかる手間は複数あります。
例えば、テナントの管理や入居者の契約手続き、家賃滞納やトラブル対応などが挙げられます。
他にも、水回りのトラブルがおきたら早急に業者を手配する必要があるでしょう。地震や火事などの災害時には柔軟な対応が求められます。
さらに、毎年の確定申告も欠かせない作業です。
本業と並行するのが難しい場合は管理会社に業務を委託したり、税理士に任せたりすることで、手間を大幅に削減できるでしょう。
サラリーマンがマンション経営を副業にすることで、将来的に安定した収入を得られたり、節税対策になったりと多くのメリットを得ることができます。サラリーマンは本業があるため融資が通りやすく、マンション経営を始めやすいことも利点です。
ただし、マンション経営には注意が必要な点もあります。この記事で紹介したポイントを押さえ、慎重に検討することが大切です。
自己判断が難しい場合は、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。
M-LINEでは、サラリーマンのマンション経営の相談も承っており、土地や環境に合ったプランの提案やサブリースなども行っています。
さまざまなお悩みを解決するために、専門スタッフによるコンサルティングを実施しています。マンション経営を成功させたいという方は、ぜひ一度ご相談ください。
2024/11/29
2024/11/29
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