個人事業主でマンション賃貸経営をするメリットや節税方法を解説

個人事業主でマンション賃貸経営をするメリットや節税方法を解説

マンションを賃貸経営する際、税務署に開業届を提出し個人事業主として経営する方法があります。

しかし、個人事業主としての経験がない場合、具体的なメリットや節税方法がわからない方も少なくないでしょう。

そこで本記事では、個人事業主としてマンション賃貸経営をするメリットやデメリットについて解説します。また、マンション経営の大きな利点である節税方法についてもまとめました。これから個人事業としてマンション経営を検討している方は、ぜひお役立てください。

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マンション賃貸経営を個人事業として行う5つのメリット

マンション賃貸経営を個人事業として行う5つのメリット

マンション経営を個人事業として行うメリットは、以下の5つが挙げられます。

それぞれ解説します。

1.青色申告の特典を受けられる

一つ目のメリットは、青色申告の特典を受けられることです。青色申告とは、所得税の申告制度の一つで、一定の要件を満たすことで様々な税制上の特典を受られるようになります。具体的には、以下のような特典があります。

<特別控除の適用>
最大65万円の特別控除を受けられます。その結果、課税所得が減少し、税金を軽減できます。ただし、マンション経営が一定の規模に属さない場合は、控除額は10万円です。

<損失の繰り越し控除>
赤字が出た場合に、損失を次の年度以降3年間にわたって繰り越し、利益と相殺できます。マンション経営は初年度に多額の経費がかかるため、開始年から青色申告しておくとメリットが大きいです。

<専従者給与控除の適用>
一定の条件を満たした場合、家族などの専従者に支払う給与を経費として計上し、税金を軽減できます。

青色申告の特典は、節税に効果的です。ただし、青色申告するためには、開業から2か月以内に申請書を税務署に提出する必要があります。事業を始める際には、開業届を提出すると同時に青色申告の申請も行うとよいでしょう。

2.経費計上の幅が広くなる

開業とともに青色申告をした場合、早期から経費計上の幅が広がることが大きな利点です。経費の幅が広がれば、課税所得を減らすことが可能となり、節税効果を高められることが理由です。

具体的には、以下のような項目が経費として計上できます。

他に、貸倒引当金が経費として計上できる点も重要なポイント。貸倒引当金とは、将来的に回収が難しいと予想される金銭債権のことです。マンション経営では、夜逃げや借主の自己破産などによって家賃が回収できなくなるケースが該当します。将来の備えができ、かつ経費に計上できることは大きなメリットでしょう。

3.開始年から小規模共済に入れる

三つ目のメリットは、開業の開始年から小規模共済に加入できることです。小規模共済とは、中小企業や個人事業主を対象とした制度で、将来の退職金や事業引退時の資金を積み立てられる制度です。

事業を開始した年度から加入するためには、開始年のうちに税務署に開業届を出している必要があります。開業届けが無くても加入できますが、その際には確定申告書の写しの提示が必要になるため、確定申告していない初年度には加入することができません。

初年度から小規模共済に加入することで、早い段階から退職金の積み立てを開始できることはメリットでしょう。さらに、小規模共済で支払った掛金は所得控除の対象となるため、節税にも有効です。

4.補助金や助成金が受けやすい

四つ目のメリットは、補助金や助成金が受けやすくなることです。補助金や助成金の申請には開業届が必要な場合もあるため、個人事業主として経営していることは利点となるでしょう。

マンション経営における補助金は多岐にわたり、時期や制度の変化によって内容が変わります。2024年6月現在、国や地方自治体が提供する補助金や助成金には、以下のようなものがあります。

他にも様々な補助金や助成金が用意されています。どの制度が使えるのか把握するには、専門家に相談することをおすすめします。

5.法人化よりも簡単に手続きできる

マンション経営を始める際、個人事業主として開業するか、法人化するかの選択肢があります。個人事業主を選択するメリットの一つに、手続きのシンプルさがあります。個人事業主の場合は、税務署に開業届を提出するだけで手続きが完了し、しかも無料。

一方、法人化する場合は、手続きは複雑です。例えば、会社の概要を決め、法人の定款や実印を作成する必要があります。また、法務局で登記申請書類を提出することも欠かせません。さらに、税務署や都道府県事務所、市町村役場、年金事務所、労働基準監督署、ハローワークなどへの書類提出が必要です。

このように、法人化には費用や手間が多く発生します。個人事業主の方が、手間や費用をかけずに事業を始められるのがメリットです。

マンション賃貸経営を個人事業として行う3つのデメリット

マンション賃貸経営を個人事業として行う3つのデメリット

続いて、マンション賃貸経営を個人事業として行う3つのデメリットを紹介します。

デメリットを把握することで、事前に対策を立てやすくなります。大切なポイントなので、ぜひチェックしてください。

1.個人事業税がかかる

個人事業主として開業すると、所得税や住民税に加えて、個人事業税の納付が必要になります。個人事業税は、事業から得た所得に対して課される地方税です。マンション経営では、貸室数が10室以上の場合には、不動産貸付業として扱われ、5%の税率が適用されます。

ただし、個人事業税には年間290万円の事業主控除があるので、年収が290万円を超える部分に対して5%の税率がかかると覚えておきましょう。例えば、マンション経営の年間総収入が1,000万円で、必要経費が400万円の場合、計算手順は以下のようになります。

この場合、個人事業税は15.5万円です。

個人事業税は確定申告時に申告し、所得税の計算と一緒に行います。また、支払った個人事業税は経費として計上できます。

2.記帳に手間がかかる

個人事業主が青色申告をすると、多くのメリットがあります。

しかし、白色申告と比べて記帳の手間が増える点はデメリットといえるでしょう。

特に、65万円の特別控除を受けるには複式簿記で記帳する必要があり手間がかかります。青色申告は、会計の知識が必要なうえ、記帳に時間がかかることを理解しておきましょう。

最近では便利な会計ソフトが多数普及しています。不動産に特化したソフトもあるので、記帳の際には上手く活用することをおすすめします。

3.失業保険の対象外になる

仕事を辞めて開業する場合、少しでも収入を得るために失業保険を受給したいと考える人もいるでしょう。

しかし、個人事業主になると失業保険の受給資格を失います。

当然ですが、個人事業を開始したら、ハローワークに報告する必要があります。報告せずに失業保険を受け取ると不正受給とみなされ、受給した金額を返還しなければなりません。さらには、罰則を受ける可能性もあります。

失業保険を受け取る予定の場合は、対象外にならないように開業のタイミングを調整することが重要です。

個人事業主のマンション賃貸経営で節税可能な税金【4種類】

個人事業主のマンション賃貸経営で節税可能な税金【4種類】

人事業主のマンション賃貸で節税可能な税金は、主に以下の4つです。

賃貸経営において、節税は重要な項目です。順に説明します。

1.所得税

マンション経営にかかる費用を確実に経費として計上することで、所得税を節税できます。なぜなら、不動産所得の金額は、総収入金額から必要経費を差し引いた額が所得税の課税対象になるからです。具体的な算出方法は以下の通りです。

総収入金額 – 必要経費 = 不動産所得の金額

さらに、小規模企業共済制度を利用することも所得税の節税に有効です。小規模企業共済制度とは、中小企業や個人事業主を対象とした制度で、将来の退職金や事業引退時の資金を積み立てられるものです。支払った掛金は、所得控除の対象となるので、所得額を効果的に減らせます。

その他、本記事の前半で紹介した「経費計上の幅が広くなる」も参考にしてください。

2.住民税

複数の事業をしている場合、損益通算を使って住民税を節税できます。損益通算とは、複数の事業や投資の利益と損失を合算した結果に対して課税される仕組みです。

例えば、マンション経営が赤字の場合、給与所得からマンション経営のマイナスが差し引かれ、収支の相殺が可能になります。これにより、住民税の課税対象額を削減することができます。

また、しっかりと経費計上をして所得額を減らすことも住民税の節税に有効です。

3.固定資産税

更地を所有している場合、賃貸物件を建てることで固定資産税が削減されます。固定資産税は、土地や建物などの不動産にかかる税金です。土地の上に建物があれば、「小規模住宅用地の特例」が適用され、固定資産税が大幅に節税できる可能性があります。

マンション経営では、更地や駐車場などの建物が建っていない土地と比べると、固定資産税を大幅に軽減できることがポイントです。

4.相続税

相続税は、亡くなった親から相続した財産に支払う税金で、財産の評価に応じて金額が決まります。

相続税を節税するためには、評価を下げることが有効です。例えば、現金よりも同等の価値がある不動産を所有しているほうが、評価が下がります。また、すでに土地を所有している場合は、賃貸を建てたほうが「貸家建付地」として評価額が減額されることがあります。

個人事業主のマンション賃貸経営を成功させる5つのポイント

個人事業主のマンション賃貸経営を成功させる5つのポイント

最後に、個人事業主のマンション賃貸経営を成功させるポイントを5つ紹介します。

マンション経営で後悔しないためには、これらのポイントを押さえることが重要です。

1.適切な物件を選ぶ

第一に、適切な物件選びが挙げられます。マンション経営の最大のリスクは空室。このリスクをできるだけ避けるためには、地域の需要や競合物件との差別化を考慮し、ニーズの高い場所に魅力的な物件を建てることが必須です。

適切な物件は地域によって異なります。例えば、大学の近くで学生が多い街では、学生向けのワンルームが適しています。一方、ベッドタウンでは、ファミリー向けの広いマンションの方がニーズに合います。

また、競合物件と差別化するために、魅力的な設備やサービスを取り入れることも大切です。例えば、高速インターネットサービス、宅配ボックス、セキュリティーシステムが完備されたマンションは、どのようなターゲットにも魅力的でしょう。

2.複数の専門家の意見を聞く

第二に、複数の専門家の意見を聞くことが挙げられます。

マンションの建築を相談する際には、1つの会社だけでなく、複数の建築会社に相談することをおすすめします。なぜなら、マンションの設計や建築費にはさまざまなバリエーションがあるからです。

複数の企業から提案を受けることで、初期費用や建築費、ランニングコスト、収支計画などをじっくり比較検討できます。また、自分に最適なプランを見つけやすくなります。

3.余裕を持った資金計画を立てる

第三に、余裕のある資金計画を立てることが大切です。資金計画に余裕がないと、メンテナンスや修繕が必要な時に対応できず、物件の価値が下がってしまいます。また、予想以上に空室が続いた場合も、余裕がなければ経営が難しくなります。

マンション経営では、突然の修繕や予期せぬトラブルが起こることを前提に、資金計画に余裕を持たせ、様々な状況に対応できるように備えておくことが重要です。

4.法律や税金について理解しておく

第四に、個人事業主として、マンションを経営するには、不動産に関する基本的な法律や税金の知識が不可欠です。基本的な知識が無ければ、オーナーにとって不利な内容で契約を結んだり、誤った申告をしてしまう可能性があります。

対策として、マンション経営に役立つ資格を取得するのが良い方法です。例えば、「宅地建物取引士」「ファイナンシャルプランナー(FP)」「マンション管理士」「不動産実務検定」などの資格があります。

これらの資格を取ることで、マンション経営に必要な法律や税金の知識を身に付けることができ、さらに収益性を向上させる効果も期待できます。

5.管理会社を慎重に選定する

第五のポイントは、管理会社を慎重に選ぶこと。信頼のできる管理会社を見つけられれば、マンション経営の負担を軽減できます。さらに、管理会社のノウハウを学ぶ機会を得られることもポイントです。

また、優れた管理会社は、定期的なメンテナンスや清掃をしっかりと行ってくれるため、入居者の満足度を高められます。その結果、空室リスクが減る、入居者が見つかりやすいなど、経営がスムーズになるでしょう。

不動産管理会社は様々あるので、気になる会社を複数ピックアップし、しっかりと比較することが大切です。

最後に:個人事業主でマンションを賃貸経営するならM-LINEへ相談を!

最後に:個人事業主でマンションを賃貸経営するならM-LINEへ相談を!

個人事業主でマンションを賃貸経営した場合、税金や助成金、初年度からの小規模共済の加入など、様々なメリットを受けられます。

ただし、個人事業税がかかることや、記帳が複雑になるなどのデメリットについても把握しておくことが大切です。また、節税についても正しく理解しておくことが欠かせません。個人事業主のマンション経営で節税可能な税金は複数あるので、本記事を参考に、しっかりと対策を講じましょう。

加えて、マンション経営を成功させるためには、物件選びから資金計画、法律や税金の知識まで、多岐に渡るポイントが存在します。

まずは、専門家に相談し、賃貸経営についての具体的なプランを提案してもらいましょう。

マンション経営を検討する中で少しでも不安や疑問があるという人は、一度M-LINEにご相談ください。M-LINEでは、ご相談内容に応じて専門的な知識を持ったプロの視点からご提案・サポートを実施しております。

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この記事を読んで、質問やご相談などがありましたらまずはM-LINEまでご連絡ください。

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執筆者情報

小林 眞一郎

小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士

監修者情報

高坂 昇

高坂 昇 ou2株式会社 専務取締役 一級建築士

木造密集地域や防火地域において、木造ならではの施工性や設計の柔軟性、コストパフォーマンスを活かして木造耐火4階建て住宅(もくよん®)や、災害時の避難場所となる地下室や屋上を備えた災害住宅も提唱しています。

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