小林 眞一郎 ou2株式会社 常務取締役 二級FP技能士
近年、高利益などを理由にテナント経営が注目を集めつつあります。しかし、「テナント経営とは具体的にどのような土地活用なのか」「なぜ人気なのか」など、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では、テナント経営についてや人気の理由について詳しく紹介します。また、デメリットや失敗しないためのポイントについても解説しますので、テナント経営を成功させたいという方は、ぜひ参考にしてみてください。
テナント経営とは数ある土地活用の方法の一つであり、飲食店などのテナントに場所を貸して賃貸収入または地代収入を得る経営方法となります。よく賃貸経営と混同してしまいがちですが、契約方法や種類によって大きく異なっています。
契約方法やテナント経営についての具体的な詳細は、以下で詳しく見ていきましょう。
テナント経営には土地をそのまま貸し出す方法と、建物を建ててテナントに貸し出す方法の2種類があります。土地のみをそのまま貸し出す場合、自分で建物を建てる必要がなく初期費用は不要です。契約方法については「リースバック契約」と「事業用借地契約」の2種類の方法に分かれます。
リースバック契約とは、土地を借りたい事業者から建設協力金として建設費をもらい建物を建て、一括賃貸として賃料を得る契約方法になります。事業用借地契約は、シンプルに契約した期間のみ事業者に土地を貸す契約方法です。
一方、建物を建ててテナントに貸し出す方法では、「普通借家契約」と「定期借家契約」の2種類の契約方法に分けられます。契約期間が満了する際に契約を更新する普通借家契約に対して、定期借家契約は期間満了と同時に契約が終了する契約です。簡潔に述べると、普通借家契約は1年以上の契約を基本とし、定期借家契約は1年以下の短期間でも契約可能です。
テナント経営の種類によってそれぞれ契約方法が異なるため、どの方法も把握しておくようにしましょう。
テナントにはいくつかの種類があり、特徴や注意点も異なっています。それぞれ、収益性も違っているため、どのような種類があるのか理解しておきましょう。テナントの主な種類としては、以下の通りです。
オフィスは企業や法人に貸すことがほとんどであり、常に需要が高い傾向にあるため、安定した収益が期待可能です。ただし、立地によっては需要が見込めない場合もあるため、アクセスの良さなどを意識する必要があります。
飲食店や美容院は、居抜き物件であれば需要が高く、退去したとしても次の入居者が見つかりやすいという特徴があります。しかし、廃業率が高く入れ替わりが激しいことが多いため、その都度テナントを募集するなどの手間がかかるため注意が必要です。
ロードサイド店舗とは、主要となる道路沿いにあるスーパーなどの生活に必要な店舗のことを指します。このロードサイド店舗とコンビニについても、常に需要があり安定した収益を見込むことが可能です。
高齢化や待機児童の多い地域である場合、福祉施設・保育園の需要が高い傾向にあります。どちらも社会貢献につながり、自治体から工事費に対する助成金も受け取れる可能性があります。
立地条件が悪い土地である場合、倉庫・工場として活用するのも一つの選択肢です。借りる側の初期費用が抑えられることから、長期の契約になることが多く比較的高収益が期待できます。テナントの種類によって特徴が異なるため、それぞれ把握しておくようにしましょう。
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テナント経営が人気の理由について紹介します。理由としては、主に以下のものが挙げられます。
上記に挙げた人気の理由は、アパート経営などの土地活用と比較して、少ない初期費用で資産形成できるなどテナント経営のメリットとも言い換えられます。どのようなメリットがあるのか、詳細については以下で詳しく見ていきましょう。
テナント経営を行う最大のメリットは、収益性の高さにあります。収益性が高い土地活用としては、まず最初にアパート経営などの賃貸経営がイメージされがちです。しかし、アパート経営とテナント経営を比べた場合、テナント経営の方が賃料は1.5〜2倍近く高い傾向にあるため資産形成に向いていると言えます。
ただし、収益などの資産形成ばかりを重視せず、初期費用を考慮することも忘れないようにしましょう。
テナント経営は、アパートやマンション経営に比べると内装や設備の初期投資が少ないというメリットがあります。内装やデザインについても、借りる側の事業者が行う場合がほとんどです。借りる側が負担してくれることで、初期投資などの費用を抑えられます。
設備投資にかかる費用が少なければ、その分初期投資回収までの期間も短くなるため、収益性の高さにもつながります。
テナント経営は、ランニングコストなどの維持費用が節約できることも大きなメリットと言えます。テナント経営には保証金制度があり、簡単に言うと敷金のようなもので、一般的に賃料の6〜12ヶ月分で設定されることがほとんどです。
保証金は主に、原状回復工事や家賃滞納の際の補填で使われるため、ランニングコストの大幅な削減につながります。
アパート経営などに比べて、テナント経営は騒音等のトラブルが起こりにくい傾向にあります。アパートのような居住用物件では、騒音トラブルやゴミの分別などトラブルが頻発するケースが多いです。
しかし、テナントは貸し出す相手が法人の場合がほとんどなので、トラブルが起こる可能性は低いです。騒音などのトラブルをなるべく避けたい方にとって、テナント経営はおすすめの土地活用となるでしょう。
テナント経営には、メリットだけでなくデメリットもあります。主なデメリットとしては、以下の通りです。
テナント経営を検討している方は、メリットだけでなくデメリットについても把握しておくことが大切です。デメリットを理解し、事前に対策を取るなどのリスク回避を考えましょう。
テナント経営は景気の影響を受けやすいため、景気によって利用者が減少する可能性があります。その点、マンションやアパートでは入居者からの家賃収入となるため景気にそれほど影響することはありません。
不況が続いてしまうと、新たなテナントを募集するのにも苦労してしまいます。また、相場よりも高めの賃料設定をしていると入居者が見つけにくくなるため、利用者を減らさないためにも注意が必要です。
レストランや居酒屋などの飲食店の場合、調理による火事のリスクがあります。その他にも、設備故障などのトラブルも考えられるため、各種保険への加入をしてリスクヘッジを検討しておくことが大切です。
ただし、テナント経営は居住用物件ではないため、地震保険には加入できないということを知っておきましょう。
テナントに対する融資を依頼する場合、審査は決して甘くはないため融資を受けにくい可能性があります。審査では、物件が持つ担保力やオーナーの資金力、経済状況などを厳しく判断されます。
中には、テナントへの融資をNGにしている金融機関もあるため、融資を検討している場合は事前に確認しておきましょう。
テナント経営の場合、住宅用地よりも固定資産税が高い傾向にあります。固定資産税とは、毎年1月1日の時点で土地や建物を所有している人に対して課される税金のことです。その他にも、土地や建物を所有していることで、市町村からの条例で課される都市計画税も納付する場合もあります。
テナント用に建てた場合、固定資産税・都市計画税については軽減措置がされないため、住宅用地よりも高額に感じる方も多いでしょう。アパートやマンションなどの住宅用地の場合だと、固定資産税の課税標準を3分の1に減額されるほか、200㎡以下の部分に関しては課税業順は6分の1に軽減措置がされます。
そのため、土地評価額が高いものを所有していると、住宅用地よりも固定資産税は高くかかってしまうため節税対策を目的とする方は気をつけましょう。
テナント経営で失敗しないためのポイントについて紹介します。ポイントは、主に以下の3つが挙げられます。
テナント経営の成功へとつなげるため、以下で紹介するポイントを抑えることが大切です。
どのようなテナントを入れるのか、まずはターゲットを決めることが大切です。どんなニーズがあるのか、しっかり調査し利用する事業者のターゲットを絞ることで、需要のあるテナントを選ぶことができます。
ニーズを調べる方法としては、周辺地域で最も儲かっているテナントを見つけるというシンプルな方法となります。儲かっているテナントがよく分からないという方は、実際に近隣住民にアンケートを取ることで、需要の多い事業が明確になってくるでしょう。
法人に土地を貸すだけで賃料を得るという手段もありますが、何の知識を持たずにテナント経営を行うのはリスクが高いです。複数ある契約方法や、テナントの種類もいくつかあるため、知識を深めておくことは必要となります。また、オーナー自身がテナント経営をする場合は知識がないと失敗につながる恐れがあります。
テナントを誘致する術やどのような戦略で経営していくのかなど、さまざまな知識を身につけておくと安心です。
テナント経営に少しでも不安や疑問があるという方は、プロに相談することをおすすめします。また、相談だけでなくオーナー自身が経営に直接的に関わることなく、間接的にテナント経営に参画するという選択肢もあります。
プロへ依頼する場合には、テナント経営の実績が豊富な専門業者に託しましょう。専門業者に託すことで、面倒な契約業務や交渉、不要なトラブルにも対応する必要がありません。
テナント経営以外にも、土地活用にはいくつかの選択肢があります。ここで挙げられる選択肢としては、以下の通りです。
テナント経営だけに目を向けるのではなく、幅広い視野を持って土地活用を検討することが大切です。また、土地活用を決める際には、メリット・デメリットの両方を考慮して決めるようにしましょう。
駐車場経営は、駐車場を設け駐車料金を収益として得る土地活用となります。駐車場経営のメリットは、以下の通りです。
駐車場経営の大きなメリットは、安定した収入が期待できることと投資リスクが低いことです。テナントやアパートとは違って建物を建てる必要がないため、少ない初期費用で運用を開始できます。また、建物が不要な駐車場は、他の用途に転用しやすいというメリットもあります。一方、デメリットは以下の通りです。
安定した収入が期待できる反面、収益が比較的低いというデメリットがあります。駐車場は税制面で優遇されにくい傾向にもあるため、節税目的で土地活用を検討している方にはおすすめしない活用方法となるでしょう。
トランクルーム経営とは、設置したトランクルームを個人や企業に倉庫として貸し出し、使用料を収益として得る土地活用です。トランクルーム経営のメリットは以下の通りです。
トランクルームは倉庫を設置するだけで運用可能なため、経営を始めやすく初期費用も比較的少ないというメリットがあります。駐車場と同様に投資リスクも低いため、他の用途にも転用しやすいです。デメリットについては、以下の通りです。
トランクルームは認知され利用者を獲得してから収益を得るため、収益化までに時間がかかるというデメリットがあります。また、トランクルームも税制面での優遇がされにくいため節税目的の方には向かない土地活用と言えます。収益についてもテナントやアパートに比べて低いため、収益を重視する場合にはデメリットとなるでしょう。
アパートやマンション経営では、建物を賃貸として第三者に貸し出し、家賃収入として収益を得る土地活用となります。メリットとしては、以下のものが挙げられます。
アパートやマンションなどの建築物を建てることで、大きな資産になります。また、節税できる場合もあるため、相続税対策などを目的に土地活用を検討している方にはおすすめの活用方法です。また、空室が出ない限り長期的に安定した収入を期待できるというメリットもあります。デメリットは、以下の通りです。
アパートやマンションでは、共有部分の修繕費が発生するなどのデメリットがあります。災害等によるリスクもあるため、保険に加入するなどの対策を取っておくことも必要です。アパートやマンション経営では、他の土地活用よりもイニシャルコストとランニングコストがかかります。
アパートやマンションでは、しっかりと資金計画を立て収支シミュレーションをしておくことで対策を取ることが可能です。アパートやマンション経営を検討している方は、一度MLINEへご相談ください。MLINEでは、相場よりも安い建築費用をご提案しているため、少しでも費用を抑えたいと考えている方は以下からお問い合わせください。
テナント経営は飲食店などのテナントに場所を貸して収益を得る経営方法ですが、契約方法や種類がいくつかあるため自身に合ったものを選ぶようにしましょう。
テナント経営を成功させるためにも、ターゲットを決める・自身で知識を深めておく・プロに相談するなどを意識することが大切です。テナント経営についてや土地活用の方法に悩んでいるという方は、ぜひMLINEへご相談ください。
MLINEでは、所有されている土地に最適なテナント経営や土地活用の提案・サポートを行っています。少しでも不安や疑問がある方は、お気軽にお問い合わせください。
2024/11/29
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